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アーセナル19/20プリシーズンUSツアーの勝者と敗者

USツアーが終わりアーセナルはすでにロンドンに戻った。

バイエルン、フィオレンティーナ、レアルと戦って、ポジティヴな面とネガティヴな面と両方がかいま見れる3試合だったと思う。

とくに新しいシーズンに向けた準備のなかでは、コーチ陣は選手たちのフィットネス、また若い選手たちのシニアチームへの適応などをチェックしていたはずで、このUSでの3試合は彼らにとって決して軽いものではなかった。お疲れさまである。

ブログ主の私見も含みつつ、このUSツアーの勝者と敗者をまとめてみたい(よくメディアで見るやつをやってみたかっただけ)。



アーセナルUSツアー19-20 ICCの結果おさらい

バイエルン・ミュニック。2-1で勝利。OG、エンケティア。

【マッチレビュー】19/20プリシーズンICC バイエルン・ミュニック vs アーセナル(18/Jul/2019)ウィロック、エンケティア再び輝く | ARSENAL CHANGE EVERYTHING

フィオレンティーナ。3-0で勝利。エンケティアx2、ウィロック。

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レアル・マドリッド。2-2でドロー(ペナルティ戦で負け)ラカゼットp、オバメヤン。

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2勝1分。

エメリの云うようにたしかに結果は重要ではなかったが、この相手に結果を出せたことはポジティヴ。振り返れば内容も悪くなかった。

連日のハードなトレイニングと試合本番、長時間移動などで少なからず疲労は溜まっていたはずながら、一部の選手を除いてチーム全体は概ねシャープに動けていた。

長いシーズン中には必ずフィットネスの浮き沈みはあるが、いまこの段階でわりと走れているのがちょっと心配に思えるくらい。

ではUSツアーの勝者と敗者を。ピックアップした。

アーセナルUSツアーの勝者

ジョー・ウィロック

まず筆頭に挙げなきゃならないのは、誰がどう見てもジョー・ウィロック。

CMでシニア選手に混じって抜群の存在感を放っていた19才。

去年の彼はU-23でプレイしながらファーストチームに帯同する機会も多かった。カップ戦では何度かチャンスは与えられたが肝心のPLなどの重要な試合ではまともなプレイタイムは与えられず(※PLでは2試合64分のみ)。エメリからかなり信頼されているとはお世辞にも云えない状況だった。

しかし、このプリシーズンではMFで攻守において大人びて安定したパフォーマンスを見せていて、うれしい驚きをもたらした。もしかして彼の活躍に一番驚いたのはエメリなのではないか? このレヴェルであれだけプレイできることを知っていれば、フィットネスの怪しいデニス・スアレスはまるで必要なかった。

相手や味方を含めてそうそうたる有名選手のなかでも遜色ないどころか、ポゼッション、パスセンス、試合の読みに判断力、ボールを奪えるフィジカル、得点力まで。彼らのなかでもむしろ高い競争力を発揮していた。RM戦でも囲まれてボールを奪われたりと、もちろんまだCMとして完成された選手だとは云わないが、少なくともトップレヴェルの試合経験に乏しい19才の選手には見えなかった。

彼は去年ブレイクしたマテオ・ゲンドゥージと同年代(1999年生まれ)で、まさにアーセナルのファーストチームでの彼の去年の足跡をたどるのではないかといまから楽しみでしょうがない。※エンケティアとネルソンも1999年生まれ。

ただ、一方で彼がこれほど有能だということは、いまアーセナルのベンチを温めるよりも、毎週レギュラーでプレイできるチームにローン移籍したほうが彼の今後のためにはいいかもしれない。

去年のエルネニーのような出場機会なら、アーセナルに残っても大切な彼の成長時期を無駄に浪費することになりかねない。ジャカ、トレイラ、ゲンドゥージ、セバーヨスといるなかではそれも十分にありえる。3MFならここにエジルやイウォビ、ミキタリアンも入ってくる。チャンピオンシップクラブに半年ローンのようなことができれば理想的?

いずれにせよ、プリシーズンここまででいろんな意味で一番目立っているのは間違いなくジョー・ウィロックだ。

エディ・エンケティア

3試合で3得点。RMでは惜しくも連続得点はできなかったが、彼も紛うことなきUSツアーの勝者。

新シーズン、ついに本格的にシニアチームでプレイすることになるだろうが、その準備は完全にできていると思われる。そんなパフォーマンスを見せた。

彼も昨シーズンはエメリの下で不遇をかこったヤングタレントのひとりだと云える。エメリはゲンドゥージだけを酷使したが、それ以外の若い選手のことをあまり顧みなかったのは奇妙に思えた。

ヴェンゲルさんの時代にファーストチームでデビューしているにも関わらず、昨シーズンはエメリにほとんど使われることがなく。しかもシーズン後半はローンで実戦経験を積むチャンスもあったのに、エメリの要望でチームに残されたと云われている。結局彼はそれでもほとんど試合で使われなかったようなもので、個人的には彼の成長するチャンスが奪われたことにはたいそう不満がある。

ウェルベックがいたので仕方のない部分もあったが、PLでたったの5試合(62分)しかチャンスがなかったのはやはり少なすぎた。今回の彼のパフォーマンスを観ていたらよけいにそう思った。

ELファイナルのチェルシーで見せた印象的なパフォーマンスはまぐれ当たりではなかったことを、このプリシーズンで存分に証明している。

彼もまたウィロックのように、いつの間にこんなに……と云いたくなるような大人びたパフォーマンスで、ビルドアップへの貢献だけでなく、ボックス内で脅威になれるCFであることはゴールシーンを見てもわかる。

PL2やイングランドユースでもあれだけの結果を出していたのだから、着実に成長をしているとも云える。あとは本領を発揮するチャンスを与えることだ。

エメリはフィオレンティーナの試合後に、エンケティアはチームに残すつもりだとコメントしている。本来は彼の年齢なら少しレヴェルを落としてもレギュラーでプレイすることが望ましいのだろうが、去年のウェルベック役ならプレイタイムもある。悪くない。

P.E.オバメヤン

とにかく身体がキレている。彼はとても調子が良さそうだ。

このプリシーズンではおもにウインガーとしてプレイしているが、ラカゼットとの頻繁なポジションチェンジもあり、まさに得点できるウインガーロールをこなしている。

またRMのレヴューでも書いたように、彼がキレているためトランジションからのカウンターアタックがおもしろいほど決まり、とくに相手陣内にスペイスがあればあるほど効果的になる。

昨シーズンのPLゴールデンブートゥで、シーズンを通してアーセナルのベストプレイヤーのひとりだったオバメヤン。今年も大活躍を期待してよさそうだ。

気になるのはシステムで、このプリシーズンのようにラカゼットと併用するためにウインガーとして使うのか(去年前半はそれが問題になっていた時期もあった)、あるいはエメリがあまり好まないとされる2ストライカーを使うのか。獲得の噂のあるウインガー、それにエジル、彼らをどういうシステムでどうやって使っていくのか。今年も去年のように頻繁にシステムや選手を変えていくのは、あまりいいことには思えないのだが。

ところで、オバメヤンは今年は売りたくないとエメリは云っているので、残り契約2年の彼はいま契約延長をしなければならない。1年延長して、今年大活躍、来年夏に巨額で売却みたいなシナリオが理想かもしれない。

メスト・エジル

このプリシーズンで最高にシャープとまでは云わないが、とても安定しているように見える。こういっては何だが、彼もまた結婚してひとりの漢になったんだろうか。(↑このひととじゃないよ)

試合のなかでの守備貢献もそうだし、本心かどうかはともかくエメリとの信頼関係をあらためて口にしたりと、最近は人間的にもより大人になったような印象がある。

彼はもちろんこの夏の放出候補だとメディアを中心にさんざん騒がれていて、それを本人が知らぬはずもなく。しかし、彼はなんとか自分のプレイでチームのなかに居場所を勝ち取ろうとしている。そんなふうに見える。

そしてそれがエメリの信頼にもつながり、キャプテンのひとりにも選ばれ、本人も自信をもってプレイできているという好循環。

もしエジルが本来の天才的なプレイを取り戻してくれて、誰からも尊敬される成熟したリーダーとして若いチームを引っ張ってくれるなら、アーセナルにとってこれほど理想的なことない。それが350kpwに見合う働きというものだ。

エジルといえば、先日こんなグラフィックが話題になっていた。18/19シーズンを17/18シーズンと比較した図で、要するにエメリがマネージャーになってからのエジルはファイナルサード真ん中のボックス前という彼が最高に輝ける場所(日本語だとバイタルエリア?)でのタッチが極端に減っていると。

もしエメリがエジルからビッグパフォーマンスを引き出したいのなら、このあたりが改善ポイントになりそうだ。

エメリはエジルのうまい使い方をなんとか見つけてほしいものだ。エジルはきっとエメリのスタイルに合わせようとこれからも努力してくれるだろう。それが見えたプリシーズンだと思う。

エミ・マルティネス

セカンドGKとしての覚悟を決めたようでなにより。

プリシーズンで観ている限りでは、いいショットストップもあるし、バックからのビルドアップもうまくやりそうだ(チェフよりは)。

とりあえずはカップ戦キーパーになるはずだが、あのパフォーマンスなら、もしレノに何かあっても十分にバックアップが務まりそう、そんな予感がある。

フレディ・リュングベリ(アシスタントコーチ)

バカヨ・サカ、タイリース・ジョン・ジュールス(TJJ)、ガブリエル・マルティネーリ、ロビー・バートンにジェイムス・オレインカ。。。

このツアーに参加しているヤングスターズたちのパフォーマンスに、多くのファンが目を細めているはず。

この夏、鳴り物入りでアーセナルに加入したマルティネリは別として、これまでにも活躍は伝えられていたサカやTJJだけでなく、今回の発見はバートンやオレインカ。それもみなリュングベリのおかげだ。

なにしろエメリはロビー・バートンのことをよく知らなかったというのだから、リュングベリが現在のファーストチームとアカデミーのリンクにおいていかに重要な役割を担っているかということ。

まさにキーパート。エメリがダメなら自動的にこのひとがマネージャーに昇格するという説もあり。。順調にキャリアアップしている。

アーセナルUSツアーの敗者

おうふ。敗者復活戦はあるのかしら!?

シュコドラン・ムスタフィ

アーセナルが獲得以来毎年放出したがっているという奇特なDF。とくにフィオレンティーナでの彼はひどかった。

コシエルニがチームを去るということは、放出候補だった選手が残る可能性が高まっているので、状況としてはムスタフィが残る可能性も高まっていると云えるだろう。本人も残留希望だ。

しかし、あの不安定なパフォーマンスではレギュラースターターにはしたくないし、エメリは彼を放出できなかったときに備えてレギュラースターターのCBを血眼で探している(はず)。

クラブとしてはそれなりの損切の覚悟もあるだろうが(誰が€40Mで買ってくれる??)、よりによって今回見せたようなあんなパフォーマンスでは彼をチェックしていたクラブがあったとしてもリストにバッテンをつけてしまったに違いない。

そしてまだ2年契約を残すという悪夢。まったく頭が痛い。頭を痛めながら応援しなきゃならない辛さよ。

グラニト・ジャカ

これはもしかしたら異論あるかもしれない。でも、やっぱりひどいだろう。

この3試合でもあったがボックス内で簡単に足を出したりと守備はひどいし、密集した中盤でボールの受け渡しができない。エラーについてはVARが導入されたら、リーグでもトップレヴェルの彼の致命的なやらかし(ゴールに結びつくエラー)の数は増えるのではないだろうか。

セバーヨスに期待したい部分というのは、ぶっちゃけすべてジャカに足りないものだ。

彼は(時間・空間に余裕があれば)いまでも超一流のパスを出すし、事実彼がいなければアーセナルのビルドアップはボロボロになったりもする。

しかし、ビッグクラブのCMとしてそれじゃあダメなんだよなあ。

プリシーズンの彼を観ていて「スナイパーライフル」ってのが浮かんだ。重くて、リロードが遅い。精度が高く当たれば威力も相当にあるが、致命的な取り回しの悪さ。あたふたしてるうちにゾンビが殺到するんだよ。密集地帯ならアサルトライフルのほうがいいに決まってる。それでもスナイパーライフルにこだわるのは変態ちっくだなと。おれは思いますね。

リース・ネルソン

残念ながらここまでいいところがあまりない。

何度かあったチャンスも決められず、結局無得点。めぼしいチャンスもいくつもつくっていない。

去年ドイツでは最高にうまくはいかなかったとしても、アーセナルに戻ってくれば、つぎにファーストチームに入ってくる若い選手のなかでは最右翼なんだと思っていた。

でもあの自信なさげなパフォーマンスや影響力では、ウィロックやエンケティアどころか、ファーストチームに入れるかすら微妙に思える。個人的には期待が大きかっただけに残念だ。

一時は、来季ウインガーについては新しい選手を取るよりも、ネルソンにそれなりのチャンスを与えるべきという意見も多く見かけたが、とても準備万端なようには見えなかった。サカやマルティネリのほうが彼より目立っていたくらいだ。

ほとんど神童のようなRMのヴィニシウスと比べるのもナンセンスかもしれないが、わずか1才しか違わないエリートウインガーは彼の目にはどう映っただろうか。

またESRと同様にドイツクラブ(ヴォルフスブルクとか)がネルソンのローンを希望しているという報道もある。とにかく彼は自信を取り戻すことに専念してもらいたい。まだプリシーズンマッチはあるし、ローンでレギュラーでプレイできるのなら、そのほうがいいかもしれない。

ローラン・コシエルニ

ツアーに参加してないから敗者もクソもないけども。

この事案が起きる前、ぼくは彼が退団したいのならアーセナルは彼のこれまでの貢献をリスペクトして、彼が移籍しやすいよう条件を譲歩してあげるとかそれくらいはしてもいいんじゃないかと思っていた。フットボーラー人生をかけて負った重症を乗り越えたクラブキャプテンに対して。

それがどうだい。こんなことになってすっかり気持ちは冷めてしまったよ。

それにしても、どうしてもこの夏に移籍したかったからといって、10年近く過ごしたクラブに対して彼も愚かなことをしたものである。クラブにというより、クラブを愛しているファンに対してと云うべきか。これで彼は世界中のファンから「死ぬまでガナー」としていつまでも愛される権利、誰もが得られるわけでもない勲章を捨ててしまった。

これ以上のトラブルは誰も望んでいないと思うので、どこぞのフレンチクラブはさっさと十分な金を払って彼を連れて行ってもらいたいね。

以上。

ほかにもプリシーズンで観たいい選手・悪い選手、みんないるよね。お時間あったらコメントで残してってください。

そしてまだプリシーズンはつづく。COYG



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

9 Comments on “アーセナル19/20プリシーズンUSツアーの勝者と敗者

  1. お疲れ様です。いよいよ開幕を待つのみですね。
    AMNの故障は心配ですが、概ね順調ではないでしょうか。
    さて、勝者にエンテケィアが挙げられてました。3得点はそれに値すると思います。
    が、RM戦の終了間際の2度のチャンスは決めて欲しかった!
    その1点がPL4位フィニッシュを可能にすると思います。
    本番ではヤングガナーズの出番は多くなるはずなので、めちゃくちゃ期待してますよ!

  2. 個人的には勝ち組でチェンバースとバートンを上げたいです。チェンバースはそこそこソリッド、バートンは嬉しいサプライズでした。

    一方で負け組は残念ですがネルソンです…ムスタフィはもう…

  3. スナイパーライフルwまさに
    彼がアーセナルに入団以来、中盤の核に据えるべくあの手この手で試して来ましたよね。ベンゲルもエメリも。
    機能したりしなかったり。それが今のジャカ評でビッグクラブのスターティンには物足りないのは完全に同意なんですが、BM戦のジャカは可能性を感じたんですよね〜。
    PLでも相棒をウィロックで見てみたいです。
    あと、年1〜2しか発動しないジャカ砲が武器になったら、評価は変わるんじゃないですかね〜。
    もう1シーズンは期待してみたいです!

  4. コシェルニーにそんなこと言えません。今までずっと我慢して我慢してとうとうブチ切れてしまったんでしょう。
    退団するなら達者でという気持ちです。私は彼を許しますよ。

    私の感覚は間違っているのでしょうか?

    1. おき猫さん
      私も同じ思いです。
      アーセナルを支えてくれてありがとう、と言いたいですね。

    2. 僕の意見も同じです。
      まともに守備をできる選手がいない中で、きっちりと潰せるコシェルニーにどれだけ守備を助けてもらったか分からないから、彼を非難することが正直できない。

  5. コシェルニーについては、愚かなことをしたのは彼と交渉したフロントだと思います。
    アーセナル・チェンさんのいうとおり、コシェルニーの功績をリスペクトした交渉をしていたらこんなことにはならなかったでしょう。
    ジルーの「親友ロロは傷ついている」という言葉は重いです。
    愚かなフロントのせいでDFは戦力ダウン、ホールディングが復帰するまでソクラテスとムスタフィ頼みですよ。

  6. 正直、ジャカはtwitterでも5○hでも擁護の声があるのが全く理解できません
    言われてるほどロングパスもうまいとは思えないし、事実得点に繋がったこともあまりないような…
    足元のテクニックの拙さ、キープ力の無さ、判断の悪さ、手癖の悪さはプレミアリーグでもワーストクラスだと思います
    普通に三流選手としか思えないのでセバージョスにスタメン変わってほしいです

  7. そういやシーズン終盤、ジャカが抜かれた相手の肩に露骨に手をかけてPKってあったねえ。。。(遠い目)
    自力で打開する能力も、ほぼ無い感じがする。

    ただ個人的には、ジャカはやっぱり特異な才能だと思ってる。
    不器用そうな足元に入り過ぎなボールの持ち方だけど、ノーモーションでギョッとするような強いボールが出てくる。
    「相手が想定してない・予測できないボールを蹴る」っていう才能だと思う。

    漏れの中ではジャカは「偉大なる不確定要素」(対処のしようがない)なので、
    中盤全体がワンタッチで速くボールを動かし続ける→周囲がジャカを使う、みたいなのが面白いと思ってる。
    スイス代表でのジャカとかそうだよね。

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