アーセナルFCが選手とスタッフの自主的給与カットを公式に発表
We are pleased to announce that we have reached a voluntary agreement with our first-team players, head coach and core coaching staff to help support the club at this critical time.
— Arsenal (@Arsenal) April 20, 2020
ファーストチーム選手、ヘッドコーチとコアコーチングスタッフがクラブを支援するために、年俸から12.5%をカットすることを自主的に決定した。
ただし、この合意は19/20シーズンがちゃんと終了すること(TV収入がフルで入ること)が前提になっているというので、仮にそうでない場合はさらなる譲歩を求められるのかもしれない。
声明のなかで、来シーズンの目標達成(CL/EL)で一定の額は戻すことになるとも言及されている。
まあともあれ。PLで最初のクラブということで、誇らしいではないか。
メスト・エジルは給与カットに応じていない3人のうちのひとりと『Mirror』
Mesut Ozil one of three Arsenal players to reject club’s 12.5 per cent pay cut
AFCから「自主的ペイカット」の声明が出されたが、じつはファーストチームのスクワッド全員がペイカットに応じているわけではなくて、一部の選手はそれに応じていないという。3人拒否している選手のひとりがエジルだと。
ほかのふたりの名前は明らかにされていないが、もうひとりはきっとコラシナツだろう(適当)。
その3人とはこのあとも引き続き交渉を継続。
給与カットに応じていないひとりであるエジルのエイジェントが、クラブの交渉の違法性を指摘する
エジルのエイジェントのコメンツが大きな話題になっていた。
元ネタはこのPodcast。Erkut Sögütがインタヴューに応えている。(ぼくは聴いてないすまん)
Nothing divides a dressing room like money. How toxic will…
Erkut Sögüt(エジルのエイジェント):クラブがファーストチームの一人に提案書を提示して、残りのメンバーのところに行って同意を得ることは十分ではありません。それは個々の契約交渉が行われるべき方法ではありません。
クラブはファーストチームのマネージャーに選手との交渉を依頼することもあり、これは一部の選手、特に若い選手や、彼が同意しない場合、彼に個人的な影響が及ぶのではないかと心配する末端の選手に影響を与える可能性があります。
このような状況下では、プレッシャーをかけられた場合に真の同意を得られない選手もいるため、選手からの同意が法的拘束力を持つかどうかは疑問。
例えば、マネージャーが変更に同意するように圧力をかけている場合、個々のプレイヤーには大きなプレッシャーがかかる。特に、チームメイトの大多数が変更に同意することをすでに確認している場合はなおさらだ。
非常に危険な領域だ。クラブは自分たちが何をするかについて非常に慎重になる必要がある。グレーゾーンのようなもので、特定の人物を利用して契約の変更を強要したり、感情的な圧力をかけて合意させたりすれば、より違法性が高まるだろう。
これは危険です。それが表に出てきて証明されたら、クラブは本当に問題を抱えていることになります。非常に慎重にならなければなりません。だからこそ、最初から非常に透明性を持って、非常にオープンにする必要があります。これは非常に重要なことです。
だからこそ、例えばこれに当てはまらない選手はファーストチームの行動から外れることもあるような気がするんですよね。そして、そのような扱いの根本的な理由を証明するのは非常に難しいこともあります。
以上DeepLを利用。便利。
アルテタが選手のペイカット合意形成に貢献したという話は美談のように語られているが、選手にとりそもそも立場が上位にある人物(たとえばアルテタ)が選手とクラブのあいだに入り交渉を仲介することは、法的・倫理的に間違った手続きではないかと。問題があるんじゃないかと。疑問を呈しているわけだ。
ちなみにこのひとは弁護士でもあるそうなので、そのあたりはエキスパートだと考えてよさそうである。
なかなか興味深い指摘かもしれない。
これは、エジルの代理人としてペイカットに応じていない選手サイドのある種のポジショントークでもあるわけだけれど、Sögütの指摘していることはおかしな論理でもなさそうに思える。どうだろう。
エジルが給与カットに応じないのは「大きなオウンゴール」とジェイミー・キャラガー
こういう意見もある。これはエジルのPR上における大きな損失であるとSkyパンディットのジェイミー・キャラガー。
キャラガー:アーセナルで最高給で最大のビッグネイムである彼が、ほかのチームメイツと足並みを揃えないという事実。
たとえわたしがエジルのポジションにいたとして賛成はしなかったとしても、ほかのチーム全体、マネージャーにクラブのひとたちがそれを決めたのなら、チームとしてそれに合わせなければいけない。
フットボールはチームゲイムであり、個人スポーツではないし、この状況でエジルのような存在であれば、ほかの選手たちに倣うべきだと思う。
これはPR上の大きすぎるオウンゴールだ。
給与カットに応じないなんらかの理由はあるにせよ、チーム全員が同じ方向を向かないのはどうかという。元選手っぽい意見。
しかもアーセナルにとってはメスト・エジルは最重要選手のひとりで、一般的な見方ではクラブやチームをレペゼンしている存在でもある。キャラガーの指摘には同意できる部分もある。
エジルはチームのなかで、そういった「同調圧力」に屈しない強さを持っているとも云える。
<慈善事業に熱心なエジルが給与カットに反対する理由?>
ところで、若干不可解なのは、エジルという人物はいまのチームのなかでももっとも慈善事業に熱心なひとりだということ。
Sure there will be a lot of Ozil bashing doing the rounds. But it must be noted, no-one does more for charity or for people/children in need than he does throughout the year. The work he does around the world often goes unnoticed, but it’s vast. He spends millions helping others.
— Charles Watts (@charles_watts) April 20, 2020
この危機を乗り越えるため自分たちのクラブを支援しようという活動ならば、彼が率先して参加してもおかしくはない。
彼のソーシャルアカウントをフォロウしているひとは知っているだろうが、「BigShoeプロジェクト」など、今回のような騒動の以前からチャリティプロジェクトにも非常に積極的であることはみんな知っている。
そういったお知らせについては「PRチーム」だとか揶揄されるときもあるけれど、セレブリティとしてそういった活動に貢献していることは疑いなく、立派なことだと思う。
おそらくは、彼が給与カットに応じない理由はオーナーシップだとは思われるが(それ以外考えられない?)、ミリオン単位で私財を投じると報じられたKSEのオーナー投資額が、それでも十分じゃないと彼は考えているのかもしれない。
AFC選手の給与総額が年間で£230M。12.5%カットで得られるのは£28.75M。これに幹部スタッフらの分も入れて仮に£30Mとしても、それくらいビリオネアのオーナーが払ってくれよと。直近のAFCのファイナンスは大幅減益で赤字転落してはいるが、その程度ならオーナーがなんとかできるだろうというのは、まあそれもたしかにという額ではある。
仮にアーセナルがもっと庶民的なクラブだったら、彼のスタンスもまったく違っていたんじゃないか。そんなふうに思える。
おっとまただいぶクラブ政治の話になってしまった。いかんいかん。