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ミケル・アルテタの100試合。アーセナルライフを振り返るロングインタヴュー

今晩のPLワトフォード(H)は、2019年12月にアーセナルに来たミケル・アルテタにとって、記念となる100試合めということで、クラブ周辺はお祝いムードとなっている。

その試合を前に、オフィシャルサイトに彼のロングインタヴューが掲載されていたので、読むついでにざっくり訳してみよう。拙訳で失礼。

‘I felt energised, like vitamins through my veins’

映像はなんと30分もある。。

インタヴュワーは、アーセナルファンにはおなじみのジャーナリスト/ライターのエイミー・ロウレンス氏。

彼女は、たしか、10代のころからアーセナルのファンジンをつくっていたというハードコアなグーナーでもあり、いわばわれらの大先輩ですな。ふしめのミケルに話を聴くにふさわしい人選。グッドジョブAFC。

ではHere we go.



アルテタ「血管をとおしてヴァイタミンズが浸透するみたいにみなぎっていた」

(初めてのマネジャーとしてこの仕事を請けたことは勇気がいった)おそらくイエス。しかし、なんと美しい仕事だ。プロジェクトがあり、それに関わるひとたちがいて…… その価値はあった。リスクなどないよ。

ほかの選択肢はない状況だったと思うんだ。こんな気分になれるのなら、マネジャーになりたいのなら、そしてアーセナルをマネジしたいのなら、やるっきゃない! そこからは、もうどんないい訳もできない。勢い、ストラクチャ、コンテキスト…… やるしかない。それが道でなければならない。それをやるための道を見つけねばならない。みんなで見つけねばならない。

個人的なことを云えば、(ファーストシーズン)元気いっぱいに感じていたときは、身体のなかをビタミンが巡っているみたいで、わたしが周囲のひとたちを認めさせることができたと思えたときだった。彼らがこう云うんだ「キミの云うことに賛成しよう。わたしもそれがやりたい。わたしはキミの味方だ」。選手たちもほんとうにやる気になっている。

それがうまくいこうがいかなかろうが、彼らがほんとうにトライしようとしているのなら、自分たちがやろうとしていることに強く関わっているのなら、それがエナジーになり、こんなふうに云える強い信念になる。「われわれはそこへたどり着く」。フィジカリーにはどれくらいかかるかわからない。2週間なのか3ヶ月なのか。しかし、われわれはずっとそこに近づいていっている。なぜなら彼らは確信しているから。そうした気持ちがあるとき、それは起きるのだ。

ミケル・アルテタの1日

朝は7時くらいに起きて、最初にやることは隣にいるワイフにキスすることさ! ときどきチビもそこにいることがあるけどね。

そして、自分が起きてからは子どもたちを起こしていく。1日のなかでいちばんいい時間さ。ハグをする。彼らは学校へ行くのに起きたがらない。なんでもぐずぐずしたがる。彼らとしばらく過ごしたら、服を着させて、わたしは7:30くらいに家を出る。

ここには8時にはいて、1時間は穏やかな時間がほしい。車のなかでは、すでにその日にやるべきことについて考えている。計画していることとか、その週はどうなりそうかとか。

ふだんは、書き始めて、プロセスを行う。その日にやらねばならないことを書き出すんだ。そしてコーチ全員が揃う。PAのKellyも来ている。ファシリティマネジャーのSeanも来て、なにかあればわたしに伝える。ドクターのGaryも。

9時には全員集合だ。コーチ、ドクター、スポーツサイエンティスト。すでに議論されていることや決めたことがどうなるか、少し計画する。

予想外のことが起きることもある。Covidの問題があるし、選手の問題もありうる。スタッフメンバーにも。あるいは選手が話をしたがっているかもしれない。トレイニングセッションの前にも、たくさんのことがある。ふだんトレイニングセッションの前にはミーティングをする。なぜそのセッションをやるのか説明したり、どのスタッフとやりたいとか、あるいは試合を振り返ったり、なんでも必要なことを話し合う。そのあとは、トレイニングセッション。

トレインして、戻ってきて、ランチを取る。午後には、またミーティング。試合の準備や、対戦相手のチェック、自分たちが試合のなかでやってきたことをチェックしたり、トレイニングセッションを振り返ったり、翌週のことを計画したり。

エドゥとスカウティングやそれに関することをやるなら、夜遅くまでつづけることになるね。

アルテタ「自分たちのアイデンティティを定義するなら? それはユニティだ」

まず、全員にこのクラブをレペゼンする特権を感じてもらいたい。あのドアを通って入ってくるときは、つねに自分がいる場所を感じてほしい。

それが失われてしまったら、去らねばならない。だが、車に乗って自宅に帰り、つぎの日は考えを変えているかもしれない。なぜならそうしたことなしに行きたいクラブへは行けないのだから。それは目的なのであり、そうしたほんものの目的がないようなら、ほしいものを得ることはないと思う。

もしわたしがわれわれのアイデンティティを定義しなければならないのなら、それはひとことで云える。団結(unity)。最近のわれわれにあったもの。それはたったひとつ、ユニティである。

ユニティなしで達成できるものはない。ユニティというのはつまり、みんなが組織のなかでワークするということであり、われわれのプレイのやり方でもある。伝達のやり方であり、プレイであり、価値の伝え方であり、ファンやオーナーシップとのつながりかたであり。全員がいて、ユニフォーム、同じ考え方、同じ目的がある。どんな個人の問題、エゴもない。それはただのタスクである。

それがわれわれが欲するものであり、わたしがかなり速く進むようプッシュしているボートの大きな部分だ。

PLマネジャーとしてのワークライフバランス

(親でありマネジャーであり)思うに、個人的にはだが、それはわたしに必要なものだ。

わたしにはその週の整理が必要なんだ。今週はどうなるか? それはとてもはっきりしていなければいけない。なぜなら、週のなかでは家族のこともあるから。不必要なことでたくさんの時間を取られることがあるというのは、わたしがこの18ヶ月で学んできたことだ。

時間泥棒には出ていってもらいたい。関係ないこと、優先でもなく、重要でもないこと、今日である必要がないこと。なぜなら、わたしが気づいていないこともあるし、なにかほかの重要度の高いことでもない限りは、家族との時間は進んで失いたいものではない。

そこにいようとしてそこにいる。それがときどきかなり難しくなる。なぜなら、そこにいたとしても心ここにあらずだから。やりかけていることや、その日にあったことについて考えている。ときどき思いもしなかったことが起きることもある。そのあとは幸運がある。

ほとんどすべてを理解してくれている家族がいる。人生のその期間をとおして無償の愛を捧げてくれる。

(子どもたちの成長がアドヴァイスになっている?)彼らもたくさんのことがやれるようになってきた。一番うえの子が12才。彼らもいい意見をくれるようになってきた。

彼らは理解していて、彼らが応援しているものはなんでも、ほかのことでも話したがる。わたしもそれがとてもうれしい。なぜなら、わたしたちの関係というのは、わたしの仕事とは関係ないものであり、父と子の関係だから。理想の関係になっているよ。

オフィシャルサイトに掲載されているアルテタのコメンツは以上。

アーセナルFCのマネジャーなんて仕事は特殊すぎるけども、仕事と子育て/家族の時間配分みたいな、われら一般人にも身近なトピックもあったりで、なかなか興味深かった。お仕事しながら子育てはほんとに大変よねー。

アルテタのその他のコメンツ

彼のインタヴュー動画は30分もあって、ここにないコメントもたくさんある。ロウレンス氏が『The Athletic』の自分の記事でピックアップしているコメントがいくつかあるので、それをフォロウしておこう。彼女がインタヴュワー本人なので、必ずしも動画に収録されていないコメントもあるかもしれない。

なお、この記事によると、アルテタはアーセナルに来て以来オフィスやクラブ施設のアップグレイドも行っていて、たとえばコルニーの入り口にはこのような写真があり、選手たちがヴェンゲルさんとハイファヴしてコルニーに入っていくのが朝のルーティーンになっているとか。ちょっと笑える。

(Photo: Stuart MacFarlane/Arsenal FC via Getty Images)

以下、アルテタの発言いろいろ。

オーナー、スポーティングダイレクターと面会し、彼らはキミに新しいアーセナルのマネジャーになってほしいと云っている。あらゆることが身体のなかを駆け巡る。そして、まずやってくるのはエモウションとパッション、とてつもないエナジー。だが同時に怖くもなる。「自分にその準備はできているだろうか?」。

わたしは準備ができていた。それがわたしの初めての仕事で、大きな大きな仕事。巨大な責任がある。だが、わたしにはクラブに対する気持ちがあったため、そうしたひとたちをがっかりさせられなかった。

だからたくさんの感情があるなかでの決断になった。頭のなかではこういう考えもあった「これは早すぎるんじゃないのか?」。だがその後には自分の直感に従うしかない「聴け、おまえはこの機会に準備ができている。彼らはおまえを信じてる。ならなぜおまえは自分を信じない?」。

 

(マンマネジメント、ものごとをコントロールすること)わたしがいつも云っているのは、われわれは外科医ではないが、人間の内側で何が起きているのか理解しなければならないということ。なぜなら、わたしのメッセージの伝達の仕方は、かなり違うふうに受け取られることもあるから。バックグラウンド、教育、文化、国籍のおかげで。「あのドアから出ていく彼。彼はいったい何を考えている? 彼はわたしのメッセージをちゃんと受け取っただろうか? 何か違うふうに受け取ったのでは?」。それは時間のかかるプロセスだ。ほんとに。彼らとつながり、理解しようとしている。彼らがどう行動し、どう反応するか、そのときどんな気分なのか。

それはかんたんじゃない。わたしにも恐れがあるし、自分に疑いもある。「おまえは何をやってる? それは正しいのか? 間違っているのか? それは正しい戦略なのか? 正しいひとを選んでいるか? それをしっかりやれるのか?」自分に問う。だが、それはいいことだ。

 

(外国での生活の難しさ)バスクのひとたちには特殊なタフさがある。これまでの人生、選手やコーチとして難しかったときにも、わたしはそれに助けられた。

(落ち込んだときに頼れる)最初のひとりはワイフだね。いつでもそうだが、彼女が必要なときは、ものごとを整理して、批判的にもなる。異なる見方を与えてくれたり全体的にとても助けられている。彼女はわたしを誰よりも知っていて、理解もある。そして、もちろんそばにはコーチングチームもいる。友人からのサポートもある。親友だ。困難なときにも思ったことを伝えてくれる。正直、殺そうとしているんじゃないかと!

少しでも気持ちをアゲてくれるひとが必要になる日もある。必要なことはクラブでもそういうひとたちがそばにいること。わたしにはそれがある。オーナーシップ、スポーティングダイレクター、組織で働くみんな。難しいときに支援して信頼を示してくれる。

 

(夏の移籍戦略)われわれが直面していたタスクは多大なものだったと思う。われわれにどんなことができるのか、たくさんのクエッションマークもあった。なによりもまずは、われわれに買えるかどうか。将来に向けてかなり有望な結果を得ることもできたはず。

この18ヶ月のスクワッドの転換はすごかった。ほとんど19人。これはほぼ新しいスクワッドだ。たくさんの決断があった。しかし、そうした決断もすべて同じ単一の基本のうえで行われた。これだ。「彼らはわれわれがやりたいことをレペゼンしているか? もしそれがノーならここにはいらない」。

 

 

(“Trust the process”?)何かを云わなきゃいけないときもある。しかし、それは正しいときでなければならない。なぜなら、そうでないなら間違った方向に進むかもしれないから。それは必要なことだと思う。わたしは自分が感じてもいないことを誰かに伝えたり説明したりする気はない。

わたしにはわかっていたんだ。クラブで上から下まで、スクワッドでも、大きな変化がいずれ起きるはずだったということが。そうじゃなきゃわたしは嘘つきになってしまう。フットボールでは時間がないので、そのようなことを云えば反感を買うだろうこともわかっていた。しかし、もし自分たちのリソースとモデルで何かを築きたいのならば、それには時間がかかるのだ。

以上

オフィシャルサイトに掲載されているコメントよりこっちのほうがおもしろいかな?

マンマネジメントのくだりは、ゲンドゥージのことを想起してしまった。マテオは自分が云っていることをほんとうに理解しているかどうか? アルテタもつねに自分が正しいと確信しているわけではなく、探り探りやっていると。そりゃボスと選手といえど、つまるところ人間関係だもんな。難しいや。

 

では今日の試合楽しみましょう。

COYG



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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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