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【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs マンチェスター・シティ(21/Feb/2021)スコア以上の圧倒的な実力差

試合の論点

アーセナル vs マンチェスター・シティのトーキングポインツ。

強すぎるマンシティ

ヨーロッパベストというのは、ほんとうかもしれないと思える圧倒的なパフォーマンス。レヴェルの違いを目の当たりにした。ぼくは試合開始早々に、毎回ブログのためにとっているメモを止めた。

手でボールを動かしているようにパスが正確で、全員がユニットになって自由自在みたいに動く姿はまるでなにかのマシーンのよう。高度に洗練されていた。

完全に支配されているときのアーセナルはまるきり格下という感じで、いざボールを奪っても、インテンスなカウンタープレッシングにいっぱいいっぱい、つぎのプレイを落ち着いて考える余裕がまったくない。ほとんど窒息しそうになっていた。

この試合のアーセナルと彼らの最大の違いはやはりミドフィールドだったろうと思う。上から下までクオリティ差を思い知らされたが、最大の差はそこに違いない。

彼らはKDBやシルヴァといった選手を中心に、かなりポジションを動いていて、とくにこのふたりは右でも左でもボールがあるところに必ず顔を出すという神出鬼没さ。そのおかげで各所で数的優位を保つのでボールを失わず、余裕をもって前を向きつぎのプレイにつなげる。流れるようなプレイ。そしてそういったときにつねに複数のMFがDFの裏を狙っているという。

また、左のスターリング、右のマーレズはワイドに張っていて、彼らウィンガーに正確なボールが渡ると(必ず渡る)1 v 1を仕掛けられ複数人での対応を余儀なくされ、そこでまたあらたにスペイスが生まれ、悪用される。われらはその対応に後手後手。そんなことの繰り返し。

アーセナルはボールを持っても毎回ミドフィールドに十分な人数がおらず(またドーナツ化していたように観えた)、ぼくは試合中何度も「相手のほうが絶対に人数が多い」と錯覚したものだ。

そして彼らはエナジーの効率的な使いかたも知っていた。オープニング15分のような激しいプレイを90分つづけることはできないので、どこかでインテンシティを落としつつ相手に対応する時間も必要になるが、その時間配分のマネジメントも完璧に見えた。

1-0という結果だけを見れば、もしかしたらアーセナルが追いつけることができたのかもしれないようにも思えるものの、彼らはギアをたくみに調整していただけで、状況に応じてそれを使えるパワーをまだまだ余らせていただろう。チームとしてのキャパシティが違いすぎる。

何かの間違いでアーセナルが得点をしていれば、たしかに1ポイントだった。しかし、あの内容ならそれはとうていフェアな結果とは云えない。

ロテイションが裏目に

とはいえ、スクワッドのクオリティでは越えられない壁はあるにせよ、もしアーセナルが万全のチームならさすがにそこまでは圧倒されなかったのではないかとは思う。

アーセナルはヨーロッパ遠征を含む週3の試合がつづくなかで、チームをロテイションしなきゃしょうがなかったことは受け入れるよりない。冬の大整理によっていっきにシニア選手が去り、スクワッドが縮小したことも多少の影響はあるだろう。

しかし、今回変えてきたのはよりによってそこかあという気はした。ELとPLでの選手の使いどころにはまったく問題はなかっただろうか。

ホールディングもマリもスタートするのはひさしぶりで、とくに個人的に(失点のギルティっぽい)ロブホはかなりのサビつきを感じた。彼を使っておくべき試合はこれまでに何度もあったと思うのだが。

それとジャカとコンビを組むパートナーにエルネニーを抜擢したことも裏目に出たとしか思えなかった。

自分たちがボールをもつ時間が少ない試合だということは、始まる前からわかっていたこと。だからセバーヨスを休ませるためにエルネニーのような選手を起用したことがまったく理解できないわけではない。だが、この試合の彼は恐ろしく消極的で、このレヴェルで要求されるプレイはまるでできていないように見えた。

サイドラインのアルテタが、試合中彼の消極的なプレイにかなりフラストレイションをためていたという報告もある。

彼はパーティと組んだマンUでは、歴史的勝利に貢献をし非常に評価を高めたところがあるが、あれはパートナーがより積極的なパスを出すパーティだったからかもしれない。

ジャカとエルネニーのコンビでは、中央の相手が嫌がるエリアになかなかパスを出せない。もしエルネニーがパーティがだったら、きっとオーデガードやサカのような選手はもっとボールに触れることができたように思う。

ロテイションといえば、ここ数試合はスタートから外れていたぺぺもかなり消えていた。プレッシングはがんばっていた。

アルテタはしばらくぺぺを左、サカを右に置くシステムで手応えを得ていたように思っていたが、今回は以前のように逆。その結果か、KTとサカのいる左サイドばかりが活性化し、ベレリンとぺぺの右サイドはまったく脅威がなかった。

この試合でなぜああいう配置に戻したのか理由はよくわからない。

いずれにせよ、この試合でぺぺに不満を云うのは若干フェアではないという気もするが、スターリングやマーレズのような選手のプレイを観れば、ウィンガーとしてはやはり物足りなさを感じずにはいられない。

いいところ探し

KTとサカはよかったな。このふたりは、いまのシティでもプレイできるんじゃないかと思った。

KTは90分走れるマッチフィットネスが整っていないのは明白で、終盤はもうぐったりしていて観ていて気の毒だった。これからだ。

サカは毎試合成長している。だがフィジカリーにはそろそろ彼も限界かもしれない。「木曜はファイナル」とアルテタは云っていたので、もしかしたら無理をさせるかもしれないが、彼に何かあるとアーセナルのシーズンが終わりかねない。

もうひとりチームのベストプレイヤーを挙げるならレノ。

彼はハードなハイプレッシングのなかでも非常に落ち着いていて、OTTのミドルレンジのパスをKTやベレリンによく通していた。いいセイヴもひとつあった。彼ができるだけロングボールに逃げなかったことは、アーセナルのビルドアップには重要だった。

マリもよかったと思う。

オーデガードは……どうだろう。よかった選手のほうには入れられないかな。彼にとってはPLの洗礼となったかもしれない。その経験がプライスレス。

 

試合については以上。



この敗けはもちろんうれしくないけど、ウォルヴズやヴィラでの敗けに比べたらそうショックでもない。このクオリティの相手なら、いまのアーセナルは逆立ちしたって勝てない。現実を受け入れるよりない。

切り替えていこう。

つぎの試合は、木曜のELのベンフィカ。ファーストレグで引き分けてしまったので、ホームながら中立地で試合が行われる以上、ここで敗退することも十分考えられる。状況は去年より厳しい。一発勝負では何でも起きる。プレッシャーへの対処が重要になる試合だろう。

このシティの敗戦で、PLではますますトップ4が遠のいている。ELもなくなったら来シーズンのCLホープもほぼ終了。ほんとうに将来に関わる大惨事。死闘。

COYG

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14 Comments on “【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs マンチェスター・シティ(21/Feb/2021)スコア以上の圧倒的な実力差

  1. 記事のUpお疲れさまです。
    実はシティサポでもあるので、シティ寄りに見ていた私としては主様よりもアーセナル結構やったじゃん、というポジティブな感想を持ちました。最初の10分くらいであと2点は取れただろ、と思ったけど、そこを超えてからはほぼ50:50の出来のように感じました。デ・ブライネがフィットしてなかったりもあったけど。
    以下はシティサポからの良いコメントです
    ・ガナ、結構やる。
    ・さすがアルテタ、将棋指しとしては本当に見事なやり合いに感じた。マンマーク気味にしてお互いのキープレーヤーのサカとカンセロをマッチアップさせるという。
    ・サカは運動量もクオリティもすごい。このレベルでも輝いているとすれば本物な感じ。
    ・ペペとベジェリンは厳しい。ホールディングも運動能力などはアレだけど読みとかは効いてた感じする。
    ・縦パスをあんなに入れられるのは最近記憶にない。
    -> ただ、これまでシティはあまり縦パスで回避されて形を作られることがなかったので「おお」とは思いましたが、その割にガナの攻撃時の参加人数が少なくて中央に人がいなくて、点は入らない気がしてました。ハンドとファウルだけ気をつけてって見てました。

  2. タイトル通りの圧倒的実力差を感じましたが、今のシティ相手にあそこからカウンターを繰り出せるチームは殆どないのだろうなとも。スパーズやエバートンの試合を受けてやれることをやったアルテタを改めて信じようと思いました

  3. 試合前悲観的だったおかげか
    結構やれたじゃんって印象。

    またもジャカが良かったと思う。認めたく無いようですが。

    それにしてもシティのスローインとか自陣でのフリーキックとかの時間の使い方、うちがやったら遅延で5回はイエロー出てたなぁ
    あと、序盤のスローインの位置、うちだけしっかり注意されたなぁ

    1. > またもジャカが良かったと思う。認めたく無いようですが。

      ウケるw

  4. シティは非常に洗練されてましたけれど、イージーなミスや興醒めするような誤 誤審等がなかったのでそこは良かったかなと思います。
    攻撃ではジャカの楔からサカが左内のレーンでうまくシティの中盤と最終ラインのライン間で受けるシーンが何回かありましたけど、ウーデゴールは右に寄ってプレイする傾向があるのでせっかくサカが前を向いても大外のレーンにいるティアニー、2CBと駆け引きするオーバメヤンくらいしか周辺にアーセナルの選手がおらず、せっかくのチャンスになりそうな場面を活かしきれてなかった印象です。選びたい選手を選べなかったというような事情があったと思いますが、左にポジションを取る傾向にあり、サカとの連携も良好なESR、中盤の選手とのリンクアッププレイを得意とするラカゼットがいればシティの中盤のラインを越えた後のファイナルサードでより有効な攻撃ができたのではないかと思いました。

  5. 更新ありがとうございます。

    グーナーの中にも「内容は悪くなかった」という方々がいて意外でした。

    いきなりリードしたシティが省エネサッカーをしただけで大きな実力差があるのは否定できません。

    ぺぺとマフレズ交換してください。移籍金はぺぺの方が高かったなんて…。

  6. 個人的にジャカは好きなのですが、賛否あるプレイヤーというのもすごくよく分かる。が、言語化ってムズい。

    一方で右サイドのクォリティにホントにガッカリしてしまいました。ぺぺもベジェリンも好きなプレイヤーなのでなんとかブレイクスルーして欲しいところ。
    こないだのぺぺ覚醒間近感はなんだったのか、、、

    ただ試合を90分観た感じだとそこまで悲観する内容でも無かったかなーと。ほぼワールズベストのチームに対しケッコーやれてた印象。KDB本調子じゃないったって、ウチも怪我人少なくともベストな布陣じゃなかったし。

    とにかく信じて観続けます。生き甲斐なので。
    COYG!

  7. 最初にやられたとはいえ、守備は良かったと思う。
    ゾーンでもマンマークでもズタボロにする威力を持ったシティに対して、スペースを消すだけでなく要所ではマンマークで潰しに行ってた。かなりコミュニケーションが難しい守備のはず。

    シティのハイプレスは非常に強くて戻りも速く、どこにもスペースがなかった(ハイプレスである以上そんなはずはないんだが、そう見える)。
    オーバは狭いスペースで受けるのが得意ではないので、特に後半はキツかったと思う。

    可能性があったとすれば前半縦パスが通ってた時間帯かもしれない。
    どんなに高度な相手でも原理はリーズ戦と同じで、難しいパスを通してボールを前進させてしまえばスペースは作れる。また実際にウーデゴーアやジャカはそういうパスを通してた。シティ相手に。

    ほんの少しだけど、そこには可能性があると思う。
    今までゼロだったのがゼロでなくなった程度だけど、ないよりもずっといい。

  8. この試合とはそこまで関係ないですけど、ジャカってすごくピーキーな選手だと思うんですよね。相方にトーマスのようななんでも出来る選手がいると彼の強み(左足の精度の高さ)がでますけど、そうじゃない時に色んなタスクを背負わされると粗が目立ってくるような気がします。過去ジャカが批判され続けていたのは、相方にまともな選手がいなかったこと、彼がアンカーのような役割を務めさせられていたこと、の2つなのかなと思います。
    とにかく私が言いたいのはベジェリンはもうダメ、ということです。

  9. 更新お疲れ様です。選手が動かずにボール回ししているとテキメンに潰されそうになるが、もちながらスペースにワンタッチで出してドリブルで前進していくところなんかは、随分以前と比べてよくなった感じがします。あとは信じて見続ける、これに尽きますね!COYG

  10. ジャカやラカゼットをあんまりよく思ってないなあと前から感じてましたが、「トップターゲットにならない」で話をするならばベジェリンでしょう。止める蹴るの基礎技術が低く判断も遅い、カンセロとの比較でなくても酷いです。

  11. プレス耐性が弱くても、現役アルテタの様に動き直して味方を使いながらマークを外す動きをもっとして欲しいですね。位置取りにおいても、CBの近くに降りて横パスをもらってばかりいては各駅停車ってやつですし。なんなら完全にCBにコンバートした方がいいのでは?

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