hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Data, Opinion, Tactics, Wenger

今シーズン、アーセナルはなぜアウェイで勝てないのか?

アウェイで勝てない。週末はまたしてもニューキャッスルに負けた。

WhoScored.comより、あらためて33試合終了時のPLのアウェイフォームをご覧いただこう。

16戦でW3 D4 L9。ポッシブルポインツが、16×3=48ポイント。実際の勝ち点はというと、3×3+1×4=13ポイント。じつに13/48という低レベルさ。今季のアーセナルのアウェイでの勝てなさ具合はこれはもう尋常ではない。

御年61才、9才からアーセナルのファンで40年以上もシーズンチケットを持っているというあるサポーターは「今季ほどアーセナルに対する情熱が落ちているシーズンはない」と嘆いているという。50年近くアーセナルを観てきた超ロイヤルなサポーターがいまが最悪だといっているわけだ。



ホームとアウェイ、激しい成績の落差

どの試合もまんべんなく負けているならまだ理解ができる。それはただ弱いだけである。

しかし、今シーズンのアーセナルはホームで勝っている。そしてアウェイとの落差が激しすぎる。ホームのフォームを観ていただくと、いかに今季ホームとアウェイで極端な成績になっているかよくわかる。相変わらずトップ6にはいい成績を残していないが、それでもホームでは驚くほど勝っている。ポイントを落とした試合は4試合しかない。

17戦でW13 D2 L2。勝率76%。敗率11%。タイトルを争ってるクラブかな? これがいまわれわれが直面している困惑(©ヴェンゲル)そのものである。

ちなみにアウェイでもホームと同じ勝率なら現在リーグ2位だった。それでもシティには届かないというのがすごい。

「なぜアーセナルはアウェイで勝てないのか」by テレグラフ

今回のエントリはこのテレグラフの記事がネタ元である。「なんでアーセナルはアウェイでこんなにもプアなのか?」

Why are Arsenal so desperately poor away from home?

2018年に入ってアウェイで5戦5敗ということで、このような記事が出てくることにはなんの驚きもない。

いくつかの興味深い指摘もあるこの記事をざっくり要約してみよう。

  • 日曜にNCに負ける前、ロシアでCSKAにドローをもぎ取るまで、アーセナルは6連勝で勢いづいていた
  • オバメヤン、ラムジー、ウェルベックもノッていた
  • ただ、アーセナルはもともとホームでは5連勝していて調子はよかった。問題はアウェイ
  • 2018年のアウェイ勝利はELのミランとスイスのマイナーなチームだけ。リーグはアウェイ全敗
  • 驚くべきことにイングランドの4リーグで今年アウェイで1ポイントも取れていないのはアーセナルだけ
2018年EPLアウェイポインツ
  • そしてそれはますます悪化
  • アーセナルがアウェイで5連敗するのは1984年以来
  • 日曜(NC戦)はアーセナルにとって今季11回目のアウェイ負けで、ヴェンゲル時代では過去最悪に並んだ
  • アウェイで逆転負けで落としたポイントは14。PLでワースト
  • アーセナルはトップのシティとのポイント差よりも最下位のウエストブロムとの差のほうが小さい
17/18シーズン、EPLアウェイで勝ちポジションから落としたポイント数ランク
  • ELで勝とうと集中しているヴェンゲルに重要な注意事項がある
  • 昨シーズンの同じ時期、マンUはリーグで5試合勝ちがなくついにトップ4から落ちた。しかし結局ELで優勝した
  • セミファイナルではアトレチコというタフな相手を引いてしまったが、まだチャンスはある
  • セント・ジェイムズパークでは前半1-0でしっかりリードしていて、久しぶりのアウェイ勝利のためには、ただ最近のフォームをキープすればいいだけだった
  • 最近の試合はエジルやベレリンを休ませるためか、ジョー・ウィロックのようなヤングスターたちにチャンスを与えている
  • しかしそれはこの不調から抜け出すには重要だった
  • ホームでは素晴らしいというのに、いまだにアウェイの問題は続いている

たしかにマンUが昨シーズン何をどうしたかという分析は、一年前の彼らと似た状況にあるいまのアーセナルにとって非常に重要に思える。

要約を続けよう。アーセナルはアウェイで調子をつけることができていない。

  • 今季アーセナルはホームで、アウェイではできないような調子を続けている
  • 中途半端なチャンスでも得点してしまうし、一度先行してしまえば止めるのは難しい
  • 1月のチェルシーとの2-2ドローは今シーズン初めてホームで先制して勝てなかった試合だ
  • ホームでの得点もヤバい
  • ホームでの17試合中9試合で10分以内に2点以上得点している
  • 15分のうちに3点取った試合も5試合ある
  • 一方でアウェイでは1点以上取った試合がたったの2回しかない
  • NCでのラカゼットの先制点が示すように、オバメヤンとのパートナーシップは可能性がある
  • しかしその後に猛攻撃をしかけたわけでもない
  • そのかわり彼らは後退してプレッシャーを招き、ムスタフィとホールディンの中央守備は崩壊した

まだ続く。今度はカウンターの問題について。

  • カウンターのチャンスがあったとき、彼らがトレーニングされているようには見えない
  • アーセナルは今季PLで1点たりともカウンターで得点していない5チームのうちのひとつだ
  • またアーセナルはペイスもパス性能もあるので、ほかの4チームをすべて合わせたよりもシュートは打っている
  • カウンターアタックというのは、とくにアウェイでは、試合を殺すことができるものだ
  • 先制点で試合の流れが変わったときですら、ヴェンゲルによるカウンターの指導はただ以前のとおりのようにやろうとしているように思える
カウンターアタックでのゴール数ランク

まだまだ。精神的な問題について。

  • アーセナルの選手たちに何か心理的な問題があるのだろうか?
  • かつてアーセナルに勝つには、フィジカルアプローチとレッドホットな雰囲気が必要だった
  • しかし日曜はセント・ジェイムズパークらしくもなくプレスでやりこめた
  • 結局NCは大してがんばることなく勝った
  • アーセナルの選手たちは勝っているとき調子にのるが、自信を失いかけたところをひとたびNCに悟られると、もうダメだ
  • 1月のボーンマス、スウォンジーとの試合とそっくりだ
  • アーセナルスクワッドがもう十分じゃないというのは間違いない
  • すべてのポジションで進歩が必要なレベル
  • 日曜にプレイした選手のなかには30Mポンド以上の価値ある選手が4人もいて、彼らは代表選手でもある
  • リードを保つくらいわけないはず
  • このチームはそれぞれの部分を合計したものよりも、得ているものがはるかに少ない

以上。

逆転負けやカウンターアタックなど興味深い指摘はあったものの、数あるアーセナルの問題があらためて指摘されたというだけで、アウェイで勝てない原因については依然として謎だった。

ちなみにこの記事で出てくる3つのグラフをよく見ると、ToTとアーセナルできっかり正反対のスタッツであることがわかる。それだけでげんなりできる。

アウェイで勝てない理由

ボスもその理由がわからないといっているし、きっと誰にもわからないんだろう。繰り返しになるが、ホームでよく勝てているのにアウェイで全然勝てないというのは理屈が通らない。いくらなんでも極端すぎる。

フットボールではアウェイでは勝率が低いというのが一般的で、だからアウェイでは負けない戦い方をする(戦い方を変える)というのもまた一般的な考え方であり、広く採用されている。

ヴェンゲル監督は相手が極端な格上のときだけ、全体が自陣に引いたディフェンシブな戦い方を選択することがある。しかし、この現在の流れからすれば、NCのようなチームが相手であってもディフェンシブに戦うという選択肢もあったのではないだろうか(※そもそもディフェンシブに戦っても失点を抑えられないという問題はあるが……)。

「攻撃は最大の防御」なんてことばはいまのヴェンゲルがいってもまったく説得力がない。防御になるほどの攻撃ができないのはそもそも防御ができていないからだというトートロジー。

アーセナルはどんな試合でも「ポイント1で十分」という発想がないように思える。その結果がアウェイでの0ポイントなんである。3ポイントを追うものは1ポイントをも得ず。ヴェンゲルはよくコメントのなかで「マスマティカリー」ということばを使うが、いうほど算数が得意ではないのかもしれない。

アーセナルを救えるのは誰か

われわれはふだんから戦術家を褒めそやして彼らの成功を称賛するけれど、こういうチームが窮地に陥ったときにそれをカバーできる才能というのは、戦術理解や指導なんかとはまた別のスキルなのかもしれない。

プレミアリーグの中位から下位クラブを率いるような監督で、降格させないことで名声を築いているような監督がいる。彼らはおそらくタイトルを取る能力やセンスはないが、いまのアーセナルを任せればヴェンゲルよりよっぽどうまくやると思う。

いまさらシーズン途中に監督を変えるようなことはアーセナルでは起こりそうにないので、残留請負人のようなマネージャーをアーセナルが応急処置的に招聘するということはよほどのことが起きない限りないだろう。

ただ、この謎の不調がほんとうに精神的な理由なのだとしたら、それこそ20年ぶりにマネージャーが変わるという劇的な変化こそ、アーセナルにとって事態を好転させることができる材料になるのではないだろうか。

だから来季もヴェンゲル続投になるということが非常に不安だ。もし万が一、アトレチコに勝ったりしたとしても、愛するクラブのために勇退してもらいたい。



2 Comments on “今シーズン、アーセナルはなぜアウェイで勝てないのか?

  1. 昔ある時期、ランチタイムキックオフの試合で立て続けに勝ち点落とした時期もありましたよね。
    こういうのって表にでない部分がそれこそ変数として存在してる感じでわかんない。

    ただ相手がホームということで、プレスの強度が高めなのもあるかな?強いプレッシャーにさらされながら試合をコントールしきるってことが厳しくなった印象もあるので。
    中盤もだけど、現代の守備陣のストレス耐性(?)って大事だよなって思います
    ビルドアップ時も、守備時もずっとプレッシャーにさらされるわけで。エラーが多いアーセナルが勝ち点をおとすのも納得というか

    1. どもども。アウェイ+ランチタイムが鬼門だというのはいまもずっと続いてますよね。そういえばいつからだろ?

      たしかにアウェイでプレッシャーがより厳しいというのはあるでしょうね。でもそれであそこまで悪くなるかなっていう。

      強いプレス&ダメなら守ってカウンターというアーセナル対策がハマりやすいというのもあるかもしれません。同じやられ方を何度もしてるし。

Leave a Reply

Your email address will not be published.