長期プロジェクトで未来に投資しない矛盾
ダブスタついでにもうひとつ。
If Mustafi and Kolasinac are in the squad and Saliba isn’t, this is not a “long term project”, it is a “must win now” project and should be judged absolutely on immediate results.
— Tim Stillman (@Stillberto) December 22, 2020
ムスタフィやコラシナツのような選手がサリバよりも優先されるのであれば、それはすでに「長期プロジェクト」ではないという指摘。「いま絶対勝て」というチームでプレイするなら、アルテタはいまこの瞬間の結果で評価されていなければおかしいと。
正論すぎてイヤになるね。なにかと長期プロジェクトをエクスキューズにするわりには、実際にやっていることは……という。今回の試合だけでなく、アルテタはどう見てもこのクラブにとって未来のないシニア選手に頼っている。それでしのげることがあるならまだしも、逆にいつもいつも期待が裏切られているのが皮肉すぎる。
これはクラブが「長期プロジェクト」にどれだけ本気かという話でもある。極論、現状の結果を犠牲にしてでも、真剣に2年後、3年後のチームのためになることを優先するかどうか。それは、いまいかにも中途半端になってしまっているよう見える。ぼくは、アルテタがやろうとしていることを完全に否定する気などないが、現状はあらゆることが裏目裏目になってしまっているようにしか見えない。
彼らのようなクラブでの未来はもうほとんどないシニア選手たちの今回のパフォーマンスを見れば、未来そのものである選手に経験を積ませるほうがよほど有意義だった。
若く経験が不足している選手を起用して彼らがミステイクをすれば、いつものように一部の頭のおかしいバカちんどもが批判をするかもしれないが、そんなことは若い選手を使うときにはチームはいつだって覚悟しなきゃならないことだ。彼らの将来を考えて慎重になっているといえば聞こえはいいが、なんだか単にリスクをかける勇気がないみたいじゃないか。
アルテタは先日サリバについて、彼がプレイするにはまだ前にまだ2-3人はいるとペッキングオーダーについても述べていたが、移籍金に€30Mもの大金が支払われるような特別な18才もそうした順番を待たねばならないだろうか。チームを強くしてくれる特別な選手だと信じたからこそ、普通じゃないリスクをかけて彼を獲得したのではないのか。つねに既存のペッキングオーダーを優先するなら、サカやマルティネリなどいつまでたっても出てこない。
サリバのエイジェント(弁護士)がいまロンドンに来ているということで、彼の1月のローンは確実だと思われるが(本人もそれを望んでいるというがいまの扱いなら当然だろう)、ここまでのクラブのサリバの扱いかたを見ていると、彼のこのクラブでの将来が不安でならない。去年から今年、彼を巡ってはいろいろな状況があったというのは確かだろうが、いまはもう彼を使わないいい訳にしか聞こえなくなってきた。
今回ぼくは、ESRやバロガンといったつぎにレギュラーになるのを待っている選手たちも、短い時間ながら自分たちのやれること、可能性を見せたと感じている。だが、これでも相変わらず彼らはベンチ外で我慢しなければならないんだろうか。
今シーズン、彼らがファーストチームで活躍を見せてきた試合では、相手のクオリティが劣るので割り引いて見るべきという考えかたは当然あった。だが、今回マンシティのようなチームを相手であっても、ぼくには彼らのパフォーマンスは非常に明るく頼もしいもののように観えた。少なくともアーセナルのチームのなかでは、彼らが劣っているなんてちっとも思わなかったし、埋もれているとも思わなかった。キラリと光るものは見せた。
バロガンが19才で、ESRが20才。サリバは19才。そして、サカが18才でマルティネリが19才。
年齢を基準に選手の準備具合を判断するのは、そろそろ止めにしてはどうだろう。このチームのベストプレイヤーはもう10代だということを認めねばならない。経験がないのは当然だが、こういう小さな機会でも、そこで見せたパフォーマンスで成長や適応を判断すべきではないか。アルテタは彼らのことを「我慢が必要な選手」という云い方をしていたが、彼らはもうわりと我慢をしているようにも見える。
サカやマルティネリがブレイクしたのは、リスクをかけて彼らを起用した判断があったからであり、ESRやバロガンも、もうしっかりチャンスを与えてもいい頃のように思える。とくにESRは、いまチームが必要としているプロファイルそのものを持っている。ブレイクスルーするならまさにいまではないのか。
この状況のなか、アーセナルの冬のトップターゲットは、クリエイティヴMFとRCBだと噂されているが、ESRやサリバのような選手たちはどのような心境でこういう噂を聞くのか非常に興味深い。
自分はまだ若いし未熟だからボスから信頼がなくてもしょうがない、新しい選手が来くるなら、彼らのつぎにはプレイできるようぼくもがんばらなくちゃ。そんなふうに都合よく思ってくれるだろうか。プレイする機会をちゃんと与えてくれるクラブに行きたいと思うほうが、よほど自然に思える。ましてや、チームのなかでも年少のサカがブレイクしているのは目の当たりにしていて、いまヨーロッパのトップリーグでもこれだけ若い選手が活躍しているのだから、そこで貪欲にならないほうが不自然だ。
ESRはともかく、サリバはリーグ・アンというトップレヴェルであれだけプレイ経験があって、パートナーだったフォファナがPLクラブで毎週プレイしているのを見れば、なぜ自分がプレイできないのか、チャンスすら与えられないのか、理解ができないんじゃないか。
ちなみに、アルテタが「彼はチームに残りたがっている」と主張していうフォラリン・バロガンは、いまクラブとの新契約の交渉は進んでおらず、強い関心があるというイタリアやドイツへの海外移籍に本人も前向きだという報道がある。ありそうなことだ。事もあろうに、他のクラブのほうが選手を正しく評価しているなんてことはアーセナルにおいてはまったく珍しくない。
彼を夏にフリーで失うことになれば(そして彼がこの先ビッグプレイヤーになれば)、いまをひどく後悔することになるかもしれない。ESRやサリバだってそうならない保証はない。
クリス・ウィートリーがウィリアム・サリバの一連の件をまとめる記事を書いていた。とてもよくまとまっているので、一読をおすすめしたい。
William Saliba’s continued exile poses January transfer dilemma for Arsenal
この記事によれば、サリバはなぜ自分がチームに参加していないか、クラブから説明すらされていないということ。信じられる?
今シーズンの当初、彼にはNo.4シャツが与えられた。そのとき誰もがそれは彼のクラブでの将来が約束されたものだと感じたはず。それが、どうしてこうなった。
マルティネリの対応で露呈。繰り返されるメディカル判断の甘さ
この試合のマルティネリのパフォーマンスは驚くべきものだった。ひとりだけ違うエンジンを積んでいたみたいだった。
9ヶ月ぶりのスタートであのパフォーマンスなのだから、やっぱり彼は特別な選手だ。オーラが違う。
あのケガはもちろん非常に残念だったが、結局大きなケガにはならなさそうで一安心だ。おなじみのグーナードクターは「蹴られたとき足が浮いていたので大きな力は加わっていない」と云っていたし、また本人も試合後には大丈夫だとtweetしている。
Feeling fine and ready to go again ❤️🙏🏻 pic.twitter.com/WMc8PfNuEv
— Gabriel Martinelli (@g_martinelli01) December 23, 2020
それはよしとして。
彼は43分にアレをやって、治療を受けたのちにピッチに戻った。そして、すぐにハーフタイムへ。後半彼は出てきたが、5分ももたずに自ら交代を要求。すごく心配になる流れだった。
これってすごい既視感。
パーティのときと同じである。試合後のアルテタの「釈明」も同じである。本人がプッシュして、プレイを続けたがった。だからプレイさせた。
これは問題あるのでは?
限られた短い時間でメディカルな評価をするときに、そのケガをどう感じているか本人の説明も重視されるというのは想像に難くないが、それでも選手本人のことばを信じることは負傷処置として適切だったのか。5分ももたずに走れなくなるほどの負傷ならば、その徴候がまったく見えなかったとは思えない。パーティとマルティネリと立て続けに同じようなことが起きれば、どうしたってその判断に疑いを持たざるを得ない。
間違った判断でケガを悪化させることだってあるだろう。
今回は、マルティネリの足は腫れていた(swelling up)とアルテタは述べているので、もしかしたらHTのときよりもケガの度合いは悪くなっていた可能性がある。
なぜ今回もこうしたことが起きたのか理由を想像するに、パーティもマルティネリもチームのなかで替えのきかない選手だったというのが考えられる。多少無理をさせても、ピッチに残ってほしかった。本音を云えばそういうことだろう。
しかし、だとしても、やはり優先するべきは選手の安全や健康だった。これはカップファイナルとか、足が折れてもプレイを続けるみたいなことが必要な試合でもなんでもない。どちらかといえば、ほかの重要な試合のために、むしろ無理をしてはいけない試合だ。
今回のことで、マルティネリの活躍ぶりと合わせて、彼がまたこれで何週間も離脱するようなことを考えてみてほしい。まったくゾッとしないじゃないか。
ぼくはパーティとマルティネリは、今シーズン、アルテタの命運を左右する存在だと思う。今回のマルティネリのパフォーマンスを観て確信した。きっと彼らの活躍なしにこのチームが上向くことはない。チームを救ってくれるかもしれないと期待できる、とても数少ない選手だ。だからこそ、もっともっと大切に扱ってもらいたい。
今後のチームのメディカル評価は、あらためて方針を再確認すべきだ。短期間に同じことが2度も繰り返されるなどふつうじゃない。
試合については以上。
ついヒートアップして長く書いてしまった。読んでくれてありがとうお疲れさまです。
つぎの試合は土曜のPLチェルシー(H)。いわゆるボクシングデイなフィクスチャ。
アーセナルのファンはしっかりクリスマスを楽しんでおこう、なぜならボクシングデイには憂鬱のどん底に叩き込まれるから。という笑えないジョーク。
まあこの前も書いたけれど、この試合は悟りの境地のような心境で観るべき試合であり、結果に一喜一憂していてはいけない。本当の試練はそのあとの5試合だ。
この苦しみはまだまだつづくだろう(予言)。まあそれも土曜までひとまず忘れてもらって。
COYG & メリー・クリスマス
勝つ勝たない以前に、このクラブは何かがおかしい。言えないこともあるだろうからアルテタの言葉を全てそのまま鵜呑みにはしないにしても、選手の獲得けら選手の扱い、負傷時の対応までもどんどん首を傾げる所が多くなっている事がとても心配です。
ムスタフィは噂のバルサが獲ったら面白いのに。ついでにコラシナツもセットで(笑)
泣いた。
もちろん全然状況は違うけど、今季のバルサは積極的に若手を使ってる。
結果は伴っていなくても(PL15位のチームのファンに言われたくは無いだろうけど)先を見据えた、革新に着手している事は見て取れる。
アルテタも革新を期待されて抜擢されたんじゃ無かろうか?
若手を使うのが、絶対的正義て事でも無いけど、チグハグなのは感じていたところ。
もう一度読み返して、泣きます。
メリクリ
アルテタ、これだけ期待していたのに、蓋を開けたら“若手を使わないエメリ”だったとは…
本当は上層部に何か言われてるのだろうと、思っていたが、それすらも最近はこちらが勝手にアルテタを高く見積もっていて、アルテタ本人が決めている事なのではないか?と思うようになってきました。
何もかもがエメリ末期のデジャヴ………
chanさんのブログは同じ試合結果でも切り込むポイントが色々あって読んでいて、救われます。
救われますね。
とてもウイットに富んだ表現で、感じるモヤモヤを言語化されていて心の拠り所にさせて貰っています。
ま、勝ってた時の方が格段楽しく読めましたけどね!(チェンさんのせいでは無い)
“若手を使わないエメリ”。。。
“ベンゲルとペップのハイブリッド”では無かったのか。。。
COYG
素人ですが、メディカルの判断については非常に難しいからしょうがないかなと思います。
機器を使えるならともかく、触診だけで怪我の程度なんかはっきりわかるはずない。本人が出来るといえば、まずは行かせるのが当然でしょう。脳震とうみたいに交代枠使えるならともかく、さらにPLは交代枠3人のうちのひとつを使わないといけないわけですし。
ただ、今回のガビのケースではHT中にもう少し詳しい経過観察できたでしょうから、トーマスとは違うケースでしょうけども。
ガブリエルが通用してるというか、うちでNo.1のCBなのに、リーグアンで同格とみられてたサリバが通用しない理由がわからんのだよなあ。せめてムスタフィよりはまともなプレイしてくれるじゃないかと思う
いやはや、レビューお疲れ様です。
バログンはこの起用方法が続くなら移籍でしょうね。
下であれだけ結果出したのに上ではアピールの機会も碌に与えられないんじゃ致し方なし。
レギュラーが突出した成績残してる訳でもないのに。
カップ戦でスタメン張れないんだったらどこで使ってもらえるんだか…。
僕はとにかく若手出せって思ってる訳ではないんですけど、あまりにも聖域が多すぎる。
年齢が上になる程結果が全てでは。
それでも何やかんや土曜日は頑張って観るんですけども。
COYG
ルイスのときもすぐ交代しなかったっすね。
フットボール観戦の初心者が今シーズンのアーセナルを見ても、きっとファンにはならないだろうな。
いつからこうなっちゃったのか。
キーパーからボールをつなぐのも理由があったはずなののに、もう1年になるし選手もあまりかわってないのに、なんでうまくできないのでしょう。
どうなることがうまくできたことになるかは、見ててよくわかりませんけど、ゴールとゆうよりシュートも打てないのだから、悲しすぎです。
いつも悲しすぎ。
マルティネッリと周りの温度差がやばかったですね。彼には申し訳ない気持ちになってくる。
ESR、バロガン、ネルソン、マルティネッリ、パーティ…アーセナルの未来が壊れていく…これでサカとウィロックになにかあれば目も当てられない。単刀直入に言って、アルテタはもはやマネージメント出来てないし、ここは一旦交代でしょう。
ベンゲルイズムの有望なユースが久しぶりに沢山出てきてるのに全く使わない現状はウンザリですな
アーセナルにしては、10代の選手を大枚はたいて獲得したのに、
2年もトップチームで試しもしないなんて・・・
3・4年我慢しますから、ヤング グナー達の未来を感じさせて欲しいです。
今日も頑張って応援しますから。
COYG
サリバに関していえばアルデタが欲して獲得した選手ではないので使われなくても仕方ないんじゃないですかね
それでも責任を追及するならアルテタではなく獲得に関与した人間を責めるべきだと思う