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【マッチレビュー】2023コミュニティ・シールド アーセナル vs マンチェスター・シティ(6/Aug/2023)最強シティに勝つ。シーズン最初のタイトル

試合の論点

コミュニティ・シールド、アーセナル vs マンチェスター・シティのトーキングポインツ。

アーセナルとシティとのギャップは縮まっている

近年で彼らがオイルマネーのおかげでビッグクラブになり、いっぽうのわれらが低迷期に入ってから以降、しばらく上下関係は固定されてきたが、いまがもっとも差が縮まっているのではないか。そんなふうに感じさせてくれる試合だった。

もちろん、「敗ければフレンドリー」というくらいのコミュニティ・シールドだから、ベンチマークとして信頼すべきではないのかもしれないが。

シティはあいかわらずのクオリティに観えたが、グアルディオラが試合前に述べていたように、たしかに彼らにはCLファイナルがあったりで、プリシーズンマッチを多くこなしてきたアーセナルに比べると、プリシーズンの開始が多少遅れるというハンディキャップはあったのかもしれない。エナジーはあまり感じなかった気はする。あるいは、チームがピークを過ぎたとか。KDBとかペナルティめっさ外しそうな顔してたもんな。

そんな彼らの事情はともかく。われわれのほうは間違いなくいまがいちばん強くなっている。

この試合が始まってすぐ、アーセナルのハイプレスがなかなかアグレッシヴに行けず、あまりにも相手をリスペクトしすぎていたように観えて、結局ボールの前進を許してしまうのは、観ていてちょっとやきもきしてしまったが、そういう時間が過ぎていくと、今度はアーセナルがボールを持って相手をオウンハーフに閉じ込めてしまうような時間もあったり。

そうした時間に見せる、アーセナルのチームのクオリティの高いチームプレイには、いまさらながらほんとうに感心した。おれはずっと穴があくほどアーセナルを観続けているが、それでもグッときた。。今回は相手が引いて守備ブロックをつくっているなかでも、あれだけの決定的なチャンスもつくった。いま、シティを相手にあれだけのプレイができるチームというのは、この世のなかにもそんなにないだろう。

とくに、アーセナルのミドフィールドとバックラインに充実を感じる。サリバがフォームを取り戻してハーランドをポケットに入れ(※ハーランドはショッツがゼロ)、ホワイトもビッグガビも概ね安定したパフォーマンス。パーティとライスもピッチの中央で攻守に存在感を発揮、またティンバーはすでに何年もこのチームでプレイしていたかのようなハマり具合で、ファン投票のMOTMも納得。新戦力が加わったことで、このチームのスタンダードがかなり上がっていることを印象づけていた。ビルドアップのフェイズでは、後方のいろんなところから危険なパスが繰り出せるチームになった。シティのそれに見劣りしていなかった。

もちろん、経験値や成熟度という意味ではシティに一日の長があるのはあきらかで、そこに追いつくのはさらに時間はかかるだろうし、これからも簡単に勝てる相手ではないだろうが、この試合の結果(というより内容)は、アーセナルのチームが新シーズンに対してポジティヴな感触を得るには十分だったように思える。

あくまでペナルティ戦での勝利なので、本質的には彼らに勝利したわけではないが、もしそれがラッキーだったとしても、いろいろな意味で、アーセナルにはいい試合だった。とにかく勝って勝ちぐせをつけるのが重要。せっかくのこの勢いをシーズンに持ち込みたい。

この試合から新チームのレギュラーをうらなう

今シーズンのアーセナルは、デプスが増して各ポジションで競争が生まれている。「チームが強くなるために必要」とアルテタが述べた理想的な状況。この試合は、ひとまずシーズンの始まりのレギュラーを占ううえで、たいへんに参考になりそうな気がした。

今回のチームセレクションでカギになったポインツは、

  • ハヴァーツのCF
  • ライスとパーティの共存
  • ティンバーのLB

といったところ。

まず、CF(9)については、ジェズースが絶対的エースとして、彼が不在のときのオプションがアルテタには悩みどころだろう。今回はハヴァーツが非常に印象的パフォーマンスだった。このチームのNo.9として「ゴール以外は全部やった」というのは納得の評価と思う。

プリシーズンから今回の試合を観ても、今年のアルテタがプレッシング回避でGKからのロングボールをひとつの武器にしようとしていることはおそらく間違いなく(だからラヤ)、そうなるとターゲットマンになれる長身の彼が重宝されるのは想像に難くない。

エンケティアとハヴァーツ、あるいはトロサールというジェズース不在時のCF候補のなかで、もしハヴァーツがL8でプレイしないなら、彼が9の優先オプションとして一歩リードしたように思える。この試合の彼はそれほどインパクトがあった。スタッツとしては空中戦が0/4なのでもちろん完璧ではないが、アルテタのコメントからしても、おそらく彼のやってほしいプレイをかなり実現できるポテンシャルがあると観られているはず。

ライスとパーティの共存については、433のなかでのふたりのDMの同時起用で若干守備的なイメージはあったが、この2試合でのライスのB2B(L8)としての使い勝手は、アルテタにとてもよくアピールしたように思える。今回ライスが観せたような、ああいうダイナミックな守備(66分どえらい勢いでトラックバックしてボールを奪い返したアレなど)は、アルテタがアタッキングMFにも当然求めたいものだろう。モナコで観せたように、ライスは攻撃でも貢献できるまさにBox to box。単独6でバランスを取らせるよりも8のほうが、彼の長所が出やすいようにも思える。

それと、パーティ。今回も存在感ばつぐんだった。かなり冴えていた。あの密集したミドフィールドであんなふうに落ち着いてボールをさばける技術は、ちょっと替えが効かない。

と、もろもろを考えると、ライスのL8、パーティの6、それにともなってハヴァーツの9(フォルス9)で、PLのスタートは決まったんじゃないか。ノッティンガム・フォレストのような相手でも、初戦は十分注意深くプレイする必要もある。

あとはLB。LBはもちろんジンチェンコがレギュラーで、ケガで不在の彼のオプションをどうするかだった。

アヤックスで多くの時間をRCBでプレイしてきたティンバーが、当初LBのオプションになるとは思わなかったが、モナコでの起用につづいて、今回もスタートからLBとしてプレイ。この試合の彼は、シティのような強い相手にもかかわらず、ほんとうに加入したばかりとは思えない堂々たるプレイっぷりで、左からのInvertedロールもほとんど完璧にこなしていたように観えた。

彼はポジションを確保したように観える。

ここは、ジンチェンコのオプションというよりは、ジンチェンコとポジションを争うところまで行くかもしれない。あるいはジンチェンコがフルフィットネスで戻ったら、右のベンジャミンとの競争。

アーセナルとマンシティという、イングランドの新2強チームと云われるほどのハイクオリティな選手たちが集まったなか、ティンバーはまったく見劣りがしないどころか、際立つパフォーマンスだった。彼がここまでやるとは、うれしい驚き以外のなにものでもない。

そして、トロサールも忘れちゃならない。最後の最後、あの土壇場でイコライザーをぶっこんだ漢。今回の勝利の立役者。プリシーズンから大活躍で、やはりベンチに置いておくのは惜しい存在。フォレストでマルティネリに替えてトロサールをLWでスタートさせるかどうかは、アルテタも大いに悩ましいところだろう。大穴でCFだが、繰り返すようにハヴァーツが8でプレイしないなら彼より優先されるとは思いにくい。

この試合で、新シーズンのアーセナルの輪郭が観えてきた。

新シーズンにおける個人的な興味のひとつは、アルテタがローテイションを積極的にやるかどうか。こうして豊富なオプションがあっても、これまでどおりレギュラーをある程度固定して、あくまでレギュラー+サブでどの試合も臨むのか、あるいは「カメレオン的」に、相手に合わせていつも違うスターティング11を選ぶのか。まあ毎回違うというのはやりすぎだろうが、これまでのチームを固定化していたところからの変化があるかどうかは興味深い。

もちろん観たいのは断然後者方面のセレクション。もう、このスクワッドにはある程度のデプスがあり、それができない状況でもない。多くの選手がチャンスを与えられて、発揮する場所と機会を与えられて、総合的にますます強いチームになっていく。そんな夢を観る。ある選手がいつも仏頂面でベンチに座っているなんてのはあんまり観たくはない。

どうなるか観てみよう。

 

試合については以上。

 

さあ、週末のPLスタートまであと一週間を切った。金曜日にシティとバーンリーの試合からスタートし、われらは土曜のランチタイムから。エミレーツにノッティンガム・フォレストを迎える。楽しみすぎる!

それまでにまたいくつかエントリを書く予定。

ではまた。COYG!



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プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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