先週末、アーセナルのPLブレントフォード戦で起きた「VARエラー」。
試合後にも確認されたように、オフサイドがありながらゴールが認められた誤審は明白であり。これがアーセナルのタイトル争いにどの程度影響を与えるか現時点では定かではないものの、ここで2ポインツを失ったショックは非常に大きい。
その後には、PGMOL(※PLのレフェリーを統括する団体)が、公式にエラーを認める声明を出した。
Both incidents, which were due to human error and related to the analysis of offside situations, are being thoroughly reviewed by PGMOL.
— PGMOL (@FA_PGMOL) February 12, 2023
そんななか、『Sky Sports』がアーセナルが今シーズンに受けたVAR(審判)事案をまとめていた。昨日の当ブログでも言及したように、あのような議論な判定は今シーズンのアーセナルにとって今回が初めてではない。
今回はこの件について。
EPL22-23シーズン、アーセナルで起きたVAR事案 by Sky Sports
当該記事より(※画像を含まず)。
1. マルティネリのゴールが取り消されたオールド・トラフォード(L: 3-1)
何が起きた?:9月のOTでのアーセナル対マンU。12分が過ぎたとき、アーセナルのハーフに入ったあたりで、マーティン・オーデガードがChristian Eriksenからボールを奪う。そのボールはガブリエル・マルティネリへのパスが許された。彼がDavid de Geaを交わして、クールにフィニッシュ。
その後のVARチェックで、リプレイが示したようにオーデガードのEriksenへのチャレンジはソフトだったにも関わらず、レフェリーのPaul Tierneyはピッチサイドのモニタに導かれ、ゴール判定を覆すことを決めた。アーセナルは3-1で敗け。
12月、PGMOLは、PLのシーズン前半における6つの不正なVAR介入のうちのひとつにこれを加え、あのゴールは認められるべきだったとした。
当時のコメンツ:「一貫性の欠如だ」とアルテタは述べた。「ソフトとはなんなのだ? 先週、彼ら(ヴィラ)はアーロンを掴まえるファウルをやりながらゴールが認められたじゃないか。あれはソフトでファウルじゃないと」。
「ブカヨに対するペナルティだってあった(Tyrone Mingsによる)。だが、あれもソフトでペナルティじゃないと。それが今日はファウル。強いタックルでありながらカードなしもいくつもあった。基準が低い。なぜならビッグゲイムだからだ。これは、ほんとうに受け入れ難い」
「ぼくの意見ではあれは絶対ファウルじゃない」とオーデガード。「レフェリーはあれを観ていて、プレイオンにした。あれはソフトなチャレンジだったし、VARでチェックするためには、はっきり明白じゃなきゃいけないはず。それはもう何度も云われていることだ。カメラで観るときは、いつだってちょっと印象が悪く観える。でもぼくには絶対あれはファウルじゃない。すごくイライラするよ」
2. ジェズースへのペナルティが認められなかったサウサンプトン(D: 1-1)
何が起きた?:10月のSt Mary’sステディアム。14分。DF裏に走り込んだガブリエル・ジェズースが、サウサンプトンのDF、Duje Caleta-Carによって掴まれグラウンドに投げ飛ばされた。
レフェリーのRobert Jonesは、アーセナルのペナルティ要求を受け入れず、VARもその判断を支持した。それはアーセナルが2-0とする機会だったが、試合は結局1-1のドロウに終わった。
当時のコメンツ:「レフェリーの判定になにか云うのは好きじゃない。話したいのは自分たちのパフォーマンスだけだ。でも、ときどきそれが試合を変えることもある」とジェズース。
「ぼくは彼(レフ)と試合後すぐに話した。彼はこう云っていたよ「もしキミが先に倒れていたら、わたしはペナルティを与えたかもしれない」と。それはぼくはフェアだと思う。ぼくは我慢しようとしたし、立っていようとした。そのアクションをやり終えようとした。だがぼくは彼に掴まれて、結局それができなかった。だからふつうに倒れた」
3. ニューカッスルとのドロウでBurnがガブリエルのシャツを引っ張る(D: 0-0)
何が起きた?:先月のエミレーツでのニューカッスル戦後半。ガブリエル・マガラエシュのシャツがDan Burnによって引っ張られたとき、アーセナルはペナルティが与えられるべきだと感じただろう。セットピースでボックスに入ろうとしていた彼は、それで引き倒された。
明らかに引っ張られたことで、ガブリエルのボールへの到達は妨げられたが、レフェリーのAndy Madleyはプレイオンを指示、VARは介入しなかった。
0-0で終わった試合の終盤にも、アーセナルは2回めの不満を感じることになった。グラニト・ジャカのクロスが、ボックスのなかにいたJacob Murphyの腕に当たったのだ。だが、Madleyは再度彼らのアピールもVARも退け、VARのStuart Attwellもそれに同意した。
当時のコメンツ: 「ふたつのペナルティがあった」とアルテタ。「非常に単純なことだ。わたしは自分が観たものについて述べている。ふたつのスキャンダラスなペナルティだ」。
ひとつめのペナルティアピールについてSky Sportsパンディットのギャリー・ネヴィル「あれはアルテタは不満を述べる権利はある。ニューカッスルはとてもラッキーだった。アーセナルは権利を侵害されたと感じる権利があると思う」
ポール・マーソン「わたしの意見では、あれはどう観てもペナルティ。彼の拳はしっかり握られていた。あれはピッチのどこでだってファウルだ。Stockley Parkで、彼らはゲイムへの理解というものがない。あれははっきり明白だ(clear and obvious)。ほかのどこだって、あれはフリーキックになる」
4. ずさんなVARチェックでToneyのゴールが承認されたブレントフォード(D: 1-1)
何が起きた?:Jensenが、アーセナルのボックスにフリーキックを入れ、アーセナルはクリアできない。PinnockがボールをNorgaardへ渡すと、Toneyにクロス、ゴールに。
そのゴールはVARのLee Masonによってチェックされた。Pinnockがオフサイドポジションにいながらガブリエルをブロックしたようだと。そして、VARはふたつめのオフサイドについてチェックをしくじった。リプレイでは、Pinnockが頭でボールを送ったときNorgaardがオフサイドだと示しているのに、ゴールが認められた。
そのゴールでトロサールのオープナーは帳消しになり、アーセナルは結局また2ポインツを失った。
当時のコメンツ:「わたしはそれをちょうど観返したところで、あれはオフサイドだ」とアルテタ。「おそらくわれわれは、今週末にもその説明を受けるのだろう。だが今日はどうにもならない」
「映像を観ても、守備ではある原則を行わねばならないし、それはルールに則って行わねばならない。それが突然違うルールが適用されて、原則を変えなければならなくなる。だったら、それを先に云ってくれないと。それならあんなに高くラインを上げてはいけないのだから。ブロックされたら、いつもアドヴァンテッジを得られてしまう」
「もう遅すぎる。ゴールは認められたし、われわれは2ポインツ失った」
という。。このVAR事案が発生したPL4試合で、アーセナルが失ったポインツは、計9ポインツ。
1と2と3は、ソフトかソフトじゃないかの議論で、その判断はたしかに難しいところもあるっちゃある。
ファウルは“clear and obviousでなければならない”とは云っても、それは人間が感覚的にそう決めるのだから。実際は、ソフトさの量を決めるのも、共有するのも難しい。
だが4は、オフサイド。オフサイド判定はラインを超えているかどうかで、ほとんど議論の余地がない。まれにオフサイドラインでさえも判別できないくらいの微妙なものはあるが、今回は目で観てわかるようなものだった。アルテタだってその映像を観て、オフサイドだと確信したのだろう。ここ数年で進んでいる自動化(automated offside)を望む声が多いのも納得できる。それならこれは起こり得なかった。
PGMOLとPLが、これにどう決着をつけるのかは、とても興味深い。
現実的には、あの判定はもう取り返しがつかないのだし。ハワード・ウェブが菓子折り持ってごめんなさいと謝罪したところで済む問題でもない。ちまたで云われているLee Masonのクビとか正直どうでもいいんだが。。
だいたい、ウェブは12月にOTでの誤審を認めて一度アーセナルに謝罪しているはずで、そのうえで起きた事案。もう二度とやりませんからと誓った、まさに舌の根も乾かぬうち。
ファンとしては、なぜアーセナルばかりが?とも思う。
この土曜はアーセナルだけでなく、パレスとブライトンでもVARでひと悶着あったようだし、VARの事案はアーセナルだけ多いのかどうかはデータがないとわからんけども。まあ、少ないほうではなさげ。
アーセナルが多いといえば、しばらく前にこのブログでも少し触れた、FAからの制裁の件。レフェリーにアピールしてFAから罰せられた回数がアーセナルだけ突出して多いという。
この5年間でFAがビッグ6に規律ルール違反として罰を与えたのは、マンUとシティが2づつ、リヴァプールとToTが5、チェルシーが7、アーセナルが15件。
偶然なんですかねえ。
VARチームのジャッジをジャッジする人員が必要だな。
ふつーに悲しいっすね😢
VARに泣くこともあれば、笑うこともある。