試合の論点
シェフィールド・ユナイテッド vs アーセナルのトーキングポインツ。
試合ハイライト。
Start your Monday the right way 😎
Sit back, relax and enjoy the highlights from #SHUARS 📺 pic.twitter.com/BeY5FGUYe6
— Arsenal (@Arsenal) April 12, 2021
レフトバックとNo.10、欠けたエリアへの適応
試合後のボスコメントにもあるように、この試合は、選手の離脱で調整の必要があるポジションに工夫を見せることになった。
ひとつは、KTが抜けたレフトバック。
KTはケガのためにすでにシーズンが終わっている可能性もあるということはアルテタも認めており、LBはシーズン終盤において最大の懸案だったエリアだろう。
スラヴィアのファーストレグでは、セドリックがそのままLBポジションに入ったものの、右足の彼がKTのリプレイスメントには必ずしもならないことがあらためて露呈した。
そこで、アルテタが採用した策はジャカのLB(LCB)だった。
すでに書いたように、ジャカのLBロールはこれまでにも試合中にいつもやっていることで、このチームのなかではとくに珍しいことではないが、アルテタの試合後の口ぶりからすると、今回は流れのなかでCMポジションからLBやCBのあいだに移動するというよりは、やはり意識的にLBのエリアに置いて彼をプレイさせるという意図があったようだ。
まあ、LBというよりはバック3のLCBのほうが近いだろうが。こういった試合のKTなら、ほとんどウィンガーのようにプレイするわけで、ジャカのように前に上がることなく、後ろに陣取るようなプレイはCBのひとりというほうがしっくりくる。
彼が左サイドの後ろからボールを前方に供給することによって、あるいは逆サイドに大きく展開することによって、KT不在の弱みを強みにしようとした。そしてそれは、シェフU相手にはかなり成功したと思う。今回のジャカは素晴らしくよかった。
もうひとつ工夫が必要だったポジションは、ESRとMØが不在のNo.10。
彼らもまたいまのところ復帰時期が見えていないようで、CAMは解決しなければならないエリアであった。
ぼくは無難にウィリアンがそのままNo.10に入るスターティングを予想したが、ふたを開けてみれば、なんと中央にはブカヨ・サカ。これには驚いた。だが、かなり効いていた。
守備時には中央、基本的には右サイドに寄ってプレイすることが多く、ペペとのリンクアップが何度もあり、それも印象的だった。考えてみれば、ふだん彼らは同時に試合でプレイしてもそれぞれ逆のサイドでプレイするため、ふたりのリンクアップはあまり多くは観られないのだから、新鮮に見えたのは当然だったかもしれない。
またサカは左サイドに顔を出すこともあって、いわゆるフリーロールのようにも見えた。アルテタのチームでそれを許すのも珍しいことだと思う。
彼がポケットに入りハーフターンでボールを受けたときには、いつもチャンスになるような感じで、シェフUにとってはまったくやっかいな存在だったはず。
まったくサカという選手は、ほんとうにどのポジションでも優秀なのだから、すごいことだ。
サカのNo.10ロールは、今回の相手ということもあるので諸手を挙げて大成功と喜ぶわけにもいかないだろうが、オプションズのひとつとしては有効なもののうちのひとつだということが証明されたように思える。
ちなみにぼくは、同様にペペのNo.10もおもしろいかもと思いながら観ていた。彼はサカほどのボール扱いのうまさはないが(今回もなかなかボールが足元につかず)、ESRのように少ないタッチでゴール前でテンポをつくるのは得意そうに思える。シュートもめちゃうまいし。相手にしてみれば、ゴール前にいられたらイヤな選手だろう。いつか観てみたい。
ということで、超重要な試合を前に、課題を克服できそうなきざしが観られたことは非常にポジティヴだった。
パーティの単独ホールディングロール
「No.10パスを出せるホールディングMF」をまたしても証明してしまった。ラカゼットの2点めを華麗にアシストしたトマス・パーティ。
(今回はひとつヤバいポゼッションロストがあったが、そんなことはさっさと忘れよう)
今回は、攻撃にかなり人数をかけて積極的&ジャカがバックに組み込まれたおかげで、攻め込んだ時間は「3-1-6」フォーメイションという極端なかたちになって、パーティの単独ホールディングMFになった。以前のフロント5(3-2-5)からさらに一歩推し進めた感じ?
Partey: One of his best performances in an Arsenal shirt and although his classy piece of play for Laca’s second goal was brilliant, this is what standouts out to me. His ability to slow down attacks gives Arteta the opportunity to be more expansive in an attacking sense. pic.twitter.com/fd1Lgk5541
— RohanJivan (@RjArsenalBlog) April 11, 2021
これは、何が画期的かと云うと、アルテタがずっとやりたがっているという4-3-3の布石になると思われるからである。
云うまでもなく、4-3-3あるいは4-1-4-1のキモは、単独でセントラルミドフィールドをおまかせできる超優秀なCMであり。そのようなタイプのCMがいないことはこれまでのアーセナルの弱点でもあった。
おそらく、現在のアーセナルのスクワッド再構築のテーマのひとつはCMの刷新だろう。これまでジャカ中心に考えられていたオプションを、今度はパーティを中心にどうするかという。
夏にはパーティのパートナーをとるという説もあるし(プライオリティ的にあまり期待はしていないが)、また今回のようなパーティのシングルピヴォットというのも、有力なオプションになる、というかしたいのだろう。今回はそのいいテストになったように思える。
サカ起用はギャンブルだったか?
そして、不安的中。
今回はチームとしておおむねポジティヴなパフォーマンスで、木曜のELに向けて、いろいろな悪い流れを一度リセットできたことは非常に大きい。
もしここで悪い結果だったら、シーズンで最重要の試合を前にして、まさに暗雲が立ち込めるような気分だったろうが、いまはなんとなく「なんとかなるのでは?」と楽観的な気分になっている。これはきっとファンだけでなく、チームも同じだろうと思う。試合前よりも自分たちを信じらるようになっているはず。とても大事なことだ。
だが、たったひとつ、そして最悪なできごとが起きた。いまチームでもっとも重要な選手といっても過言ではないブカヨ・サカがケガをしてしまったことだ。
68分に自損で倒れこんでしまい、交代後は左のふとももをアイシングしていた。
彼を使うにしても、もっと早くに交代させるだとか、慎重になってほしかったと思わずにはいられない。
試合後「この試合でサカをスタートさせたことは愚か」のような、とあるインフルエンサーのtweetでは、そうだとかそうじゃないとか議論になっていた。
ぼくはといえば、プレヴューエントリで「サカを使うのはリスク」と主張したのだが、いまは別に「それみたことか」のような気にはまったくなっていない。むしろ、もしサカがいなければ同じ内容ではありえなかったことを思えば、やはりサカは使わざるを得なかったという気がしている。
理由としては、サカが重症ではなさそうということもあるが、
- この試合でサカを温存して悪い結果(わりとありえたと思う。ウィリアンがNo.10だったら……)
- この試合でサカを起用してよい結果
を比べれば、やはりここでいい結果を得るほうが、木曜に向けては重要だったかもしれない。
だから、サカの起用はしょうがなかった。
Bukayo Saka walking onto the #AFC coach after the game. No crutches or anything like that which has to be a good sign ahead of Thursday night vs Slavia Prague pic.twitter.com/hwou7gmE0R
— Kaya Kaynak (@kayakaynak97) April 11, 2021
ちなみに、Bは歩いてチームバスに乗り込むところが目撃されている。お大事に。あと3日。絶対に間に合ってほしい。
ところで、サカの愛称「B」っていいよね。
オーバよりラカの方が今のスタイルにフィットしているというのが何とも悩ましいですが、とにかく勝ててよかった。
にしてもアズィーズはあの髪型とモデルみたいな体型のお陰で、U23でも一際目立って見えますよね笑
今シーズンどこかで一回くらい見たいですね〜
マルティネリはもってる選手ですね…
チェルシーのあのランニングでカンテがこけたり、この試合みたいにボールが目の前来たり。
ハードワークできる若者…わお…
1点目の9からの789の流れ・・・。
本当にできる子達なんですよね〜。
シティとリーズの試合は僕も見てたんだけど、後半シティのIH~FBの4人がいずれも「ゴツくて速いプレーメーカー」的な選手だったのには笑った。
ああいうフィジカルとプレー精度を兼ね備えた選手の層が必要なんだと思う。
ウチにはあそこまで徹底したコンセプトで集められた選手が、まだ少ない。
しかしサカのように、意外なところから10番が現れることもある。
ぺぺはハードワークだけでなく、最近は狭いスペースでパス交換も狙ってる。
また10番に頼れなくなったせいか、昨日は後方の選手たちもかなり志の高いパスを出してたと思う。
マルティネリはゲームメイクへの関与はオーバと大差ない(だから戦術的に前進してるわけではない)と思う。
しかし少なくとも「俺によこせ!!」というあの姿勢は、「パスが合わないから出さない。パスを出さないから動かない」という悪循環とは真逆のメンタリティだった。
フィジカルやプレー精度、あるいは戦術の面では、これでは不十分かもしれない。狙ってるタイトルを取るには。
でもこの姿勢が正しく、今いる選手しかいないのなら、これでぶち当たるしかない。
やったろう。
ジャカLBだけど、LBとしての攻撃と守備の両方の役割をこなすには機動力的に無理なので攻撃の時はセバージョスにLBの役割のような感じでいつものCMの役割より攻撃参加させてた感じですよね。ビルドアップ時はLBのようなポジションでファイナルサードは中央寄りだったかもですが。最初の最初はちょっと徹底出来てなかった感じだけど。そしてそれにともなってもしかしたらジャカが普段のCMのような位置にいくこともあったかな。普段のCMの位置も低いからCBのような位置でも割と成立しちゃう戦術というか。ちゃんとは見れてないですが。
サカ中央2列目は前から適正ありと思ってたのでやっとかという感じ。ペペがサイドでいい仕事をしてくれるようになったからこそ選択の余裕ができたとみるべきなのだろうか。
相手の色々な部分の緩さに助けられた印象はありますが結果としては良かったですね。エンケティアもだしてくれたし(笑)
トーマスもいくつかのプレイはさすがのそれでしたし、ラカの受けに下りてくる頻度と精度も良かった(厳密にはその出来が試合によって安定せずその影響が大きい懸念もありますが)、セバージョスも良く走ってた。
サカのケガが大事ないことを願います。