試合の論点
アーセナル vs PSVのトーキングポインツ。
6年ぶりのCL復帰に理想的な試合。ヨーロッパに新時代のアーセナルを披露した!
PSVは試合前に思っていたよりもだいぶ強かったから、アーセナルにはさらに貴重な勝利になった。
ゴールシーンだけ観たらアーセナルにはイージーな試合に見えるかもしれないが、実際はそうでもなかったと思う。まあアウェイとはいえ4失点もしている彼らの守備には疑問もなくはないが、攻撃のほうは危険だった。Noa LangもLWですごく効いてた。人間性さえまともなら(笑い)いまごろアーセナルでプレイしていたかも。
彼らは今シーズン敗けなしどころか、去年から26試合敗けなしというスーパーファインフォームだったらしく、それがアウェイとはいえ、4-0の惨敗。あの内容なら、もっと大差がついていた可能性だってある。お互いトップチームとはいえ、オランダリーグとイングランドリーグのクオリティ差が如実に現れたとも云える。
初戦はいつも難しいなんてことを云うが、これでアーセナルはその難しい試合を理想的なかたちで切り抜けることができたことに。
CLにあこがれていた選手たちも実際にそのピッチに立ち、ふだんどおりかそれ以上のパフォーマンスを発揮、コンペティションに対するいいフィーリングを得たに違いない。間違いなく、快勝は自信になった。思い入れの強さから、ふだんのパフォーマンスが発揮できないのではないかなんて、まったくの杞憂だったな!
ヨーロッパといっても、CLしか観ないような(わしもかつてはそうだったよ)ほかのクラブのファンが、ひさしぶりにアーセナルを観たら、また随分と強くなっていると思ったんじゃないか。CL常連時代よりももっと進化して、アーセナルが新時代を迎えてる。それくらいには客観的にも印象的なパフォーマンスだったはず。主要メディアの試合レヴュー記事にも“perfect”の文字が踊っている。
この試合の勝因は、やっぱり早いタイミングのゴールだろう。前半だけで3ゴール。アルテタがよく云っているように、ちゃんと試合を殺した。最近のアーセナルはボールを支配してもなかなかゴールが奪えず、結局最後までギリギリの戦いを強いられることが多いので、今回はそれが素晴らしかった。
前半残り10分ほどで3-0になると、お互いに集中力を欠くようになってやや大味な試合になったように観えたのは、そこでほとんど試合が死んだからだろう。2-0が危険なスコアなら、3-0は安心なスコア。後半も、相手のプレスのインテンシティがグッと下がった感じがしたものだ。ダメ押しのゴールももちろん効いた。欲をいえば、アーセナルのゴールはもっと観たかった。
また、こういう節目の試合で活躍すべき選手が活躍したこともとてもポジティヴだった。
まず、サカがCLデビューでゴール。彼は持ってるなあ。
A night I’ll never forget 🤩
CL Debut, CL Goal, 3-Points ✔️
Back where we belong ❤️ pic.twitter.com/DZUAI2RoKH— Bukayo Saka (@BukayoSaka87) September 20, 2023
その10分後には、エヴァトンから連続ゴールのトロサールのフィニッシュ。これもサカがアシスト。
今度はそのトロサールがファーサイドに送ったクロスから、ジェズースのグレイトタッチ&ゴール(あれはビッグガビのプリアシストもナイスだった。トロサールのハイライン破りのクレヴァーなランを見逃さず)。この流れでメインマンが決めた。今回のジェズースはもうケガの影響をほとんど感じさせず、全般的にシャープだった。
50% – Gabriel Jesus has scored in 50% of his starts in the UEFA Champions League, the eighth-highest rate of any player in the competition’s history (min. 20 starts). Dependable. pic.twitter.com/p68bDRHrOT
— OptaJoao (@OptaJoao) September 20, 2023
マルティネリ不在のフロントが3人ともゴール・アシストを決める貢献。
そして、1ゴールを決めたキャプテンのオーデガードもアシストは記録されていないが、サカのゴールは彼の強烈なショットをGKが弾いたところをサカが押し込んだので、実質アシストのようなもの。今回もファイナルサードの指揮者という存在感で攻撃をリードし、MOTMも納得のパフォーマンスだった。
こういう試合展開だったので、余裕あるサブが行えたのもよかった。週末のNLDを前に重要な選手を少しでも休められたし、ESRやネルソンのようなこれまでチャンスのなかった選手についに時間を与えることができた。
ESRは今シーズン初めての起用で、ネルソンもPLマンUで1分プレイしているだけでほとんど初めて起用されたようなもの。
ネルソンのパフォーマンスは良くも悪くも平常運転という感じだったが、ESRはやはりちょっとサビつきを感じた。おそらく彼の場合は、この試合でのポジションもそうだったようにL8での動きをまだ完璧にマスターできていないのではないかと思う。あのポジションでまだ戸惑いがあるような。彼はやっぱりもっと動いて、もっとたくさんボールに触らないとダメな気がする。このチームのなかで、どう動くべきなのか、もっと実戦トレイニングが必要だ。ひきつづき機会を与えてもらうことを期待したい。
この試合のヴィエラはまたよかったから、彼のようにならないと。
ということで、おひさしぶりのCLは全般的にいい試合だった! アーセナル最高! We are back!!
今日のハヴァーツウォッチ
活躍すべき選手が活躍したなかで、やや残念だった選手は今回もまたハヴァーツか。がーん。
GKからのロングボールのターゲットになったり、スペイスを見つけて入っていったり、CFとして相手DFのおとりになってスペイスをつくったりと確実にチームプレイのなかにはいるが、とにかくゴール・アシストが遠い。£25mの選手なら許せても、£65mの選手はそれじゃあダメなんだよ。
ジェズースとリンクアップした21分のショットが彼のベストチャンスだったろうが、ボールは漆黒の宇宙空間へ。61分のジェズースへのアシスト未遂も惜しかった。こういう試合こそ、彼に結果を出させる絶好の機会だったのだけどなあ。あそこでシュートではなく、パスを選択してしまうのもいかにももったいない。
もっとも悪印象だったのが69分のプレイ。あのボールを持って単独で抜け出そうとしたシーンでは、DFがふたり近くにいたとはいえゴールに一直線に向かわないという消極的マインドを露呈。スタンドからはため息がもれた。まああれはその流れでオーデガードのゴールにつながるから結果オーライではあるが。
このプレイに観られるように、引き続き彼は自信の欠如が深刻に思える。とにかく彼には、早くケチャップのフタを空けさせなければならない。アルテタも強くそう思っているから、最後まで彼を下げなかったのだろう。
Kai Havertz vs PSV (20/09/23) pic.twitter.com/8FdJ0erCpY
— Sjayy 🎱 (@sjayy24s) September 21, 2023
全アーセナルファンが彼のブレイクを期待してる。彼が結果を出すようになったら、アーセナルはチームとしてもう一段階上に行ける。間違いない。
今後GK選びはどうなるのか問題
この試合でGKにラムズデイルではなくラヤが選ばれたことは、またアーセナルでのGK議論を再燃させているような気がする。ここでラヤとは予想しておらず、さすがにちょっと驚いた。
ラヤはPLエヴァトン(A)につづいて2試合連続の起用で、2試合連続クリンシーツとわかりやすい結果も出した。そういう意味で、ラムズデイルには気の毒ながら、彼の起用は正解だったと思う。
試合を観た多くのファンの目には今回もラヤのパフォーマンスはかなり印象的に写ったのではないだろうか。とくにラムズデイルのストロングポインツのひとつだった配球について、この試合のラヤもかなりよかった。
今回ロングボールは12/17(70%)という、エヴァトンでの7/9(77%)に匹敵する高い成功率で、パスの成功率も前回と今回でそれぞれ94%と83%とこちらも高い。彼はボール扱いがかなり上手だとあらためて実感している。
先日のエヴァトンもこの試合も、あまり自分たちのゴールが脅かされる試合ではなかったため、その点ではGKにはシリアスなテストにはなっていないが、そもそも、今シーズンはますますボールを持って支配的にプレイするようになったアーセナルでは、多くの試合でGKの配球クオリティがセレクションの決め手になりうる。
そして、つぎの試合はシーズンのなかでも最高に重要な試合となるNLD。
ここでアルテタがどちらのGKをスターティングに選ぶかが、アルテタが抱いている今後の方針のヒントになるように思える。
まずラムズデイルを選ぶ場合。これは巷で云われるような革新的な「GKロテイション」をほんとにやると捉えていいのではないか。相手に合わせてGKもその都度選ぶ。ラヤは問題なさそうであるだけでなく、この2試合ではラムズデイルに勝る落ち着いたチームプレイを見せた。もう、ぶっちゃけ多くのファンにはラヤのほうが技術的には優秀に観えたと思う。だから、その彼をこの超重要な試合で選ばないということは、ふたりのGKにはっきりと優劣をつけない方針と考えられる。あるいはラムズデイルのビッグゲイムでのメンタリティを取るみたいな考え方もあるけれど。
いっぽうでラヤを選ぶ場合は、もうそれで3試合連続の起用であり、これはアルテタがひとまずはラヤをNo.1認定したと考えてよいだろうと思う。アルテタは、現在の状況はレノとラムズデイルの状況と同じだと云うのだから、基本的に優秀なほうがつねにプレイする。
アルテタが主張していたアウトフィールドプレイヤーのように、GKのロテイションにも躊躇しないというのは、あくまで方便のようなものであって、実際はそうすることはほとんどない。みたいな。
まあ考えてみれば、実際にラムズデイルとラヤのようなある程度似たタイプのGKふたりを交互にフェアにプレイさせていくなんてことは、あまり現実的には思えないし、ベストなGKをつねに選ばないなんてことは本来やるべきでもない。むしろそのほうがアルテタが考えそうなことだ。
いずれにせよ、こうして試合を経るうちに、アルテタの云うところの「GKロテイション」の正体が、だんだんと理解できるようになっていくのかもしれない。この件ではだいぶネタとして盛り上がったけど、思ったよりふつうなところに着地したりして。
その他試合について
- サリバのアレ。サリーバ!
試合については以上である!
ハヴァーツに関してはGA取れてないのは確かですが今回の試合は加入して初めてと言っていいくらいいい出来だなと感じました。
ようやく慣れてきたのか相手の守備が悪かったからかは分かりませんが・・・
継続して今回くらいの出来であればGAを記録するのも遠くないと期待してます!