アーセナルがグナブリに行かない理由
不思議よね。アーセナルが彼に関心を持っていると報じてるメディアも少なからずあるし。
でも、信頼できるジャーナリストたちは、アーセナルとグナブリのリンクに否定的だったりしている。昨日のロマーノ。
Understand Arsenal are not working to sign Serge Gnabry. He’s not in the list, as things stand – Arsenal are now focused on different targets. ⚪️🔴 #AFC
Gnabry has FC Bayern new contract proposal still available – no decision made yet on player side. pic.twitter.com/TYSVCjsB4D
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) July 3, 2022
ロマーノ:いま、アーセナルはセルジ・グナブリとの契約に動いていないと思う。いまのところ、彼はリストにも入っていない。アーセナルは、いまほかのターゲッツにフォーカスしている。
FCバイエルンからのグナブリへのオファーはまだ生きている。選手サイドではまだ決断していない。
Tier1が「リストに入ってない」と云っている。
なんで、あんなに優秀で誰もがほしがるウィンガーが売りに出ているのに、もっとも興味を持ちそうなアーセナルが興味を持っていないのか。
いくつかの理由を考えてみた。
1 そもそも選手は移籍する気なし? あっても過当競争
誰かも云っていたように、これはこうした移籍ウィンドウではわりとあるあるの手法で、今回はまさにそれなのかもしれない。
要するに、最初から移籍する気もないのに、わざと移籍をほのめかせてほかのクラブの興味をかきたて、バイエルンとの契約延長交渉を有利にしようという代理人の作戦。裏側で、せっせとメディアに情報をリークし、工作しているとか。
あるいはほんとうに移籍するにしても、たくさんのクラブが争ってくれれば、それだけ自分たちの取り分も増えるので、いずれにせよ、移籍の噂が拡散することには選手サイドには利益がある。
バイエルンが€40Mで彼を積極的に売りに出しているという報道があるいっぽうで、ロマーノは「まだバイエルンのオファーはテーブルのうえにある」と、彼がクラブに残留するオプションも匂わされている。
PLのビッグ6とヨーロッパのほとんどすべてのトップクラブが彼の獲得を望んだが、結局バイエルンと(当初よりいい条件で)新契約を結びました。
ありそうな結末では?
なんだかんだ、アーセナル・チェルシー・バルサがラフィーニャに、あるいはアーセナル・マンUがリサンドロに向かっているというほどの確からしさで、グナブリをシリアスなターゲットにしているというクラブの話もまだ聞かない。
それに仮に、彼が本気で移籍を望んだとして、過当競争になるのは目に見えている。
そんななかで、CLも高給もオファーできないアーセナルが、果たしてほかのリヴァプールやシティのようなチームに勝てるだろうか。かなり難しいように思える。
だから、そういう意味でも、そもそもアーセナルは彼を現実的なオプションだとは考えていないのかもしれない。もし欲しくても獲得可能性がかなり低いと見込まれるターゲット。そこに無駄なリソースは使わない。
2 アーセナルの給与ストラクチャに与える影響大
彼が求めているサラリーの金額というのは、諸説あって真相はわからないが、それでも£200kpwを下回ることはないのだろう。
アーセナルの「ユースプロジェクト」では、高給の選手たちを排除して、あたらしい健全なウェイジストラクチャをつくろうとしている。
そこが、ラフィーニャのケイス(チェルシーのオファーは£115kpwだとか)とは違う点だ。
ジェズースのサラリーが£200kpw前後という噂ながら、このプロジェクトでは、基本的に給与の高い選手を入れることには消極的だろう。
ましてや、300kpwのようなサラリーであれば、よほど特別な選手でなければ検討もされないのではないか。サラリー300kpw超えの巨額契約を結んでからフォームがかなり落ちてしまった、エジルやオバメヤンのような苦い記憶もまだ生々しい。高給であることは、それだけリスクが高い。
またサカやマルティネリ、サリバらの契約延長交渉も控えているアーセナルが、ここで高給を要求している選手に及び腰になる理由はある。
£200-300kのレンジの週給を受け取る選手というのは、基本的にアーセナルの給与ストラクチャを壊しかねない。
3 アルテタの意向
個人的には、アーセナルがグナブリを補強リストに入れていないとしたら、ここがもっとも重要な理由なんじゃないかと思っている。
アルテタがグナブリをほしがっていない。
よくアーセナルの移籍ニュースで「アルテタが選手をかなり気に入っている」という書かれかたをされるが、グナブリについては、信頼できるメディアではそのような書かれかたをあまり観ていないように思う。『Daily Star』とかでは見るんだけど(笑い)。
優秀な選手をほしがらないマネジャーなんてこの世にいるかいと思いつつ、もし、アルテタがグナブリをほしがっていないとしたら、ぼくが想像している理由がひとつある。
それは、彼がもはやトップクラブで完成された選手だということ。
アルテタがいまアーセナルでやりたいのは、ゼロからスクワッドビルディングをやっていくみたいなことなんじゃないか。それで、まだ経験の浅い、評価の定まっていない、しかし有望な若い選手たちを連れてきて、いっしょにチームをつくろうとしている。自分も含めて、チーム全員が同じ成長曲線を描いていくというイメジ。
ラフィーニャは、セレソンのひとりでもちろん優秀な選手だが、クラブのレヴェルでは、まだリーズ。彼もこれからの選手だろう。
シティで毎年タイトルを取ってきたようなジェズースですら、彼がまだ本来の才能を発揮できておらず、アルテタはアーセナルで彼をより完成されたFWにしようとしているという論調もある。彼のことを熟知しているアルテタだからこそ、彼の状況もわかるし、将来性にも期待できるし、心底彼がほしかった。
そう考えると、グナブリはCLも取っているし、毎年のように国内リーグで優勝、フットボーラーのキャリア的にはほとんどいまが頂点という選手で、アーセナルのプロジェクトの方向性のなかでは、ちょっと毛色の異なる存在になる。トッププレイヤーのエゴだってあるだろう。
彼の豪華なプロファイルと、アーセナルのプロジェクトは合うのか。
もちろん、アルテタも「ユースとシニアの融合」のようなことはつねづね述べていたし、そういったキャリアを経てきた選手だからこそのリーダーシップや経験を貴重に思ってもまったく不思議ではない。
が、不思議にも、こうした状況でアルテタがグナブリを望まないのだとしたら、そういう理由があるかなとなんとなく想像した。
それと、これは完全な妄想の類だが、アルテタがグナブリ本人のことをよく知っていて、それで再会を望まないなんてこともあるんだろうか。
じつは、アルテタのアーセナル時代(2011-2016)とグナブリのAFCアカデミー時代(2012-2016)は、ほぼ丸かぶりだったりする。そして、アルテタはアーセナル在籍中にもユースチームのコーチを兼任していた時期が。。
これは2015年のジョージ・バードのtweet。
Mikel Arteta coached Arsenal U16s today. Definitely seems to be gearing towards a coaching career once he retires.
— Jeorge Bird (@jeorgebird) October 5, 2015
といっても、アルテタがこのときコーチしたのはU-16であり、時期的にも15-16シーズンのグナブリはWBAにローンに出ていたので、いずれにせよアルテタにコーチされたことはないかもしれない。
しかし、アーセナルのファーストチームでプレイするアルテタが、アカデミーで目立っていたグナブリに気づかないとは思えず。
ブレイク前の彼を観ていた印象から、彼を選ばないなんてこともあったりなかったり。
まとめ
ぼくは、そもそもサカというエースがいるRWのポジションに大きな投資をすること自体、否定的なところもあった。予算が限られているなら、もっと投資をすべきエリアはあると思うから。
でも、ラフィーニャへ行こうとしていたことは、それだけアーセナルの本気度も感じた。あそこにサカがいて、さらにラフィーニャのレヴェルの選手が必要ということは、ここからは本気でトップレヴェルと競うつもりがあるということだろう。
だから、ここまで書きながら、やっぱり(財政的な問題がないなら)アーセナルがグナブリに行かない理由はないように思う。むしろ、積極的に向かうべきだろう。ラフィーニャの案件が最初からなければ、単なる高望みでしかなかったが、いまのアーセナルにとってはそうでもないらしいのだから。
もっとも、夏の移籍ウィンドウは7-8月とまだ2ヶ月ほどある。シーズンは8月に始まってしまうが、RWの補強はサカがフィットしているかぎり(ぺぺが売れていないかぎり)、そこまで急ぐ必要はない。
いろいろな理由でアーセナルがグナブリに行かないこともわかる反面、今後アーセナルが突然グナブリに本気で向かうことになっても、それもまた驚かない。ただ、望みは薄いかもしれないが。。
ラフィーニャやリサンドロ・マルティネスは、アーセナルが交渉をリードさせていると大きなニュースになったあと、横取り?されるかたちでライヴァルにリードされている。
もしアーセナルがじつはグナブリに超本気で、まったくの水面下で動いていたとしたら。
ま・それは難しいか。
今後どうなるか観てみよう。
おまけ
I don’t see it😂 pic.twitter.com/hENksO0S5z
— Reu (@reuellwalters) July 3, 2022
2月にプロ契約したAFCアカデミーのReuell Walters(イングランドU18)が、グナブリに似すぎだとツッコまれて本人も写真ならべちゃった。
いや、似てるだろ。
Incredibly proud to sign my first pro contract @arsenal . Thanks to God, my family and everyone who has supported me through the years. A very special thanks to everyone at Arsenal for your belief in me and this amazing opportunity. Let’s make every Gunner proud. #COYG. pic.twitter.com/sDxh87BV0f
— Reu (@reuellwalters) February 22, 2022
おわる
アピール材料はタイトル、給与、待遇だと思います。
今のアーセナルはタイトルでアピール出来ない。
給与はサネ、コマンが基準の£280〜300kpwなら払えるでしょうけど、フリーで退団してもチーム1の高給で帰って来られるなら、サカ含め若手有望株が延長しなくなりそう。ただでさえサカはピンチだし
待遇もエンケティアに14番あげたし、同じポジションにサカ、ガビ、ロウがいるので、サネとコマンとの併用に不満のニャブリが満足すると思えない。
アーセナルの右サイドはバックスの冨安がサイドに張るタイプではないので、サカのようにタッチラインから仕掛けられる選手が合っていると思います。ラフィーニャはそのタイプ。グナブリーはバイエルンの試合を観るかぎりではもっと内側で勝負する選手で純粋なウインガーとは違います。サカが相手を引きつけることが前提となると、代わりも妥協できないのかなと思いました。
サカやESRのようにシニアチームに定着できず、でも努力すれば輝かしい未来もあるとリザーブやアカデミーの選手達に身をもって示した(ベンゲルさんの話ではそう単純じゃないようですが)選手が凱旋してくると言うストーリーはドラマチックだし、心情的には歓迎です。
ただ戦力的に考えると、前線に獲るならラフィーニャ含め右サイドではなく、そもそもアルテタ氏はあまり重視してない?高さのある攻撃というオプションの方が必要じゃないのかなぁと考えています。