試合の論点
アーセナル vs ブライトンのトーキングポインツ。
A proper team performance ✊
All the best bits from a top day’s work at Emirates Stadium 👇 pic.twitter.com/d7w2MhEEEL
— Arsenal (@Arsenal) December 17, 2023
ブライトンにプレッシングで勝つ
ブライトンはやっぱりユニークなチームだなと。今回もあらためてそう感じた。
ハイプレスをやるチーム相手に、わざとプレッシャーをボールに引き付けてからショートパスをつないでいく、ハイリスク・ハイリターンな戦法。もちろん自分たちのゴールの目の前でボールを相手にさらすのだから、相手の動きの読みや落ち着き、パスの正確性など、かなり難しい個人プレイ/チームプレイが要求されるが、成功すれば毎回かなり前方までボールを運べるというご褒美がある。
そして、今回のアーセナルのインテンス&オーガナイズされたハイプレッシングに、その意図はかなり限定されただろう。
アーセナルとしては、人数をかけたプレスがハマらないと毎回カウンターのようになってキツいが、ハマれば、ブライトンのようなスタイルの相手にこれほど有効な打撃もない。実際、そこから直接ゴールにこそつながらなかったとはいえ、何度も何度もチャンスをつくったし、終始試合をコントロールするうえで、今回はそこは大きな勝因のひとつだった。
試合中、アーセナルは、いったい何回ハイターンオーヴァをやるのかと思って観ていた。高い位置でボールを奪って、ショートカウンターを連発。その他のチャンスも含めて、途中メモが追いつかないくらいだった。
Arsenal’s high press totally dismantled the ‘best buildup in the world’ pic.twitter.com/OuClFqjKAx
— markstats (@markrstats) December 17, 2023
スタット的にはアーセナルのハイターンオーヴァーズは11。そこからショッツへつなげた回数が3。
ブライトンが、ことバックからのプレイではほとんどこの世界の権威みたいなものだとすると、今回のアーセナルのハイプレスはそれを打ち破った、極めて上質のハイプレッシングだったと云える。ブライトンの人たちも、あまり見慣れないようなやられかた。
だが、ハイターンオーヴァも、ショートカウンターも、ゴールが決まってこそ。今回もまた、チャンスをゴールに結びつけることにはだいぶ苦労してしまった。
とくに前半。あれだけチャンスをつくって(ショッツ15、0.97xG)ゴールなしとは、いと信じがたし。しかし、アーセナルでは、このようなことがずっとつづいている。今回は試合に敗けなかったので問題にならなかったが、もし今回ポインツを落としていたら、これまでと同じようにストライカーの必要性が叫ばれていたに違いない。
前半にゴールできなかったことについて、アルテタの試合後コメント。
イエス。だが、チャンスをつくればつくるほど、ゴールする可能性も上がっていく。集中できるのは、そこしかない。
アルテタは、つねづねボールをネットに入れるのがフットボールでは一番難しいことだと述べている。Over and over againなんよなあ。いまは、それしかできない。
またセットピースからのゴール
そういう素晴らしい前半を0-0で終わらせてしまったフラストレイションがあっても、今回は、後半のわりと早々にゴールが決まったのが救いだった。
メインマン、ガビー・ジェイズース。またあなたなのですね。エミレーツでのPL直近15試合で14のゴール関与(G9 A5)。
あのゴールで、アーセナルのチームは一気に肩の荷が下りた感じがした。ときに、リードしたことで油断が生まれるような試合もあるが、この試合ではそうはならず、その後もアーセナルがほとんどの時間を支配したので、あのゴールにはいい効果しかなかった。
GJがゴールした試合は、これでPL59試合連続敗けなし。W54 D5。神か。
そして、あのゴールは今シーズンのアーセナルにとってセットピースから8個めのゴールという。もちろんリーグトップ。
試合後のアルテタは、セットピースにおける身長の重要性について言及していて、いまの高身長が揃うアーセナルのチームが相手の脅威になっているのは事実だろうが、今回のようなゴールを観るに、やはり意図的なセットアップの重要性も感じざるを得ない。
今回だと、コーナーでゴールの真ん前にはひとを密集させておいて、ジェズースはこっそりファーポストに潜んでいた。相手のヘッダーによるクリアボールがうしろに飛んでいったとき、相手のマークは完全にはずれており、ボールに頭で合わせるだけ。ジェズースにとってもイージーなゴールだったろう。
それと、これはアルテタも指摘しているように、そこへ入れるボールの正確さ。今回は左サイドを担当するマルティネリのコーナーは毎回のように脅威になっていて、この試合を観ていてもそのことは感じていた。右を担当するサカも、もちろん危険なボールを蹴る。
現在のアーセナルは、オープンプレイからのゴールが少ないというネガティヴな見方もあるが、セットプレイからゴールが多いことになんのネガティヴな要素もない。いまや、それが対戦相手がかなり嫌がるだろう、強力な武器になっている。素晴らしいことだ。アーセナルにこういう未来が待っているとは思ってもいなかった。
セットピースコーチのニコラス・ヨヴァー。ありがとう。これからもよろしく。