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#MCIARS直前、スタッツデータあれこれ。ギャリー・ネヴィル「アーセナルには宣言となる勝利が必要」

こんにちは。今日の#MCIARSは、さすがにビッグマッチということで、試合前も世間は盛り上がっている。

一般的な興味としては、アーセナルが昨シーズンのような現実主義的アプローチでプレイするかどうかということがあるようだ。そのときのRodriの発言「アーセナルはドロウを狙うだけだった」も、蒸し返されている。いかにもアンチアーセナルが食いつきそうなテーマ。ホイホイ。

このブログでも何度も書くように、アーセナルはただ引きこもるだけのチームではないし、その認識自体おおいに議論の余地はあるのだが、まあひとまずそれはよいとして。

PLのアウェイでもっともタフな場所で、アルテタのチームが今回もプラグマティックな戦略を基本にしてプレイすることは間違いないだろうが、こういったもろもろの議論もあって、アーセナルがシティを相手にどのように攻撃に野心を見せるかも、この試合の大きな注目ポイントになったように感じている。

さっき、サカの試合前コメントをこの試合のプレビューエントリに追記したように、あらためて彼もまた「この試合は勝ちに行く」と述べている。そのアティチュードは、きっとチームにも共有されていることだろう。そして、そうした計画を実際にどこまで実行できるか。Easier said than done. 言うは易く行うは難し。

そんなことを考えつつ、今朝ぼくはSky Sportsのある記事を観てこれは試合前にシェアしておきたいと思ったので、それを紹介しよう。

それと、アーセナルファンのあいだで少し話題になっていたギャリー・ネヴィルのこの試合に対するコメントも。



24/25PLマンシティ vs アーセナル。データあれこれ by Sky Sports

この試合をさまざまな角度からのスタッツデータで分析したこの記事から。ただし、参照されているデータの多くは24/25シーズンのものなので、サンプル数が少なすぎるという前提は認識しておくべき(※4試合分)。

Man City vs Arsenal: Set-piece threat, using Kai Havertz and shackling Erling Haaland key to Gunners’ formula

すべては紹介しないので、ぜひオリジナル記事をご覧あれ。

攻撃と守備の比較

まずは攻撃面での両者比較。ゴール、xG、SoT、チャンスクリエイション、ファイナルサードパスといった攻撃では、シティがすべてリーグベスト。なかでも彼らのファイナルサードパス875は、2位より33%多いという。それだけ今年も攻撃的にプレイしているチーム。

いっぽうのアーセナルは、ゴール自体はともかく、xGやチャンスクリエイションなどがボトムハーフで、チャンスをつくることに苦労していることがうかがえる。

もっとも、アーセナルのこの4試合のなかには、アウェイのヴィラとToTが含まれていたこと、ホームのブライトンではライスの不当な退場で試合のほぼ半分を10人でプレイしたことは考慮すべきではある。チーフクリエイターのオーデガードの離脱もある。

シティのG11のうち9がHaalandによるものであり、この試合も彼をどう止めるかがカギになることは云うまでもない。

守備では、アーセナルの失点1はリーグベスト。ただし、被xGや被SoTなど、チャンスをつくられること自体を防ぐ守備クオリティは軒並みシティのほうがよい数字となっている。アーセナルは、シティよりも多くのチャンスをつくられながらも実際の失点が少ないということは、GKのセイヴやDFのブロックに助けられているということ。

ただし、これもまたアーセナルのこの4試合の対戦相手や場所、10人でプレイするような試合の状況は考慮される必要はある。

ここで指摘されるべきは、アーセナルの相手にゴールを許さない守備の固さだろう。23/24シーズンからここまで、PLにおけるアーセナルの失点は30、シティは37。クリンシーツはアーセナルが21に対して、シティは14。守備面においては、アーセナルはタイトルホルダーよりもだいぶ優秀。

アーセナルはいかにHaalandを締め出すか

シティは昨シーズン、アーセナルとのホーム・アウェイどちらもゴールできず。彼らのチームとしてのSoTはそれぞれ「1」づつというシャットアウトぶり。当然、Haalandも沈黙。アーセナルには、シティの攻撃を防ぐことができるディフェンスがある。

事実、グアルディオラが来てからのシティの308試合中、もっとも低かったxGのトップ3に、去年10月のエミレーツでのアーセナル戦が入っている(0.48)。アーセナルが1-0で勝った試合。

23/24シーズン、シティの相手別チャンスクリエイションでは、アーセナルがxG、ショッツとももっとも少ない。逆にいえば、PLの19チーム中アーセナルがもっともシティの攻撃を防いだ。

23/24シーズン、HaalandのP90でのxG。アーセナル戦はどちらもかなり低い。サリバとガブリエルとのフィジカルバトルの結果。エミレーツでは、Haalandはショッツゼロを記録した。エティハドではショッツ4、xGが0.31と彼の平均をはるかに下回った。

アーセナルはこの試合、ヴィラAやトトナムAで見せたようなロウブロックをやる可能性が高い。

24/25シーズン、ボールのうしろのDFの平均人数は、アーセナルがリーグトップ。わりとダントツ。ただし、繰り返すようにアーセナルのこの4試合は(以下略

シティ(とToT)は、アーセナルと逆でボールの前に人数をかけているほうのチーム。

アーセナルの攻撃方程式

オーデガードが不在で、チャンスクリエイションに問題を抱えているアーセナル。この試合も高い位置でボールを失うリスクを避けるために、ダイレクトプレイ(ロングボール)は増えると観られる。そこでは、ターゲットになるであろうハヴァーツがカギに。

23/24シーズン、アーセナルの対戦相手別ロングボールは、シティがトップ(78)。それだけ慎重なアプローチであり、ハイプレスのチーム相手ということもある。

それと、この試合ポゼッションを相手に譲るということは、アーセナルはカウンターアタックも狙うことになる。じつは、アーセナルは昨シーズン以降ここまで、PLでもっとも効率的なカウンターアタックのチームになっているという。カウンターアタックからのコンヴァージョン19%はリーグベストで、カウンター5回から1回くらいはゴールを決めているということ。

この試合のプレヴューエントリでも触れたように、シティはPLブレントフォードやCLインテルで、カウンターに脆弱な面を見せていたことも、アーセナルには朗報。

それともちろんセットピース。昨シーズンからここまでPLでセットピースからの24ゴールはリーグトップ。NLDでもホームチームを葬ったそれは、間違いなくいまアーセナルのもっとも強力な武器のひとつであり、最近のわれらがストーク呼ばわりされる所以でもあり(笑い)。

ポゼッションの多くをシティに支配されるであろうこの試合で、フリーキックやコーナーキックは、アーセナルのもっとも重要なゴール機会になりうることは想像に難くない。

後略&以上。

マンシティ vs アーセナルについてギャリー・ネヴィル「アーセナルは今年タイトルを取らなければ、歴史は彼らを忘れるだろう」

イアン・ライト、ロイ・キーン、ジェイミー・キャラガーらがホストのYouTube番組『The Overlap』より。

もし、このスーパーブなアーセナルのチームがPLかCLのタイトルを取らないとしたら、歴史では忘れ去られるだろう。厳しいようだが、それがエリートスポーツの現実だ。

ウィリアム・サリバとガブリエル、マーティン・オーデガードとデクラン・ライスの素晴らしさ、ダヴィド・ラヤの普通じゃないセイヴ、ブカヨ・サカの切れ味、そういったものを誰も懐かしく思い出したりしない。Netflixのドキュメンタリーにもならないだろう。祝福も尊敬もされない。ただ、惜しかった男たちとして無視される。

歴史は、そういうあとちょっとでダメだったというものたちを許さない。だからこそ、彼らがこの2年にやってきた素晴らしい取り組みのために、まだもう一歩踏み出す必要があるのだ。

わたしたちも、日曜の試合がタイトルディサイダーだと云うのはさすがに早すぎる。しかし、それでもアーセナルには宣言となる勝利が必要なのだ。なぜなら、彼らはマンシティにダメージを与える必要があるし、彼らがいまノッているチームだと誇示する必要があるから。

彼らの偉大な先人たち、1998年のアーセナルのチームがあった。わたしが対戦したアーセナルのチームのなかでもベストのチーム。彼らはOTにやってきて1-0で勝った。あれは、国内試合でわれわれに勝ちが必要だった試合で、ふつうは起こり得ない結果だった。

だが、彼らはわれわれの前に立ちはだかった。MFでは丁々発止のバトルがあり、爪痕を残し、われわれの芝に旗をうち立てた。

いまのアーセナルにはそれが必要だ。3月に彼らがエティハドへ行ったとき、0-0の結果を得たことに彼らも満足しただろう。彼らはホームでアストン・ヴィラに敗けたことは事実だが、それでもまたリーグを勝つことはできた。

しかし、現実としては、エティハドでの結果は十分ではなかったのだ。彼らはシティを痛めつけ、水面下に穴を開ける必要があった。ドロウの結果は、彼らを浮かして、タイトル争いにとどまらせただけだった。

リーグを勝つということは、血の滲むようなハードワークだ。誰も手渡してはくれない。それは、まるで1992年のアレックス・ファーガソンが、ようやくそこにたどり着いたみたいなものだ。あのとき、リヴァプールとアーセナルの支配が終わるのを待つしかなかった。

それは、2020年のリヴァプールの事実でもあった。彼らは最終的にあと一歩のところまで行き、シティさえも屈服させる容赦ないシーズンを送った。

ペップ・グアルディオラはマシーンを築いてきた。シティには望むべくすべてがある。金、すごいインフラ、ワールドクラスの選手、天才的コーチ。そこにすべてのトロフィがある。

アーセナルが戦っているのは、フットボールが観てきたなかでベストのひとつだ。それは山を登るようなもの。スピードボートの軌道に、クルーズ船で漕ぎ出そうとしている。彼らはロシアのロッキーだ。完璧にデザインされた、極めてよくトレインされたチャンピオンボクサー。

したがって、彼らは勇敢である必要がある。昨シーズンのドロウは十分ではなかった。彼らは、自分たちを守るだけでは十分ではないというメンタリティにシフトする必要がある。彼らはもうすぐのところにいる。

彼らは非常によいチームだ。サリバとガブリエルは、急速にPLのベストパートナーシップのひとつになろうとしている。わたしは、アーセナルの守備ストラクチャには圧倒されている。

先週のスパーズでは、彼らの高いスタンダードからすれば全体的にプアではあったが、パフォーマンスのコントロール、キープレイヤーを欠き、それでも素晴らしかった。アルテタが述べたように、精密攻撃のようだった。「われわれにはひとつの弾丸があり、それは相手に最大限のダメージになるときに使う」。

わたしは、最近のアーセナルのチームの守りかたやフットボールは大好きだ。シティには、大きなバック4、筋力あるDFがいるけれど。アーセナルはソリッドなユニットで、ときに深く守り、ジョージ・グレアムの古きよきアーセナルのように、プレッシャーを吸収する。“1-0 to the Arsenal”は、彼らの代表曲。ただの郷愁じゃない。いまもまだオールドファッションな原則がゲイムの一部であることの、深い満足がある。

4人の大きく力強いDFがプレッシャーを吸収し、彼らはみな空中戦に強い。それはアーセナルの先祖返りだ。いまのセットピースの強さは、彼らの1990年代を彷彿とさせる。

タイトルを取るとき、そこにはHTで0-0が想定されるような、たくさんのタフなアウェイ試合がある。そうなれば、足場を確保するためには60分と75分のあいだにゴールを決める必要がある。そういうことを繰り返していくとき、プレッシャーの波を吸収していかねばならない。

しかし、その流れを抑えることができれば、90分で逃げ切って2-0で勝つことができる。それが相手を置いてきぼりにするパフォーマンスだ。

日曜のエティハドで、アーセナルに必要なものはそれだ。彼らのタイトルチャレンジにおいて、ここでポインツを落とすことが致命的でないからではない。そうではなく、彼らこそシティを出し抜けるチームだと誇示するためだ。デュエルで支配的になることができると示すため。

今回の試合で彼らは、これが自分たちの時間なのだと信じる必要がある。

なかなかいいことを云う。結局トップにならなければ、あとで誰も思い出さないというのは正論だろう。何年もたったあと、2位を覚えているものなどいない。歴史に残るのは1位だけ。せっかくここまでやってきたんだから、トップになれよとネヴィルは云っている。ここ数年のこのひとは、けっこうアーセナルに好意的だよね。

現実的には、モウリーニョ呼ばわりされようが、なりふり構わず1ポイントを狙うというのは、ここでの戦略としてアリだと思う。長いシーズンで、自分たちが勝つよりも、相手に勝たせないことのほうが重要になりうるから。とくにアウェイでは。

しかし、ここで3ポインツ奪うことの実利以上のインパクトは過小評価できない。それこそシーズンは長いので、このあとの試合への心理的な好影響は必ずあるし、かなり大きい。昨シーズンの対戦結果は、アーセナルはシティにW1 D1の敗けなし。それ以上を望むならW2という結果が必要。

10年も勝っていない場所で、最大最強のライヴァルに勝つためにはどうすればいいか。アーセナルのチームには勇気が試される。堅牢な守備を維持しながら、どこまで攻撃でリスクをかけるか。そこは注目したい。

 

COYG



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プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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