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【マッチレビュー】18/19UELグループステージ スポルティングCP vs アーセナル (25/Oct/2018)アウェイで勝負強さを見せ連勝つづく【試合の論点】

公式戦11連勝となったUELのスポルティングCP戦。

アウェイで内容もパッとしないながらも、きっちりワン・ネオで勝利しアーセナルが勝負強さを印象づけた。

これまでのきらびやかなパフォーマンスに比べてしまうと、たった1得点ということもあっていかにもパッとしない内容だったが、いくつか気づいたポイントを確認していこう。



11連勝という11年ぶり(2017年以来)の記録

今回はチームにまさに「勝ちグセ」がついたということを感じさせる試合だった。

いつものように前半はスロースタート、後半に少し巻き返すという展開で、もちろんスポルティングは全体を通して決して悪くなかったが、アーセナルがこれまで対戦してきた相手と比べるとおおむねプレスの位置が低く、レノがよりチームに馴染んできたこともあるだろう、GKから始まるビルドアップではあまり苦労することはなかった。

しかし右のリクトシュタイナー、左のジャカといつもの超攻撃的なフルバックではなかったためか、中盤より前ではいつものようにワイドを使った流れるような攻撃の組み立てができない。

それでも90分を通して何度かいいチャンスをつくり、オバメヤンやウェルベックがシュートに持ち込むがどうもゴールが遠い。

49試合無敗とか、そういうレヴェルの記録ではないので選手たちに連勝のプレッシャーがあったとは思えないが、彼らもせっかくのいいムードをここで終わらせたくはなかっただろう。

77分、後半に交代で出場したトレイラのヴァーティカル・パスをオバメヤンがスルー(たぶん触ってない?)し、タイミングがずれたDFがもたついたボールをウェルベックがかっさらいそのまま走り込んでシュート。GKのマタを抜く美しいシュートが決まった。非常にウェルベックらしくないきれいなゴールだった。

いつもならそこから怒涛の攻めで複数得点を取っていたのかもしれないが、結局その1得点で終わり、そしてそれが試合を決めることとなった。

苦しくても美しくなくてもつまらなくても結果は出す。これを勝ちグセといわずしてなんといおう。

アーセナルで11連勝は07/08シーズン以来の連勝記録(12連勝)ということで、つぎの相手がクリスタル・パレスだということを考えると2007年の記録に並ぶ可能性は十分にあるだろう。

ちなみにPLの連勝記録を調べたところ、17/18シーズンのシティが18連勝をやったらしい。知らんがな。こっちはこっちで去年は大変だったんだから。

連勝に関していえば、今週末のCP、ミッドウィークのブラックプール(カラバオカップ)に勝つようなら、リヴァプールをエミレイツに迎える来週末のホームゲイムがまさに正念場となる。

アーセナルの現時点の好調さにすでに今季のタイトル候補に言及するメディアもちらほらあるくらいで、ここで最強チームのひとつであるリヴァプールに勝つようなことがあると、一気にトップ4はおろかタイトル本命サイドとみなされるかもしれない。

だってリヴァプールまで勝ち続けると14連勝だからね? そんなんもうインヴィンシブルって呼ぶわ。

セカンドハーフチーム

今季、11連勝と勝ちまくっているが前半の停滞~後半の改善という流れの試合が多く、エメリも前半での改善を課題にあげているくらいである。

ちなみにアーセナルは今季すべてのコンペティションですでに33得点上げているということで(※平均2.5ゴール/試合)、そのうち23点は後半の得点らしい。じつに70%。

エメリがハーフタイムにチームを調整して後半に改善するということが、「さすがタクティシャン、エメリ」とメディアやファンベイスでもわりとポジティヴに語られがちであるが、そもそもなぜに前半にいいパフォーマンスを発揮できないかということは、改善はもちろん探求の余地があるだろう。

なんでなん?

3番手ストライカー、ウェルベックの好調っぷり

ラカゼットにオバメヤンがいて、そのつぎと、エメリにとってのペッキングオーダーは3番めながら、試合に出れば得点にからむ好調ぶりで、サンチェスよりもよっぽど活躍していると話題。

ウェルベックはすでにシーズン始まって以来およそ3ヶ月ほどで、しかも短い出場時間ながら5得点上げており(PLで1、ELで2、EFLで2)、サンチェスが1月にマンUに移籍してからの得点(4)を上回ったとのこと。

この試合、たしか彼はけが明けだったはずだが、動きが非常にキレている印象で得点の予感はあった。

スクワッドデプスの面からも、ウェルベックが好調なことは非常に喜ばしいのだが、彼もまたラムジーと同じく今シーズン限りで契約が切れる選手で、ラムジーに比べると契約延長交渉の進展についてはほとんど情報が伝わってこないのが心配だ。

チームにとっては彼のようなヴァーサタイルなFWがサードチョイスでいてくれることはメリットしかないものの、27才というピーク年齢ゆえに、今後もカップ戦やリーグでのサブといったいまのような扱いが続くようなら、契約の延長は難しいような気がしてならない。

ところで、ウェルベックですら出場機会が少ないということで、エンケティアは出番はおろかベンチにすら入れない。あれだけの逸材をくすぶらせておくなんてもったいなさすぎる。1月にローンに出すべきという意見が多いが……。

ビッグスクワッドを持つってこういうことよね。。

エルネニーのアーセナルでの未来……

58分という早いタイミングでトレイラと交代されてしまったモー・エルネニー。Arseblogがエルネニーの興味深いスタッツを紹介していた。

  • 87% – パス成功率(27/31)アーセナルで6番目
  • 97% – ショートパスの割合
  • 12 – パスの平均メーター。15分以上プレイしたアーセナルの選手のなかでは最短
  • 22% – 縦パスの割合。32%はバックパス、42%は横パス
  • 0 –ボックス内へのパス。CBを除くフィールドプレイヤーで唯一のゼロ本

このスタッツが何を物語っているかというと、つまりエルネニーが中盤で短いパス&横または後ろへのパスばかりと、恐ろしくセーフティにプレイしていたということ。

安全というといかにもポジティヴに聴こえるかもしれないが、要するに無難で当たり障りのないプレイに終始していた。

ここではエルネニーをゲンドゥージ、トレイラと直接比較してはいないので、どれだけの差があるかはわからないが、彼らはかなり頻繁に縦パスを狙っている選手で、スタッツもおそらくだいぶ違うはずだ。

安全な横パスを選択しないからといって彼らのパスはとくにリスキーというわけでなく、パスの受け手がライン間やスペースにいて、ちゃんとパスを受ける余裕がある状況がわかったうえで適切なヴァーティカルパスを出している。

エルネニーのようなプレイが必要な試合も長いシーズンのなかにはあるはずだが、今回どちらがアーセナルの攻撃の組み立てに貢献していたかは明白である。

このArseblogのエントリでは、交代で入ったトレイラがいかにゲンドゥージのプレイを解放したかについても言及があるように、ゲンドゥージのパートナーとしてもエルネニーよりもトレイラのほうがより効果的だった。

この試合、ジャカがLBに入りレギュラーのトレイラを休ませ、PLではベンチに座ることが多いゲンドゥージとエルネニーのコンビでスタートしたが、とくにエルネニーはエメリを見返すどころか、残念ながらまったくの期待はずれに終わってしまった。

一方でゲンドゥージはBBCのMOTMに選ばれており(SkyのMOTMはホールディング)、試合に出ればいつもそうするように、19才という若さながら潜在能力の高さを見せつけている。

こうして、19才や22才のライヴァルたちにアーセナルでのCMとしてのプレイマナーを教わることになってしまったエルネニー。

この試合は彼にとってアーセナルの未来を占ううえでは、ちょっとしたターニングポイントになってしまった可能性があったような気がする。

トレイラと比べては誰もがかわいそうなのだけれどね。

ジャカのレフトバック

レスターで途中からジャカをLBにコンヴァートするという驚きの策に出たエメリが、今回はなんとスタートからジャカをLBに配置した。

フラミニとかヴェンゲルさんの時代からアーセナルではCMの選手をフルバックで使うことはたまにあったが(ラムジーだってRBでプレイしたことあったよね?)、チームのなかでもとくにフルバック適正のなさそうなジャカをそこで使うとは思わなかった。なんならエルネニーやゲンドゥージのほうがまだ適正があったのではないだろうか。

ジャカをあえてLBで起用したその効果は、どれだけあったのだろう。前述のArseblogのエントリによると。

  • 0 – ドリブルで抜いた回数
  • 3 – タックル(アーセナルで最多タイ)
  • 1 – インターセプション
  • 2 – クリア
  • 1 – チャンスクリエイト
  • 0 – ポゼッションロスト
  • 0 – クロス
  • 2 – ファウル

これも比較がないのではっきりしたことはいえないが、少なくともアーセナルのフルバックの数字ではない。ファイナルサードでチャレンジをした様子がない。実際、ジャカのヒートマップは見ていないがかなり後ろに重心が偏っているように思われる。

誰かが「オールドスクールなフルバック」という表現をしていたように、彼は上がりを自重しわりと3CBに近いポジショニングをしていたのではないか。

ぼくは以前に彼をCBにコンヴァートしてみたいと思っていたことがあるが、それは後ろからロングレンジのパス能力を活かしてほしかったからで、さすがに走力で勝負するFBは望んでいなかった。

しかし彼が前に上がらないというそのプレイが守備の安定をもたらして、スポルティングをSoTゼロに抑えてクリンシート達成だったら、それはそれでよかったのかもしれない。

いずれにせよLBが3人もいっぺんに離脱するなんてこともめったにないだろうし、アーセナルがふたたびジャカをLBで使うことはないだろうと思う。彼にLBで最大限の能力を発揮させるには、LBの役割のほうを彼に合わせなければならない。「ニセフルバック」だっけ? 知らんけど。

ホールディングの成長

BBCはマテゥがMOTMで、SKYはホールディングがMOTM。彼は成長著しく、一部のファンからはイングランドの若手DFのなかで最高の逸材のひとりとも。

Skyの短評を引用しよう。

木曜の夜、リスボンで、ホールディングはソクラティスのとなりで十分に成熟したすがたを見せた。スポルティングの脅威をことごとく潰すというモンスターパフォーマンス。

この23才はエメリの下で6試合連続でスタートから起用され、ボール扱いも快適な様子で、今季もっとも成長している選手のひとりだ。

いい。いいよ。イウォビやベレリンなどエメリの下でつぎつぎに若い選手が成長する姿を見せてくれるなんて、うれしいな。

試合については以上。

つぎの試合はPL。あさって日曜のクリスタル・パレス(A)。アウェイでランチタイム。COYG

おまけ

UEFA公式かな。こんなグラフィックが話題に。

グループステージのスクワッド・ヴァリューを比較したもの。右端の青い油クラブが圧倒的だが、われらレッドアーミーもなかなかのもの。やっぱりPLは金満だね。



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