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【マッチレビュー】19/20EPL チェルシー vs アーセナル(21/Jan/2020)【試合の論点】不屈の闘志

マルティネリの才能とプロフェッショナリズム

この写真すごい。

この試合は、ファインプレイを見せた選手がたくさんいて(ムスタフィですら)彼らを称賛したい気持ちでいっぱいだが、ぼくはとくに若い選手たちのハンガーを見た気がした。

ひとりはもちろんガビ・マルティネリ。ぼくにとっては彼がこの試合のMOTMだ。

チームプレイヤーでもあり、得点を決める個人の能力もハンパじゃない。このゴールは彼の今シーズン10得点目で、アーセナルでは10代で2ケタ得点はアネルカ以来だとか。時間ごとゴールでは、PLの絶好調ストライカーたちをも凌ぐ。

彼の得点は、もちろんタレントの産物であることは間違いない。あのボックスからボックスへの長い距離をあのスピードでボールを持って駆け上がり、冷静にGKとのワンオンワンを決めることは誰でもできることではない。技術もそうとうなものだ。

そして彼の度胸や決意といったメンタリティも並外れている。大したタマだと思う。

彼はブラジルから外国にやってきたばかりの18才で、シーズン始めはU23でプレイすると見られていた選手だった。こうしてシニアのレヴェルでプレイすること自体大きなプレッシャーがあるはず。しかもこの試合はいまのアーセナルで経験できる限りではトップオブトップの試合だ。それをあのゴールシーンでは、まるでものともせず王様のようにボールを持ってピッチの中央を突き進んでいった。「もうゴールしか見えない」というふうに……。ンゴロ・カンテがすっ転んだのはラッキーだという向きがあるがそうじゃない。彼は王の<圧>に圧倒されたのである。

そういう強靭なメンタリティは、おそらくは持って生まれたものでもあると思う。まあ後天的なものでも早い時期に学んだということも含めて。

この試合のあとでマルティネリを引き合いに、ニコラ・ペペに対して批判的な論調をメディア等でも見かけたが、たしかに技術はともかく、精神力のようなものについてはマルティネリのそれに及ばない。

たとえば、今シーズン序盤のリヴァプール(A)で、ひとりでボールを持って抜け出すという今回のマルティネリと似たようなカウンターのチャンスを結局ふいにしてしまったことを思い出す。別の機会でも単独でゴール前まで行ったはいいが、最後にGKを前にしてシュートよりパスを選んで失敗、ため息を誘ったこともあった。そういうシーンを見ていても彼がとくにゴール前で大きなプレッシャーを感じているのがわかる気がしたものだ。だって彼はそういうカウンターアタックのシーンでこそ輝く選手だと云われていたのだから、本来の彼なら外さない状況なのだ。たぶん。

でもどちらかといえば、そっちがふつうだと考えるべきなのだと思う。ワールズベストのリーグ、ビッグクラブでの1年めで自身の巨額移籍金というプレッシャーもある。マルティネリやゲンドゥージのような例はレアケイスだと思うべきなのだ(そうでなければぼくらはほとんどの新加入選手に不寛容になってしまう)。

マルティネリのようにそのようなことをあまり気にしないというほうが珍しいし、それはひとつの才能だろうと思う。プレッシャーに強いというのは、成功するストライカーには必須の条件のひとつでもある。

彼は才能にあふれている。間違いない。

だがここで褒め称えたいのは彼のタレントではない。才能があっても成功できないフットボーラーなど世の中には腐るほどいる。あいつとかあいつとか。われらもこれまでに何人もそういう選手を見てきた。

彼の非凡なところはタレントに、類まれなハードワークが伴っているところだ。

この試合でダントツのトップだという「スプリント数26」は、彼の非常に高いワークレイトを示すもので、試合中、攻撃だけでなく守備時には自陣で一番深いところまで戻ってサカをカヴァーする姿を何度も何度も見せていた。それもいつもどおりだ。これは攻撃でも守備でもチームを助けるという献身でもあるし、また自分が試合の主役になるという決意の表れだろう。彼のあこがれはクリスチャーノ・ロナウドだし。

試合後にベレリンがマルティネリについて語っている。

ベレリン:Tbf、(彼のような才能を持った18才は)そんなに多くはいないね。

たくさんのひとたちが彼のタレントについて話しているが、みんなが見ていないのはガビのプロフェッショナルなところさ。彼は毎日早く出てくる。

彼は云われたことはすべてなんでもこなしている。彼はプレスするとき最初の選手で、ピッチですべてを出す最後の選手でもある。

ゴールはただのおまけだ。彼はどんなやり方でもチームを助けていて、みんな彼の姿勢を称賛する必要がある。それが彼を選手にするんだ。

彼はまだキャリアのかなり初期にいる。まだいろんなことが起きうる。でももし彼がこのままつづけていけるなら、彼はかなり遠くまで行けるはずさ。

タレントよりも注目すべきは、彼のプロフェッショナリズム。自分の仕事がなにかを完璧に理解して、いつもそれを実行しようとトライしている。

彼は、進歩するための正しいメンタリティを持っている。それが彼のもっとも素晴らしく、もっとも尊い資質。今後がますます楽しみなガビ・マルティネリだ。

この試合のあと、RMとリヴァプールが彼に熱視線を送っている(笑い)というニュースが。AFCは給料を3倍にして引き止める作戦だとか(£10kpw→£30kpw)。セレソンにも呼ばれる可能性があるというし、オバメヤンが戻ってきてもレギュラーチームに残すべきというファンの声も日増しに高まっているが、果たして。。

チャントはもうちょいキャッチーにできないものか。

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12 Comments on “【マッチレビュー】19/20EPL チェルシー vs アーセナル(21/Jan/2020)【試合の論点】不屈の闘志

  1. あえてネガティブな面に注目すると、10人になる前までの時間が気になります。前節もそうでしたが、少しビルドアップに怪しさが見えてきました。

    11人の時よりも、なんならジャカとムスタフィで組んでた時の方が、後ろからの組み立てはスムーズな印象すらありました。
    あのミスによりムスタフィが少しリスクを抑えた選択をするようになったこと、ジャカが左利きでありボール離れが良かったことが関係してるように思います。

    アルテタ就任から3試合あたりまでは良かったのですが、それ以降CBの判断がとても遅く、且つリスキーなパスを選択してます。相手を引きつけているというより、CBの位置からなんとか起点になろうとしているような…
    例えばルイスはとても素晴らしいキックを持っていますが、良いところ(前線への縦パス)を狙いすぎて時間をかけ、停滞を招いています。

  2. エジルは今こそ真価を発揮してほしいですよね。ここを逃すと、いよいよ出番がなくなるのでは。
    今のセントガビを外すのはちょっとありえなく思います。オーバが戻ったらオーバCF で左右にガビペペ、エジルの位置にあえてラカゼットとゆうのはどうでしょう。いわゆる縦関係のツートップ。
    スタンフォードブリッジのあのあたりはとてもよくすべる印象でしたが、ガビの覇王色だったんですね。
    セバジョスはこれで終わりなのか、ホールディングの完全復活はいつなのか、一月もあとちょっと。まだ目が離せませんね。

  3. 僕も11対11に圧倒されてたとこが気になるんだなぁ

    ジャカはCBがボールを預けるのを躊躇うようなプレス耐性でトレイラは安全第一、エジルに至っては岡崎のような誉められ方をしている現状はいかんともしがたい

    後方からビルドアップするならジャカエジルのセンターはキツイかなぁ

    あとはゲンちゃん含め皆スピードに欠けるので足早い中盤ほしいねぇ

  4. いやー、別のブログを読んでいるよう笑

    本当に楽しい試合だった。アルテタは我らに真の娯楽を戻してくれた。サンキュー!

    マンUがやられたのはワトフォードではなくバーンリー。いやー、どっちにしろ最高。

    更新お待ちしております。

  5. 私はジャカが見せた気持ちの強さが本当にうれしいです
    正当不当を問わず、あれだけファンやメディアに叩かれて、退団まで考えたという話にもかなりの信憑性を持つような状況に居た選手です
    チームが10人になり、劣勢を強いられる中でチームメイトを鼓舞し、自らも気迫と冷静さを併せ持ったプレイでチームに穴を作らせなかった
    未だアームバンドを巻くことには抵抗もあるでしょうが(ファンも)私の目にも「見えないアームバンド」がはっきりと見えました 元々人望も厚いという話ですし、チェンさんの仰るキャプテンに返り咲くという可能性について、私はそうであって欲しいと強く願っています
    そのときのジャカは、きっと、アーセナルが長年求めてきた真のキャプテンになれると思うのです

  6. サイドバックのサカがドリブルで抜かれてないはありえないような、ハドソンオドイにおいていかれるシーンも、抜かれてないけどクロス入れられてましたし。

    1. むしろ自分も最初はやられているように見えました。後半は割りと良かったですけど

  7. チームの方向性は間違ってないと確信しましたね
    現場は雰囲気良くなってきたので問題はフロントですね、私はサンレヒはSDに相応しくないと思ってます

  8. だいぶ形というか原形が見えてきましたね。そう、CBが2人必要。ホームグロウンのあれでホールディングとチェンバース以外のCBは全員いらない。サリバが戻ってきてもスタメン取れないくらいじゃないと。アーセナルのCBは組織の小さなミスが結果的にCBに全て降りかかるんじゃなくシンプルに個人のミスでヒドい。クラブ創設初プレミアの昇格組じゃないし擁護出来ない。あとトレイラ、ジャカを脅かすボランチも1人ほしいとこ。左SBも当然必要だけど優先すべきはCB。これに尽きる。

  9. ジャカCB起用見て思ったけど、左CBには左利きが欲しいところ。ルイスの判断が遅いのは体の向き的な問題があると思う。セティエンには使われてるけど、ウンティティとか欲しい

  10. 11vs11の時の攻撃で上手くいかない場面が多かったのはこの試合も中盤(エジル含む)と前線3人の選手とあまりにも距離があることだと思う。
    原因は色んなところにあると思う。
    この時間帯、プレスのとき前線は高い位置から行くがボランチより後ろが離れすぎてた。
    CBからのビルドアップのとき前線3人の位置が高すぎるし、下りてくる頻度が少なすぎる。
    ボランチ2人も問題だろう。パスを引き出せず前へ運ぶこともできず並んでマークされるからCBから中央のエジルへのパスコースも消える。バックラインの判断・位置・パスの遅さもあるかもしれない。
    エジルがサイドとか低い位置に下りてくるがそれに合わせて前線(まぁボランチもだが)の選手がポジションを変えることをしないので、エジルがボールを受けても(エジル以外の場合もだが)前へのパスの選択肢がない状態が多い。サイドで受けるとペペと縦の関係にしかならないしラカは遠い。エジル自身が高いポジションのいい位置で受けても彼自身のミスもあった。

    10人になって攻撃でよくなった点は、
    10人になったこと(エジルがポジション1つ下げたこと)によりラカやペペが受けに下りてくる意識が上がった。
    10人になって攻め急ぎがなくなり、後ろの選手の上がりを待つことが出来るようになり、
    攻め上がった場合はボールを奪われてもいい位置でのプレスも見られた。
    引いて守るときはコンパクトだからボールを奪った後は距離感が近いのもスムーズにボールを運べる要因だったかもしれない。(サカ、マルティネッリのとことかは目立った。)

    ラカの追加仕事はボールを繋ぐために下りてくることが1つだと思っているが、
    このような仕事を各選手が少しずつ増やしていくことで改善するのかもしれない。
    選手自身が適切な距離やシチュエーションを判断できるようになるのも必要だと思う。
    ボールの受け方とか、スピードを上げながら受ける場面を増やすとか斜めへの動きとかetc…

  11. エジルについて。
    エジルがアタッキングサードにおいて決定的な仕事が出来ていないのは前線の選手の特性も関係しているのではないかと。
    彼の良さって相手のDFラインの裏への正確なパスが大きな1つだと思うんですが、
    ラカゼットやペペがそういう動きを頻繁にするタイプでないような気がします。
    ペペはPAから少し離れたところで足元にボールを受けドリブルで相手を躱すのにこだわりがあるんだろうけど、もう少しバリエーションあると脅威性が上がるかと。(ドリブル以外でも相手を躱してくれていいのよ)
    ラカゼットも、相手の裏を狙うというよりは横か手前に動いて相手のマークを少し外して受けてフィニッシュを狙う事が多いかと。
    そして最近はSBの選手が裏を狙う場面も減っている。(戦術的、ペペの位置の影響)

    さらにエジル自身が裏を狙うような動きをしてもそこにパスが来ないことが多すぎるという。

    エジルが個人で頑張ってもエジルが輝くことは現状けっこう難しいように思います。
    PAに突っ込みながらワンツー狙う頻度上げるくらいはして欲しいが。

    ビルドアップとかパス回すというところでまだまだ彼と同等にこなせる人材は限られてるし、
    役割はあると思うけどインパクトを作るのはかなり難しい状況にいるとは思う。

    チェルシー戦を見てもスピード的なところはだいぶ落ちていて、高い位置で受けてもミスが見られた。
    好きな選手だがなかなか難しい状態だなと。

    アルテタが何か判断しても驚かない。

    でも活躍して欲しいし期待はする。

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