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キーラン・ティアニーのインタビュー「アーセナルのレフトバックはエイリアン」

現在スペインのレアル・ソシエダにローン中のキーラン・ティアニー。

アーセナル界隈ではすっかりご無沙汰の印象のある彼ながら、昨日はソシエダでUCLラスト16のPSGファーストレグ前ということもあってか、彼の単独インタビューが行われていた。

Kieran Tierney: ‘I was up against Mbappé … it helps you in the long run’

もちろん、ケガ中の彼はこの試合ではプレイできず、くやしい思いをしているところで、スペインでの生活やアーセナル時代の振り返りなど気分転換にはちょうどよいインタビューになったと思われるような内容だった。

つい先日ベンジャミン・ホワイトがインヴァーテッドRBを華麗につとめ、アルテタのチームおけるフルバックの役割についてはあらためて注目が集まっていたなか、ティアニーがそれについて語るなどタイムリーなトピックもある。

今回はこちらを紹介しよう。



キーラン・ティアニーのインタビュー by The Guardian 2024/Feb

記事のKT発言部分のみ。※小見出しは訳者による

KT:「おまえ変わったな」って云われる(笑)。

(バスクTボーン)ぼくは食べ物の写真を撮ったりしないほうなんだけど、そういうのを食べるたびに撮っちゃうね。別次元だ。それにお米と貝なんてのもある。クラムライスだって? そんなの生まれてから食べたこともない。でも、それがやべえくらいうまい。

(その後スペインではうまくいってる?)すべての部分が大好きだね。(ケガをしているあいだ)時間はゲイムプランの理解やことばの習得に使ってる。

ここは美しい。山、景色、海。食事は、サンセバスチャンのたくさんの恵みのひとつに過ぎない。ひとはみんな最高に人懐こい。

(ソシエダのフットボール)ぼくらはプレイのスタイルについて話した。それが重要だったのは、アーセナルではそれはちょっと違っていたから。ぼくは、彼らが彼らのレフトバックをどう観ているのか知りたかった。だから、それについて話してくれたのはすごくうれしかった。

アーセナルのLBは“エイリアン”

アーセナルでの大きなことのひとつは、彼らのレフトバックはもっとも中央でプレイする選手のひとりということ。ジンチェンコは、最大のクリエイターのひとりであり、むしろNo6のようだ。

あのやりかたが最初に導入されたときは、ぼくには異星人(alien)だった。ぼくは、子どものころからセンターミドフィールドでプレイしたことなんてなかったから。ぼくは、つねに高く、ワイドにいた。つまりそれは、いわゆるもっとノーマルなレフトバックポジションで、ぼくの全人生で理解しているもの。

アーセナルではそれを学ぼうとしていたよ。すごく効いていたし、疑問をはさむ余地はなかった。ぼくもベストを尽くそうとしたし、学ぼうとした。トレイニングでも試合でもそれをやろうとがんばった。だから、いつかはあのポジションでとても楽にプレイできる日がくるかも。

ぼくは、あのポジションでは世界でもベストのひとりであるジンチェンコと練習した。あれは、彼にとってはとても自然なもので、らくらくとやっているように見える。でも、ぼくにとってより自然なのは、ウィングを上下することかもしれない。

ぼくが最初ここに来たとき、コーチが昨シーズンのレフトバックの動きをヴィデオで見せてくれたんだ。Aihen Muñoz(もうひとりのLB)は素晴らしくて、彼ももっとも助けてくれたひとり。

トレイニングで彼が云う「これをやって、あれをやらなきゃだめで、ここにパス」。最初はルールについて訊いた。「何回くらいのタッチで、何回くらいパスすればいい?」。でもいまは「あれはこのドリル、あれはあのドリル」。ぼくも質問が減っていった。いいプレイができたとしても、慣れるのにはすこし時間はかかるものだ。ほかのひとにとって、あれはあとから身につけたものだった。

バスクが輩出する選手とコーチ

(ソシエダのユース出身者、優秀なコーチ、サンセバスチャンが輩出するものたち)正直、クレイジー。バスク出身のマネジャーや選手を観て。何かが起きているとしか云えない。文化であり、どう彼らが育ってきたか、フットボールをどう考えているか。

アカデミー出身の選手たちは、ぼくがセルティックでプレイしてたときと似ている。子どものころから、クラブがすべてだった。ぼくがセルティックにいたころも、ファーストチームには4-5人のアカデミー出身選手がいた。ここにも13才や14才みたいなのがいて、ネクストレヴェルだ。

スクワッドはとてもタイト。ぼくもすぐに気づいた。彼らは何年もいっしょにプレイしていていることがわかるし、マネジャーももう何年もそこにいる。試合でプレイしていようが、ベンチだろうが、スクワッドから外れた選手だって、みんな同じことを望んでいる。それが成功のカギ。家族だ。

ぼくも、最初トレイニングでTake Kuboと対峙して、彼のシャープさには衝撃を受けた。それに、[Martín] Zubimendi、[Mikel] Merino、Brais [Méndez]のようなワールドクラスの選手たちがいる。みんな彼らのよさがわかってないということじゃないよ。ただ、毎週PLだけを観ているひとには知るのが難しいというだけ。彼らはワールドクラスであり、そのうえ多くがアカデミー出身というのは、すごい。

ロジャースとエメリへの感謝

ブレンダン(ロジャース)の存在は大きかった。セルティックの誰に尋ねても、彼のやったトレブルは最高にクレイジーなことだったと云うはず。彼はクラブもぼくのキャリアも変えた。

ウナイ・エメリとの仕事も好きだった。残念ながら、ぼくら選手は彼にふさわしい結果をもたらすことはなかったのだが。それは、彼のせいではないと思う。彼はすごくハードに取り組んでいたし、彼は毎日欠かさず全力でやっていた。ぼくらが結果を出せなかったというだけ。

(なぜ結果が出せなかった?)それがわかるなら、ぼくもフットボールでもっと上の仕事をするよ。フットボールでは、しばしばものごとは計画どおりにいかないもの。悲しいことだが、彼がスペインでどうだったか、いまはアストン・ヴィラでどうか。

UCLラスト16のPSG。かつてのエンバッペとの対戦が経験に

たぶん、この試合はほとんどのひとがPSGが本命だと観ているんじゃないかな。もっともタフなドロウだったかもしれない。彼らはこのコンペティションに何年にもわたり出続けているし、経験があり、ワールドクラスの選手がいる。

(セルティック時代の2017にPSGには5-0、7-1で敗けている)あー…… あれはキツかった。ぼくは、Mbappéと対峙して、ゴールを決められた。あれから200ゴール? 彼がいて、NeymarやCavaniもいた。

いずれにせよ、あれはかなりいいフロントスリーだった。その前年にはバルセロナと当たった。セルティックでは全然運がなかった。しかし、あれもすべて経験だ。それでいまの自分になってる。ぼくはPSGとプレイしたときは、19とか20だった。そういうこともある。大きな敗戦が長期には糧になる。

ケガをしているとき、試合を観るのがつらくなることがある。ぼくはグラウンドでチームを応援するのは大好き。でも、TVだとこんなことを思う「みんなといっしょにいれたらなあ」。

とてもとてもタフになることはわかっているが、それこそが望む試合だ。そこにいて、グループのトップになったことは信じがたいほどの功績であり、アメイジングなストーリー。ぼくらは2失点しかせず、グループを勝つのにふさわしかった。アウェイのSan Siroでも、とてもうまく対処した。ああいう勝負ができるなら、恐れるものなんてない。それを楽しみ、味わうことだ。

将来について

ここでの生活が大好きだ。ぼくはすごくラッキー。(ここに残ることもありえる?)ローンていつまでだっけ!?(笑)。

それについてなにか云うのは難しい。でも、ここが大好きだよ。アーセナルでのときも大好きだったし、まだ2年契約を残しているから、あそこに戻ったら……。

(ここに戻れればWin-win?)100%。アーセナルは素晴らしいよ。この4年はすごく助けてもらった。今シーズンでさえ、ここに来させて経験するようにしてくれた。彼らには、キヴィオールのケガもあったので「ローンはやめだ」と云ったかもしれない。でも、彼らはオープンで、率直だった。「一年行っておいで」と。とても感謝してる。

これからどうなるかはわからないが、ぼくは楽しくやっているし、よく適応もしている。ぼくももう大人になってきたから、ロンドンに行ったときより10倍は楽。まだ時間はあるし、これからいいプレイをしたいと思っている。ぼくを信頼してくれたここにいるみんなに恩返しがしたい。

以上

 

ゆうべのCL試合をさっきハイライトで観た。

まだ観てないひともいるかもだから結果は書かないが、ソシエダというチームはとてもいいチームだったとだけ。初めて知った。タケフサ・クボが「Take」を名乗っているのも初めて知った。KTもTake Kuboと云っている。

ソシエダといえば、もちろんCMのZubimendiがアーセナルの夏のメインターゲットと云われているし、Kuboも一部ではアーセナルが緊張感をもって注視していると云われる選手。それと、このまえあらためてMbappeが、アーセナルに行きたがっているとかなんとかのどうでもいい情報もあったりで、この試合はアーセナルファンはチェックしておくべきかもしれない。来週はソシエダホームのセカンドレグがある。

さて、アーセナルファンとしてこのインタビューの最大のみどころは、やはりレフトバックの役割に関するところ。

彼はやはり自分のストロングポイントは、インヴァーテッドロールにはないと思っているようだ。謙虚に学ぼうとはしているものの、生まれてこのかたMFとしてプレイしたことは一度もなかったと述べている。それを「エイリアン」とまで云っているのは、彼がそれをいかに異文化と受け取ったのかということなんだろう。

ちなみにベンジャミンは、ずっとワイドエリアでプレイしてきたKTと違い、リーズでもブライトンでもCMとしてプレイしてきた経験が前回のWHUでのパフォーマンスにつながっていると、彼らを対比的に語るメディアもあった。どちらがマネジャーの要求に応えられるかは、云うまでもなく。

アルテタがいまさらフルバックを伝統的FBに戻すとは思えないので、残念ながらKTのアーセナルでの将来は暗いと思う。だが、もし彼がソシエダでハッピーならそれはとてもよいことだ。彼が毎試合で憮然とした表情でベンチに座っているのを観るのもイヤだし。こうなれば、彼の幸せを願いたい。彼といっしょにタイトルを祝いたかった。それができなければ心残りである。

バスク出身者(サンセバスチャン)のくだりについては、最近はXabi Alonsoの大ブレイクでイングランドでもわりと話題になっていた。

サンセバスチャンはスペインでもかなり狭い地域らしいが、そこからMikel Arteta、Unai Emery、Xabi Alonso、Andoni Iraola、Julen Lopetegui、そしてソシエダのコーチImanol Alguacilも輩出しているという。これだけ優秀なコーチがその狭い地域から生み出されているという、まさにクレイジー。視察したい。

 

おわり



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