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アーセナルの新エグゼクティヴ、リチャード・ガーリックが自らの役割を語る

昨日、アーセナルのオフィシャルWEBサイトにリチャード・ガーリック(Richard Garlick)のコメントが掲載された。素材は、マッチデイプログラムのためのインタヴューということ。

Official Voice: Richard Garlick

元WBA、元PLの彼は今シーズンから、アーセナルの“director of football operations”に就任。その仕事の全貌はあきらかにされてこなかったが、そんななか、こうしてファン向けに自らを語るのはほとんど初めてということで、注目を集めていた。

基本的には、リーガル担当だったハス・ファーミーの後任として認識されていたガーリックは、実際にはクラブでどのような役割を担っているのか。

読むついでにざっくりと訳してみよう。



AFCでの役割について、リチャード・ガーリックが語る

※小見出しは訳者による

移籍ウィンドウでの役割

わたしは5月(2021年)にアーセナルでの仕事を始めた。だから、最初の数ヶ月でいきなり移籍ウィンドウ真っ盛りのところに入っていったことになる。それ以来、すこしばかりいい感じに息抜きもしつつ、クラブにおけるわたしの役割もクラブ全体に広がっている。

移籍ウィンドウが開いているあいだは、わたしの仕事はほとんど100%がエドゥとミケル、ペアのサポートだった。選手の獲得と売却、メンズファーストチームあるいはアカデミーで、契約の更新や、売ろうとしている選手の解決策を探したり、あとは選手をローンに送り出すことも。

わたしがここへ来て最初の週は、ミケル、ジョッシュ、ヴィナイ、ティム・ルイス、エドゥと夏の計画について議論した。そこからは、計画の実行だ。その期間、わたしはリーガルチームとファイナンスチーム、それとクラブのフットボールサイドのなかでピヴォットとして動いた。そこで合意されていた計画を実行に移していった。

わたしは弁護士資格を持っていて、個人事務所で10年間の実務経験があった。そのあとウェスト・ブロムに転職して、彼らのリーガルカウンセルとクラブセクレタリーを4年間務めた。わたしの役割がもっとフットボールに関連したものになるまでだね。だからわたしには、紙のうえの移籍計画を、財政・法務の観点から、どうやって現実にしていくかの理解があるんだ。

通常は、移籍の取引が進行していくにしたがって、わたしの関与も増えていく。われわれは、その契約をサインに合意できるポイントまで到達させる。それはボード、財務部、法務部によっても承認されたものだ。それが、選手と彼のエイジェントに提示される。

2021夏のウィンドウについて

個人的な観点から云うと、今回のウィンドウについてわたしは満足している。契約更新やアカデミー登録も含めると、合計で57もの取引が発生していた。

とくにファーストチームの計画はとてもうまくいった。やりたかったことの90-95%は実行できたと云える。難しいマーケットだったが、われわれには計画があり、それにしたがった。その背景には、われわれにはにたくさんの優秀な人材がいるということもある。彼らはとても勤勉で、プロフェッショナルで、ハードワーカー。だから、最終的にはうまくまとまった。

移籍ウィンドウ以外……

ウィンドウが終わってからは、わたしはクラブの別の側面についてもより関与するようになっている。かんたんに云えば、エドゥ、ミケルとファーストチームのスタッフを毎日サポートしている。インターナショナルブレイクではロジスティクスを助けたり、Gary O’Driscollと一緒に、(Covidの)レッドリスト国から戻ってくる選手について取り組んだり。あるいは、フィクスチャカレンダーを確認して取り組むこともある。来年はシーズン中にワールドカップもあるし(※カタール2022ワールドカップは12月開催予定)。

フットボールオペレイションズに関するすべてのことだね。あるいは、選手、ルールやレギュレイションとかそのあたりに影響あるすべてのこと。いろいろなことがある。もちろんアーセナルはビッグクラブだ。3つも施設がある。だからわたしにとり、クラブ中の人たちと連絡を取り合うことは重要なんだ。

いまわたしにもアーセナルでどうやってものごとに取り組んでいくか、関係性と理解を築くための時間もできた。クラブを助けるために、わたしの専門エリアをどうもたらせるか。わたしはいつもはロンドンコルニーにいるが、なるべくほかの施設にも行くようにしている。

女子チームの相談役

わたしがここに来たときに求められていたことのひとつは、ウィミンズチームのためにも同様にエグゼクティヴとして動くということ。ヘッドオブウィミンズフットボールのClare Wheatleyが、エグゼクティヴチームに相談できる相手がいることが重要だった。だからわたしはウィミンズチームについても、エグゼクティヴとして観ている。

女子フットボールは成長しているし、今シーズンはスクワッドにもスタッフにもかなりヘヴィに投資している。だから女子チームがどうなっていくかとても楽しみだし、クラブがアーセナルウィミンを明快な意図とヴィジョンを持って前進させようとしていることは素晴らしいことだ。

アカデミーへの関与

わたしはアカデミーのオペレイションにも関わっている。ロンドンコルニーではわたしのオフィスはペア・メルテザッカーの向かいにあるから、わたしたちはよくユースの育成について話しているよ。わたしがここへ来た当初、彼は彼のアカデミーをどう前進させていきたいのか、ヴィジョンについて語ってくれた。彼はそのヴィジョンを実行するためにわたしのサポートをほしがっていた。そのチャレンジが今後どうなりそうか指摘したり、若い選手たちとのプロ契約について支援したり。

このクラブには、選手を連れてくることについてはとてもいい実績がある。だがそれは毎年難しくなっている。だからわれわれは、つねにそれをどう進化させていけるかを観ている。その一部は、レギュレイションの変更に気づいていることだ。Brexit、PL、FAによってもたらされる若い選手のリクルートにおける新しいルールもある。国内からでも海外からでも。

それはファーストチームで起きることと合わせて考えねばならない。この夏につれてきた選手たちにも観られる。彼らはみんな特定の年齢とプロファイルをもつものたちであり、みんなアカデミーからやってくるものを補完するものたちだ。そこについてのわたしの役割は、その戦略的プランを実行に移すこと。

成功するアカデミーとは

ウェスト・ブロムでの8年のあと、わたしはプレミアリーグで何年か過ごした。PLではアカデミーがわたしの担当のひとつだった。だからわたしはリーグを見渡して、いかにどのクラブも違うやりかたでそれを運営しているか観てきた。成功した一例では、明快なDNAを持ち、彼らがこだわる明快な計画があるものだった。

それこそが、ペアが彼が連れてきた人たちといま取り組んでいることだ。たとえば、Kevin BetsyはU-23コーチとしてここへやってきたし、ほかも全員が同じフィロソフィを持っている。そんなふうに全員が同じペイジを観ていれば、成功するチャンスがあるということ。

わたしが彼らをサポートしたり相談に乗ったりしているのは、つまりそこには成功のための完全な秘訣など絶対ないと思うからだ。それは、そのときの自らの状況による。自分がいる場所、競争相手、施設、スタッフ。ファーストチームの運営のしかたも助けになるかもしれない。なぜならミケルは若い選手たちにもたくさんの機会を与えているし、そのことはわれわれにとってはかなり大きなアドヴァンテッジになるから。

リクルートメントもユースレヴェルでは決定的になるものだ。いまは若い年齢グループに投資をするときだが、柔軟でいる必要もある。必要とあらばシニア選手も加えるとか。それがこの夏にフラムのミカ・ビエレスについてわたしたちが行ったことだ。多くのクラブもやっていることだが、若い年齢グループでは長期でリクルートする必要がある。なぜならスタティスティクスが示すところでは、多くのプロになる選手が、8-9才くらいから同じアカデミーにいるから。たしかに、いくつかの動きがあるにはある。しかし、クラブには同じパスにいるかなりたくさんの選手がいて、彼らのフットボール教育においてはそれが安定になるのだ。

そうは云っても、やや年長のレヴェルにおいても、投資とリクルートメントについてはやはり賢くやらねばならない。アーセナルはそれをやっているいい実績があるし、それをつづけていくだろう。

契約の更新

わたしたちは現時点では移籍ウィンドウズの中間にいる。しかし、契約更新についてはいまも取り組み中の領域でもある。わたしたちは、つねに契約が終わりを迎える選手について先を観ている。それがすぐに来る選手だけでなく、18ヶ月とか2年でそこに到達する選手も。メンズ、ウィミンズ、アカデミーにも当てはまる。

具体的な名前は挙げないが、ボード、ミケル、エドゥ、ペア、ジョナス、クレアとは、そうした選手たちについて議論をしている。計画をたてたら、それを実行に移す。それはつぎの夏に向けていま起きていることで、そのあとにはつぎがある。それは長期の観点だ。選手については、それぞれの状況に応じて、わたしたちは戦略を持っている。

PL・FAとの窓口

わたしがクラブのなかでやっている会議や議論と同じように、わたし役割の大きな部分を占めるのは、FAやPLといった外部団体と話すこと。つぎのPLの会議の議題にもよるが、それがフットボールオペレイションに関することなら、わたしとヴィナイが一緒に行く。もちろんわたしはそこで3年間働いていたから、PLにはたくさんの知り合いがいる。FAにも。それはとても役立つ!

フットボールオペレイションに関する問題のなかで、もっとも最近変化があるのは、VARの解釈、過密フィクスチャ、それとサブの数とか。わたしは内部ではコーチングチームと話すし、そのあとにはPLやFAとそれについて話し合うこともできる。

アーセナルへの転職とチャレンジ

わたしがここへやってきてからの数ヶ月は、かなり多忙だったね。しかしとても報われてもいる。PLで働いたあと、わたしの希望はつねにクラブフットボールに復帰することだった。もちろんアーセナルはグレイトな英国クラブスのひとつさ。わたしがこの機会を知ったとき、とても興奮したものだ。わたしはすでにここにいる何人も知っていたし、こうした機会はなかなか訪れるものではないからね。

わたしはここへ来るにはいいタイミングだったと感じているんだ。アーセナルはここ数年でかなりの変更が行われていることも知っていた。だが、わたしはそれをここでインパクトをもたらせる機会だと思った。クラブを安定させ、前進させることができると。

当然チャンレンジはある。Covid後であり、内部的な再構築があったりとか。たくさんのことが起きている。しかし、わたしがここで見つけたものは、クラブにはたくさんのよい人材がいるということ。たくさんの才能ある人たちがいて、このクラブを成功させ、かつていた場所へ戻そうという同じヴィジョンを共有している。それを維持可能なやりかたで。オーナーシップはとてもサポーティヴでもある。

我慢は必要だ。だいぶ昔に習ったことがある。フットボールでは、うまくいかないときに落ち込みすぎてはいけない。うまくいっているときに調子に乗りすぎてはいけない。視野を保つことが非常に重要なんだ。目標を見失ってはいけない。どうやってそれを達成したいのかを見失ってはいけない。クールでいろ。冷静になり、集中しろ。

ここまでにもたくさんのチャレンジがあった。間違いなく、この先にもたくさんあるだろう。わたしが思うに、わたしたちがいま観ている大きなエリアは、まずは過密フィクスチャ。1年でも週末の数は限られているのに、たくさんのコンペティションがある。

そして選手たちのウェルフェアがある。そこにはメンタルヘルスやコンカッションプロトコル(※脳震盪の対処)なども含まれる。

最後に、クラブが直面しているビッグチャレンジは、競争力を維持すること。どうやってスクワッドをフレッシュに保つか。休息に入る前にどこに泊まるか。どうやってイノヴェイティヴでいつづけるか。どうサポーターたちとつながるか。選手をリクルートするか。そこには時代の先端を行くやりかたがつねにある。

わたしたちは前進しつづけなければならない。それが決定的に重要なのは、フットボールではそこにとどまれば置いていかれてしまうからだ。

以上

 

ガーリックからすると、夏のウィンドウについて「90-95%は計画通り」だったということで、redditでは「じゃあ残りの5-10%できなかったことが気になる」のような反応があっておもしろかった。おそらくはジャカのローマ移籍、ラカゼットのような残り契約1年の選手たち、あるいはバロガンのローンとかそのあたりの対処ではないかという。まあ、それにしても90-95%ならかなりの満足度だと云えよう。自画自賛。

 

さて。彼は、いわゆるDoF(ディレクターオブフットボール)ではなく、ディレクターオブ「フットボールオペレイションズ」ということで、やや謎につつまれていた彼の役割について、これで概要はわかったように思える。

ファーミーがリーガル(法務)担当として、選手契約以外でどの程度動いていたのか詳細は知らないが、ガーリックはやっぱりもっと幅広いエリアで動いているように思える。選手契約はもちろん、それ以外のこともたくさん。

彼の前職はプレミアリーグということで、このコメントのなかにもあるように、さまざまなクラブの成功事例を知っている。同様に失敗事例も知っているだろう。そうした彼の知見が、これからもアーセナルの進歩に役立てられることを期待してやまない。

 

おわる



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