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【マッチレビュー】19/20カラバオカップ R4 リヴァプール vs アーセナル(30/Oct/2019)10点スリラーで敗退もポジティヴな余韻

試合の論点

リヴァプール v アーセナルのトーキングポインツ。

たとえノーガードの打ち合いでもアーセナルが勝つべき試合だった

94分にオリギのシュートが決まったとき、ぼくがまっさきに思ったのは「エメリたん持ってないなあ」ということ。それくらい不運に思えた。ウーナイには珍しく、内容が良いのに結果が出なかった。

最後の最後のシーンはムスタフィを戦犯扱いする見方もあるようだが、クロスボールがオリギに渡る直前、あの瞬間にゲンドゥージがオリギの前であとわずかでも頭に触っていさえすれば、あのゴールはなかっただろう。そこで勝ちだ。時間にしてあと1分、ボール一個分かわからないが、この勝敗にはそれくらいの差しかなかった。くやしい。

まったくふさわしくない敗戦だった。

実質的な得点をカウントしてみようか。

まず、アーセナルの5点のなかではトレイラによる最初の1点だけは明らかなオフサイドだったので、もしVARがあれば取り消されていたはずであることは認めよう。なので、得点は4。あとはどの得点も誰にも文句は云わせない。

一方のリヴァプールの5点のなかで1点はムスタフィのラッキー(アンラッキー)なオウンゴールだし、2点めは疑惑のペナルティだ。あれこそVARがあれば取り消しダイヴ認定されていた。ゼッタイにだ☆ オックスなんとかチェンバレンのスーパーストライクには肝をつぶしたものだが、あれだって超低xGでほとんどまぐれあたりである(まあ彼がああいうシュートを決めるのはこれまでにも何度か見ているが)。したがって、まあ好意的に見ても得点は3。

これはもう実質アーセナルの勝利ではないか。すごい。アンフィールドで勝った。今回はほんとうに誇らしいね。

今回の数々の勝因について考えたい。

才能と努力。ガブリエル・マルティネリの強烈インパクト

CFとして攻撃の起点になるだけじゃなく、ファーストディフェンダーとして奮闘。2得点とストライカーとして十分すぎるほどの結果も出した。ハットトリックのチャンスを数回逃したことは少し残念だった。

Sky SportsのMOTMはエジルとなったが、フースコ等のレイティングサイトではアーセナル内でトップのスコアを出している。

最初の4試合スタートで得点を続けているのはイアン・ライト以来。ヨーロッパのトップ5リーグでティーンとしては最高得点(7)。この得点数はアーセナル内ではオバメヤン(8)に次ぐ成績。そして、現在ゴールは58分ごと。バケモンか。化物語か。

あのですね。ひとつ申し上げてもよいですか。

 

こいつはまじでやべえ逸材だ。まじやべえ(語彙)。

 

誰だよこんなの見つけてきたの。そして取ったの。まだ18才だょ? 初めての海外だょ?(※注:かつてマンUとバルサで少し) ちょっと信じがたい。マンUが獲得を見送ったことも信じがたい。

そして彼のプレイで今回ももっとも印象的だったのはアレクシス・サンチェスばりの、あのひとりハイインテンシティプレッシング。毎回毎回あのスピードで詰め寄られて、もうリヴァプールのバックラインは相当に嫌がっていた。タジタジだった。とくに前半は心配になるくらいずっとボールを追いかけっぱなしの超ハードワーク。

こんなのそのまま保つわけないと思った。たしかに後半は見てわかるほどインテンシティは下がった。でもおいらのメモによれば、彼は74分の時点でも思わずメモりたくなるほどのプレッシングをやってる。そのすぐあとの76分には自分でボールを持ってドリブル(ファウルもらった)。才能と努力のコンビネイション。

これはネイマールが一般人に見えるはずだわ。

これからELだけでなく、PLでももっとプレイタイムを伸ばすかもしれない。そんな誰もが思わず応援したくなるような圧倒的パフォーマンスだった。

今シーズンは試合に出ればずっとすごいのだから、まじすごいよ。ヤバいしスゴい。

エジルの帰還。アーセナルの攻撃に落ち着きと創造性をもたらすミッシングリンク

The return of Oz. Winter is coming… We’ve got Ozil!

こりゃあエメリ氏もいい訳ができませんなあ。彼は10月をまるまる棒に振っているが、ほんとにほかの選手よりプレイするにふさわしくなかったんですかねえ。

PLの試合はまた別物だってのは承知だけど、今回のようなエジルのプレイを見させられたら、いまのアーセナルにもっとも欠けているものは何か、ウナイ・エメリのアーセナルが何から目を背けてきたかについてあらためて考えざるを得ない。

それくらいエジルは効いていた。

彼は9月末のノッティンガム・フォレスト以来のプレイということだったけど、1ヶ月のブランクを感じさせるどころか、こう云っては少し大げさながら、まるで水を得た魚のようであった。

ビルドアップ局面でのボールキープはもちろん貢献は大きかった。しかし、何より貴重なのはやはりファイナルサードでのクリエイティヴィティ。とくにボックス内で見せたアイディアとインスピレイションあふれるプレイには、ため息が出た。ぼくらファンが愛したアーセナルのスタイルがそこにはあった。

トレイラの1点めでは、マルティネリが左からゴール前に入れたクロスが流れてきた右サイドでボールキープ、落ち着いてひょいっと近くにいたAMNにボールを出すと、またAMNから戻ってきたボールを今度はゴール前に入れると見せかけて(ノールックをやった?)、フリーになっていたサカへスクエアパス。ダイレクトシュートのこぼれ球をトレイラが押し込んだ。起点1。

3点めのシーンでは、ハイプレッシングからこぼれてきたボールをヒールでフリック(なんというアイディア……)。サカが抜け出しゴール前のマルティネリに正確なクロス&ゴール。起点2。

圧巻は4点めのシーン。アーセナルのハイプレッシングにプレッシャーを感じるリヴァプールのDF(ミルナー)がゴールキーパーへのバックパスをミス。このベテランの珍しいミスにすかさず殺到したAMN。奪ったボールが無人のゴール前を横切る。ああ、その勢いではAMNは間に合わない、エジルも向かっているがもし追いついてもそのタイミングでは角度的にシュートは打っても入らない……ああ……と全世界で5000億万人のアーセナルファンが落胆しかけたその刹那、エジルが見せたこの日一番のマジック。。あとはもう説明は要りませんね? これはもちろんゴールアシスト。

ふう。

この3点に絡んだエジルのプレイはいまのアーセナルが渇望していた創造性・意外性そのもので、それがないからこそいまのアーセナルは苦しんでいるとすら思える。エメリ・アーセナルのいつも予測可能なプレイのせいで、得点するどころかボールを前に運ぶことすらままならなくなってしまった。この試合のエジルを見て、そんな手足をもがれたようなアーセナルを救えるのは現状では彼しかいないのではと思えた。今回、彼がいたおかげでほかのアーセナルの若い選手たちもまた輝いた。1+1以上の相乗効果が確実にあった。エジルはスクワッドのなかの欠けたピース、まさにミッシングリンクだと感じた。

 

もっとも、今回はぼくもエジルのプレイをかなり注意して見ていたが、彼はハイプレッシングには基本的には積極的には参加しないのはいつもどおり。一応ボールを持っているDFに寄せてはいくがインテンシティはなく、アリバイっぽい動きだ。その点では、マルティネリとは好対照である。

その代わり、彼はボールを奪ってからのつぎのプレイのことをずっと考えている。それで危険な場所でいつもウロウロしてる。

エジルという選手はそもそも怠惰と思われがちだけど、じつは90分のなかでスプリントはかなりやっているというデータがあったと思うが、要するに、彼はいつもボールを奪ってからのことを考えていて、スプリントをするのはボールを奪ったあとだということ。サカにフリックで出したパスのシーンなんかは、彼が高い位置でウロウロしていなければ、チャンスに絡むこともできなかったはずで、そのあたりをチームとしてどう吸収していくか。PLでレギュラーチームのなかでプレイするなら、そこが問われるはずだ。

ただ、この試合のエジルのプレイを見ていると、コレクティヴなプレイを求めるエメリにはあまり受け入れたくはないアイディアだろうが、彼には守備のハードワークを免除してでもお釣りが来るほどの攻撃での貢献がある。そんなふうに信じられる。

皮肉なことだが、このモダンなセットアップのなかで、エジルの守備を免除してあえて「クラシックNo.10」として使うことができるかどうかが、アーセナル浮上のカギになるかもしれない。

しかし、ステディアムのファンもうれしそうだったな。試合中、何度もエジルチャントが発生していた。あとマルティネリチャントも初めて聞いたような。。

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9 Comments on “【マッチレビュー】19/20カラバオカップ R4 リヴァプール vs アーセナル(30/Oct/2019)10点スリラーで敗退もポジティヴな余韻

  1. エジルが、試合に出られなくても通常トレーニング+追加のトレーニングをやっていると言っていましたが、嘘ではないことを証明しましたね。
    試合勘のない中であれだけのパフォーマンスを見せたのは、腐らずにやってたからではないでしょうか。
    あとマルティネッリはほんと生粋の点取り屋ですね…。これはマジで育成しくじる訳にはいかない…!

  2. まぁこう言っといてエジルを次節ベンチ入りもさせんのがエメリとも思えるけどw
    今季流れで得点できてる試合の共通点はぺぺ不在やと思う。ドリブル成功数はPLで上位なはずやけど効果的だったことはない。彼が高い位置で仕掛けられるように、相手エリア付近でボール捌けるエジルを使うのは単純に考えれば相性がいい気はする。
    ただ問題は昨季ウルブズに自陣に構えられてカウンター、でボコボコにされたこと。そうなるとエジルは途端に消える可能性がありぺぺ、オバも孤立して終わる。
    それでも次節ぺぺは使うやろう、となればエジル使うかな?それなら俺はジャカ(あとゲン)も使う気がする。ただ、ジャカを使わない可能性のが高そうやから応じてエジルも外れて、結局中盤はトレセバ(ウィロ)の2IH、底ゲンになると予想。んで多分うまくいかない。

  3. ここ2~3日の悲壮感漂う状況からの、あのアンフィールドで見せた闘志、創造性とチームワーク。もちろん、相手にはファンダイクもアリソンも、マネもフィルミーノもサラーもいないわけだが。
    でも、ベジェリンの言う通り、これこそフットボール、90分のエンターテイメントでした。マルティネッリ、エジル、トレイラは勿論、AMNとウィロックも闘志をみせ、コラシナツからのティアニーには、週末を考えた前2枚とは別に、勝ち切りたいエメリの意思も感じました。(最後の10分ぐらい、スターターは本当に足を使い切った感じですよね。)

    16歳のぼうや(なんとなくジャック風・・・)はダイバーだと分かったわけですし(マルティネッリのあれ、あたってないっすよね?)、OXも元気(ゴール時も退場時もグーナーへレスペクトを忘れていなかった気がします)でなによりでした。守備とか勝ち切れなさとかいろいろ総合的にはみなきゃいけないんでしょうが、今週はトレイラのゴールセレブレーション、AMNとエジル、マルティネッリとサカのボックス内のあの冷静さ(そもそもいったい何人いるんだ?というぐらいの攻撃オプション)、ウィロックがへろへろになりながらぶち込んだ美しい曲線を何度も思い返して楽しみます・・・。

  4. エジル、トレイラを適正に使えば安定しますよね。グーナーの誰もが見たかった形じゃないか
    マルティネッリはPLでも見たいですな
    一方ムスタフィの戦力外は覆りそうもないですな

  5. エジルの出場は怪我の功名とはいえ、トレイラと一緒に良い結果が出たのは素晴らしい。あとはエメリぎこれをちゃんとプレミア用のファーストチームに落とし込んでくれるかどうか。
    週末のスタメンを見てがっかりしないといいなあ。
    良い流れに乗れることを心から祈って。

  6. 攻撃の詰まる部分を我らが10番が解消してくれるんじゃないか、居場所はそこなんじゃないかと思える試合でした。
    マルディネリとかラカゼットのような守備も頑張るし、良いところでボールが受けれる選手がいればさらに良くなりそう

  7. ネガティブな部分ほぼなしなのはいつ以来でしょうかね。
    やられたらやりかえす倍返しフットボール。
    遠い未来はとてもカガヤイテ見えますね。
    いろいろありしたが、どんな状況でもエジルはこれまでチームや監督の批判をしませんでした。そんななかでの久々の先発でこのパフォーマンス。プレーで黙らせるとはこのことですね。
    この調子で土曜も頑張ってほしい。
    COYG

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