試合の論点
ウォルヴズ vs アーセナルのトーキングポインツ。
チームとしてさらなる進歩を見せたファーストハーフ
今シーズンのベストパフォーマンスのひとつだったろう。わしのメモはびっしりである。
サカもぺぺもみんなよかったが、ひとりだけチームのベストパフォーマーを選ぶとなれば、ぼくはやはりトーマス・パーティ。彼はMFのロールスロイスだった。彼の存在がどれだけ攻撃に貢献したか。
47分にあの事案が起きる直前までは、非常に非常にポジティヴだった(※レノのGKが2分のアディショナルタイムが終わる10秒前。レノが蹴った時点でレフが笛を吹いてもおかしくなかった)。
ダヴィド・ルイス、ふたたびのギルティ
最初にクリアにしておかねばならないことは、あのレッドカード&ペナルティの決断はコントラヴァーシャルであることは間違いないが、そもそもなぜあのプレイが起きたかということ。そこは区別せにゃならぬ。
おそらくあそこは、ディフェンスの選手たちはちょっと気を抜いていただろうと思う。アディショナルタイムは時間を浪費しようという時間帯だった。
かなり充実した前半だったこともあるだろう。気づかぬうちに集中力はいつも以上に消耗していたかもしれない。ランニングハイというのか。そしてもういつ笛が吹かれてもおかしくない時間帯で、あと何秒か時間をやり過ごすだけ。相手をクオリティで圧倒した充実感のなかで、もう終わったつもりになってしまっていた。その一瞬を突かれた。そうじゃなきゃリーグでもトップレヴェルの鉄壁ディフェンスがあんなふうには崩されない。
相手のストライカーのランに対して、ロブホとベレリンは並走するが、一歩か二歩出遅れたのがルイスだった。
そこはルイスのギルティだった。
それとボックスのなかでトップスピードで後ろからあんなに相手に近づいたことも。ボックスのなかでは何でも起きうるということは、ディフェンダーなら肝に銘じていなければならないだろうに。
だから、この件については、まずはダヴィド・ルイス本人のある程度の過失は認めないわけにはいかない。
しかし、そこでのレフの決断はまた別の話になる。試合を180度変える大きな大きな決断だった。ウナイ・エメリのファーストシーズン、たった1ポイントでCLを逃した苦々しい記憶を思い出せば、なんならシーズンに影響する重大な決断になった可能性すらある。
あれはレッドカードに値するファウルだったのか?
試合後のアーセナル界隈でまさに大合唱となっていたのは、ルイスのプレイに対するレッドカード&ペナルティの判定が「Double jeopardy」(※ひとつの罪で2度罰せられること)ではないかということ。
それと、そもそもあれは故意じゃないしレッドカードじゃないという指摘も多い。
アルテタは接触そのものがなかったと主張しているが、見たところ、わずかな接触はあったようには見える。処分を受けた直後のルイスの反応からしても、まったく接触がなかった選手の反応には見えない。
ちなみに、いわゆるレッドカード要件としての「決定機の阻止」については、英国ではだいぶ前に「ゴールスコアリングオポチュニティをディナイするファウルをしても、それでオートマチックにセントオフにはならない」とルールが改定されていた。それまではボックス内での決定機を阻止するファウルには、レッドカード、ペナルティ、バンと「トリプルパニッシュメント」があったが、いまは故意でなければ(アクシデンタルなら)、レッドカードの代わりに注意が与えられると。
2016年のBBC Sportsの記事。
Goalscoring chance red card rule changed
なので、あのプレイがレッドカードに値するかどうかは、それが故意かそうでないかでジャッジされなければならない。
Genuine question – what’s the difference between an accidental handball (being waved away) and this accidental knee clip being a pen & red card? pic.twitter.com/qYVdJAyZRJ
— Adrian Clarke (@adrianjclarke) February 2, 2021
マーク・クラッテンバーグのような有名レフェリーや、ポール・マーソン、ジョン・テリー、シャカ・ヒスロップのような多くの識者もあの判定には疑問を呈しているが(あれが正当な判断だったという主張はぼくはひとつも見ていない)、この試合のあとにサウサンプトンに9-0で勝利したマンUのソールシャールのコメントも興味深い。
OGS:おかしなことなんだけど、試合前にレフェリーと話したんだよ。ダヴィド・ルイスのセントオフについてどう思うか。だってわたしはあれがセントオフだと思わなかったし、Bednarek(※セインツ 86分に退場)だってまったくセントオフだとは思わなかった。
このあと彼はルール上は決定機を阻止すればレッドカードになると述べているが、それはおそらく認識違いだろうと思われる。それはいいとして。
たしかに、あれを100%ノットギルティと主張するのは、若干気が引けるかもしれない。
ルイスはタックルすらしていないとは云うものの、彼は相手のストライカーを後ろから追いかけていたわけで、彼は自分があそこまで相手に近づいていることはわかっていた。そこでわずかではあっても接触があったとして、絶対に故意ではないと云い切れるか。仮にぶつかる相手がまったく見えていなかったときと合わせて考えてみれば、故意性が疑われる可能性は皆無とは云えない。
だが、これまでの事例等を鑑みれば、あれを100%ギルティと判定することにまったく躊躇しないというのもまたおかしい。
PLの一部のレフェリーはアーセナルに対して厳しい判定をしすぎるのではないか。バイアスがあるのではないか。いまに始まったことではないが、ずっとアーセナルのファンがモヤモヤを抱いていた不満の感情が今回のことで爆発していた。
vsアーセナルにバイアスはあるのか問題
その男、クレイグ・ポウソン(Craig Pawson)。この試合のレフ。
Arsenal have lost their last four Premier League games with Craig Pawson in charge.
— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2021
ちなみに彼がレフを務めてアーセナルが敗けた直近4試合というのは、ウォルヴズ、レスター、リヴァプール、チェルシー。
レスターは、ムスタフィがヴァーディに顔を蹴られ無罪。そしてジャカがGKの視界を妨げたとして明らかなゴールが認められなかった試合。そしてリヴァプールはマネがKTに肘鉄をくらわしてイエローカードをなぜか回避。2枚でセントオフを免れた試合。さらにチェルシーは、ウィナーをぶっこんだジョルジーニョだが、その前には2枚めのイエローカードでこれまたなぜか免れ、セントオフ回避されていた試合。
どれも最近の試合だから、すべて覚えている。これはさすがにかなりの偏りを感じる。
でも、アーセナルが不利な判定をするレフェリーは、彼だけではない。
Arsenal 2020/21 – A short story pic.twitter.com/yIw6iCGl9M
— Gilles 🇳🇬🇬🇧 (@GrimandiTweetss) February 3, 2021
そもそもアーセナルは極端にレッドカードが多すぎる。
Red cards since Mikel Arteta was appointed
9 Arsenal
3 Norwich
3 Fulham
3 Everton
3 Brighton
3 WBA
3 Leicester
3 Man City
3 Palace
3 Sheff Utd— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2021
たしかにレッドカードがふさわしい愚かなプレイもあるが、ちゃんとした基準で裁かれているのかどうか。
アトキンソン。。。
この件は根深い。
いずれまとめて書くような機会があれば、書いてみよう。
アルテタのプレス会見でも質問されていたように、今回ルイスのレッドカードについて、クラブがPLにアピールするという話が出ているが、もしPLが誤審を認めてカードを取り消するようなことがあれば、それもまた重大な決定だろう。とくにアーセナルにとっては。当然結果は覆らないわけだが、あそこまで明白にジャッジに結果が左右されたのだから、レフの責任は問われるし、今後も世間の目は厳しくなる。
何にせよ、(アーセナルに限らず)偏った審判は興ざめなので、厳しく是正を求めたい。
はあ。
つぎの試合は週末土曜のPLアストン・ヴィラ(A)。アーセナルはレノが1試合バンとなり(※ストレイドレッドで3試合バンだと思っていたらアレは暴力行為のときだけらしい)、マット・ライアンがダメならルナーソンがプレイすることになる。相手のGKはもちろんエミ・マルティネス。セカンドGKマッチである。
しかし、今回の試合はどう受け止めるべきか。「事故」と思って忘れるのが一番前向きだろうか。
こういう試練をはさみつつも、いまの勢いをつづけられるかどうか、ヴィラとの試合もまたビッグテストになる。でも、わしは信じているよ。
ではまたプレヴューで。
COYG
ひとつだけ。ルナーソンそこまで不安定でしたか?
安定とはいわないまでも、可もなく不可もない出来だったと思いますが。
さすがにバイアスかかり過ぎだと思います。次戦でルナーソンが先発することに不安を覚えるのは同意します。
> ルナーソンそこまで不安定でしたか?
91:27をリプレイでどうぞ。
久しぶりに放心状態に陥りました。
あんなかたちで試合を壊されるなんて。
Var がなんのためにあるのか。1センチのオフサイドは何度も見るくせに。許せない。
開始45秒で先制しててもおかしくなかったし、サカ無双やペペもラカも素晴らしかった。
おっしゃるとおり、ロールスロイス。もう風格やばすぎ。負ける要素なんて一つもなかったはずなのに。ほんとに価値のないものにされました。
それでユナイテッドのあの試合。開始1分で退場。
大嫌いですわ。
なかなかここから上がっていけないですね。
でも一つ一つがんばってほしい。
ペペの見事なゴールが台無しに…プレミアの審判の質なんてお察しレベルだと常々思ってますが、それでシーズンを左右するかもしれない被害を特定のチームだけ受け続け、あるチームにはPKが与えられ続けるのは怒りを覚えます。アーセナルの皆さんは今回の憤りをヴィラにぶつけて(ヴィラは悪くないですが)勝ってほしい。クリーンに。
レノは今回はアレでしたけど、責める気にはとてもなれないなあ。逆にいつもありがとうという思いでいっぱいです。
ぺぺが覚醒寸前?
ロールスロイスパーティ
フェノメノサカ エトセトラ…
ポジティブ案件もたくさん。
ボクもアルテタ同様、選手たちが誇らしい。
ヤなこたぁ忘れて切り替えて欲しいですね!
COYG
何か2回目のロックダウン以降プレミアの試合全体的にVAR減ってる気がするんですけど数字無いですかね
個人的な感想ですけどもしかしてVAR班いないんじゃ無いの?って思う試合何回か目にしてます
ルイスはあれまでは状態は良かったと思うので、あの場面は1点止む無し、で挽回ダッシュ決め込んでほしく無かったなあ。あれがセントオフで、その前のサカへの接触はおとがめなし?VARにホームアドバンテージ、ってやっぱりあるのかしら?後半の2点目も、あれがウルブスは入って、うちは前半のバー直撃2本が入らない、という、これはやはりプレミアの試合の激しさを物語っているわけで、だから余計に、ルイスへのセントオフの判断はどうなの?って思っちゃうんだよなあ。いずれにせよ、我らのスカッドがいい状態を保っているのは間違いないので、点とられたら取り返す、ルナールソンの失敗は攻撃陣が倍返し、でいいんじゃないでしょうか。レッド9枚(2位以下の3倍)は、さすがにこれでCL圏は無理でしょう。でも、今季はとにかく、アルテタと選手の成長を信じます。COYG
これも人生と思うしかない(これもフットボールとは言いたくない。せっかくの好ゲームが台無しだ)
期待してたんだけどなあ。
ルナルソンはサイズもないし、シュートストップは超人レノを見慣れてるとスローモーションのようだ。
でもまあ予測とポジショニングは及第点だったと思うし、前向きに見てやりたい。
たった3試合でいいのなら、ルナルソンが自分の展開に持ち込む可能性はゼロではないと思う。
足元の技術とポジショニング、コーチングが強味の選手みたいだし、ゲームをコントロールできれば相手のシュートシーンは減る。
レノのような超人ではないからと言って逃げるわけには行かない。
絶望的に不利だからと言って、チャンスを探すことをやめるわけには行かない。
今のルナルソンの状況は、このチームの基本的な精神でもあると思う。
僕は凡人ルナルソンが予想を覆すほうに賭けたい。(イヤそれしか選択肢ないけどw)