試合の論点
エヴァトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
固い4-5-1ミッドブロックに悩まされるアーセナル
エヴァトンはすごくよかったな。いやこれはほんとうに。正直、あんなにオーガナイズされたチームだとは思わなかった。
たしかに、バーンリーっぽいダイレクトでフィジカルな戦いかたではあったけど、それ以前にあのボールを持っていないときの固いブロック守備。アーセナルのビルドアップはかなり阻まれていたというのが、率直な感想である。そしてボールを奪えば、つねにオープンな戦いに持ち込まれた。DCLもイウォビも、攻撃ではかなり効いてた。
あれで、なぜ降格圏?とも思うが、やっぱりショーン・ダイチ効果なのか。ランパードのエヴァトンを気にして観たことはなかったので、違いがよくわからない。
Listen to Sean Dyche, and then watch the clip from earlier today.
Already, Everton mastering the protection of “the V” pic.twitter.com/iT2liPFScg
— Michael (@greenallefc) February 4, 2023
4-5-1のミッドブロック。DMを3人入れた5MFを並べてナロウにして、アーセナルのビルドアップを阻止。あの5人MFのシンクロ具合が秀逸だったと。冬のアーセナルのターゲットのひとりと云われていたAmadou Onanaが、この試合のMOTMというのがまた皮肉だった。
つまり、彼がつねづねやろうとしていることを短期間にエヴァトンにインストールして、アーセナルに完勝したという(あれは完勝でしょう)。
今回のアーセナルの苦戦は既視感があるというひとが多いようだった。それは、先月のホームでのPLニューカッスル。あの試合にとても似ていたと。なるほどたしかに。
あの試合の彼らもやっぱり厚いミッドブロックで、アーセナルはビルドアップにたいそう苦労した。なので、今回の試合を観ると、似たような守備に同じように手こずるということは、どうもアーセナルはその対策がいまだにうまくできていないのかもしれない。
個人的には、アーセナルももうちょっとダイレクトプレイがあってもよかったように思う。
DFラインがボールを持っているとき、カメラが引くとマルティネリやエンケティアが裏抜けのランを仕掛けようとするシーンが何度も観られたが、バックから裏のスペイスへバスを出す意識が希薄で(サカにダイアゴナルのロングボールは多用していたけど)。なんというか、辛抱強いというか注意深い。
今週のマンUの試合なんかを観ていると、もうゴール前の守備に対する攻撃のパターンはアーセナルとそんなに違っていないように観える。なにが違うかというと、彼らのほうがよりダイレクトで、チャレンジングなプレイをするなと。それが成功しているので、相手にはかなり脅威になっている。
以前のアルテタのチームの悪いポイントとして「ボールを失うことを恐れすぎ」というのがあるが、ああいう相手の守備だったら、DF裏にOTTの長いボール一本を入れるみたいなチャレンジはもっとあってよかったように思える。天地のコンパクトに対し、背後スペイスを狙うのは定石だろう。相手がそれを嫌がればコンパクトにできなくなっていき、自ずとミッドブロックにほころびが生まれる。
とにかく、エヴァトンにとっては、今回アーセナルがつねに目の前でプレイを展開していて、対応が楽だったように思える。ワイドにボールが入ったときでさえも。裏を取られた感覚がない。
今回のエヴァトンの戦いかたは、ほかのチームにもアーセナル戦のいい参考になったはずで、アーセナルがこうした固く整った守備にどう対処していくかは、今後の大きな課題になりそうだ。
若さは不安定さ。エナジー・勢い・正確性を欠く
もちろんエヴァトンのオーガナイズされたプレイはみごとで、それはいいとして、アーセナルが彼らをなかなか攻略できなかったのは、自分たち都合も大きかったように感じた。
全体的にプレイがいつもより雑で、ふつうにミスが多かったでしょう。パスが微妙にずれたり、パススピードが遅いとか。ジャカとパーティが珍しくやったと思ったら、そのあとにホワイトとオーデガードまで似たような連携ミスをやったり。
そういう小さなエラーのひとつひとつが、チームのリズムを乱していったように感じた。
逆に勢いをどんどん増していったのはエヴァトンのほうで、それをブーストしたグディソン・パークはすごかった。ぼくは、今回ヘッドフォンで試合を観ていて、観客のホームチームのプレイに対するアツい反応が手にとるようにわかった。
(※ぼくは今シーズンの試合は、SPOTV映像(無音)+アーセナル公式のLIVEオーディオコメンタリで観ている。向こうの中継は現場音のバランスが大きく迫力がある)
また、今回はアウェイサポーターの存在感があまりなかったと感じた。今シーズンはアウェイでも、どっちがホームかわからないくらいアーセナルサポーターはラウドなんだが、この試合ではおとなしいことこのうえなく。なんで?
エヴァトンのホームは、ああいう雰囲気になるのはよく知られていることであり、結局あれもチームの勢いをプッシュし、違いをつくっていたように思える。
ああいう現場で、数万人のファンにプッシュされた相手に対し、アーセナルがあまりいいプレイをできなかったのは、まあしょうがない部分もある。それがアウェイでプレイするということだもの。
ただ、それでも結果を出すのが強いチームであり。
こういう試合だと、やっぱり若さが出たという気もしている。若さは不安定さ。調子にムラがある。本来は、ここでもリーグトップの勢いを継続したかったが、そううまくはいかなかった。相手の良さもあったし、場の空気もあった。
ぼくは今回はとくにオーデガードがよくなかったと思っていて、彼は試合の序盤にひどいファウルを受けていたのが関係があったのだろうか。相手にマークを振り切られ、失点の戦犯?にもなってしまった。結局彼は77分のプレイで、タッチがたった38しかなかった。らしくない。
こういうチームだからこそ、アルテタのマンマネジメントが重要で、彼の試合後コメントはやっぱりよかったんじゃないかと思う。
ジョルジーニョのデビューが賛否
試合終了直後は、ぼくの観測範囲でもけっこうけなしているひとがいた。
一般的にも、大成功のデビューというふうには思われていないだろう。“Agent Jorginho”(チェルシーの刺客)みたいに云われたり。まあ、彼のプレイ云々よりもこの結果のことを云っているのかもしれないが。
ぼくも、彼の30分は正直インプレッシヴとは思わなかった。期待が高かったからかもしれない。ジョルジーニョとトロサールがサブから出てきて、チームを勝たせてくれると信じてたから。トロサールも若干期待はずれだった。
ただ、そうした意見に「そこまで悪かった?」という声も多くて、実際に試合後の彼のプレイをまとめた短い動画を観るかぎりでは、たしかに云うほど悪くはないのだよね。
たしかに良くないプレイもいくつかあったが、概ね問題ないプレイだったし、ワンタッチでのショートパスの交換では、さすがと思うようなプレイもあった。ちなみに、31分のプレイでパス成功は24/30 (80%)。あのポジションなら、もっと正確でないとダメだけども。
チームも敗けてしまったし、100点満点でもなかった。でも、もうちょっと長い目で観てもいいんじゃないかと思う。
彼がこのチームで、パーティやジャカと遜色ないプレイができるようになるには、もうちょっと時間が必要だ。
試合については以上
あれでウーデゴールを戦犯というのは流石にかわいそうなんじゃ。。まぁ、スタメンをもう一度精査するいいきっかけになればと思います。
ウーデゴールは狙われてましたね。ちょっとボールを持ち過ぎかな?と感じました。逆にヴィエイラにいい兆しがのが個人的には収穫かと思います
大事なのは互いのゴール前で決定的な仕事ができるかどうかですから、
確かにウデゴは良くなかったですね。
失点シーンの守備は真面目に守る気が見えず、紙フィジカルでお粗末でした。