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Arsenal, Tactics

アーセナルのスローインは遅いか問題

昨日書いたリーグカップのレヴューエントリで、書こうと思っていてやめたことのひとつが、アーセナルのthrow-inのこと。

このブログでいつも書いてる試合のレヴューエントリでは、あんまりトピックのレヴェルがあっちこっち行って読みにくくしたくないから、毎度どこまで細かいことを書くか悩むのだけど、スローインはちょっと些末な部類に入るかなと思ってやめた。

そしたら今朝、redditでこんな議論をみかけて。「Throw-insとArsenal」。

Throw-ins and Arsenal
by inGunners

 

カラバオカップWHUでのベン・ホワイトのスロウが遅すぎて……というのは、まさにぼくも思っていたことだった。やっぱりみんな同じことを感じていたのかあと思った次第である。

今日はそのあたりについてちょっとだけ。



最近アーセナルのスロウ遅くね?

こうして話題になるくらいだから、みんなうすうすは感じていたのではないかと想像できるアーセナルのスローイン。

最近、いやはっきりいつからかは指摘できないのだが、アーセナルではあきらかにスローインを入れるのが遅くなっているように思う。去年くらいから? いまはもう、試合を観ていても毎回気になってしまうようになった。忘れていてもすぐ思い出させてくれる。

試合でスローインを担当するのは、どのチームも基本的にはフルバックで、現在のアーセナルではホワイトやジンチェンコ、トミヤスら。

ぼくは、とくにホワイトやトミヤスのそれに、毎度毎度軽いフラストレイションをおぼえる。

なぜ、フラストレイションをおぼえるのかといえば、ボールをピッチに投げ入れるまでいつも時間がかかるからだ。たいていのチームよりもそれが遅いと感じる。そして、それがわざとそうしているふうでもなく、やむを得ずそうなっているように見えるという。出しどころに迷っている。それが、選手が密集していないとき以外、ほとんど毎回なのだ。

これは、やっぱりアーセナルでスローインのルーティーンが存在しているということなんだろうか。

コーナーやフリーキックのセットピースでは、毎度違う選手の特徴的な動きを観てわかるように、もうそれがとても顕著になっている。それと同じように、スローインも特定のやりかたがあって、ボールの受け手のかたちが整うまで辛抱強く待っているとか?

かつてリヴァプールで話題になったように、スローインのようなディーテイルまでルーティーンを組み込んでいるというのは、アルテタのようなフリークなコーチ(©グラニト・ジャカ)ならおおいに考えられることではある。

<あわせて読みたい>

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だが、仮にルーティーンがあってそれを遂行しようとしているとして、それでもそれにイライラしてしまうのは、それをやってその成功率が上がるとか、効果が出ているようにも見えないからだ。

むしろ、かけた時間のせいで成功率は下がっているんじゃないかと疑いたくなるほど。ピッチにボールを投げ入れるまで時間がかかると、相手もボールを受ける選手のマークに集中してくるし、彼らがマークをはずそうとぐるぐる動いてもホワイトやトミヤスは近くの誰にも出せず、結局50/50の長めのスロウを放り込むはめになったりするのは、最近の試合のなかでもわりと頻繁に観られる光景である。(スローインの成功率のデータがあれば観てみたい)

今シーズンから加入しているジュリアン・ティンバーがケガするまで、プリシーズン(と最初の試合でもあった?)のプレイでぼくが感心したのは、スローインを入れる早さだった。アレ?ふつうになったぞ?とそのとき思ったものだ。あれは、いまにして思えば、彼がチームのスローインルーティーンを理解していなかったがためだったのかもしれない。新鮮で、異文化を感じた。

ということで、とくに最近のアーセナルのスローインはうまくいっているように見えない。やっぱり、どこかがおかしいような?

個人的には、このスローインの遅さって、なんだか以前の悪いミケルのチームにおける<遅攻>を思い起こさせるのだよね。相手の守備が整う時間を与えてしまっていて、アウトプットのハードルは逆に上がってしまっているみたいな。考えすぎて逆効果。

問題はPL新ルールの遅延行為

遅いスロウが、ただのイライラさせる行為として見過ごせないのは、今年からのPLの新ルール(time-wasting)で、リスタートまでに時間をかけすぎると罰せられるからだ。

結果的にトミヤスの退場につながった、スローインの遅延行為でカードが出たのが8月のPLクリスタル・パレス。あれがいい例だろう。

ところで、冒頭のredditでは『Opta Analyst』の記事がリンクされていて、ここで取りざたされているデータがなかなか興味深い。

去年のPLで、試合が止まってからリスタートする各イヴェントごとにかかった時間平均。最長はペナルティで112秒。スローインはこのなかでは最短で16秒となっている。

もうひとつ興味深いのは、記事のなかで、PL20チームがどれだけリスタートの各イヴェントに時間をかけているかのランキングがあり、アーセナルはどれもだいたい平均的ということ。突出して早いとか遅いものはない。イヴェント合計では、ちょうど10位。

スローインに関しては15位と、やはりやや遅め。われらより遅いのは、ウォルヴズ、パレス、ヴィラ、セインツ、ブレントフォードとミッドテーブルクラブが並ぶ。

まあ、アーセナルは毎度のスローインでも時間を稼ごうという意図があるというふうにはあまり見えず、だからこそ、かけてしまっている時間の長さが問題に思えるのだ。意図的ではなく、不本意にかかってしまっている。

週末のニューカッスル(A)では遅いスロウはファンの格好のターゲット

この記事のリードでも引用されているように、去年ニューカッスルのボス、エディ・ハウがアウェイチームのアーセナルに敗け、その時間稼ぎを批判したことがある。

エディ・ハウ:彼らにしてみれば、うまくやったということなんだろうね。彼らは試合をスロウダウンさせ、プレイで多くのブレイクをつくった。それにはイライラさせられたよ。

当然われわれは、もっとボールをプレイしたかった。とくに試合を追いかける立場としては。

こやつらは、自分たちがエミレーツでやった盛大な時間稼ぎを棚に上げて、なにを云うかとこのときは思ったものだった。

ちなみに、くだんのOpta Analystの記事によれば、去年22/23のニューカッスルは、PL20チーム中でもっとも実質プレイ時間の短いチーム。つまり試合中のブレイクタイムがもっとも多いということ。ゴールキックとフリーキックにかける時間は、リーグワーストである(各イヴェント総合ではワースト2位)。

どのつらを下げて、それを云うのかという。

ただ、明日にせまった土曜のPLニューカッスル(A)では、そんなことは彼らのファンには関係ない。

ホワイトやトミヤスがこれまでのようにスローインでもたもたすれば、セイント・ジェイムズ・パークのホームファンが、いっせいにレフに「遅延行為だ」とプレッシャーをかけるだろうことは、ありありと想像できる。それは、一昨日のロンドンステディアムでもやられたし、アウェイなら毎試合でやられる。

そして、パレスでそうなったように、レフがスタンドからのプレッシャーに負けてカードでも出そうものなら、試合の趨勢に影響を与えかねない。時間帯によっては、DFへのカードはかなりキツい。とくにトミヤスは心理的負担からアグレッシヴな守備がつづけられなくなると、一気に不利になる。

 

いまのアーセナルのスローインは、どうにかすべきかもしれない。

 

おわる



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