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【マッチレビュー】22/23EPL リヴァプール vs アーセナル(9/Apr/2023)アーセナルは2ポインツ失ったのか? 1ポイント稼いだのか?

試合の論点

リヴァプール vs アーセナルのトーキングポインツ。

40分の支配と50分の逆襲

ざっくり試合を振り返ろう。

最序盤はお互いにナーヴァスになったのか、やや慎重なアプローチでありつつも、じょじょにアーセナルがボールを持つ時間が増えていき、アーセナルが7分(マルティネリ)、27分(ジェズース)にゴールを奪った最初の40分、このようにほとんど完璧に近いかたちで試合をコントロールしていた。

相手のフロントがいくらプレスをかけても、パスさえ間違えなければ、構造的にボールを奪われようがないというやりかた。これぞ今シーズンのアーセナルの理想のビルドアップというような。それをあのアンフィールドでやった。まるで、今回は違うというアーセナルの宣言でもあるようだった。

この時間は、アウェイのアーセナルがまさにやりたいようにやっていた。試合後のアルテタが「前半のパフォーマンスをつづけるべきだった」と口を酸っぱくして述べているプレイ。

ところが、前半も残りわずかのとき、ひょんなきっかけからステディアムの空気が変わり始めると、ちょうどその直後に失点。「2-0は危険なスコア」というお約束が脳裏をよぎる。

そして後半に入ると形勢が完全に逆転していて、前半に観られたチームプレイの自信と落ち着きを失ったアーセナルは、前半にできていたようなコントロールもハイプレスもまったくできなくなり、概ね防戦一方になってしまっていた。

アンフィールドのリヴァプールにあれだけ勢いがあって、それでもなんとか失点を防いでいたのはラムズデイルの貢献によるところが大きいだろう。

それでも、最終的には失点してしまったのだが。

同点に追いつかれた86分のフィルミーノのゴール、直接のギルティは、1 v 1をイージーにかわされクロスを上げられたジンチェンコだったかもしれない。が、あれだけ全体でちんちんにやられていれば(後半だけでリヴァプールはショッツ13のSoT5)もはや失点は時間の問題だった。誰かひとりを責められない。

責任感。

というような流れで、リヴァプール的にはなぜ勝てなかったのか自問自答したくなるような内容だったかもしれないが、アーセナルだってポインツを得るだけの正当性がまったくなかったわけでもない。

いずれにせよ、お互いの時間がほぼ前後半ではっきり区切られているというような試合ではあった。アルテタもクロップも、最後にはお互いドロウという結果をフェアなものと受け入れているのもそのためだろう。お互いにはっきり優勢の時間があった。

アーセナルのファンとしては、胃が痛くなるような試合だったが、中立のファンがとてもおもしろかったという感想を抱く気持ちもわからないでもない。あんなふうにアグレッシヴにプレイして、何度も攻守が入れ替わり、どちらがボールを奪うかわからないみたいな、あんなにオープンな試合もなかなかないのだから。

やっぱりアーセナルとリヴァプールの試合は、なんだかんだエンタテインメントなのだよね。ゴールいっぱい入ったほうがおもしろいし、攻撃がたくさんあるほうがおもしろい。プロスポーツの本質。

残り8試合。PLタイトル争い? アンフィールドで1ポイントは喜べるか

この結果で、1ポイント得たアーセナルはシティに6ポインツ差といちおうちょっとだけ差は広げたものの、シティは、アーセナルより1試合消化が少ない。つまり彼らがその1試合で3ポインツを得ると、アーセナルとは3ポインツ差に縮まる。3ポインツ差ということは、あと1試合分しか差がない。

シティとの直接対戦は再来週。もしその試合を3ポインツ差で迎えるとどうなるか? エティハドで。

ちなみに現時点でGD(Goal Difference)はアーセナルが43で、シティが48。彼らは未消化1試合でさらにGDを積む可能性は十分ある。なにせロボットがいるチームだ。したがって、ポインツで並んだときGDによるアドヴァンテッジはほとんど期待できない。

つまり、今度はその試合がほんとうのタイトルディサイダーになってしまうという。今回以上に盛り上がるのは必至。

と、そのような状況に陥ってしまったので、今回2-0でリードしていながら結局2-2ドロウで終わってしまったことについては、もちろんかなり失望はある。10年以上勝っていない場所で、今年こそはと思っていたのに。惜しいところまで行ったのに。

だが、この試合のプレヴューエントリでも触れたように、いくら不調のシーズンとはいえアンフィールドはいまも特別な場所であり、そこで得た1ポイントは価値があるのは事実。

この1ポイントが、決定的なものになるかどうかは、今後のシティとアーセナルの展開次第。

ここでギリギリ得た1ポイントを死ぬほどありがたく思う日が来ないとは、まだ誰にも云えない。

後悔ポインツ

試合後の会見で、アルテタが選手たちのあいだの「ああすればよかった!(we should have done it!)」というフィーリングについて述べていた。悪い結果のときは、いつでも「あそこでああすればよかった」と後悔するものだ。

今回はそれが、目立つものがいくつかあると思ったので、挙げてみよう。

まずは、グラニト・ジャカ。云うまでもなく40分のTAAとの事案。あの衝突でふたりにはカードも出た。試合を観ていたひとにはあらためて云う必要もないだろうが、あれにより、アンフィールドの観客がエキサイトして、この試合全体の流れが変わるきっかけになったという感じはする。

それ以前にも、ジェズースが接触プレイで何度か倒れていて、それもアンフィールドの観客には不興を買っていたが、逆に云えば彼らが不満を表明できるのはその程度だった。彼がいくら悪役を演じても、大した盛り上がりでもなかった。

だが、ジャカのアレは決定的だったという気はする。

アーセナルは、序盤からやっていたように、冷静に粛々と優位な立場でプレイしていればよかったのに、虎の尾を踏むというのか、くすぶっている火種へまったくいらぬ燃料を投下してしまった。そこまでは、ちゃんと彼らのファンにとってつまらない試合にしていたのに、わざわざ楽しく盛り上がる口実を与えてしまったというのか。

正直ぼくも、アレは完全に不必要な振る舞いだったと思わないでいられない。取ってもらえるはずのファウルがレフに流されて、そのフラストレイションを別の選手にぶつけた。あれは短気で直情的な、典型的な悪いグラニトだったように思う。スーパークールではなかった。

ジャカは、あれ以外にも同じようにファウルをもらいにいってもらえずというシーンがあり、いかにも今回のレフと波長が合わない感じだった。PLでいつもなら取ってもらえるはずのファウルがなぜかファウルにならない。

あのジャカの振る舞いについては、その後もメディアとファンベイスでいろいろな議論があって、スケイプゴート的にジャカを追求しようとするメディアに対し、ジャカを擁護する論調もあるが、個人的にはそもそもいらぬ振る舞いだったという意味で、とても悔いが残ると感じる。

もし、あのときにあれがなかったら、リヴァプールの逆襲は少なくとももっと遅れたはずで、ちょっとは違った結果だった可能性だって想像できる。

アーセナルは2点めを取った後も粛々とプレイし、静かに前半を終え、後半もリヴァプールのファンが「つまらん試合だなあ」と思うような内容で、凡戦で、まったく盛り上がらず、それでお仕事完了すればよかった。

それと、もうひとつの後悔ポインツは、アルテタのサブ。これもredditなどで議論になっていた。

今回のサブは、トロサール(80 ジェズース)、キヴィオール(80 オーデガード)、KT(88 ジンチェンコ)。これは、さすがに遅いとわしでも思った。そして、サブはあとふたりも残してる。

アルテタのサブは、毎回だいたい遅いし、フラストレイションのたまるものが多いが、今回のサブはもうちょっとなんとかならんかったのかと。

KTなんかは、わりと元気いっぱいでもっと早く入っていれば影響力を出せたんじゃないかと感じた。

それと、これはあまり指摘されていないが、個人的にはマルティネリが後半は前半ほどのインテンシティがなくなっていて、消耗しているように観えたので、替えてほしかった。

キヴィオールは、入って早々にやらかしてしまったが、彼の投入自体は、べつに悪いとは思わない。オーデーガードに変えてキウィだから、後ろ向きだとおもったひとも多いようだが。アルテタは、ああいうとき守備を固める方向にいきがちではある。

今回の最大の後悔ポイントはここか。ここで1点ぶっこんで最後の最後でアーセナルが勝ってた可能性さえある。そうなれば、ボーンマスみたいな超絶カタルシスになってたはず。誰もがアーセナルのPLタイトルを信じたかも。それくらい重要な局面だった。

しかし、結局マルティネリがサカに出したパスがずれてしまって台無しに。ネリもふつうの状態ならあんな雑なパスは出さないだろう。あるいはもっと冷静な頭なら前にいるトロサールに出していたかも。それだけ心身ともに消耗していた。あんな試合だったのだから、そりゃそうだ。

だが仮に、ここでサカとマルティネリが、超フレッシュなネルソンとESRだったりしたら。あとふたりは替えられたのだから、そういうことも全然ありえたのだ。

ボーンマスのように、最後の最後にネルソンを信じるみたいなことをミケルがやってくれなかったことにちょっと失望。

みっつめは、これはもうここでいくら嘆いてもしかたがないが、スクワッドデプス。もちろん、消極的なサブにも関連しているだろう。

今回のような試合で相手のサブ(ヌニエスやティアゴ、フィルミーノ)を観ていれば、リヴァプールとアーセナルのスクワッドデプスの差は歴然であり。

アーセナルは、まあいつものことながら、攻撃でも守備でも違いをつくるような、あるいはアルテタが自信満々で使えるようなベンチがいない。いまのスクワッドならトロサールが最大に信頼できる、レギュラーになれるクオリティで、それ以外は、レギュラーのクオリティからはそれなりに劣るというのがアルテタの評価であり、現実なのだろう。信じてない。

予想外に躍進してしまっているいまのフェイズのアーセナルなら、それもしかたがないのか。

だが、もったいない。つくづく。

ありがとうラムズデイル

ありがとう。

 

この試合については以上

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

7 Comments on “【マッチレビュー】22/23EPL リヴァプール vs アーセナル(9/Apr/2023)アーセナルは2ポインツ失ったのか? 1ポイント稼いだのか?

  1. 予想通りレフェリーが試合を制御できてなかったのが不満ですね

  2. 僕にはマルティネッリのインテンシティはそこまで下がっているようには見えませんでした。押し込まれている時には、守備に奔走してくれるし、カウンターでは一気に飛び出してくれるしで、キーマンであり続けたと思います。今回に関しては、サブが遅かったというよりも、むしろ代えないほうがよかったのではという感じです。ジンチェンコ→ティアニーくらいはいいとしても、巧みに前からプレスをかけて、攻撃においてはタメを作っていたジェズス、ウーデゴールは最後まで使うべきだった。ジェズスはプレイタイムの制限があったのかもしれないけど。

  3. 前半終わり頃から左サイドはサラーとアーノルドの攻撃にさらされていたので、早くティアニー出してくれと思ってましたが、その前に攻略されてしまいましたね。冷徹に無慈悲に試合を終わらせるのであれば、後半からティアニーでも良かった。それがメッセージになりますから。
    あと、苦しい試合だといつも思うんですが、CFにターゲットマンタイプが欲しい。デカくて強い人。ブレントフォードのトニーみたいなの。

  4. インパクターみたいな大層な名前をお借りしてる割には、サブを全然信頼してないですよねアルテタは。私もネルソンに賭けてよかったのでは、とつくづく。

  5. みなさんに同意!ティアニーはもっと早くジンチェンコとかえて、2−1でも勝つシナリオ作るべきだった。キヴィオールなんで?と思ったけど、高さが欲しかったのかな。でも、個人的にはESR、ネルソン、ジョルジを70分くらいから出すべきだった、と思います。ローテーションやサブについては引き続き疑問が残るものの、スクワッドデプスの違いは明らかでしたね。やはりタイトルは来年以降で、今年はCL確保の年なのか・・・いやいや最後まで応援していきましょう。COYG

  6. ジャカについては同じ意見です。
    瀕死の相手をわざわざ生き返させてしまいました。
    結果論ではなく、粛々と試合を終わらせるべきでした。
    ジンチェンコについては、彼のせいと言うよりも、ウーデゴール交代時に一緒に変えるべきでしたよね。
    なぜなら、守備的にするためにキウイに替えたのだからLSBも替えるべきでした。

    とはいえ、ラムズデールの神技により、1Pは死守しました。
    この1Pを生かして欲しいです。

  7. 負けてしまったのは悔しいですが、結果あのアンフィールドでここまで勝ち負けできるようになったことを嬉しく思っています。これまでがあまりにも…
    今シーズンの目標は既に達成したと思っているので優勝はボーナスですが、残りも気を抜かずトップを目指してほしいです。ほんとプレミアは簡単じゃないリーグですねー

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