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ナチョ・モンレアルは代理人になりました

こんにちは。

今朝、r/Gunnersで下の動画がシェアされていて、元ガナーのナチョ・モンレアルが代理人になっていたということを初めて知った。みんな知ってたのかな?

ナチョ・モンレアルといえば、アーセナル時代にもファンからたいへんに愛されたカルトヒーローであり、2年前にレアル・ソシエダで選手を引退してからも、ファンがアーセナルのレフトバックを語るときには、彼の名前はたびたび目にしたものだった。

記録よりも記憶に残る選手。誰もが最初に思っていたよりもいい選手だったということが大きかったのかも。独特の愛され方といっては、選手には失礼か。

この件はTWでシェアしたところ、なかなか反応がよかったので、内容をざっと訳しておこう。



代理人としてのナチョ・モンレアル「わたしは選手のことをわかっている」

このインタビューを実施していたのは、「TransferRoom」というYTチャンネル。インタビュー中にも言及があるように、移籍ビジネスをサポートする企業のようだ。ここでは、フットボールの移籍活動やクラブマネジメントなどにフォーカスしたコンテンツを配信しており、FIFA代理人ライセンスの試験に関する動画なんてのもあったりする。あとでいろいろ観てみよう。

(ナチョ・モンレアル。今日はあなたと会えて光栄です。あなたはオサスーナ、マラガ、アーセナル、レアル・ソシエダッドそしてスペイン代表として知られる選手だった。だがいまはエイジェントとして移籍ビジネスのなかにいる。どういう経緯で選手からエイジェントに?……)

モンレアル:それは、ちょっとクレイジーと云わざるを得ない。

わたしは、引退する前から引退後もフットボールには関わっていきたいとは考えていたのだが、マネジャーやスポーティングディレクターはかなり難しい。でもそこで20年来のわたしの友人であるGlobal Ases(※スペインのエイジェンシー)のCEOが、わたしたちといっしょに働かないかとオファーをくれた。

それをわたしは受け入れた。だからいまここにいる。

(そこがいまあなたのいるところなんですね。なんて名前でしたっけ?……)

Global Ases。

(なるほど。どんな選手がいるんですか?……)

まずはJesús Areso。彼は2024のラ・リーガのベストゴールを取った選手。そしてUnai García。彼はオサスナのキャプテン。あとはアスレティック・ビルバオのIker Muñoz、Iker Benito、Iñigo Ruiz de Galarreta。わたしたちは、スペイン北部のバスク地方にかなり力を入れているんだ。そこには、すごく可能性ある選手たちがたくさんいる。

(どんなタイプの選手を探していますか。若いこれからの選手か、あるいはシニアのプロとか、そのミックスとか……)

両方だね。両方のミクスチャ。当然われわれは、すでに一部リーグでプレイしている選手と契約する機会もある。それもする。しかし、同時に若い才能も探している。なぜなら、それは未来だから。

だから、われわれが契約するにふさわしいと思えばどんな選手でもだね。プロになれる可能性があれば、わたしたちは彼を援助する。

(あなたはスペインとイングランドの両方で素晴らしいフットボーラーとして知られていた。精神的にタフでとてもハードワーカー。その職業倫理はエイジェントになっても変わらない?……)

もちろん。わたしたちは競争力がなければならない。わたしはフットボール世界でも競ってきたし、いまもエイジェントとして競えるようになろうとしている。わたしが、両方の面を知っていることはラッキーなことだ。以前は選手で、いまはエイジェント。彼らが信頼してくれるから、わたしも全力を尽くそうと思う。

だからわたしは100%全力で彼らを助ける必要がある。フットボールは簡単なものじゃないからね。元選手であれば、その意味がわかる。辛い時期もあるから、誰かの助けが必要になる。

(あなたの会社への貢献はどれほどでしょう。つまり、あなたはあなた自身がかつてのトッププレイヤーだったので、契約のことだけでなく、フットボーラーの心理的・精神的側面の理解もあるでしょう。彼らを助けることもある?……)

イエス。選手たちと話すときは、彼らとも話す。まさに、それはわたしが彼らに話していること。わたしが彼らに伝えようとしているのは、フットボールは簡単ではないということ。フットボールは長ーい道のりだ。10-15年はフットボール選手になる。そこには浮き沈みもある。

そしてわたしはかつて選手だったので、選手への理解もあるし、彼らが感じることもわかる。どうやって彼らを助け、情報を与えるか。どんな情報を与えないか。

そして、おそらくこれが、わたしとほかのエイジェントたちとのもっとも大きな違いになる。なぜなら、彼らのほとんどはフットボーラーというものを知りたがっていても、その情報がないから。

(まったくですね。いまわたしたちはマドリッドのTransferRoom Deal Dayというイベントにいます。ここには何を探しに来ましたか?……)

これはTransferRoomがオーガナイズしているイベントで、世界中の300を越えるクラブの代表者が集まっているし、ほかにもいろいろなエイジェンシーが参加している。だから、彼らと会っておきたいと思って。

自分たちの会社を紹介し、仕事内容や何ができるか、将来の協業についてとか。連絡先をもらったりも。

わたしたちは、このイベントは初めてだけど、もうしばらくここに来ている人たちとも話した。みんな、このイベントは素晴らしいと云っているよ。

(TransferRoomは、フットボールのマーケットプレイスであり、800のクラブと500のエイジェンシーがオンラインで移籍ビジネスを行っているプラットフォームです。あなたたちが、ここを選んだのはなぜ? ……)

あなたが云ったように、みんながここに集っているから、つまりとてもセキュアなプラットフォームということ。

ほとんどの人とコンタクトして、そしてすぐにいろいろなエイジェンシーからフィードバックを得られる。ワンクリックで探している情報を観られるから、出張しなくて済むことすらあるよ。とても満足してる。

(ところで、すべてのエイジェントがいい評判を得られているわけではありませんが、一般あるいはファンのエイジェントに対する最大の誤解は何だと思いますか?……)

(笑)いい質問だね。

自分にとってエイジェントとしてもっとも重要なことは、忠誠心だと思う。つまり、わたしは元フットボール選手であり、たくさんの仲間がいて、エイジェントにはあまりいい思い出がない選手たちもいる。この世界では、ほら、忠誠心のない人たちもいるから。そういうものは、選手にとってではなく、自分たちにとって都合のよいことだけを追い求めている。

わたしにとって、もっとも重要なことは選手を助けることだ。わたしは選手だったから、選手というものを理解しているし、どうやって助ければいいかも知っている。

(あなたは自分の評判はどのように感じていますか? 元選手で、ああいうキャリアがあり、若い選手からは即座にリスペクトされるし、ほかのエイジェントの話は聞かなくてもあたなの話は聞いてくれる……)

イエス。そのとおり。わたしには、まさに15年間プロとしてフットボール選手だった評判があり、ほとんどのひとはわたしのことを知っている。それと同じ評判を今後もつづけられるかだ。

わたしにとって、もっと大切なものは金じゃない。選手を助け、彼らの夢をかなえようとすること。それは、わたしが若かったときに追い求めたものだ。それを目指している。それがしたい。

(なるほど。移籍ウィンドウでエイジェントをやるというのはどんなものですか? どんな一週間?……)

クレイジー。まったくクレイジーだ。800ものクラブがあり、500ものエイジェンシーがあり、そこに全員が集まるのだから。

わたしの一週間は、月曜から金曜は電話、電話、電話。週末のあいだはまた電話、そしてたくさんフットボールの試合も観る。

いまの移籍ウィンドウの期間中は、想像できるだろうけど、これがまったくクレイジー。自分の担当の選手のなかには長い契約があるものがいたり、契約が終わって新しいクラブを探しているものがいたり。いろいろな選手をほかのクラブにオファーしようとしている。

今日受け取ったオファーが、明日はまったく違うフィードバックだったり、大変だよ。だから、完全にオープンじゃなければいけない。そして、それがわたしたちの仕事なんだ。

(電話の電源は切らない? 夜中に起こされたりしませんか?……)

あんまり夜中に電話をかけてくるひとはいないけど。妻を除いてね。殺すつもりかっていう(笑)。

まあ、いずれにせよ非常に忙しい。でもそういうのも、もうわかっていることだから。

(エイジェントとしては、当然クラブで権限をもっている人たちとの良好な関係が決定的になります。それはどうやって築いて、維持していますか?……)

ときどきはクラブを訪問する。トレイニンググラウンドへ行き、会議をして、自分たちのことを説明する。それは、選手をオファーするだけでなくフィードバックを得るためでもある。将来いっしょに何かするかもしれないから。

そして、一度いいフィーリングがあれば、彼らが選手を必要としたときにお呼びがかかる。いずれ、ほかのクラブからも信頼される。「ナチョ、こういう選手がほしいんだけど」と。それが自分たちの選手じゃなくてもだ。ともにビジネスをすることができる。

(最後に残りの移籍ウィンドウでは何に注力しますか?……)

うちのすべての選手にクラブからオファーがあること、そして彼らがハッピーでつぎのシーズンにもやる気を持てること。フットボールは終わらないからね。

以上

 

なんだか、移籍ウィンドウ真っ最中のいまの時期にちょうどいい内容だったかも。途中TransferRoomのPRのようなパートが挟まれていて、いかにも企業VPみたいであるが、おもしろいから許そう。

このインタビューの最大のみどころは、「代理人への誤解」に関する部分だろうか。たしかに、代理人とくに「スーパーエイジェント」のように呼ばれる有名代理人は、一般的にもあまりいい印象を持たれていないだろうと思う。本来はいないほうがいい、当事者同士の中間にいるだけで大した労力もなく大金を稼ぐ、中抜き業者みたいなもの。胡散臭さ。そういう印象はあるっちゃある。

たしかジョルジーニョが、若いときに代理人に騙されたというエピソードを語っていたこともあるし、とくに世間に未熟な若者をたぶらかそうとする悪人も少なからずいるんだろう。しかし、もちろん善良な代理人もいる。ナチョ・モンレアルは、そういう代理人になろうとしている。選手のためになれるような、クラブにも選手にも信頼されるような、あるべき代理人に。このインタビューでは、そういう彼の誠実な人柄が垣間見えたように思う。

今後、モンレアルがアーセナルと仕事をすることもあるんだろうか。彼の会社を観るかぎりでは、バスクに集中しているというようにスペイン人がほとんどのようで、まだ世界的な有名選手などもいないようだが(彼らの顧客でMVがもっとも高い選手が€7.5mのJesús Areso)。

カソルラやアルテタとはアミーゴなのだし、ぜひ人脈活用していただきたいものだ。

彼は現在38才だから、ビジネスの世界に足を踏み入れたのが30代なかば。いま仕事を楽しめているのなら、素晴らしい。ナチョのこれからの成功を願ってやまない。

 

ブログの最後にお聴きください。あてくしのYT Like動画シリーズから、The BA-ROZで”The Last Time”(1972)。

 

おわり



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

One Commnet on “ナチョ・モンレアルは代理人になりました

  1. こういうニュース、記事をシェアしていただけるのは本当に楽しいし、嬉しいですね!
    Arsenal 愛に溢れすぎてもうあまりにもニッチな記事ですが、僕はモンレアル大好きなので、ほっこりさせていただきました!笑

    モンレアルはアーセナルとはまた違った角度で関わりそうかな?
    カソルラがもしかしてコーチングスタッフで将来、?
    とりあえずアルテタの息子でも先に契約してアーセナルのアカデミーでも入れとけば?

    いろんな適当なゴシップが思い浮かびますが、とりあえずは本年/今季の成功を祈って

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