試合の論点
ブライトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
Keeping the momentum going 💪
Watch the highlights from today’s 3-0 victory over Brighton & Hove Albion👇 pic.twitter.com/quAG3uqJVL
— Arsenal (@Arsenal) April 6, 2024
難敵ブライトンに成熟した大人のパフォーマンスで勝利したアーセナル。去年からの学びを活かす
ブライトンはやはり強かった。とくにビルドアップ。トップチームでも、バックからのプレイで彼らほどのクオリティはなかなかない。アーセナルの組織あるハイプレスもかいくぐられることしばしば、何度も前に展開された。
試合序盤の攻防では、正直アーセナルよりもブライトンのビルドアップのほうが優れていた(プレスにかからない)と思えたくらい。そのおかげで、あんなふうに攻守が入れ替わるオープンな試合になり、最近のアーセナルではめっきり観ないタイプの試合になったと思う。
それほど、ブライトンのバックからのプレイはハイクオリティだった。厳しいプレスを受けても、彼らのバックラインは必ずフリーの選手を見つけてボールをキープするし、そのボール回しのなかでスキあらば、ブロックの隙間を通してボールを前進させてくる。ああなるとハイプレスが一気においていかれて、人数をかけたことが逆に仇になってしまう。前半はとくにそういうシーンが何度もあった。
アルテタのアーセナルはハイプレスを武器にして久しいが、今回、そもそもそれはハイリスクな戦術であることを思い出させられた。
もちろん、アーセナルも最近はロングボールも躊躇しないとはいえ、基本的にはバックからショートパスをつないでビルドアップしようとするフィロソフィを持つチームなので、お互いそのような「ハイプレッシング vs プレス耐性」みたいな攻防が試合を通して行われる試合であった。
だが、結局勝負の分かれ目になったのは、ファイナルサードのクオリティだったように感じる。ブライトンはせっかくボールを前に進めても、ゴールを脅かすまではなかなかいけない。
彼らは今回も優秀そうな選手たちがプレイしていたが、MitomaもFergusonもおらず、いっぽうでリーグのトップレヴェルが揃うアーセナルのアタッカーは絶好調。いずれにせよ、われらにゴールを与えないことは難しいタスクだった。まあ、あのジェズースへのファウルでペナルティとなった無謀なタックルは悔やまれるだろうけど。試合後のDe Zerbiも「アレはあきらかにファウル」と潔く認めていた。どんなDFも、ボックスであんなふうにアグレッシヴに行ってはいけない。しかもジェズースのようなすばしこいアタッカーに。
後半になると、アーセナルが2点めを決める(62分)。アウェイチームが2-0とリードを広げてからは、今度はブライトンがかなりプッシュし、アーセナルが深く落ちる展開に。攻める側と守る側でお互いの姿勢が鮮明。85分にトロサールのダメ押しゴールが決まるまでは、わりと一方的な流れになっていた。
今回の試合で印象的だったのは、アーセナルにとってあきらかに劣勢だったこの時間帯のパフォーマンスだったと思う。
2-0でリードしていつつも、仮に1点返されようものなら、ホームの観客にプッシュされまったく雰囲気が変わることもありえたが(※いわゆる「2-0は危険なスコア」状況)、ぼくはTVで観ていても、ほとんど危なげないような気がしていた。それほどアーセナルのディフェンスが準備万端だったし硬かった。現時点でリーグベストという守備クオリティ。
その時間帯が長かったせいもあり、後半のポゼッションは68% vs 32%とアーセナルの試合にしては、極端に低いボール保持率となっているが、じつはブライトンのチャンス量に関しては、前半が0.26xG、後半が0.27xGとほぼ同じ。つまり、彼らはボールを持ってアーセナルのボックス周辺まで殺到し、怒涛の攻撃を繰り返しているように観えながら、実際はなんら有効な攻撃を繰り出せてはいなかったのである。
彼らは、SoTも前後半で1づつ。ということは、あれだけボールを持って攻撃をしようとしても、アーセナルの硬い守備を前に、ボールを枠にすら飛ばせていなかったということ。
かたやアーセナルはそのような状況でも、90分間のxGで大幅に上回ったし、試合を通してのBC(ビッグチャンス)の数は、0 vs 7と圧倒的であった。
最近よくアーセナル界隈でも云われるように、われわれは攻撃的だろうが守備的だろうが、相手や局面に合わせてどんなスタイルでも戦えるようになった。それでいて、リアクティヴというわけでもない。
試合後に、アーセナル本の著者としても知られるライターのエイミー・ロウレンス氏が云いました。「去年とくらべてなんというメンタリティ。本物の成熟したパフォーマンス」。まさに。この試合のアーセナルのパフォーマンスをひとことで云えば、「成熟」がふさわしいと思う。
いくら相手にボールをもたれようとも、試合の軸になる流れはつかんで離さない。局面の趨勢にあわてず落ち着いて、しゅくしゅくと守り、しゅくしゅくと勝つ。大人びた、プロフェッショナルなパフォーマンスだった。
今回はパス数も、パス成功数も、ブライトンがアーセナルを上回っている。それらは、多くの試合でアーセナルが相手を上回ってきたスタッツである。だが、そういったことが些末に思えるほど、アーセナルは重要なものをきっちり手に入れている。
サカの自信あふれるペナルティにもさらなる成長は見て取れたが、この試合で、アーセナルの精神的成熟をもっともよく表していたのが、91分のビッグガビのショットブロックのシーンだろうか。アルテタの試合後会見でも話題になっていた、大きなガッツポーズで、周囲の選手たちと喜びを分かち合う。ああいうシーンを観るのはべつに初めてではないが、それでも印象的だった。
💬 “That’s really pleasing for all the coaches to see that reaction from the team at 3-0 . It’s great because that tells you how much they want it, the importance and the focus they put in every single ball.”
The boss on our defenders celebrating Gabriel’s block late on 👊 pic.twitter.com/UDKHeD5C4j
— Arsenal (@Arsenal) April 6, 2024
あの時間帯、すでにチームは3-0で勝っていた。アルテタ流にいえば、もう試合は殺されていた。あそこで仮に1点失おうが試合の結果には関係がない。
しかし、いまチームは勝つだけでなく、無失点で勝つことに非常に強い執着を示している。どうしてもクリンシートをキープしたいという、DFとしてのプライド。スポーツにおいて、対戦相手にゴールを与えてはいけないという守備者の本能。去年の教訓からの学び。
これが、いまのベストクオリティというアーセナルの守備を支えているメンタリティ。われらは、なんというチームの成長を目の当たりにしているのだろうと思う。
タイトル争いにおいては、残りシーズンのアウェイ試合の結果がかなり重要と云われるなかで、このチームの精神的成熟が大きな違いになる。そんな気がする。
ハヴァーツとジョルジーニョはアーセナルの救世主。ありがとうチェ
アーセナルの2点めとなったハヴァーツのゴール。直後のジョルジーニョとゴールを祝うシーンは宗教画みたいだと話題に。写真探そうと思ったら、こっちを先にみつけた。KAZUさん。うちのtwによく反応してくれるかた。最近よくAFCインフルエンサーたちにRTされているのを見かける。
— KAZU (@kazu_designs) April 7, 2024
このふたりによるゴール。ちょうどこの試合の前に、このブログでも紹介したように、ハヴァーツがジョルジーニョとの関係性について述べていたので、なんだかこれはナイスなタイミングだった。
あのゴールのセットアップについては、ちょうどサカが痛んで倒れていて、レフが試合を止めるんじゃないかと一瞬ブライトンの面々は集中が切れたんじゃないかと思うのだよね。ありがちな状況。そこにジョルジーニョがスルスルと上がっていって。MØからのスルーボール。カットバックからハヴァーツ。
ハヴァーツも、ジョルジーニョはボックスに入るタイプじゃないと云っていたし、試合後のアルテタも彼の動きはみんな予想外だったはずだと述べた。ああいうわずかなスキを逃さないのも、百戦錬磨のヴェテランの動きだなと。あのときブライトンの選手たちは、彼のことは誰も観てなかった。
もちろん、このふたりは元チェルシーで、チェルシーが今シーズンも絶不調なのは云うまでもなく。シーズン当初は、このふたりがアーセナルのタイトル争いにおけるキープレイヤーになるなんて、彼らもまったく想像もしてなかったはず。なんなら、高齢選手やチームにフィットしないやっかいものを高く売って、いい取引をしたと思っていてもおかしくはない。
そう考えると痛快この上なし。とくにハヴァーツは、2020にPLにやってきて以来のベストパフォーマンス。ここまで、PLでG9 A5。残り試合で、さらにこの記録を伸ばすことも期待される。
彼はいま、アーセナルで生まれ変わったともっぱらの評判で、そもそも選手が悪かったんじゃなくて、チームが悪かったんだと云われる始末である。アルテタが云う、その選手に自信を与えるための「正しい環境」。Mudrykもアーセナルに来たら大化けするかも
このふたりのチームへの貢献度はすごい。わしは、チェルシーはこの世でもっとも嫌いなチームのひとつだが、こればかりは彼らにありがとうを云わずにいられない。
シーズン開始当初のThe Athleticによるアンケート。ハヴァーツが夏のワーストサインの1位。それが、ベストサインになるとはなあ。人生わからんものです。
この試合については以上
アーセナル(の守備)はカチンコチン!
今年の流行語大賞ねらいましょう。笑
残りのゲーム全勝、私も本気で信じてますよ!
てか、全勝したチームが優勝するような気がします。
そしてアーセナルは2冠を獲って、来季のUEFAスーパーカップでジャカと再会するところまで視えています。笑
本ブログも盛り上がりそうで楽しみにしています!!
青チームには苦しい時、チェフやダビドルイスを譲ってもらった。
ウイリアンは残念だったけど、(アーセナルにとって)良い取引をしている。
彼らは今後、選手の売却が必要らしいし、もしかしたらこれからも、お世話になるかもしれません。
仲良くしましょ!