試合の論点
サウサンプトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
貴重なアウェイ勝利
CL/ELを目指すうえで、残り10試合の予想が大変にトリッキーだったのがアウェイマッチ。
毎回指摘するのが苦痛だがアーセナルは今シーズンもアウェイで鬼のように弱く、今回の勝利でようやく3回めのアウェイ勝利である。
16試合でやっと3勝。アウェイでの勝率は驚きの18.7%。アウェイでレッドカードもらう率と同じじゃねえか(笑い)。
PLでの残りアウェイは3試合。ウォルヴズ、ToT、ヴィラ。ここでどれだけポインツが稼げるかが勝負の分かれ目になりそうだ。
ちなみにこのアウェイの3勝、エメリ、FL、アルテタで1勝づつらしい。たしかに。てかどんだけ。
しつこいMF問題
2連敗した内容に比べれば今回はそこまで悪くなかったかもしれないが、今回は多くの時間帯で、セインツのハイライン・ハイプレッシングというゲイムプランにまんまとハマっていたように思える。彼らのインテンスなハイプレッシングにアーセナルはタジタジになってしまったようだった。
詳しいスタッツは調べていないが、ぼくはアーセナルが前半にあんまりオウンハーフでボールを失うのでたいそうがっかりしてしまった。毎度プレッシングにあたふたし、まったく平凡なチームにしか見えなかった。逆に云えばセインツはかなりよくやっていた。
そんな状況下で、ボールを持ってもエメリ時代と似たような「Uシェイプ」でしかビルドアップができず、なかなかボールを前に運べない。アウェイとはいえポゼッションで負けているのは、そういった相手のプレッシングがハマった時間帯がとても多かったからだろう。
バックからのプレイではGKとCBの負担がとても重い。ボールを持てばいつでも待ち構えている相手のFWに詰め寄られ、奪われるリスクにさらされながらのプレイを強いられていた。あれではいつかやられてしまう。
そして、それはFBもCMも似たような状況だった。厳しいマークでボールを持ってもすぐに寄せられ、バックパスに逃げなければ、すぐに囲まれボールを奪われてしまう。ボールを受けたとき前へ行くのか行かないのか、判断のスピードもだいぶ試されていた。
相手がかなり前掛かりになっているというのに、それでいてロングボールで状況が打開できるかといえばそんなこともなく。アーセナルのFWにはヘッダーで競り合うような選手はいないので、ハイボールを送られてもキープできる可能性はそもそも低いのだ。
ボールを持ったときに自分たちの思いどおりのプレイがなかなかできないことには、ほんとうに観ていてイライラさせられた。
今回はビルドアップのなかで、ベレリンが何度もミスパスをやったりボールを奪われるなど悪目立ちしていたが、ぼくはやっぱりこの問題においても決定的に重要なのはやはりミッドフィールドのクオリティだと思った。毎回同じようなことを書くのは、いつまでたってもそれが同じだからだ。いまのアーセナルのプレス耐性のなさといったらもう、PLでも下から数えたほうが早そうである。少なくともサウサンプトンの選手たちのほうがよほどアーセナルのプレスをうまくいなしていた。
今回だとジャカに、セバーヨス。彼らがCBやFBからボールを受けて前に展開しなければならないが、狭いスペイスでボールを奪われないのがやっとという感じでどうにも余裕がない。あの狭いスペイスをかいくぐって気の利いたボールを出せるような選手、あるいは選手コンビネイションでなければ、アーセナルのMF問題は解決しないのではないか。
ジャカはファンのあいだでは賛否はあれど、やはりいるといないとではまったく違う。でも逆に云えば彼が輝いて見えるほどアーセナルのMFは劣化しているということだ。彼も相変わらず単足で左足に持ち替えるのに時間がかかり、致命的なエラーこそやらなかったものの、危なっかしい場面もいくつかあった。
セバーヨスにいたっては、ぼくは個人的に彼のプレイを観るたびに、ますます平凡な選手に見えてきてしまっている。
He completed as many passes into the final third today (three) as Emi Martinez.
— James Benge (@jamesbenge) June 25, 2020
セバーヨスはPLリスタートから連続でプレイしているが、この3試合のパスについてそれぞれアキュラシーは80%、76%、76%ということで、アーセナルの中心でプレイするにはあまりにも物足りない。それがチャレンジングなパスの企てが多いのならまだしも、この試合でのファイナルサードへのパスはたった3つで、それはエミマルと同じ数だということ。
8月にはRMに戻るということで、もう彼のアーセナルでのキャリアも終わりが見えているので、いまさら嘆いたところでどうにもならないが、とにかく来シーズン以降のアーセナル再生のカギはMFにありとしか云えない。
若干蛇足ながら、もうひとつMF問題のひとつだと思われるのは、£72Mのニコラ・ペペが効果的に使われていないこと。彼はまったく宝の持ち腐れになっている。相手DFが待ち構えているところに、RB(ベレリン)から苦し紛れのパスを寄越されていてはエメリ時代と同じである。この悪循環で彼の評価が下がっていく、そして彼が自信を失っていくというのは不幸でしかない。
MFが改善されれば、彼は絶対に活きる。とぼくはまだ信じている。
良かった選手
もちろん筆頭はサカ。彼はセバーヨスと逆に試合で観るたびによくなっていくように見える。左のWBロールを今回もまた大変よくプレイしていた。
ボスからの信頼も厚く、なんとアルテタの下でもっともプレイタイムが長いのがサカらしい。これも驚いた。
Minutes played all competitions under Mikel Arteta
1336 Saka
1301 Xhaka
1251 Luiz
1240 Leno
1177 Aubameyang
1055 Mustafi
1037 Lacazette
1028 Pepe
976 Ozil
805 Bellerin— Orbinho (@Orbinho) June 25, 2020
逆にエジルは、PLリスタートからまったくプレイしておらず。2017年にクラブと巨額で契約延長してからポッシブルプレイタイムの50%にも満たないのだとか(49%)。お荷物すなあ。ぼかあ、こんな試合なら、MFに彼がいてほしかったけれど。
それとAFC公式、BBC、SkyでMOTMに選ばれたロブ・ホールディング。
Your #SOUARS Man of the Match?
You know… 🎵😉
Well played, @RobHolding95 👏 pic.twitter.com/9OSRYLECwT
— Arsenal (@Arsenal) June 25, 2020
いまでも彼を過大評価だと考えているファンがいるようだが、ケガをする前までは彼がアーセナルのなかではベストCBだったことに疑いはない。まあ比較対象がアレだというのは認めるけど。でも、こうやって彼が重症を乗り越えてまた活躍をしてくれたことがぼくはとてもうれしい。
彼がスクワッドのなかの確かな戦力として計算できるなら、アーセナルにとっては大きなプラスだろう。
エンケティア、オバメヤン、ティアニーらもよかったが、あともうひとりだけ勝利の立役者を挙げるならば、やはりエミ・マルティネス。78分、彼が片手一本でシュートを防いだあの重要なセイヴがなければ、試合はどうなっていたかわからない。
モダンなGKとしては、キックの精度には若干不満はあるが、オバメヤンに一本で通したロングボールにはしびれた。シティやリヴァプールといった強いチームにはアレがある。モダンゲイムでは全体がコンパクトになっているので、GKのロングボールの精度は大きな武器になっている。このチームにはオバメヤンやペペといったカウンターで活きる選手が揃っているので、とくに相性がよい。また見たいものだ。
試合については、とりあえずそんなところ。
ホールディングはグラウンダーのパスが非常に柔らかいと思う。
ちょっとずれたパスでもクルッと回って何事もなかったかのように処理するとか。足元を繋ぐ事に関して、やっぱりこの子は才能あるなあと思った次第。
ただ、言えば問題はフィードなのかなと思う。
イーブンのフィードは蹴れるけど、標的の足元にピタリと落ちるわけじゃないのが。ウチはイーブンボールを競れるFWが本当にいなくなったから。。。
ジャカやマリのように正確なフィードを持ってる選手がいる時は、足元を正確に繋ぐことが決定的なパスに繋がるのかなと。
このチームでの明るい未来が待ってて欲しいもんです。
中断期間も含めて、久々のリーグ戦勝利がとにかく嬉しい!
ジャカ好きの私には彼が90分出てこそのアーセナルなので、そういった意味でも久々にアーセナルの試合を楽しめました ムスティの緊張感にも懐かしさを感じて、なんだかんだ好きだなぁ、とw
エディ、ジョー、ペペ、サカ、マルチネスと、推しの選手が多く見れたのも幸せ 特にロブとKTは、補強に頼らぬ守備の改善策である可能性を感じさせてくれました あとはベレリンの調子ですねぇ
MFは非常に大きな問題ですね。間で受ける選手がいないのか出せないのかわかりませんが縦パスが全然入りませんでしたし。セインツはスパッと入ったりしてずっとモヤモヤしていた試合でした
相変わらずジャカへの評価が…
まぁ過去にも批判的な内容のエントリをアップしてましたし、そういう見方になっちゃってるんでしょうが。
パスの受け手や、チーム全体のポジショニング整理の問題だと思いますけどね。ジャカはコースさえ空いてれば、距離関係なく通せますから
ベジェリンにしても、左と右サイドでは組み立て方も配置も全く違ってて、周りのサポートの問題や、単なる疲労もあるでしょう。
更新お疲れ様です。
マッカーシーのおかげで先制点が取れたので、
まだ楽に上手くゲームに入れたんじゃないかと思います。
監督も相当頭を悩ませていると思いますが、
今の継ぎはぎのようなチームで
プレミアリーグのプレスをパスサッカーで対応するのは難しいでしょうね。
MFを変えればいいような単純な問題ではないと思いました。
(モドリッチみたいな選手を連れてくれば、
プレスをかいくぐってくれるでしょうが現実的ではないですね)
ハイライン、ハイプレッシングでがんばったチームが負けるという
アーセナルみたいな話
ポロッとした守備のミスがいかに命取りか
勝ったことを素直に喜びたい。
しかし、なんでこんなにシュート打てないんでしょうね。シュートのない試合はホントに見てておもしろくない。
バックからのつなぎもうまくいかないから長いの蹴ってロストの繰り返し、セントラルの2人は苦し紛れのクリアみたいのがポーンと高く上がるのを何度かやってましたが、あれはないなぁと。
8番は最初のころは来年も主力でと思ってましたが今は毎試合出てもインパクトなさすぎ。レアルに返すのならナイルズあそこで使う方がいい。
チェルシーvsシティのハイライト見ました。試合のクオリティやばいですね、どうしてここまで差がついたのか。あのシティが負けてたし。チェルシーは夏にビッグディールをすでにいくつも決めてて、それも若いこれからのタレント。うちはバックラインのレンタル組の延長だけってもうほんとミドルクラブかよと。あたしもアトレチコからとるよりウパメカノやレスターのエンディディとった方が絶対いいと思います。
早くマルティネリのハツラツプレー見たいな。
ぺぺを活かせてなかったのは、中盤以上にベジェリンとのコンビネーションの問題に見えました。ベジェリンが担当している5レーンの右大外は、相手DFを剥がす質的優位が必要なタスクですが、昔の彼のようにスピードでちぎれなくなっており、かつこの試合のようにパスミスオンパレードだと怪我明けとはいえちょっと厳しすぎる…。彼のメンタリティやキャプテンシーには一目置いていますが、現パフォーマンスだと彼を起用するメリットが見当たらないです。その分来季ボーフムで活躍中のオセイ=トゥトゥに期待したい。