hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Ljungberg, Tactics

フレディ・ユングバーグの好む戦術。U-23時代のコーチぶりから Part.2

守備での脆弱性

そこにはたっぷりのアタッキングフットボールがあったが、ときにはスクラッピーなこともあった。連続したパス、あるいはポゼッションを長く続けること、それとボールを回そうとすること、これらはフレディのスタイルではなかった。

フレディのスタイルにおけるメイジャーな問題は、ふたりのCBがカウンターアタックの際に孤立してしまうことがたびたびあったということ。

フレディのプレイスタイルではチーム全体が攻撃に参加するが、守備になるとふたりのCBが置き去りにされてしまう。

アーセナルのファンがこれをわかりやすく知りたいというのなら、今シーズンのリヴァプール(A)を思い出してほしい。リヴァプールのふたりのCBがハーフウェイライン上で、ぺぺとオバメヤンが後ろのスペイスを見つけようとするのをいかに守ったか。

まさにあれが、チーム全体が高く押し上げ両FBが攻撃に参加したとき、フレディの2CBが陥る状況だ。

フレディのシステムは、PLのスピードある相手に対してかなり脆弱になる可能性がある。もし彼のMFたちが、仮にNo.10ぽくプレイして守備が必要なときに戻ってこなかったら。

フレディのシステムでは、選手たちは動き続けてチームメイトがパスをできるようスペイスをアンロックすることが求められる。

アーセナルではそれをメスト・エジルよりうまくできる選手はいないが、そこに問題がある。フレディの4-3-3のなかにNo.10の居場所がないこと。もしエジルがフロント3のなかでプレイすれば、彼のシステムのなかで攻撃の幅を台無しにしかねない。

フレディを批判するわけではないが、単に観察としたものとして、その落とし穴にはまる傾向はすでにノリッチでも見られた。

フレディが3CMに頼るのは、そのうちのふたりが前にプッシュしてボックスに入るか、あるいはひとりはフランクで後ろにとどまりミッドフィールドをコントロールするため。

エジルを活かすために4-2-3-1へのスウィッチすることは、つまり攻撃に参加するCMのひとりを諦めることになるが、それでも守備での脆弱なところは残る。

フレディのシステムがアーセナルで成功するためには、守備の問題を片付ける必要がある。そして果たしていま彼のチームに守備をリードできる個人がいるかということ。わたしにはわからない。

明るい面を見れば、それは「いつうまくいくか」ということになる。フレディのヴェンゲルボールは、ヴェンゲルのそれさえ上回るほど美しい。もし攻撃が守備よりも美しいのなら、それはより恐ろしいということだ。

もしアーセナルはファン・ダイクのようなCBとサインすることができるのなら、フレディのシステムはクロップやペップのような成功をもたらすだろう。しかしそういうコマがいなければ、OGSのように悪くなりかねない。

以上

うーん。すばらしい洞察。ジョージ・バードの短いインタヴューよりだいぶ詳しく読み応えがある。

ヴェンゲル・チルドレン

これ、すごく簡単に云うとFLのスタイルは、ヴェンゲルさんぽいってことだなと。

ボールを持ち続けることを好まず、速い攻撃を好むということで、ときにボールを持ちすぎたヴェンゲルさんのアーセナルを少しモダンにアップデートしたスタイルという。4-2-3-1ではなく、4-3-3を好むのもいま風である。

彼がU-23でやっていたことをそのままやろうとすれば、守備では問題になる。ノリッチのように攻撃ではうまくいくが、カウンターで簡単にやられるみたいな。

しかし、リヴァプールもVVDで劇的に守備が改善したことを考えれば、戦術の洗練も必要だが、補強が決定的な要素になりうる。今シーズン、ソクラティスやルイスがここまで悪くなるとは思わなかったので、いずれにせよCBの補強はやはり最高プライオリティだろう。

来シーズンのサリバにはもちろん期待したいが、来年になってもまだ19才。大きすぎる期待はできない。

エジルの起用についても気になった。

エメリ末期という最近のアーセナルでは、ボールを持てないチームのなかでエジルが救世主のような存在になりつつあったが、そもそもモダンなセットアップのなかでクラシックNo.10の居場所がない論はずっとあり続けているわけで、チームが健全に成長すればいずれエジルは役割を終える。

来シーズン、エジル(夏に残り契約1年)はどうなるんでしょうな。

ということで、始まったばかりでまだどう転ぶかわからない暫定ヘッドコーチだが、彼もまたマネージャーとしてどう成長していくか、どうPLに適応していくか見守りたいところ。これで1ヶ月でお役御免とかになったら、本人もがっかりだろうなあ。

 

おわる



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

5 Comments on “フレディ・ユングバーグの好む戦術。U-23時代のコーチぶりから Part.2

  1. いつもお疲れ様です。

    エジルについて。現実的に彼の年齢、他に代わりのいなさそうという特殊なスキルから見ても彼を活かす戦術をメインに据えるのは将来的に考えて得策じゃないでしょうね。チーム全体の問題なのか、今シーズンはスタメンで出たときは前半輝き、後半消えるっていう印象があるので、オプションとしてジョーカー的に使うってのが個人的にはいいのかなと思います。

    とはいえ、代わりのいない特殊なスキルだからこそ、もっと僕らを魅せてほしいってのもあるんですけどねえ。

    とにかく、エジルについては後腐れないような形でアーセナルでのキャリアを終えられたらいいですねえ。

  2. 記事ありがとうございます!
    この文面を見るとやっぱりトレイラスタートが欲しいなぁと思うばかりです

  3. FLの目指す方向性、よく理解できました。明日のミッドウィークが楽しみです。
    守備でいえば、ティアニー、ホールディング、トレイラとマルティネッリを先発させてほしい。
    チェンバースとホールディングに最終ラインまかせて。AMNを右で。MFはウィロックとゲンドゥージにして、後半65分から、ジャカエジル、みたいな。

  4. またタイムリーな記事を。しかも和訳付き。これは嬉しい。

    面白いなと思ったのは、際立ってゴールまでの手数が少ないという所。
    ポゼッションに軸足を置きながら、ハイプレスと速攻を組み合わせたストーミングの要素を強く意識してると思う。
    言うまでもなく、これはごく最近のグアルディオラと同じ方向性だ。

    もちろん経験値は足りないし、メンバー構成にも偏りがあるので難しい要素を上げればキリがない。
    ただ僕が気に入ってるのは、ふてぶてしいくらい落ち着いてて楽しげなところ。指揮官はああでなければ。
    あれを見てて、日韓W杯のときにセネガルのサポーターが歌ってた歌を思い出した。
    「フットボールは難しくない。フットボールを楽しもう!!」

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *