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【マッチレビュー】23/24 EPL アーセナル vs ニューカッスル・ユナイテッド(24/Feb/2024)勇気は報われる

試合の論点

アーセナル vs ニューカッスルのトーキングポインツ。

トップパフォーマンスをつづけるアーセナル

これでPLで6連勝。この6試合のアグリゲイトスコアが25 v 3…… これは絶句。

前回CLであんなだったから、ずる賢くやるだろうニューカッスルにホームでも苦労するかもなあ、なんてちょっと心配をしていたのに、それはこのチームにはまったく無用だったみたいである。リヴェンジすべき憎き敵に、思った以上の鉄槌。

最近のアーセナルには、ちょっと怖いくらいのトップパフォーマンスがある。アルテタのチームでもこんなのは初めてだし、エメリのチームにももちろんない。ヴェンゲルさんの時代はどうだったか。

ふと思うのだけど、こんなアーセナルを観るのは、ぼくはほとんど初めてかもしれない。インヴィンシブル以降、ここまで圧倒的なプレイをするチームだった時期あったっけ? ここまで充実しているインフォームなチームを観るのは、およそ20年ちょっとというぼくの浅いファン歴では初めての体験に思える。

試合に勝つというよりは、その内容。ほんとうに強くなった。ドジでのろまでいつも泣きべそをかいてた時代から、そんなに時間はたっていないのだが。しかも、これジェズースやパーティみたいな中心選手不在でやっているというのがまた。

攻撃はもちろん、PLの毎試合で3点4点が当たり前で爆発的な状態で、さらにそれと同時に守備が恐ろしく安定しているのがやばい。

それもそのはずで、今シーズンここまでのアーセナルはヨーロッパのビッグ5リーグでもベストディフェンスという。相手のディープエントリー、相手のボックス内ショッツのスタッツで、アーセナルがトップ。そのすぐ下にいるのが、レヴァークーゼン、シティ、バイエルン、レアルなどなど。これでは、ほとんどベストチームである。

2024年になって、フォームが劇的に改善されてからはPLでもベスト守備。それでいて、もっともゴールも決めている。バケモンか。

もっともゴールを決めて、もっともゴールされないなら、それはつまり最強。

この試合で、われらはまたしても記録をつくった。どちらかのハーフ(前半/後半)で2+ゴールが7試合連続。これがPL記録。これだけたくさんゴールしていれば、こんな記録がついてくるのも自然か。

結果がよかった期間というのは、これまでもある。ウーナイだって20何試合だったか無敗をやった。だが、このチームのパフォーマンスとアウトプットを観るに、偶然とかオーヴァーパフォーミングみたいな要素をあまり感じない。そこが、これまでとは大きな違いに思える。相変わらずゴールをシェアしているし、結果を特定の誰かに頼っていない。

このチームが持てる本来の実力を出せば、どんな強いチームにも敗けないんじゃないかと本気で思える。いま現在に限定すれば、ここ数年、PLとヨーロッパをリードした、トップフォームだった時期のシティやリヴァプールとくらべてもいいのでは?

この試合は、まさにいまこのチームにある実力を観せたという実感がある。

じゃあ、あのポルトはなんだったんだ?

CLポルト戦とのパフォーマンスの違いは?

こうなると気になるのは、水曜の消極的パフォーマンスから、今回はこの短い期間で何が違ったのか。何を変えたのか。

もちろん、ホーム/アウェイの違いはあれど、見た目でもっともはっきりしていた違いは、やはり攻撃への積極性だろう。

試合後のアルテタはチームの「勇気」について言及しているが、まさしくそれが水曜に足りなかったもので、この日意識的に出していった部分だったと思える。

ミドウィークのアーセナルは、世界中のファンが注目するCLのスポットライトの下、華々しく、しかもアウェイの敵対的な雰囲気で、こういういい方がふさわしいかわからないが、萎縮していた。彼ら自身が子どものころから夢にまで観た大舞台に、実際に立つプレッシャーや緊張は想像に難くない。強いチームだけが残ったCLのノックアウトステイジは、グループステイジとはシリアスさが違う。

そのおかげで、チャレンジするよりも失敗しないことを優先するメンタリティがチームに生まれ、その結果、ああいう無惨な攻撃パフォーマンスになってしまったように見えた。そんなときに相手はCLの常連で、なおかつ40才の超ヴェテランが率いる老獪なチームという相性の悪さも重なった。若いチームにとり、大舞台での経験不足が如実に出た。

今回は、その反省をすごく感じた。

アーセナルは、試合が始まってからすぐにトップギアで、正直アルテタのチームが、ここまで前に急ぐ姿は誰も観たことがないのではないか。

これまでいつもアルテタのチームに感じてきた、イライラするほど遅い、慎重な攻撃スタイルとはまったく違うもの。失敗してもいいからとにかく前に、とにかく危険な場所にボールを入れようという意図。実際何度かそれでボールを失ったが、そのリスクを恐れない勇気。その決意。

そしてボールを失えば、こちらがTVで観ていて心配になるほどアグレッシヴにプレッシャーをかけていく。相手に息継ぎする余裕を与えず、窒息させる気まんまん。いつものようにオーデガードがハイプレスのトーンをセットしていたが、いつもよりさらに何割か増しでプレスに走っているみたいだった。

ニューカッスルは全然悪いチームじゃないし、なんならポルトより強いかもしれない。彼らがアーセナル対策としてやろうとしたことは、ポルトとそう大差なかったとも思う。だが、この2試合でアーセナルのメンタリティは全然違った。

ぼくのメモによれば、そのあとのことをまったく考えないような超絶インテンスなプレイは軽く15分はつづき、アーセナルのチームが相手にボールを持たれて、この試合で初めて全体がうしろに下がったのが28分。前半は親の仇のようにプッシュしまくった。

そして、この試合の大きな勝因は、そうした時間にゴールが決まったことだろう。18分のOGと24分のハヴァーツ。

それと、もちろん2-0なら、つぎのゴールで試合の流れがどうなるかわからないものになるが、後半はフィットネスレヴェルが落ちても、サカのスーパーゴールで3-0にして試合を殺した。キウイのゴールがその4分後。

もうひとつ、今回チームがはじめからトップギアでプッシュしようと決めたのは、スタジアム全体の一体感をつくる意図もあったはず。それは自分たちのサポーターの少ないアウェイの場所では望めないもので、ここでやってこそ効果が倍増するしかけだった。

アルテタも選手も、つねにファンのサポートに感謝しているし、実際今シーズンもスタンドの応援はすごいものがあるが、結局いくらことばでそれをお願いしたところで、それは一方的なものに過ぎない。彼らも巻き込んで本気で盛り上がってもらうには、彼らのこころを強く動かす必要があり、それはつまりあの向こう見ずなパフォーマンスだった。

ひとがスポーツで感動するのは、やっぱり本気のチャレンジであり、ピッチ上の行動でそれを見せようとした。それを今回は強く意識していたんじゃないかと思う。

ポルトでの手痛いレッスンは、早くも活かされたのだ。

いまアーセナルでは、なんでもがうまくいっているようで、ちょっとした全能感もあるが、唯一心配な部分はこの経験不足から来る不安定さ。いくらクオリティがあっても、つねにそれを発揮できるわけではないという。

だが、いままさにそれを学んで一歩づつ前に進んでいる。それをリアルタイムで目撃している幸せったらありませんね。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

2 Comments on “【マッチレビュー】23/24 EPL アーセナル vs ニューカッスル・ユナイテッド(24/Feb/2024)勇気は報われる

  1. 最後のウィロックで、なんなら5-0の気分だね!
    リヴァプールは主力のケガで、アンフィールドとは言え3/10のシティ戦は危ないと思います。
    アーセナルとシティのマッチレースの確率が高くなってきました。
    3/30の決戦に向け、現在の好調を維持して欲しいです。
    では、来週までしっかりケアしてくださいね。

  2. サリバがラマダンに入る時期にエディハド戦なのがやや気がかりです。

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