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【マッチレビュー】19/20UEL R32 1stレグ オリンピアコス vs アーセナル(20/Feb/2020)おつとめ完了の巻

試合の論点

オリンピアコス vs アーセナルのトーキングポインツ。

アウェイでクリンシート。守備改善がつづく

今シーズンここまで国内リーグでは無敗、ホームではとくに強く、CLバイエルンに1回敗けただけというオリンピアコスに無失点で勝利。苦しみながらではあったものの、アウェイに弱いわれらならなおさら高く評価できるだろう。

この勝利でアーセナルは2020年はまだ敗け知らず。先日CLでリヴァプール(v アトレチ)とPSG(v BVB)が敗けたおかげで、今年に入ってからヨーロッパの5メイジャーリーグで無敗クラブはアーセナルのみということ。ワーストだとかベストだとか、どうにも極端な記録が生み出されがちなアーセナルである。

アーセナルはこれで3試合連続のクリンシートで(※すべてのコンペティション)、アルテタ時代になってから11試合で5試合が無失点。この失点数の改善はちょっとしたインパクトではないだろうか。

⚪ vs Bournemouth (A) 1-1
🔴 vs Chelsea (H) 1-2
✅ vs Manchester United (H) 2-0
✅ vs Leeds (H)  1-0
⚪ vs Crystal Palace (A) 1-1 *R
⚪ vs Sheffield United (H) 1-1
⚪ vs Chelsea (A) 2-2 *R
✅ vs Bournemouth (A) 1-2
⚪ vs Burnley (A) 0-0
✅ vs Newcastle United (H) 4-0
✅ vs Olympiacos (A) 0-1

*R=red card

だんだんとよくなっているという見方も特別ひいき目ということでもないだろう。今年に入り9試合で無敗でついに3試合連続クリンシートだ。日曜のエヴァートンで結果が出れば、アルテタのチームにとっては初めての3連勝でさらにインフォームが裏付けられるはず。

ただ、結果は出ているものの、このチームにはいまだいくつかの懸案があることは否めない。

チームセレクション:ラカゼットとオバメヤンの解決できないアンバランス

現在のチームの懸案のひとつで、この試合でも出ていたのは、アタッカーのアンバランス=オバメヤンをCFで使わない問題。このブログではしつこいほどこの疑問について書いているけれど、これまで同様、アルテタの意向はわかっていても、どうもそこは納得しにくい。今回もまたあらためてそう思った。

この試合でもまたオバメヤンはワイドに配置され、さらに今回はパパがRCB(3CB)ぽいポジショニングだったため、なんならウイングバックに近いロールで、多くの時間でセカンドストライカーですらなかったという指摘もある。ぼくもわりと同意見だ。試合中のメモにも「バメやんWB!?」って書いてある。

アルテタのやりたいことは理解できるし、ラカゼットに寄せる期待も信頼も理解できる。だからいまの組み合わせや配置ですべてうまく行くのなら何の問題もないと思う。が、現状ではあまりうまくいっていない。このチームの目下の課題は攻撃だ。

今回ラカゼットは終盤のゴールで何かめでたしめでたしのようになっているが(まあNUFCからの連続ゴールだしアウェイでの得点も久しぶりだったのだから喜んで当然)、そこまでに大きなチャンスを何度か外していることは見逃すべきではない。アルテタも云っていたようにもう2点くらいは入っていてもおかしくなかった。もし今回81分のゴールがなく無得点で試合を終えていたら、この件はもっと追求されていたに違いない。

痛いのは、いまのラカゼットはシュートがなかなか決まらないだけでなくホールドアッププレイ(いわゆるポストプレイ)がプアで、あのポジションとロールで周りを活かすことも十分にできていないこと。今回、ライン間に落ちてきて後ろから来たボールに触っても、なかなかそこから展開できないシーンも目立った。

あえてオバメヤンをCFに置かないという犠牲を払ってまでこれをやるのは、ラカゼットに得点以外の貢献が求められているからなのだから、そこがあまり効いていないのは困っちゃう。

得点力だけでなくいま全般的にフォームを落としていて、本来の能力が出せていないという「彼ならもっとやれる論」もぼくは受け入れられる。実際もっとうまくやれるだろうし。もちろんラカのアップトップを全否定はしない。

でも、ラカゼットの復調を信じて彼のためにあえてそこで使うことで、まごうことなきチームのモウストクリニカルフィニッシャーをゴールにもっとも近い場所で使えないのでは、払う代償がちと大きすぎやしないか?と思うわけです。少なくともそれがわれらの攻撃にとってベストな選択かと問われれば首を捻らざるを得ないような。どうでしょうね。

今回アルテタ自身が、試合後のコメントで「適材適所」について触れているのがちょっと皮肉に思えたものだ(※サカに関する部分)。

一番得点が期待できる選手を、一番得点できる可能性ある場所で使わないのはなぜですか?っていう単純すぎる疑問。拭えないなあ。ぼかあフットボール素人なので、余計に納得できる説明がほしくなってしまう。

今回はとくに、ありがたいことにオリンピアコスがえらい攻撃的で、トランジションでは相手ハーフにいっぱいスペイスがあったから、なおさらバメやんにはおあつらえ向きだったのに。

まあこれを機に?ラカゼットが?ますます自信を深めて?フォームが改善していけば?オバメヤン含めてチーム全体の恩恵にはなるのだろうけど。それにしてもバメやんをなあ……(以下ループ)。

チームセレクション:なぜそこにパパ? アルテタのAMNへの評価

もうひとつチームセレクションで、RBの件。パパが珍しいポジションで起用がどうこうというより、選ばれなかったAMNについて。

ぼくもそうだけどRBのペッキングオーダーはベレリンのつぎはAMNだとみんな思っていたからか、パパのRB起用に驚いていたひとが多い。せめてそこはムスタフィだろうってのもあった。

実際パパは、バルブエナ(このひと久しぶりに観たよね……)対策で3CBのRCB的にプレイしていたようだから、よりパパのほうが適役だったとも云えるは云えるのだろうけど、普段そこはベレリンがプレイしているのだから、ふつうに考えればCB専をそこで起用するよりはAMNを選ぶほうが自然だった。

どちて?

ファースト11が発表されたあと、この件についておなじみのgunnerblog氏が興味深い見解を述べていた。

AMNはどうもアルテタの下でペッキングオーダーを下げている。考えていたのだけど、アルテタの過去発言を思い出した。サカのフルバックについて述べていたこと。関係あるんじゃね?

その過去発言というのはサカについてのコメントで、ざっとまとめると「サカは一所懸命フルバックに適応しようとがんばってる。チームのために犠牲になろうとしてる。いざそのポジションでうまくいかなければ「自分のポジションじゃないから」といい訳もできるがそんなことはしない。逆に学ぼうとする。すごくよくやってる」という。

これはサカへの称賛コメントだが、AMNのことが念頭に置かれながらのコメントだと考えると、また違った印象で読めなくもない。

AMNはもちろん、エメリにFBで起用されながらも「ぼくはディフェンダーじゃない」と公の場で発言したことがずいぶん話題になった(Sky Sportsのインタヴュー)。考えようによっては、ボスの意向に真っ向から対立する発言で、あのときチームでの大きなディシプリナリー問題に発展していてもおかしくなかった。

仮にこれがアルテタの下での発言だったらどうだったろう。アルテタはそれを許すだろうか? アティチュードやコミットメントといった、前向きなメンタリティをつねに選手に求めるアルテタが。

AMNは先日のゲンドゥージのように真正面からボスと衝突したわけでもないだろうし(まあその件の真相はわからないが…)、今回はベンチにも入っていて短いながらプレイもしているので、すぐに何か劇的な変化があるようには思えないが、ベレリンが戻ってからはベンチからも外れ気味なことを考えると、どうもアルテタはAMNについていい印象を持っていないのかもしれない。

ベレリンの復帰前、アルテタはRBでプレイしていたAMNについてもサカと同様、慣れないポジションに適応しようとトライしているとポジティヴ発言をしていたものだが、このところめっきりサカばかりで、AMNの影が薄く。今回の件で、さらにそういった憶測が囁かれることになりそうだ。

セドリック獲得のときにも少し書いたように、AMNはいまかなり微妙な位置にいるのは間違いない。今後どうなるか、AMNについてはまたいずれ書くことになるかもしれない。

おっとこの件は試合と直接関係なかったか。失敬。

久々のプレイはどうだったか? タッチ「3」じゃ判断できない。。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

22 Comments on “【マッチレビュー】19/20UEL R32 1stレグ オリンピアコス vs アーセナル(20/Feb/2020)おつとめ完了の巻

  1. オーバとラカの共存なんてずっと上手くいってないんですから、私もどちらかファーストか決めるべきだと思います。
    そもそもベンゲルがオーバ取ったのはラカが不甲斐なかったからですので答えは明白でしょうが
    FWは結局得点が全てですから

  2. 必勝でも無かった試合で勝利。
    クリーンシートでアウェイゴールと。
    内容的には最&高とは言えないものの良くやりましたよね。

    あと全然関係無いんですけど、鎌田大地のwikiを見に行ったら
    “UEFAヨーロッパリーグGL第5節アーセナルFC戦でEL初得点を含む2ゴールを挙げる活躍を見せ、チームを勝利に導いた。その結果、当時アーセナルの監督であったウナイ・エメリは解任され、サポーターからはアーセナルの救世主と言われるようになった”
    て書いてあってワロた w
    COYG

  3. 初戦を手堅くまとめた感じかなと。

    右SBソクラテスはオーバの助けにはならなかったし、守備でもスピードでやられてたと思う。ただ少なくともサカはそれほど中に絞らなくて済んだので、リスクを抑えた戦い方だったんじゃないだろうか。(僕のメモには「エメリがあと5年やってたらこんな感じ?」とある。w)

    ラカをエンケティアに替えた時でもオーバはウイングだったから、オーバの主な役割は相手を引っ張ってスペースを作る事なのかも。ある意味これ以上のデコイはいないだろうし、若手にいきなりそういう柔軟性は期待できないだろうから。。。だとしても贅沢な話じゃあるけどナ。

  4. ラカゼットのあのゴール、シティがいつもやってる王者パターンのやつですね。しかしあのゴールのきっかけとなるロングフィードはムスタフィからだったような…彼もまたアルテタによって覚醒した男。
    それにしてもおれたちのブカヨやばいっすね。
    来シーズンのヨーロッパ次第で更新しぶってるてゆうニュースを見ますが、何言ってんのって感じです。
    日曜が楽しみですね。

  5. 先制点の起点になったムスタフィのピンポイントロングパスに触れずに一本のパスミスに触れてバカにするとか、どんだけムスタフィ嫌いなん?

  6. ギリシャ出身、会見にも出たということでローテの意味も含めソクラテスは選択されると思ったけどRBとは驚き。
    それほどルイス・ムスタフィの信頼が厚いということですかね。
    ソクラテスは使いたい。だけどルイス・ムスタフィのCBコンビは変えたくない。そんな感じなのか。
    ナイルズはどうなんでしょうね。
    上記のような意味合いからか評価が低いのか。

    ただ最近ベンチメンバーから外れてたのは使いたい選手が多くてベンチ枠が足りないからという可能性も。
    ベンチ枠7人をGK1CB1MF3FW2orGK1CB1SB1MF3FW1orGK1CB1SB1MF2FW2とか。(この試合は違うけど)
    使われてもおかしくない選手がベンチ外にならざるを得ない感じ。
    モチベコントロールもあるし難しい。
    褒めようにも試合に出たり質問されなければ発言しないかもだし。
    全部可能性なだけでしかないので何ともあれですが。

  7. われわれが求め得る最高の結果だったと思います。やはり結果を求めるには全体最適が必要で、割りをくう選手がでるのは歪めないかと。具体的にいうと我スカのセカンドオプションです。ヨーロッパと国内の2つでスカッド編成組めることが確実なチームに比べ、我らの状況はどちらも俵に足かけている状況で余裕がない。常にベストの布陣、を考えたとき、絶好調で伸びしろがあるブカヨ中心の左のストロングポイントに比べ、アウェイかつ相手が攻撃的なときは右側が守備的にバランスをとる(ホームのニューカッソーのように相手が引く・左も右も攻撃的布陣がとれる場合は異なるが)、割り食うのはエミマル、AMN、ネルソン、コラシナツ。折しも、継続的にでている選手が絶好調・フォームを改善している(ルイス、ジャカ、レノ)ので、ここは好循環でかえずらい。これ、既視感あるんですが、ベンゲル時代を感じるんですよね。何が不安かというと怪我・・・ルイス、ジャカ、レノは怪我につよそうだけど、やはり適切なローテは必要になってくる、という意味では、日曜のセレクション本当に期待ですね。そして、エミマル、AMN、ネルソン、コラシナツ、ボスを練習場で”Very surprising”させて、ポジション奪うガッツみせてほしい。出ていくのではなく。

  8. 敵地1-0勝利の時(2-0, 3-0でも同じ話)、”貴重なアウェイゴール”みたいな表現をしょっちゅう見るが、1-0は敵地1点差勝利の中で一番価値の低いスコアなんだよね。

    2戦終了時のタイスコアを想定すれば、よくて延長なわけで。こちらのアウェイゴールはアドバンテージにならんよ。

    1. アウェイゴール否定論すか。。こりゃやっかいな。「2-0が一番危険なスコア」みたいな思考回路か。

      まあマージンが十分じゃないってのは同意だけど、今回は「betterな結果」ですなおに喜べばいいとおれは思いますけどね。もっと悪い結果もありえたのだし。

      1. 否定ではなく1-0の場合はアウェイゴールが関連する可能性がないのです。
        試合中に1-1になれば貴重なアウェイゴールですが。なので結果が確定した後に貴重なアウェイゴールで勝利ではなく、アウェイで勝利しましたが正解という話です。
        ホームでアウェイチームに…
        1点取られる:このまま試合終了なら延長、1点取り返したら引き分けで勝利。
        2点以上取られる:アウェイゴールに関係なく得失点差で敗北、2点取ってもアウェイゴール差で敗北。
        引き分け以上はアウェイゴールに関係なく勝ち上がりです。
        結果で有利になったのでアウェイゴールで有利になったわけではないというのを混同してる人が多いという
        というのはこの間解説の方もツイッターでおっしゃってましたね。

        1. すごい考えてしまった。なんとなく理解した。たぶん。

          おっしゃりたいのは、要するに今回は点差に関係なく勝利に価値があるだけで、アウェイでの得点数が特別な価値を持つ「アウェイゴールルール」の恩恵を受けているわけではないって話ですよね。違うかな。

          オリンピアコスがエミレーツで1点以上取って勝てば、結果は2レグで1勝1敗だけどアウェイゴールルールによって彼らが勝ち抜ける。それが「貴重なアウェイゴール」だと。

          「アウェイゴール」は特殊な状況下で初めて意味が生まれる専門用語であるからして濫用するなと。そういう話ですかね。

          まあでも今回のようなケイスは今後もやっぱり「貴重なアウェイゴール」って書いちゃいそうだなあ。セカンドレグで0-1以上で敗けない限りは勝ち抜けなわけで、勝たなくてもドロウでもいいのだから、試合前のニュートラルな状況から比べれば勝ち抜けのチャンスが広がったことには変わりない。しかも後半は有利な場所で戦える。

          やあ、貴重な話をどうも。あんまり考えたことなかったけど、なるほどと思いました。

      2. Replyが出来なかったのでもう一度こちらに。
        「アウェイゴール否定論」という見出しだったのでアウェイゴールの話をしたまでで、感情としてアウェイの地でゴールを喜ぶのは普通の表現であると思います。
        でもよく読んだらたしかにそう取れる原文でした。余計なお世話でしたね。いつも長いエントリーありがとうございます。

  9. ラカゼットの出来る事とオーバの出来る事の幅の結果、ワイドも出来るという点で今の配置ですけどラカを外した場合はマルティネッリ・オーバ・ぺぺですかね。やったこと無いけど2TOPで並べるとか?こうした方が決定的に改善すると言えるほどの効果は疑問ですね。
    後ファンはすっかり忘れているかもしれないけど今期はエメリがシュート打たれすぎで解任されました。どう考えてもまずは守備の改善です。それは一朝一夕で進めるほど簡単な事とは思えず、将来的にはフィロソフィなパスゲームに戻るとボスは言ってますけどすぐそれが体現できるとは言っていません。
    以前出してくれた通りシュートが減って、チャンスが減っている事実があるのでしょうけど失点が減っていけばようやく次の話になるはず。クロップだって今のチームに仕上がるまで4年かかってますから。

  10. オーバの件は繰り返しになっちゃいますが、守備のクオリティとチームの現状の全体のバランスとしての選択かなぁと。オーバの守備でのスピードの貢献も大きいし試合結果にも出ているのではとも。
    あと可能性を加えるならサイドの選手の数。サイドで使える信頼できる選手がアルテタの中でオーバ、ペペ、マルティネッリ(サカもかもだけど)なんじゃないかな。前線は攻撃守備による運動量が高いと思うしローテーションも必要になりやすいのではないかと。オーバをCFにするとサイドのローテーションが全く出来ない、ローテーションでクオリティを維持するのが難しいということにもなるかと。戦術的にも変えないと難しくなる可能性も。それは(エメリの時にも批判されたのかもだけど)望ましくないのかもしれない。まずは今のシステムややり方、ベースを全員に浸透させるという段階なのかも。ま、オーバがサイドなのがもどかしいのは自分もなのですが(笑)

  11. オーバをトップで使わないのは、オーバとの契約がムリポで、来シーズンのトップ予定のラカゼットやエンティケアを今から使ってるとか…

    1. オバメヤンの使い方を見てると自分もそうじゃないかと思ってしまいます。
      移籍して来季いないであろうオバメヤンに頼らないチームづくりをしてるんじゃないかと
      ただ完全に外すわけにはいかないってところなのかな?根拠は全くないですが

  12. https://twitter.com/benmabley/status/1230708488466157568?s=21

    アウェイゴールに関してはベン・メイブリー氏のTweetでも話題になったましたね。(釈迦説だったら失敬)
    オレも海外サッカー見始めて20年くらい経ちますが、初めて気付きました。
    気付いた上でも「TPOにかかわらずアウェイゴールは貴重だ」と考えてしまうんですけどね。苦笑

    1. リンクどもです。このベンさんのと同じ話でしたね。彼が問題提起していたのか。。

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