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シュコドラン・ムスタフィが批判について語る「ぼくはターゲットにされた」

今朝起きたら、アーセナル世界はムスタフィのインタヴューの話題でもちきりだった。

ドイツ紙『Spiegel』のロングインタヴューで、ムスタフィは自身に向けられた理不尽な批判について語っていた。

彼がこの件についてちゃんと話すのは今回が初のことであるとのこと(以前にGOALかどこかでも少し話していたような気もするが)。

Weltmeister Shkodran Mustafi: “Ich bin zur Zielscheibe geworden”

ざっくり訳してみよう。※小見出しは訳者による。



「ワールドチャンピオンのムスタフィ『ぼくはターゲットにされた』」by Spiegel

イングランドで嘲笑や暴言のまとになっている漢は、ノースロンドンのケバブレストランで笑顔で佇んでいた。セルフサーヴィスのダイエットソーダの缶と氷の入ったグラス。ここは地下鉄の「Golders Green」駅のそばで、シュコドラン・ムスタフィはここでするメスト・エジルやセアド・コラシナツといったチームメイトたちとの食事が気に入っている。そこはエジルとコラシナツが7月に強盗に会った場所でもあるが、ムスタフィはこの場所に安全を感じている。

この27才はもっとも高額なジャーマンのCBだ。2016年アーセナルは彼に€40Mを払っている。ムスタフィは2014年にはジャーマニーでアルジェンティーナ相手にワールドチャンピオンにもなった。しかしその9ヶ月後、彼はロンドン子のあいだで見世物(attraction)になってしまう。アルジェンティーナと戦う水曜のDFBでスタートしなければ、ムスタフィはもはやNTのコーチのオプションではなくなっている。

この数シーズンのミステイクのあと、アーセナルファンがツイッターやインスタグラムで多数のフラストレイションをぶつけてくるおかげで、ムスタフィはコメント機能をロックすることになった。夏にはウナイ・エメリはムスタフィはクラブを去るべきであるとアナウンスした。しかし彼は残った。

そしていま、このディフェンダーはその批判やフットボールにおける感情の対処の困難さについて、初めて語っている。

「2018年以降、急におかしくなった」

SPIEGEL:ミスター・ムスタフィ、キミは世界で2番めにひどいディフェンダーなんですか?

ムスタフィ:ノー。そんなことないよ。

『Marca』が最近ワースト・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのユーザ投票をやって、150k人から、マンUのフィル・ジョーンズについで2番めに選ばれていた。

ヨーロッパのベストコーチの投票だったらどうなってたんだろって思うね。

この投票は、キミのDFとしての評判がいかに貶められているか示している。この数ヶ月で何があったんです?

2016年にアーセナルに移籍してから2年は、とてもうまくいっていたんだ。自分のことをパフォーマーだと思っていたよ。でも2018年のクリスマスのあとには、とたんにおかしなことになった。ぼくがいくつかミステイクをやって、それまで経験したこともないようなひどいことになったんだ。

それは2018年12月終わりのリヴァプールに5失点した試合かな?

ぼくはケガで3週間の離脱から、いきなりトレイニングなしで試合だったんだ。コーチに求められたからね。ハーフタイムで1-4だった。よくないことも何度かあったし、またそこでケガをしてしまった。その後には、ツイッターとインスタグラムでアーセナルファンからたくさんのネガティヴなコメントが来た。そしてぼくがひどく批判される記事が書かれるようになった。

あなたがペナルティの原因になって、守備でも失敗し、それでクリスタル・パレスに2-3で敗れた。そしてほかにもミステイクはあった。誰かがツイッターで書いていましたが、まるでローラースケイトをはいてプレイしているみたいだと。アーセナルファンのあいだでは、彼らはキミを売却するようクラブに求めもした。

ぼくだって自分がやったミステイクについては十分理解して自己批判もする。タフな批判にも耐えることだってできるよ。でも批判はエスカレイトして、不合理なものになっていった。ぼくはターゲットになったんだ。いつかなんて、みんながぼくに敗戦の責任を押し付けるようになった。試合でプレイしていなくてもだよ。

エスカレイトする批判。プティの批判について

SPIEGEL:8月中旬のタブロイド『The Sun』で記事にもなっていましたが、アーセナルステディアムの前にいたあなたの車をファンが写真に撮ってツイッターにアップしてこう書いた。フェラーリでパブへの道をブロックされたと。記事の見出しは「ブロックドラン・ムスタフィ(Blockdran Mustafi)」

ムスタフィ:それが狂気の極地だったね。ぼくはその日スクワッドに入っていなかったけど試合が観たかった。ステディアムへの道すがら車を少し止めて、そこは通れるかと訊いただけだ。彼は「ちょっと待って、すぐに通すよ」と云った。それが写真の真相だよ。もちろん誰かがパブへ行くのを妨害なんてしない。

しかし、キミへの批判はファンだけじゃなくフットボール業界からもあった。元アーセナルの選手で1998年にはワールドチャンピオンにもなったフランス人のエマニュエル・プティは、キミを「役立たずの王様(king of the fags)」だと云った。

一番腹が立ったのはそれさ。ファンやメディアから批判されることはある。でもピッチ上でどれだけ難しいかを知っている元選手からそんなふうに云われたときは話しが違う。選手がどれだけ傷つきやすいか、また尖ったことばがトリガーになりうるかということを理解してもらいたいんだ。

過去にそんなことがあっても、新聞でどんなふうに書かれていたかなんていつかはみんな忘れてしまうのかもしれない。今日だって、インターネット上ではぼくの残りのキャリアにまでつきまとってきている。

正直に云えば、プティのような元選手は、現役選手について上から目線で名指しでコメントするなんてことはやめるべきだ。

批判への対処

SPIEGEL:ファンがつくったアーセナルでのミステイクを集めたコンピレイションヴィデオがYouTubeにありますね。彼の名前は「Mustafi must leave(ムスタフィは退団しろ)」。そのヴィデオは180万回も再生されています。観ましたか?

ムスタフィ:ノー。ぼくにも自衛は必要だ。

こういったものにどう対処する?

ぼくにも自分のことが信じられなくなった日があったりもしたよ。でも気づいたのは、ぼくはメンタリーに強いということさ。妻にもかなり助けられてる。「もしみんなが云うほどアンタが悪い選手だったら、ワールドチャンピオンにもなってないしアーセナルの選手でもなかった。アンタをここまで連れてきたものがあるはずだよ」。それからぼくはそういうことにうまく対処できるようになったんだ。

2014年にワールドチャンピオンになったのは、トーナメントが始まる少し前にマルコ・ロイスに変わって選ばれてからでした。そのあとキミはこう云った。「われわれの仕事のもっとも難しい部分は、感情に対処すること」と。いまはそれができている?

フットボールにおいては、いまもまだそれが最重要のことだよ。調子がいいとき、調子に乗りすぎないようにしなければならない。それだと自分が楽しめなかったりするよね。落ち込んでいるときは、あまり落ち込みすぎないよう注意する。ぼくはどちらも経験している。

プロフェッショナルとして、感情を閉じ込めるほうがいいのかな?

ノー。ちゃんとした感情の使い方を学ぶ必要があるってことだよ。調子が最高みたいなときは、そのポジティヴな感情を自分をインプルーヴするために使う。インスパイヤされるんだ。いま落ちているとしよう。そのときはネガティヴな感情にやはりモチヴェイトされる。自分にこう語りかけるんだ。また閉じこもるのはイヤだ。それに仲間たちにも申し訳ない。それもまたぼくを動かしてくれる。

どうやって感情への対処の仕方を学んでいますか? なにか心理学的なアレで?

ノー。これは自分で乗り越えてきたんだと思う。ぼくにとっては、もしこんなことで押しつぶされて試合への渇望がなくなってしまうとしたら、それは危険警報なんだ。トレイニングで笑われなかったとしてもね。でもそんなことにはならなかった。仕事においての友人たちもずっといる。家族の助けだってある。

ソーシャルメディアの影響

SPIEGEL:今日の選手たちは、かつてとは違ったものを受け取っているのしょうか?

ムスタフィ:フットボールはますます思いやりに欠けたものになっている。ソーシャルメディアがそれを助長してもいる。誰もが匿名でコメントできるし。みんなが直接フラストレイションをぶつけることができる。

選手としては、ソーシャルメディアからは大きな恩恵もあるはずです。自分から発信もできるし、宣伝だってできる。選手はブランドみたいにだってなれます。

そのとおり。それでも、ぼくはそこには限界があると思っているんだ。いまはスポーツだけに限らず、多くのLIKESを得るために誰かをこき下ろしたりする。将来的にはぼくはそこにより制限がかかるのを期待する。インターネットに上がったものは絶対に消えない。ぼくが心配しているのは、それがぼくの子どもたちに影響しないかということなんだ。

戦力外を告げられてなおクラブに残った理由

SPIEGEL:ファンからの中傷や、夏のウナイ・エメリからの発言によれば、キミはクラブを去るべきだという。でもキミはまだアーセナルの選手です。なぜ?

ムスタフィ:夏には移籍を検討していた。でもどの移籍にも満足できなかった。もちろん、どういう条件があったとしても、アーセナルがぼくの放出を決める可能性もあった。

ぼくはこう理解していたんだ。つぎの移籍が自分のキャリアにとってとんでもなく重要になると。もしその移籍がぼくにあまりフィットしないようなものだったら、移籍したって状況は大して改善しない。だから残った。未来に向けてはオープンだよ。ブンデスリーガでもね。

「アーセナルで仕事に戻るところから」

SPIEGEL:水曜にはジャーマンNTはアルジェンティーナとフレンドリーで戦います。2017年のコンフェデカップのあとでは一度だけです。これはどうなりましたか? ヨアキム・ロウはなぜ自分に頼らないか説明はありましたか?

ムスタフィ:2018のワールドカップの前に電話があったよ。コーチからはぼくはチームには入らないと聞いた。でもそれはわかってたことだった。だってぼくはその前にも呼ばれていなかったのだから。でも自分が呼ばれないことは当然だとは思わない。それ以来、突っ込んだ話しはしていないね。

(NTへの参加)それが希望?

どこが進歩するかを話すべきなんだと思う。まずはアーセナルで仕事に戻らねばならない。ELでもリーグカップでも、この前はプレイしたけれど、クリンシートで勝った。ぼくには、それがものごとを向上させる一縷の望みなんだ。

以上。

インタヴュアーが聞きにくいこともズバズバ聞いててすごいし、それに答えるムスティも。メンタルつよし。

8 Comments on “シュコドラン・ムスタフィが批判について語る「ぼくはターゲットにされた」

  1. プレイは批判されてもしょうがないこともあると思いますが、人間の否定はいけませんね。さらにいうと、個人のエラーに見えるものも、マクロに見ればマネージャーの戦術的欠陥であることもあり得るわけで。

    チェンさんのリツイートで海外の反応をたまに見ることがありますが、ウィットに富んだジョークに見えるものも人によってはひどい嘲笑に見えることもあるわけで。

    チェンさんも一言一句に気を付けてられると思いますが、これからも楽しみにしてますので、がんばってください。

    1. どもども。毎度です。

      そう。最近はけっこう気をつけていますね。以前はもっと感情に任せて書いていたけど、誰かがこれを読んでるんだと思うと、あんまり無責任なことも書けないなと。若いひとも読んでるかもしれないし。

      おれもいい年して大人になりましたよ。

  2. いつも楽しみに読んでいます。

    さて、この話題について。
    難しいですね。本当に難しい。
    映画撮ったことない奴が映画の批判するな問題とまるっきり同じで、僕らがどれだけ努力したところでムスタフィのフットボールスキルの足元どころか地下百メートルにも及ばないのは自明のことなのに、僕らは偉そうに批評する。
    本来はそんなことは許されないことだと思いつつ、それがプロスポーツの世界だと、もっと言えばそういう僕らがいるからプロスポーツの世界は成立しているわけだと。

    ファンである僕らは、出来るだけ我がチームの選手たちを愛し、信じ、サポートし、気持ちよくプレーさせてあげるべきだと思う。
    でも、チームの負けにつながるようなプレーを見過ごし、まあ次頑張ってくれればいいやアハハと平和ボケしているわけにもいかない。
    構造として、サポートしながら、批評もしなければいけない。
    選手たちと僕らは近いようで、全く遠く、コシェルニの気持ちがわからないまま退団したように、四六時中アーセナル のことを考え、こんなに愛していながらも選手たちのパーソナリティのことをこれっぽっちも理解できないという構造。
    そこにうすら冷たいものを感じ、悲しくなりながら記事を読みました。
    行き過ぎな批判は想像力の欠如によって起こるものでしょうけれど、数十人の生身の人間の集団が何億の人間に見つめられ、しかも互いに打ち明けたコミュニケーションがないという構造こそが、問題の根源であり、しかしそれがプロスポーツというかプロフットボールの世界なのだと少しやり場のない気持ちになりました。

  3. 有名になれば悪意ある批判に晒される機会は増えますよね。
    サッカー選手もそうだし、ブログのコメント欄だってそう。
    理不尽な文句を言ってくる層が一定数いるのは確かです。
    メンタルが強くないと、活動を続けるのが難しい時代です。
    このブログはその点、読者や選手を傷つけないような表現を、
    丁寧に言葉を選んで書いてらっしゃると思います。相当しんどい作業だと思います。
    (chanさんもご自愛くださいませ)
    個人的には、近年のムスタフィーは批判されてしかるべきプレーをしてましたし、
    非難の的になるのはしょうがなかった面もあったかと思います。
    …が人格否定だったり人種差別となると話は別ですよね。プレー関係ないし。
    ムスタフィーの今後バウンスバックに期待。

    1. 次はぺぺが批判のターゲットになると思うので、ぺぺにもほんと頑張って欲しい。ゴールが欲しいですね。

  4. 僕はアーセナル歴が全くもって浅いので、SNS上でclownのように振る舞っている彼の姿しか知らなかったのですが、このインタビューを読むと結構シリアスで繊細な人なのかなと感じました。彼がスタッツ上ではとても良いのに酷いポカをやらかすのは、メンタリーな問題の可能性という以前の指摘もなるほどなと思いました。

    SNS上の姿は、センシティブな内面を隠し取り繕うための振る舞いだったのかもと。カップ戦で自信をつけてバウンスバックに期待したいです。

  5. 発言する動機の問題だと思う。
    最初からフラストレーションを撒き散らしたくて発言してる人は論外だ。

    悪いプレーを悪いと言うのがいけないとは、僕には思えない。
    実際に、ムスタフィのプレーは悪かった。
    明らかな自分のミスをGKのせいにするジェスチャーもあった。あれは擁護のしようがない。

    ただ観客は、しょせん自分たちは外野だと自覚しなきゃダメだと思う。
    フィールド上の誰よりも俯瞰してよく見える観客は、プレーヤーよりもずっと有利な立場だ。
    その眼で何かがわかったからと言って、それ自体には意味はない。誰でもそうなんだから。

    そして今ムスタフィ良くないね、どうすりゃ良いのかねコレ。という話題を楽しむ努力をすべきだと思う。
    それには自制心と節度が欠かせないと思う。
    (自分を振り返ってそう思いますw)

  6. 失礼します
    事実より人々の意見が反映される世の中ですからね
    危険ですよ

    これまでのアーセナルの多くのディフェンスと同じく、アスリート能力が高く一対一が強い
    高いレベルと言っていいスライディングも持っている

    エメリになってディフェンスラインが裏を取られることや相手と一対一になる場面は格段に減りましたから
    前線からパスコースを外に限定してセンターバックは面で弾き返す役割が増えてホールディングが自信を深める一方、ムスタフィはいまいち持ち味を出せず自信が集中力、パフォーマンスに影響した印象です

    ホールディングの一対一が強くなったわけではないです
    監督が求める役割が違いますから二年目までムスタフィは活躍できていました

    それでも昨年リーグ31試合スタメンです
    移籍金と契約年数考慮したクラブの合理的判断もわかります

    キャリアの大事な決断が上手くいってほしいものです

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