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アレクサンドル・ラカゼットの退団が正式に発表される。一時代の終焉

昨日、アーセナルからラカゼットの退団が発表されていた。

彼のフリー移籍は、ほとんど規定事項のようなものだったし、このすこし前にはラカゼットのOL復帰はリークされていたので大きな驚きはない。

ただ、オバメヤン、ラカゼットとアーセナルの低迷期を支えた2大スター選手たちがつづけてクラブを去ったことで、われらファンにとっては一時代の終わりを印象づけることとなり、そこは感慨深い。



円満退職のラカゼット「ぼくはいつまでもガナー」

現役の選手がアーセナルから移籍していくときは、あまりいい印象を残さずに去るケイスも多いが、今回のラカゼット退団はまるでこのクラブでリタイヤするみたいな選手の扱いのようである。本人もポジティヴなメッセージを残しているし、公式のインタヴューまである。まさに円満退社。

オフィシャルサイトのトランスクリプトより。

ラカゼット:これは、新しい経験であり、新しい冒険だ。

ぼくはこのクラブであった、すべてのいい時間を思い出にしたい。なぜなら、このクラブでプレイするのは、ぼくには喜びでしかなかったから。子どものころからの夢だったんだ。アーセナルで5年プレイできたことは、ほんとうにうれしかった。

(2019にはクラブのPOTYに)ステディアムに優勝チームの名前を刻んだボードがあるだろ。ファーストシーズンで、ぼくは父さんにいつかあそこに載るよと云ったんだ。だから、それができてとても誇らしい。

ぼくはトレイニンググラウンドでもステディアムでも、すごくホームだと感じていた。うちの庭って呼んでたくらいさ!

ぼくがアーセナルに来たとき、ビッグネイムスがいて、ビッグプレイヤーズがいて、子どもみたいな気分になったよ。そしてたくさんのプレッシャーも。最初はあまりしゃべらなかったな。

年を経るにしたがって、ぼくはもっとしゃべるようになっていった。ぼくの英語もうまくなっていったし、クラブのみんなや選手たちとの関係も強くなっていった。だから、ぼくはいまの自分にはとても満足している。ぼくが育った場所に。

(ファンへのメッセージ)ありがとうを云いたい。ビッグサンキューだ。だって、ぼくがここへ来てからすごく期待をしてくれたし、すごく歓迎してくれた。アメイズィングだった。

ぼくは、すぐにチームのためにプレイするのがやりやすいと感じた。この5年間、ステディアムのファンはずっとすばらしかった。

ぼくのうたもありがとうだ。それについて話したことはないけど、すごく感動したんだよ。すべてのことに大感謝。

これからもチームメイツ、コーチたち、クラブともつながりつづけるだろう。ぼくは若いころからアーセナルを応援してきた。これからもサポートをつづけるつもり。このステディアムにも戻ってくるよ。

みんなが云うみたいに「Once a Gunner, always a Gunner」だ。

泣ける。

えらい人たちのコメンツ。

アルテタ:ラカはチームにとってずっとすばらしい選手だった。彼は、ピッチの中でも外でもほんもののリーダーであり、若い選手たちへにとってはとても重要な影響力を持っていた。

彼のチームへのコミットメントは際立っていて、彼と彼の家族にはこれからの成功と幸せを祈りたい。

エドゥ:ラカには、アーセナルの全員から大きな感謝をする。

彼はわれわれにとって非常に重要だった。彼は、これからもいつもアーセナルファミリーの一員だし、今後の活躍を祈念する。

ラカゼット退団について雑感

彼のアーセナルでのキャリアをどう評価するかについては、さまざまな観点がある。

彼はチームのなかでもリーダーグループのひとりであり、人間性は間違いなく重要なものだっただろう。アルテタの評価はもちろん高いし、クラブ/チームのなかだけでなく、こうしてファンにも愛されている。

いっぽうで、ピッチのうえではつねに紆余曲折のアーセナルライフだった。メインストライカーとしての彼の5年間を評価するなら、まあ60点というところか。彼のハードワークやチームへの献身はもちろんリスペクトされるべきだが、ストライカーとしてのパフォーマンスだけを純粋に観れば、厳しい評価にならざるを得ない。

彼は、チームのトップスコアラーだったシーズンもあったものの、何度もゴール不足に悩まされスランプに陥ったし、結局アーセナルでの5シーズンでリーグ15ゴール以上取ったシーズンはなし。ジルー後に期待された最高レヴェルのストライカーにはついぞなれなかった。すくなくとも、彼がリヨンで見せていたストライカーとしての傑出した能力を、アーセナルで発揮させることはなかった。彼のキャリアのなかでは、ピーク年齢を過ごした期間だったにも関わらず。

また、彼がアーセナルに来た直後に加入したオバメヤンとのチームでの共存は、ずっと議論であり、結局チームは、みんなが満足できる解決策を最後まで見出すことはなかっただろう。彼らをどうやって同時に使うかは、エメリもアルテタもだいぶ頭を悩ませたはず。ラカゼットとオバメヤンが育んだ友情とはうらはらに、ピッチのうえでは、彼らはけしてベストパートナーではなかった。そもそもアーセナルのような完成度のチームに、このふたりが同時期にいたことは、とても戦略的なやりかたとは思えなかった。

オバメヤンが去ったあと、アルテタが彼を本格的にフォルス9として起用すると、チームの攻撃が躍動を始め、彼自身もその役割の才能を開花させたようにも見えた。が、彼のようなストライカーの本分はゴールであり、やはりそういう意味では満足なパフォーマンスではなかった。21-22シーズンの彼のリーグゴールは4(アシストは7)。いくらフォルス9でも、アーセナルのようなクラブでメインストライカーに許容できるアウトプットではない。

それと、ビジネスの面では、もちろんフリー退団が痛い。

昨日の『The Telegraph』でも指摘されていたように、アーセナルがこの5年間に、オバメヤン・ラカゼット・ぺぺの3人にした投資額が、計£175M。このうち、ふたりがすでにフリーで退団しており、ぺぺもその危機があると。クラブは彼を売却したいが、いまのところ真剣な興味を示しているクラブはない。先日ジェイムズ・マクニコラスが、ぺぺは£15M程度で売却されるかもと述べていたそうで、なかなか衝撃的である。

その巨額の投資について、彼らのクラブ在籍中のパフォーマンスでどれだけ回収されたかという議論もあるだろうが、さすがにこの規模の投資に対し、移籍金で得られるリターンが皆無あるいは極小というのは、尋常ではない。

オバメヤンのようなケイスはやむを得なかった(予想できなかった)部分はあるにせよ、これらの多くは、やはりクラブの判断ミスが招いた結果だろう。オバメヤンとラカゼットの連続してのフリー退団は、とくにクラブの間違ったやりかたを印象づける。

ヴェンゲルさんは、かつて「契約年最後までいく選手が増える」と予言しており、いままさにそのような状況になっている。しかし、だとしても、アーセナルはこうしたビジネス面でもあまりにも無頓着に思える。最近、バイエルンが契約延長を拒むグナブリを必死に売りたがっているという報道があるが、彼らのようなメガクラブでさえ、選手のフリー退団をかなり恐れている。アーセナルのようなクラブがそこに無頓着であっていい理由はない。

 

一時代が終わるということは、一時代の始まりでもある。

この夏が、アーセナルのさらなるポジティヴスタートになると信じたい。

 

この4人がこんなふうに走っているアニメのオープニングを夢見た時代がこれで終わると思うと、さびしいものだ。

 

おわり



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4 Comments on “アレクサンドル・ラカゼットの退団が正式に発表される。一時代の終焉

  1. オバラカペペ。
    最強3トップの誕生だとムネヲ踊らせたのも遠いむかし。
    今はただありがとうございましたですね。
    新しいチームに期待。

  2. 彼は、スコアラーとしては期待外れであったけど、常に全力でプレーしていた。
    そして、若いチームメイトを鼓舞し続けていた。
    彼を人間として尊敬しない人は少ないと思う。
    グーナーのラカの次の旅を応援します! COYG!

  3. どんな選手も
    一度ファミリーとなった選手ならば、その後の幸せな人生をお祈りします。
    しかし、最近はユニホームを買った選手がよくいなくなる…
    寂しい限りです。

  4. フリーで出ていくと内心で決めていても、
    きちんと最終年でもファルス9だろうが主将業だろうが若手へのコーチングだろうが、きちんとやる。
    プレッシングも戻りながらのスプリントでの守備も、中盤での2ndボールへの競り合いも全力。
    ビルドアップにも責任持って関わってくれる。
    (きっとウーデゴールはラカさんの能力を特に感じていると思う。エンケティアとの違いも・・)

    こう考えると、ラカゼットって本当に素晴らしいふるまいでした。
    点が取れないってのはラカゼットが「使う側」の選手で、使われた側のWGや2ndトップなどが、パスを返さないよね。
    ガナの場合。打っちゃう。

    レアルでのベンゼマも降りてきてボールはたいて、その後にボックスに入っていくけど、きちんとリターンを出せと要求している。。
    まぁ、レアルは案外選手間の上下関係がハッキリしているマフィアみたいなクラブなので、みんなが生意気さかりのガナとは違うのかもだけども。

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