hotいま読まれているエントリ

Arsenal, News, Transfer

【就任】アレグリがアーセナルにふさわしい理由【前夜】

アーセナルの次期マネージャーについて、ここ数日、英メディアではマックス・アレグリに決まったかのような論調の記事をちょこちょこ見かけるようになっている。



アーセナル次期監督はマシミリアーノ・アッレグリで決まりか?

Allegri confirms meeting with Juve to discuss future

彼が現在指揮を執っているユヴェントスと今後について話し合いを行ったというニュース。

アレグリは海外での仕事について興味を隠していないものの、いまだユヴェントスとの契約を2年残しており、シーズン終了後の話し合いの内容によっては、来季以降もユヴェントスに残る可能性もありそうだ。

一方で、ユヴェントスの慰留を断って、来シーズンは別のクラブのマネージャーに就任するのではないかという憶測も根強く信じられている。

英語を勉強中というアレグリ

移籍先として、今季限りと見られているコンテが退団するチェルシーも有力候補だと思われていたが、ここへ来てアーセナルがらみの報道が勢いを増しており、就任前夜の様相を呈してきた。

ちなみにSKY BETの現時点での「次期アーセナル監督」オッズは驚きの「1/1」。SKYではまるでほとんど決まりのような扱いだ。

と、前置きが長くなった。

今回はSKY SPORTSが、なぜアレグリがアーセナルにとって相応しいマネージャーなのかについて、よくポイントをまとめていた記事を紹介したいと思う。

※途中に別記事をインサートしてあります。

マックス・アレグリがアーセナルに相応しい理由

What would Massimiliano Allegri bring to Arsenal?

「アレグリはアーセナルに何をもたらすのか」。ひとまずサマリーを。

  • 勝者の血統
  • 適応性、融通のきく漢
  • 戦術家
  • 組織の構築とマン・マネジメント

勝者の血統

トロフィの獲得については、アレグリのコンバージョンに比肩できるマネージャーはそういない。彼は2010年に初めてエリートクラブ(ミラン)を率いてから、8年で7つのメジャートロフィを獲っている。来週にはそれがひとつ増えるはず。

10/11シーズン、ミランに2004以来となるセリエAタイトルをもたらした。そして2014年にユーヴェに就任してからもそれは続く。前監督のコンテでユーヴェはセリエAのタイトルを3連覇したが、アレグリのおかげで影が薄くなっている。

アレグリのユヴェントスは、セリエAとコッパ・イタリアの4連続ダブルの寸前まで来ているし、ヨーロッパでも進歩を見せている。オールドレイディはここ4年で2回CLのファイナルに進んだ。決勝までいったのはそれまでは16年でたったの1回だ。アーセナル、永遠のヨーロッパの敗者である彼らは同じように進歩したいはずだ。


<アレグリの監督実績>

イタリア下部リーグのクラブを経て、サッスオーロ(2007~)、カリアリ(2008~)、ACミラン(2010~)、ユヴェントス(2014~)。ミランとユーヴェでの成績は以下のとおり(Wikipediaより)。

大会セリエAコッパ・イタリアスーペルコッパ・イタリアーナチャンピオンズリーグ
クラブシーズンイタリア国内ヨーロッパ (UEFA)
Milan2010-11優勝準決勝R16
2011-122nd 準決勝優勝準々決勝
2012-133rd 準々決勝R16
2013-1411th*R16*
Juventus2014-15優勝優勝決勝決勝
2015-16優勝優勝優勝R16
2016-17優勝優勝決勝決勝
2017-18優勝決勝準々決勝

適応性、融通のきく漢

アレグリはユヴェントスではコンテから常勝チームを引き継いでおり、最初はそれほど変える必要はなかったと認めていた。しかしそれ以降はコンスタントな手術が必要になっていった。2015年には、アンドレア・ピルロ、アルトゥロ・ヴィダル、カルロス・テヴェスが退団。2016年には、ポール・ポグバ、アルヴァロ・モラタがチームを離れた。そして昨夏にはレオナルド・ボヌッチとダニ・アウヴェスを失った。

しかしながら、そのたびにユヴェントスは強くなってカムバックした。システムは都度調整されて、アレックス・サンドロ、パウロ・ディバラ、ゴンサロ・イグアインといった新加入選手たちは、アレグリの下で才能を開花させた。ポジションのコンバートや揺るぎないチームスピリットを育むことを成功させた。

彼は変化を恐れない。それを成長のチャンスだとみなしている。そして彼はまたそれがチームの利益になるときは難しい決断を喜んで行う。

彼はサンシーロ時代に、フィリッポ・インザーギやジェンナーロ・ガットゥーソといったミランのベテランスター選手たちに引退を勧めたこともある。昨シーズンには非常に重要なチャンピオンズリーグのポルト戦で、あえてボヌッチを落とすという決断をし、見事ユーヴェはその試合に勝利した。

ユヴェントスは、セリエAで勝つことをイージーに見せてしまう。しかし彼らのここ数年の支配は、アレグリがつくったチームの進化によるところが大きい。アーセナルでは、リッチなライバルに次々とベストプレイヤーを奪われてきた歴史がある。彼の中心選手の不在に対応してきた実績は、もちろん魅力的なはずだ。

By Photo by goatlingCropped by Danyele – Flickr (original photo), CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43735258

戦術家

アレグリは、自分自身を「つくられたマネージャー」というよりも「天然のマネージャー」だという。いいかえれば、ヴィデオで研究したり戦術を学んだりすることに時間を費やすよりも、本能に頼るほうを好むということ。これはモダン・マネジメントではあまりふつうのアプローチとはいえないが、間違いなく彼にはそれが合っている。

ビッグゲームでの失望、とりわけチャンピオンズのファイナルでバルセロナとマドリッドに敗れたこと。しかしそれでもアレグリの戦術は間違えているよりも正しいことのほうが多い。そしてもしピッチ上で事がうまく運ばなくても、彼は自分たちに有利に試合をひっくり返せるよう抜け目なく調整することができる。

今シーズンのCLラスト16でのToT戦がいい例かもしれない。ユヴェントスはウェンブリーで危険なポジションにいた。ファーストレグを2-2で引き分けており、この試合でもフンミンソンの前半の得点で劣勢に立たされていた。でもアレグリはセカンドハーフでのいくつもインスピレーションに満ちた変更で試合の流れを変えることに成功した。

Embed from Getty Images

Kwadwo Asamoahを60分働き続けたブレイズ・マトゥイディに変えて投入、その数分後にはStephan Lichsteinerをメディ・ベナティアに変え、バック3から4-3-3にフォーメーションを変更。ToTを混乱させるための互い違いにするフォーメーション変更は、ただちに効いた。

Liechtsteinerは交代で入ってすぐにイグアインの得点をクロスでお膳立てした。そしてToTはその後ディバラにすぐに追加点を取られてもまだ浮足立っていた。アレグリのチームは観ていていつも楽しいチームというわけではない。しかしミラン時代に彼の下でプレイしたズラタン・イブラヒモビッチのことばを借りれば、「彼は勝たなければならないときに何が必要かわかっている」。

<アレグリ自身が語るアレグリのスタイル>

The Principal | By Massimiliano Allegri

アレグリ:わたしが10代の選手だったときでさえ、わたしは教えるほうをやりたかった。まあ正直やんちゃ坊主だったんだ。(そういうふうに呼ばないマネージャーもいるだろうけど)。何度か自分のコーチと熱く議論したこともある。それはもっとプレイ時間がほしいというそういったことじゃない。そのときですら、わたしは自分の思い通りにチームを動かしたかったんだ。わたしが選手をリタイヤして指導者への興味を見せたとき、どうせうまくいきっこないって思ったひとも多かったね。

わたしは強情なのかもしれない。でも思うんだ。とくに今は、試合が変わったのと同じくらい、そういった頑固さが必要なんだって。メディアはフォーメーションについてよく話している。数学についても。3-5-2、5-4-1、4-2-3-1。

「ミスター・アレグリ、あなたはどれを採用する? 知っておかないといけないんだ」

ピッチ上ではもっと複雑だ。3-4-3はボールを持っているときは3-4-3だが、ボールを持っていないときは5-4-1にしないといけないかもしれない。とかなんとか。

重要なことは、シェイプ(かたち)、ディシプリン(規律)、インスティンクト(本能)だ。本能がもっとも大事だとわたしは思う。わたしが自分の本能を信じないとき、わたしが自分を疑うとき、それはわたしが失敗を犯すときだ。マネージャーとして多くを失敗から学ぶ。わたしのキャリアのなかでもっとも重要な瞬間を考えると、それはスクデットともチャンピオンズリーグとも関係ないんだ。

組織の構築とマン・マネジメント

去年『プレイヤーズ・トリビューン』で、アレグリは選手を成長させることへの情熱について語っていた

アレグリ:このレベルのフットボールではプレッシャーがかなりあるし、そうあるべきだろう。しかしわたしは何のためにこうしているのか思い出そうとしている。わたしは自分をマネージャーだと思っていない。わたしは若いコーチだ。これをやっているのは、教えるのが好きだからなんだ。これは本当にわたしの人生の楽しみだ。わたしは選手たちを成長させたり、より賢い選手にすることが好きなんだ。

アーセナルの若いスクオッドは、間違いなくこの影響を受けるだろう。ガナーズは規律と戦術的な柔軟性に欠けたエラーをしがちなチームだ。しかしアレグリのコーチングは、彼らを個人的にも集団的にも進歩させるだろう。

アレグリの記録は、とくにディフェンスのセンスに影響を及ぼせることを示唆している。ユヴェントスをアレグリの4年間でベストのディフェンス記録を持っている。そしてミランでもそれはより証明されていた。彼の就任前ロッソネリは3シーズンで112失点していたが、アレグリの下での3シーズンは96に減った。

ローラン・コシエルニのアキレスの怪我で、今夏アーセナルのディフェンスは補強が必須なことが改めて確認された。しかしもし彼らがアレグリをエミレーツ・スタジアムに惹きつけることができるなら、守備面ではもしかしたらどんな補強よりも効果的かもしれない。

以上。

アレグリが来たら……

ぼくはイタリアリーグも観ないし(カズとかナカタの時代のほうがよっぽど観てた)、この人のことをさほど知らないので、彼が来たらアーセナルがどんなふうに変わるのか、楽しみ半分、不安半分という気持ちである。

一番期待しているのは、当然守備の改善になる。それはきっとどのほかのオプションよりもうまくやるだろう。そこはまったく心配していないし、積年の弱点が解消されるとしたら楽しみでもある。

また本文中にあるように、変化を恐れないというところもヴェンゲル監督時代とは大きく違い、楽しみな点だ。ヴェンゲルはとにかく物事を変えたがらない気質を持った人で、それはファンに大いにストレスを与えていた。アレグリも自分を頑固だと評価しているようだし、ヴェンゲルも本能や直感を信じるタイプのマネージャーだと思うので、ふたりは似たところがあるのかもしれない。だが、同じタイプでもアウトプットはだいぶ違うものだ。相手や局面によって臨機応変に戦い方を変える。そんな当たり前のことがうれしい。

反対にもっとも心配なのは、アーセナルのフットボールがつまらなくなるんじゃないかということ。つまるとかつまらないとか、プロスポーツで勝つこと以外に何の価値があるのかと問われれば、いやそうじゃないんだとしかいいようがない。それはもう勝ち負けを超えたものだ。この価値、この美学、このエロス、それはアーセナルのファンにしか伝わらないかもしれないが。負けるたびに、気持ちに折り合いをつけるためにそんな偏屈な性格になってしまったともいえる。アーセナルのせいである。

アレグリは少なくとも攻撃フットボールの信奉者であるとはいわれていない。むしろ、いま騒がれている候補者のなかでももっぱら守備フットボールで名を馳せた人物であると理解している。

われわれは非常にスリリングでいびつで偏っていてアブノーマルでエロくて不思議に魅力的な強くも弱くもあったアーセナルをかれこれ22年観てきたことになる(ぼくはそんな長く観てないけど)。そんなチームに慣れきったわれわれにとって、アーセナルが守備を基盤にしたノーマルなチームに生まれ変わるというのは一体どういうことなのか。何が起こるのか。アイデンティティが失われるのか。アイデンティティとは何だ。

以前にもどこかで書いたように、新しいマネージャーが来てクラブの文化に変化の機会が訪れるということは、アーセナルが自らのアイデンティティについて考える機会でもある。

アーセナルFCが普段から伝統とかDNAとかいっているもの。それは何なのか。クリエイティブで観ていて楽しいプレイ。サポーターに満足してもらえるプレイ。モウリーニョみたいじゃないプレイ。ヴェンゲル監督はそのあたりについてもさまざまなコメントを残した。しかし彼が述べたことをそのままアーセナルFCのコンセプトに当てはめていいのだろうか。オーナーのクロエンケは儲かればそれでいいだけじゃないのか。

ヴェンゲル=アーセナルの時代は終わった。クラブが己の価値やアイデンティティについてどのように考え、どのようにクラブを、チームを変えたり変えなかったりするのか。それはいずれ新監督がくれば判明することだろう。見守っていきたい。

マックスさん、ウェルカム・トゥ・アーセナル(気が早い)。

おまけ

Why Max Allegri is the perfect manager to finally solve Arsenal’s Mesut Ozil problem

アレグリが来ると「エジル問題」も片付くというメトロの特集記事。エジル問題。

ネクストボスの守備改善に次ぐ課題は、エジル問題の解決かもしれんねえ。だってエジルをどう扱うかってアーセナルのボスには避けて通れない課題で、エジルは監督には頭の痛い存在だ。ヴェンゲル監督は結局エジル問題を最後まで解決することができなかったともいえる。



4 Comments on “【就任】アレグリがアーセナルにふさわしい理由【前夜】

  1. こんにちは。
    CLの鶏戦、私も凄く印象に残っています。
    ビハインドの状況でディフェンス2枚投入するなんて驚きです。そして逆転する。あの状況でヴェンゲルなら誰も変えなかったでしょう、たぶん。

    アッレグリ推しです。

    1. こんにちはー。
      おー例の試合ご覧になったのですね。ぼくはハイライトでちゃちゃっと観ただけでした。
      アッレグリは決まりみたいなんで期待して大丈夫ですよー(無責任)。

  2. 自分はアッレグリを守備的な人と思ってないですねー
    むしろ攻撃面でビルドアップとか積極的にシステマッチックに構築したり、前線のタレント活かしたりと、ポジティブな印象です
    まあポチェティーノを攻撃的な監督と捉えるか守備的と捉えるかみたいな感じな気もします

    でもアッレグリきたら何となくですけどオーバメヤン・ラカゼットの組み合わせが1stチョイスになってエジル序列下がる問題が起こる気もします

    1. どもども。すっかり遅くなってしまって。。

      まあぼくはアレグリもポッチェティーノも何か語れるほどは観てないので、守備的っていうのはただの受け売りです。

      ただ、アレグリが<守備的>かどうかっていうのは、意外に深い議論かもですね。アーセナルの話題に限らず。

      ナーゲルスマンが話題になっててホッフェンハイムの試合みてみたんですけど、5-3-2というフォーメーションでも全然守備的な印象はなくて。

      陣形だけでこういうプレイスタイルだと思い込んではいけないんでしょうね。

Leave a Reply

Your email address will not be published.