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【マッチレビュー】23/24 UCL アーセナル vs RCランス(29/Nov/2023)6-0爆勝でラスト16へ

試合の論点

アーセナル vs RC Lensのトーキングポインツ。

CLグループステイジで記録的大勝、アーセナルはトップでグループ勝ち抜けが決定。ラスト16へ

アーセナルは今回の勝利で、UCLでの勝利数が100に到達することになった。

その他の記録も。

とにかく、すごい。やったぜ。

CLで地味アーセナルを返上す?

今年のアーセナルは、クラブ史上シーズン最多のゴールを記録するような攻撃が爆発した昨シーズンとくらべて、ゴールもチャンスも少なく、チームプレイの流動性、リズムやテンポ、その他もろもろ、とかく地味になったといわれがちになっている。ファンが喜びそうなわかりやすい派手さがない。地味セナル。

が、今回はその汚名?を返上するようなパフォーマンスと結果だっただろう。6点ぶっこむような試合は、そうたくさん観られるものではない。去年ですら、シーズン中5点以上取った試合はない(※プリシーズンでセヴィーヤに6-0)。

しかもクリンシート。守備を犠牲にするみたいなこともなかった。パパ・ソクラティスの魂が乗り移ったかのような、ビッグガビの雄叫びよ。ディフェンスもちゃんとアツかった。

PLとCLでアーセナルの二面性を指摘する声もある。

PLでは現在13試合消化して27ゴール(2.07)であるのに対し、CLでは5試合で15ゴール(3.00)と、試合平均のゴールには大きな差がある。※もっとも、CLは今回の大量ゴールの影響も大きいけど

こうなっている理由は、やはりCLのグループステイジよりPLのほうがよほど対戦相手の競争力が高いということもあるだろうし、アルテタが繰り返し述べているように、PLでは多くのチームがアーセナルに対してロウブロックでプレイするようになっているからかもしれない。

今回のLensは、PLで頻繁に目にするロウブロックでプレイする意志はほとんど見られず、ディフェンシヴラインも高く保とうとしていたはず。そのおかげでラヤが、とくに後半、しつこくねらったロングボールがあきらかに効いていた。

今後PLでも攻撃パフォーマンスが活性化していくかどうかはまだわからないが、ひとつ確実にいえることは、今回の試合で選手たちが攻撃に自信をつけたことだろう。攻める自分たちにいいイメージを持った。それは、チームプレイが、よりポジティヴなものに変わるきっかけにはなるはず。

このチームにとって、それは大きい。

自信をつけるハヴァーツ

自信をつけたという意味で、とくに重要なのがハヴァーツだろう。

彼は、ファン投票のMOTMにも選ばれた。ファンが彼を認めはじめている。

今回のアーセナルの最初のゴールは13分、ハヴァーツによるものだった。トミヤスのボックスへのロブボールが相手ボックスに混乱をもたらし、ジェズースがヘッダーで落としたところをゴール前にいた彼が左足で押し込んだ。これはハヴァーツがアーセナルの選手としてCLで決めた最初のゴールとなった。

彼は、この直前にもトミヤスのカットバックからヘッダーであとボール2個分という感じの惜しいショットがあり、なんとなくこのゴールを決めそうな伏線はあった。PLでの初(オープンプレイ)ゴールから2試合連続で決めたら最高と思っていたが、それが現実になるとは。

アーセナルに移籍してきて以来、ハヴァーツのパフォーマンスがどうにも中途半端に観えたのは、精神的なもの(重い期待=プレッシャー)のせいだと思っていたが、今回のゴールでその考えをあらためて強くしたのだった。

31試合オープンプレイからのゴールがなくて、そこからの2試合連続ゴール。やっぱり、ケチャップのフタはあったのだ。

この試合のハヴァーツは、ゴール以外でもパフォーマンスは冴えていて、とくに66分の左ワイドからのスキルフルな単独突破で、オーデガードの惜しいショットをお膳立てしたプレイはみごとというほかなかった。あれは、スタンドもどよめいていた。

ゴールによってプレッシャーがやわらいだことで、彼が持つ本来のクオリティを発揮したようなシーンだったように感じた。アーセナルに来てから、あのような肩の力が抜けたようなプレイを彼が見せるのはほとんど初めてではないだろうか。

彼のプレイにファンが喜んで、彼に声援をおくり、そして彼もまたそのことで自分のプレイに自信をつけて、パフォーマンスが向上していく。まさに好循環。われわれはそれをずっと待っていたのだ。

今後、彼が好調を継続しつづけるかどうかはまだわからない。が、期待はできると思う。彼は、このチームのなかでなにかをつかみつつある。それがわかる試合だったんじゃないか。

ハヴァーツのフィット=これがミケルのベストチーム?

今回のチームセレクションは、じつはアルテタが初めてスターティングに選ぶ11人だったらしい。おなじみの面々にみえて、組み合わせが初めて。そうなの? ちょっと意外な。

そして、この11人が現時点でのベストセレクションなのではないかという。

フロント3は、これまでもジェズース、サカ、マルティネリがベストの3人という見方は揺るぎないものだろう。当然。支持率100%。異論なし。ジェズースがケガから復帰したことで、ようやくここに戻れた。

そしてこのバックラインも、悪くない。今回はサリバが珍しく連続して1 v 1で抜かれるなど、若干らしくない姿は見せたものの、CBふたりは盤石。いまのPLでNo.1のCBコンビと云われても違和感なし。

RBはベン・ホワイトがまだ先行しているという感じはあるにせよ、トミヤスがとにかくハイパフォーマンスをつづけているため、ふたりの差は小さくなってきているようにも感じている。トミーがすごいのは、RBだけでなくLBとしてもジンチェンコの存在感に肉薄しているところ。守備でははっきりした強みがあるし、今回はこれまでやや不満もあった攻撃面でのワンダーもあった。アシストになったあのどえらいパスよ(あれは絶対に意図的である!)。

まあ、いずれにせよGKもふくめて、DFもFW同様レギュラーはほぼベストに近い。すくなくとも、われらのスタンダードを満たす、安心して見ていられる選手たちがいる。

われわれは、前も後ろもグレイト。だから、これまでチームのなかに問題があるとすれば、それはMFだったろう。とくに左8。

ライス(6)はもちろん最高だし、ここしばらくのキャプテンの不調/不在の期間をのぞけば、右8もいちおう問題はない。だから、アーセナルのMFを語るときは、どうしてもハヴァーツがファーストチョイスになっている左8が焦点にならざるを得なかった。昨シーズンのジャカとの比較になってしまうので、やむを得ないところもある。

だが、もしそこでハヴァーツがポジションにフィットしはじめたとするなら、このチームのほとんど唯一の課題が解決されたことになり、この11人はベストチームとして認定できるのかもしれない。彼があのポジションで守備だけでなく、ゴール脅威になれるなら、それはフィットしたと云ってもよさげ。

今回は、アルテタの試合後会見でも「このMFトリオが理想か?」と質問があるように、このライス、オーデガード、ハヴァーツの3MFが現在のベストチョイスという印象は、試合後に多くのひとが持ったはず。

アルテタはレギュラーを固定しがちなコーチではあるが、これまでのハヴァーツの起用には迷いが感じられた。彼は左8だけでなく、9や右8でもプレイしたし、なんならドイツNTでやったLBだって、このあと試すつもりがあったかもしれない。

この11人が、アルテタの目にどう写ったのか。興味深い。

 

この試合については以上

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