hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Data, Player, Tactics

なぜジャック・ウィルシャーはボーンマスで怪我をしないのか

今晩(日本時間明朝)、プレミアリーグではボーンマスとマン・シティの一戦が行われることもあり、ジャック・ウィルシャーにまつわる記事が何本かあった。

www.skysports.com

ジャック・ウィルシャーは、今シーズン始めからボーンマスにローン移籍して以来、アーセナルとの対戦を除くすべての試合に出場しているということもあって、すでにボーンマスの攻撃のキーマンとして期待に違わぬ活躍を見せている。今節の対戦相手の監督であるグアルディオラもジャックの才能を口にしている。

これまでのボーンマスでのプレイタイムは1525分と、すでにアーセナルでの過去2シーズンの合計(873分)の2倍近くになっているという。

アーセナルでの14/15シーズン、15/16シーズンはシーズン中は怪我でほとんど欠場していたとはいえ、それ以前の怪我履歴を見れば、今シーズン、ボーンマスで出場を続けていることは彼にとって非常に珍しいことのように思える。ボーンマスに移籍する前は、90分通してプレイしたのは2014年9月のカップ戦が最後だったというから、アーセナルのファンにとってジャックの今シーズンの好調ぶりはちょっとした驚きである。

ジャックはなぜボーンマスで怪我をせずにプレイを続けることができているのであろうか。

ジャック・ウィルシャー、怪我の歴史

「インジャリー・プローン」。アーセナルにはそんなふうに揶揄される怪我がちな選手が多いが、そのなかでもアブー・ディアビらとともに筆頭に挙げられるのがジャック・ウィルシャーである。

おなじみのTransfer Marketから個人データのInjury Historyを表にまとめたのが、以下となる。

Jack Wilshere – Injury history | Transfermarkt

薄いオレンジがEPLシーズン期間、赤が離脱期間である。2016年9月以降、2017年2月現在まで怪我をしていない。

f:id:diesoon:20170213142328j:plain

こちらはGOALコムによるインフォグラフィック。2015年8月の記事より。

f:id:diesoon:20170213142504j:plain

Transfer Marketとデータが食い違っている部分があるので、どちらが正しいかは各自の判断におまかせしよう。

いずれにせよ、これまでほとんどのシーズンで大小の怪我をしていて、ざっくりいえば、ジャック・ウィルシャーはアーセナル(シニアチーム)でキャリアのだいたい半分を怪我で欠場している。怪我明けの期間はベンチで過ごす時間も長いので、プレイ時間でカウントすれば、「フィットしている状態」はもっと少なく見えるだろう。

それが、ボーンマスに移籍して以来、およそ半年を経過してまだ一度も深刻な怪我をしていないことになる。ずーっとフィットしているんである。

16/17シーズンの彼に一体何が起きているのか。



ジャック・ウィルシャーのプレイスタイル

f:id:diesoon:20170213144038p:plain

WhoScoredより

ジャック・ウィルシャーはアーセナルやイングランド代表チームでは、ここしばらくはセントラル・ミッドフィールダーの選手として使われてきた。

CMFの要件としては、ボールがキープできてパス能力が高く、一定の守備力があり、試合の流れを読んで攻撃にもからんでいくことが求められる。

それ以前は、より攻撃的なNo.10タイプの選手として使われていたことを考えると、前線でつねに得点に関わっていくというよりは、チームからはより後方からゲームを組み立てる役割のほうが合っているという認識をされていったということになる。

翻ってボーンマスでのジャックの役割を見ていくと、これはもうまったくもってNo.10である。ボーンマスという、せいぜい中位が目標となるチームで、つねに負けないように戦うことを選択せざるを得ないなか、CM適性のある選手をNo.10の位置に置くことは理にかなった戦略といえる。

ウィルシャーが怪我をしなくなった理由?

このポジションの相違がジャックが怪我をしなくなった理由なのだろうか?

いやむしろ逆ではないか。ボーンマスのようなチームで守備から攻撃への素早い切り替えの要となるのがジャックのポジションで、相手チームから見るとそこを潰せばカウンターを回避できる。また彼はボールを持つのが好きだ。つまり格好の標的であり、どちらかといえばこちらのポジションのほうが、プレイ中に厳しいタックルを受けて怪我をする確率が高いのではないだろうか。

個人的には、ジャックの怪我の多くはそのタックルを受けやすいプレイスタイルのおかげであるような気がしている。

本人はボーンマスでボールを早く手放すようにしているとコメントしていたが、このハイライト動画を見る限りでは、ボールを相手に晒しながらのドリブルや、インターセプトすれすれのボールキープなど、アーセナルで見せていたジャックらしいプレイは変わっていないように見受けられる。

怪我の原因は、アーセナルの環境にあるのか

たびたび指摘されることであるが、アーセナルのトレーニング・グラウンドやトレーニング・メソッドが、選手が怪我をしやすい原因であるという。

これははっきりとしたことはわからない。

アーセナルのクラブハウスや練習場といったトレーニング環境は、最高レベルに整備されたかなり立派なものであることが知られていて、よりによって「芝生のせい」だなどということになったら、それこそ噴飯モノである。噴飯モノであるが、相変わらず怪我人が続出している状況下ではそれもまったく否定することはできない。

トレーニング・メソッドについても、その可能性は十分ありそうだ。何年か前にも怪我人を生み続けるという理由で、ヴェンゲルのトレーニング方法を批判した記事を読んだけれど、それについてもやはり因果関係を断言できるものではない。

ただ、はっきりいえるのは、環境を変えたジャック・ウィルシャーが怪我をしなくなっているという事実である。当然アーセナルのスタッフもジャックの状況を注視しているはずで、彼の現状をどのように捉えているのか気になるところだ。

まとめ

ジャック・ウィルシャーが生まれつき怪我をしやすい身体を持った選手であることは否定しない。アーセナルで同様の環境でトレーニングをしていても、怪我をしない選手もいるのだ。

けれど、アーセナルを離れた途端に好調を維持していることは、それが偶然でなければ、別の理由があることを示唆している。

アーセナルのトレーニングにはやはり問題があるのだろうか。

※ 2017/2/14追記

くだんのマンシティ戦でジャックは怪我をして前半で交替した。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *