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ジャカに夏の移籍報道。さよならグラニト?

こんにちは。

さて、しばらく前からグラニト・ジャカの夏の移籍のうわさが界隈で取りざたされていて、ここ数日ではその話も具体的になってきた。移籍先はレヴァークーゼン。

いつだったか、まだいまのように広く報道されるような状況になる前、アーセナルのこの夏のスクワッド整理について書かれた記事のなかに彼の名前を目にしたときは、さすがにそれはありえないだろうと思っていたのだが、これはどうも実現しそうな雲行き。

今回はこのジャカの移籍についてすこし。



グラニト・ジャカのレヴァークーゼン移籍のうわさ

昨日のtwから。

Florian Plettenberg(Sky):レヴァークーゼンは、まだジャカとの契約にプッシュしている。とてもうまくいっているように見える。(シャビ)アロンソが彼をトップリーダーとしてほしがっている。ジャカもこの夏にさらなるチャレンジを望んでいると思われる。だが、いまはアーセナルに集中。

金額は€15mのあたり。クラブ間の交渉はまだ。

Sam Dean(The Telegraph):まだなんの保証もないが、どうもジャカはこの夏のアーセナル退団がかなりありそうになってきた。ミドフィールド(ライス? カイセド? マウント?)を進化させるときだが、ピッチの中でも外でもジャカが抜ければ大きな穴になる。

Fabrizio Romano:グラニト・ジャカは、シーズン終了したときにアーセナルを去る見込みである。新契約の交渉はなく、6月に袂を分かつプラン。

バイヤー・レヴァークーゼンが、彼との契約交渉で進んでいる。€15mの移籍金。2027年6月までの4年契約で、個人条件はほぼ合意していると観られる。

等々。

オーンステインは、この案件にまだ反応していないが(?)『The Athletic』が、ほかのジャーナリストたちが報じるニュースに追随している。

Bayer Leverkusen in talks to sign Xhaka from Arsenal

ジャカは、すでにレヴァークーゼンのコーチであるシャビ・アロンソ(アルテタが云うところのチャビ・アロンソ)とも、彼らのプロジェクトについてじっくり話し合っているとも云われていて、同じポジションでプレイする(した)もの同士で話が早そうである。

ジャカのレヴァークーゼン移籍の内容

広く伝えられている条件は、レヴァークーゼンがアーセナルに支払う移籍金が€15m(£13m)。

この金額は、奇しくも2年前にASローマが彼の獲得にオファーした金額とほとんど同じ。あのときはジャカがそんな安いわけあるかイタリアンクラブふざけんなと思ったものだが、彼も30才になり、さらに残り契約1年となれば妥当な金額に思われる。残り契約半年のジョルジーニョが£10+2mだったことからも、妥当なところか。

契約期間は4年。34才までの長期契約になる。ここは、ジャカにとってはかなり魅力的だったはず。

サラリーについては不明。彼のアーセナルでのサラリーは£120kpwあたりだったようで、レヴァークーゼンがこれを現状維持できるかどうか。

ジャカとアーセナルのそれぞれの思惑

ジャカの今シーズンの大活躍、アルテタとの強い関係からして、正直この移籍が起きるとは、ぼくはまったく思っていなかった。

云うまでもなくジャカのアーセナルでのキャリアは、ほんとうにローラーコースターで、パフォーマンスも評判も浮き沈みが非常に激しかった。ヴェンゲルさん末期からここまでの彼のAFC在籍期間は、アーセナル不調の原因としてしばしばスケイプゴートになったし(ええ、おれもかつては彼を散々やり玉にあげましたとも)、ファンと衝突しキャプテンを剥奪されるようなどん底まで経験した。アルテタに説得されるまで、退団寸前まで行ったのは本人が述べていたとおり。

グラニト・ジャカがはっきりさせたいこと | ARSENAL CHANGE EVERYTHING

そして、今シーズン。あきらかに彼は、悲願のCLをクラブに取り戻した立役者のひとりであり、これまでアーセナルの明るい未来のために身を粉にして働いてきたといっても過言ではない。その苦労がようやく報われそうになっている、まさにそのタイミング。

パフォーマンスでも、ファンとの関係でも、いまが最高潮と思えるシーズンを過ごした彼がここでクラブを去る決断をするとは。やっぱりちょっと信じがたい。

ではなぜこの移籍が実現しそうに見えるのか。両者の思惑について考えてみたい。

ジャカ本人の考え

まず、この移籍が実現するとすれば、やはり本人希望が大きいと思う。アーセナル(アルテタ)とジャカは相思相愛であり、もし両者が望めば、彼のアーセナルライフはここで終わらなかったんじゃないか。

だが、そうはならなかったということは、そうじゃなかったということ。

ジャカ本人としては、アーセナル、PLでのプレイ、あるいは夢の舞台であるCLよりも優先したいことがあったのだろう。CLのピッチであのアンセムを聴くよりも、もっとだいじなこと。

ひとつは、来シーズンからのプレイタイム。

アーセナルはもちろん、ライスやカイセドのようなMFに巨額をかけてビッグプレイヤーを獲得しようとしていて、9月に31才になるジャカのプレイタイムは今後それなりに限定されることが予想できる。すくなくともこれまでよりは減るだろう。レヴァークーゼンは、それをオファーできる。

それと、自身のキャリアを守るため。おそらくアーセナルでうまくいっていたとしても、これから4年のような長期契約は望めなかったはずで、それが移籍を決断する大きな理由になったことは想像に難くない。彼にとってはキャリア最後の大型契約になる。

※なお『ESPN』は、アーセナルは持っていたジャカとのあと一年の契約延長オプションを行使しなかったと指摘していた。

キャリアといえば、現役リタイヤ後のコーチキャリアのことも考慮されているかもしれない。彼は以前に「すでにコーチライセンスは取った」と述べていて、引退後にマネジャーを目指すことは決まっている。ドイツクラブへの移籍は、そこにいたるキャリアパスもイメージされていそうである。

あとは以前にも書いたが、家族理由。彼にとってドイツはホームであり、彼の家族もドイツに帰ることを望んでいるとすれば、それは大きな理由になりうる。

アーセナルの考え

理想を云えば、アルテタはジャカにはバックアップとして来年もチームに残ってほしかったんじゃないかと思う。

うわさによれば、アーセナルはこの夏にスクワッドを大改造するつもりのようで、そんなとき彼のリーダーシップはとくに重要になったはず。

アルテタも彼個人への思い入れがだいぶあるだろう。なんせ、彼がジャカをあのように再生させたのだから。レデンプションさせた。彼の慰留があり、ポジションのコンヴァートがあり、それで彼のアーセナルライフは激変した。コーチとしても大きな成功体験だった。

だが、本人が移籍を希望したとすれば、それを尊重せざるを得なかった。そんな想像をする。

ただ、そういった感情面を抜きにして考えると、クラブにとってこの移籍(売却)は理にかなっていると云える。

まず、これは残り契約1年(延長すれば2年)になる30才の選手を高額で売れる最後の機会だったこと。このあと、同規模のオファーが届くかどうかはわからないし、レヴァークーゼンの引き合いはいいタイミングだった。彼のサラリーを新しい選手のために使うこともできる。

それと、とくに今シーズン終盤の失速により、アーセナルは今年のチームでは質でも量でも限界があったことを痛感しているはずで、だからこそ夏には各所で選手のアップグレイドをすると云われている。今年のジャカを見ていれば、彼がライスやカイセドに著しく劣るとまでは思わないが、年齢を考えても、彼に今シーズン以上のパフォーマンスを期待することはできない。彼の能力がどうこうではなく、それくらい今年のジャカはトップパフォーマンスだったという。

アーセナルは、将来性ある若いタレントたちに投資するためにも、ポジションをあける必要があるし、資金も必要だった。

この移籍のうわさを最初に聞いたときは、ありえんなあと思ったけれど、こうしてみるとここでジャカを売却するのは、たしかにクラブの戦略としてはメイクスセンスであった。

選手の売りどきを逃すなど、アーセナルはとくに移籍市場での立ち回りがうまくない印象があるが、今回のジャカの件はプロジェクト的にもビジネス的にも納得できるものに見える。

おわりに:ファンの感情

と、いろんな意味で納得の動きではあるんだけど、アーセナルのファンとしてはここでジャカがいなくなるというのは、わりとびっくりというか衝撃的。だって、これがこうなるとは思わないじゃない?

このニュースについて、「悲しい」と反応しているファンもかなり多い。

彼は、ボックス2ボックスの選手と間違われて(笑い)2016年にヴェンゲルさんに買われて以来、彼のアーセナルでの7年間のキャリアは、アーセナルの暗黒時代とほとんどぴったり重なっていて、それがやっと、ようやく、終わろうとしているまさにそのときにクラブを去るという。なんちゅータイミングなのか。多くのファンに惜しまれながら。CLを置き土産に。こういうのを、立つ鳥跡を濁さずっていうの? もはやかっこいいだろ。

来シーズン、アーセナルのシャツを着た彼が目を閉じてCLアンセムを聞いている姿を想像しただけでも、これまでの彼のさまざまな苦労が思い出されて、けっこう感動すると思うのだが、それもないとは。ほんとうにいいのかグラニト。

アーセナルがどんどん強いチームになろうとするのは、ファンとしてもちろん大歓迎。だが、こうしてこのクラブとチームにハードワークで貢献してきたメンバーが、そのご褒美ももらわずにそそくさと去ってゆく姿を見るのは、とても複雑な気分がする。あるいは、彼はなにかもっと違うサムシングを得たのだろうか……。

なんというか、まったくすごいストーリーだよ。映画化しよう。

アーセナルはブライトンに惨敗したおかげで、PL残り2試合が実質的に消化試合になってしまったが、最終日のウォルヴズ(H)がジャカがアーセナルでプレイする最後の試合になったら、それはそれで感傷的な日になりそうだ。ヴェンゲルさんのお別れ試合以来の。

そこでグラニトはもちろん、自分がどれだけファンに愛されていたかをあらためて実感する。涙。

これは、違う意味で大注目の試合になってしまいそうだ。

 

おっと、まだこの移籍案件は決まりでもなんでもないので。

進展あれば、またこのブログでもお伝えしよう。

 

おわり



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2 Comments on “ジャカに夏の移籍報道。さよならグラニト?

  1. 更新お疲れ様です。

    いつも楽しみにしております!

    てか、ジャカ、、
    これで移籍したら本当に泣きます

    彼には色々な感情があるし、なんかあーここでかーって感じですね。

    とにかく最後まで見守らせてもらいます

  2. こんにちは、初めまして。
    いつも心に響くレビュー等等、ありがとうございます。
    サポーターから、別れを惜しむ声、行かないでと号泣の声、
    最高の賛辞と感謝の声、沢山寄せられていて良かったですね。

    アーセナルユニフォームの袖にCLのバッジを付けて、
    アンセムを聞くジャカを、私も見たかったんですけど。

    求められ、故郷とも呼べるドイツへ錦を飾る、歓迎される、
    それはそれで良いのかも知れません。
    息の長い、替えのきかない鉄人ジャカでいて欲しいです。

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