つい先日、アーセナルの最近の移籍に関する話題をまとめたSky Sportsの記事「アーセナルの1月は忙しくなる?」で、ちらりと触れられていたモハメド・エルネニーの退団。
昨日あたりから急に多くのメディアがエルネニーの退団に言及し始めた。それによれば、アーセナルは1月にヴィヤレアルのMFパブロ・フォーナルスを狙っていて、彼の獲得資金を得るためにエルネニーの売却を検討しているというのだ。
フォーナルスといえば、以前にこのブログでラムジーの代替選手について書いたときに、一応ぼくのおすすめとして言及した選手だ。若く(22)とてもいい選手だという印象がある。
アーセナルはほんとうにエルネニーを売ってしまうのだろうか?
エメリ・アーセナルでのエルネニー
あらためて指摘するまでもなく、今季ウナイ・エメリがマネージャーに就任してからのアーセナルでは、トレイラやゲンドゥージといった今シーズンから新しく加入した選手の活躍もあり、セントラルMFの4番手(ジャカ、トレイラ、ゲンドゥージ、エルネニー)となってしまい、すっかり存在感がなくなってしまっていた。
今季の試合出場はELが3試合、EFLカップが1試合、EPLにいたっては出場時間ゼロということで、すべてのコンペティションで32試合に出場していた昨シーズンに比べても、チームにとっての重要度は劇的に下がってしまった。現在26才とピーク年齢のエルネニーが出場機会を求めて移籍を希望したとしてもおかしくはない。
もっとも、話題になっているのはもっぱらアーセナル(エメリ)が彼を今後どう処遇するかということばかりで、現時点では本人の意向はまだ伝えられていない。
現在の状況を考慮すれば当然もっとプレイできるチームに行きたいとは考えているだろうが、もしかすると今後もアーセナルでポジションを争いたいなんて殊勝なことを考えている可能性はある。アーセナルでもそういった選手をわれわれはしばしば見てきた。そしてたいがいはその後もうまくいかない。
彼は今年の3月に2022年まで契約を延長しているので、その時点ではアーセナルFCも本人もここで長くプレイするつもりだったはずだが、エメリが来てからのこのたった数ヶ月のあいだにだいぶ風向きが変わってしまった。
モハメド・エルネニーという選手の評価
今季劇的に出場機会が減っているといって、これまでのエルネニーがしっかりポジションを確保していたかというと、そんなこともない。
TMによると、アーセナルにおける彼のPL出場試合数とプレイタイムは以下のとおり。
15/16シーズン 11試合(794分)※1月の移籍
16/17シーズン 14試合(694分)
17/18シーズン 13試合(870分)
PLが年間38試合あることを考えると、15/16シーズンこそ冬に加入してそれなりに出場機会があったが、それ以降の2シーズンではだいたい年の1/3くらいの計算である。
プレミアリーグでは決してレギュラーとしてポジションをキープしたわけではなく、いわゆるスクワッドプレイヤー/ローテイションプレイヤーとして重宝されてきた。
また、CBで起用されるなど、彼の適性の評価についてはちょっとした混乱も見られたように思う(※CB経験が彼のCDMとしての能力を伸ばしたともいわれていたけど)。
意地悪ないい方をすれば、バックアップとして便利に使われてきたということだ。
本人には気の毒だが、本来レギュラーでプレイするクオリティの選手が入れば、押し出されてしまうのは致し方なかったのかもしれない。
エルネニーにとってのゲンドゥージの存在
深いポジションからボールを回すというプレイスタイルは、今シーズン加入しているマテオ・ゲンドゥージがまさにエルネニーの上位互換という感じで、パス能力(ロングレンジパス、ヴァーティカルパス)やボール奪取能力(タックル、インターセプション)など、ディープライイング・プレイメイカーやCDMに必要不可欠なアビリティのどれをとっても19才のゲンドゥージに軍配が上がる。
もちろんフットボーラーとしての経験は7才年長のエルネニーのほうがだいぶ上のはずだが、垣間見せる才能と伸びしろで、エメリがどちらに可能性を感じているかは明白だろう。
また、アーセナルは最近はずっとチームの「ビハインド・ザ・シーン」をSNSなどで積極的に公開しているが、ドレッシングルームでのプレゼンスにおいても、いつもニコニコしてムードメイカーとかひょうきんな人気者といった役割をゲンドゥージに奪われたように思えてならない。これはせつない。。
そんなゲンドゥージがCMのペッキングオーダーでは3番手で、さらにその先には、ファンが久しぶりに興奮しているジャカとトレイラという高性能なCMコンビがいるのだから、競争は激しい。出場は簡単なことではない。
エルネニーの移籍先はレスター?
昨日の報道では、レスター・シティがエルネニーの獲得に興味を持っているという。
Arsenal trying to offload Mohamed Elneny for £15m in January to fund move for Fornals
この記事によれば、夏にはマルセイユともリンクされていたが取り引きにはならず、今回アーセナルは15Mポンド程度のオファーがあればエルネニーを手放すつもりだという。
アーセナルのようなトップクラブにとっては、少しばかり能力が足りなかったかもしれないが、彼が使えない選手かといえばそんなことはない。
プレミアリーグでも中位のクラブであれば、十分にレギュラースターターを争えるくらいのクオリティはあるだろう。
また、プレミアリーグでなくとも、トップ5リーグのどこでもプレイできるくらいの経験も積んでいるはずだ。
むしろ、契約を延長したばかりでまだ4年近く契約を残していることを考えると、個人的にはもう少しもらったほうがいいように思うがどうだろう? 今後複数クラブが彼をめぐって争奪戦を繰り広げるようなことがあればいいのだが。
エメリが所望するというパブロ・フォーナルス
エメリがエルネニーを売ってまでほしいというパブロ・フォーナルス(Pablo Fornals)。※スペイン語では「フォルナルス」だけど、イングランドに来たらどうせフォーナルスと呼ばれるに決まってる。いや知らんけど。
ヴィヤレアルの22才。MF。スペインNTには2度招集されている。
フォーナルスとヴィヤレアルの契約には、17.8Mポンドのリリースクロースがあるということで、アーセナルはエルネニーを売却した資金を元手に、満額払って条項を発動させる意向だという。
そしてエルネニーが退団するということは、フォーナルスはラムジーの直接の代替ではないということ。
ぼくは以前フォーナルスをラムジーの代わりに取ればいいと思っていたが、エメリはラムジーをCMというよりもCAMの選手として考えており(そしてNo.10起用にこだわった)、やはりラムジーの代替にはCAMかあるいはウインガーのようなアタッカーを取るのだと思われる。
ところで、この一連のニュースでパブロ・フォーナルスを紹介するときに「やべえやつをぶっこんだ」という枕詞が毎回ついてくるので、YouTubeでググってみた。これか。※再生できないひとはYouTubeアプリとかで観られるかも。
これはヤべえやつ。
フォーナルスが来て、さらに右ウインガーとディフェンダーも? こりゃ1月は忙しくなるわ。
以上。
PS
ぼくだってエルネニーはどこにも行かないしフォーナルスも来ない確率のがずっと高いとは思ってんですけどね。
エルネニー、その風貌とトレーニング風景などから醸し出される良い人感から、愛さずにはいられないキャラですね。
プレイ内容もソツなく、といった印象なんですが、深刻なDM不足に悩んでいたチーム(のファン)からすると、物足りない感がどうしても。
バルサ戦の一矢報いるゴールは、ファンにプライドを取り戻してくれた一撃として自分の記憶に留めます。
いなくなる前提のコメントになってますが、年齢と置かれている状況を考えれば、ちゃんと試合に出られるチームで幸せになってもらいたいです。
応援してます。