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UEFAが16/17シーズンの『欧州フットボール白書』を発表

いささか出遅れた。移籍ニュースで頭がいっぱいだった今週の火曜日に、ヨーロッパのフットボールを統括するUEFA(Union of European Football Associations/欧州サッカー連盟)が16/17シーズンを総括したレポートを発表していた。

われわれ一般人でも100ページ以上の報告書PDFをUEFAのサイトからダウンロードして見ることができる(126ページ)。目次だけ見ても内容は多岐にわたり、試合結果からだけではわからないヨーロッパ各クラブ同士の力関係や、経済的な健全性などといった突っ込んだ内容がまとめられていて、非常に興味深い。

(なお「フットボール白書」というのはブログにキャッチーなタイトルをつけるためぼくが勝手にそう呼んだだけでいわゆるホワイトペーパーとは呼ばれているものではない)

“The European Club Footballing Landscape”(ヨーロッパのクラブフットボールの現在) もくじ

  • Competitions and supporters(大会とファン)
  • Ownership(クラブのオーナー)
  • Sponsorship(クラブのスポンサー)
  • Transfers(移籍)
  • Agents(エージェント)
  • Revenues(収益)
  • Wages(給与)
  • Operating costs(運営費)
  • Profitability(採算性)
  • Balance sheets(バランスシート)

UEFA report shows football’s financial upswing



時間があれば、じっくりと読み込みたいところだがさすがにボリュームが多くてすべてに目を通す余裕がない。おなじみのFourFourTwoがこのレポートから気になるヘッドラインをピックアップしているので、それを紹介してみよう。

追記:さすがに読みにくいと思って色付けした。

16/17シーズンはプレミアリーグがヤバくて、マンUもヤバかった

  • 前回の移籍市場では史上20位に入る規模の移籍が6件起きていた。また50Mユーロを超える取引も10件あった。バルセロナからPSGに移籍したネイマールの222Mユーロが史上最高額
  • 高額移籍金取引のなかでは、取引金額50Mユーロ以上のカテゴリがもっともジャンプアップした。50Mユーロ以上の移籍の数は、その前回の移籍市場の2倍の数となった
  • プレミアリーグは、ヨーロッパのリーグのなかで最大の支出と最大の収入があった。それでも支出が上回りマイナス772Mユーロ。対照的なのがポルトガルリーグで231Mのプラスとなった。
  • 2016年度でマンチェスター・ユナイテッドが、ヨーロッパのどのクラブよりももっとも収入の多いクラブだった。689Mユーロ。これはバルセロナとレアル・マドリッドよりも多い(620Mユーロ※合算?)。
  • 史上初めて、プレミアリーグクラブの平均給与総額(153.9Mユーロ)が、2位のリーグの2倍以上となった。2位はブンデスリーガ(75.3Mユーロ)。
  • ヨーロッパでもっとも多くの給与を払っているのはバルセロナ(372Mユーロ)で、バルセロナの総収入の60%にも及ぶ。これはラ・リーガクラブ平均の5.2倍。
  • バランスシート上の選手価値の総計において、マンチェスター・シティ(362Mユーロ)がレアル・マドリッド(334Mユーロ)を超えた。もっとも、獲得にかかったコストはマドリッドのほうが多い(754Mユーロ)。
  • プレミアリーグのクラブがもっとも大きな平均負債(76.3Mユーロ)。ヨーロッパのトップ5リーグのなかではブンデスリーガがもっとも低い(5.5Mユーロ)。ヨーロッパ全体でも10位。
  • ユナイテッドの561Mユーロという負債はヨーロッパのなかで最大。2位のベンフィカ(309Mユーロ)よりもはるかに多い。

高額移籍金での取引が急速に増えていて、とにもかくにもプレミアリーグがバブリー。マンUとマンシティすごい。やばい。みたいな。どこまで行くんだプレミアリーグ。

16/17シーズン、チャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)はヨーロッパで集客数3位

BBC SPORTSもこのレポートをネタに記事を書いている。

English Championship boasts third biggest crowds in Europe

16/17シーズン、プレミアリーグ、ブンデスリーガに続いて集客数が多かったヨーロッパのリーグはなんと、イングランド2部のチャンピオンシップだったという。イングランドどんだけ。リーガよりもセリエAよりも多い。

9位に入っている「リーグ1」はチャンピオンシップのさらに下部リーグでイングランド3部。ポルトガルリーグよりも集客できるリーグであると。

当たり前だけれど、スタジアムに来てくれるお客さんが多いということはそれだけクラブも潤うわけで、イングランド・フットボールの盛り上がりがそのまま反映された格好である。

ちなみにわれら日本のJリーグはどうなのかと思ってググったら、村上アシシさんという方がまとめている資料を発見。

Jリーグの2017年の観客動員数を集計してみた(村上アシシ) – Yahoo!ニュース

これを見ると2017年のJ1リーグ18クラブのスタジアム入場者数の合計は約577万人ということで、上記ランキングだとちょうどエールディビジ(オランドリーグ)とリーグ1(イングランドリーグ3部)の間ということになる。悪くないね。

その他の16/17イングランド・フットボールSugeeeee

この記事によると、ほかにもいくつか興味深いポイントが指摘されている。

  • ヨーロッパ・フットボール史上初めて、11のクラブでスタジアム入場者数年間100万人突破した
  • ウエスト・ハム、セルティック、リヴァプールが100万の大台を突破。マンU、アーセナル、マンシティとともにトップ11に入った
  • イングランドのトップ20クラブの収益は、UEFAの48のマイナーリーグ(5大リーグとロシア、トルコを除いた)の597クラブをすべて合わせたよりも多かった
  • 12のイングリッシュクラブが収益ランキングトップ30内に。トップ10には、マンシティが6位、アーセナルが7位、チェルシーが8位、リヴァプールが9位。
  • イングリッシュクラブが放映権料収入でトップ20中16を占めた。マンUがトップで146Mユーロ(全体の収入の21%)

個人的におもしろかったページ

“Top 20 most followed European clubs all from ‘big6’ TV markets” (PDFの16ページ)

ソーシャルメディアでもっとも成功したクラブについて。フェイスブックのLIKE数とツイッターのフォロワー数で集計されている。どちらもリーガの2強がダントツで、そのあとにだいぶ離れてユナイテッド、また同じくらい離れてアーセナル、チェルシーと続く。選手ではクリロナがダントツ。メッシはツイッターアカウントがないようだ。1000万人以上のフォロワーがいる選手というカテゴリのなかに、エジルがだいぶ上位にいる。人気ものだなあ。

“Players more popular on Twitter and clubs more popular on Facebook” (PDFの17ページ)

ツイッターとフェイスブックでのクラブ、選手のそれぞれの人気。クラブとして人気なのか、選手だけが人気なのかといったおもしろい視点もある。ツイッターとFBでは多少傾向も異なるが、たとえばPSGのようなクラブは、クラブそのものの人気よりも所属選手人気のほうが圧倒的に高いことがわかる。レアル・マドリッドも似たような傾向だ。

“Short-term European club revenue growth(FY2016)”(PDFの58ページ)

スペインやドイツといったリーグが成長しているのと対象的に、ウクライナやルーマニアといった、ロシアを除く東ヨーロッパのリーグの成長が落ちている。地図で見ると国は違えど成長しているリーグとそうでないリーグが固まっており、ある程度地域性があるようだ。気候とかそういう理由もあるんだろうか。

“European club revnues by type”(PDFの62ページ)

2015から2016、スポンサー収入や入場者収入といったさまざまな収入のなかで一番増加率が高いのはDomestic broadcasting(国内の放映権料)。よく知られているように、フットボールクラブの収入に占める割合が非常に高いの放映権料であるので、ここが高くなれば当然クラブは潤う。これは、やっぱりDAZN的なアレだろうか。CATVなどのペイTVではなく、もっと安くて手軽なネット配信で視聴する人が増えた的な。シャツの胸スポンサーに増えているオンライン・ベッティングの会社の配信もあるんだろう。いや、でもTVマニーにネット配信は含まれないのか? どこかに記載があるかもしれないがそこまで読めない。

“Top 20 clubs by gate receipts”(PDFの72ページ)

はい、スタジアム入場料収入(チケットの売上)はアーセナルが1位。エミレーツ・スタジアムは入場料やシーズンチケットが高いといわれているからこれは現地ファンは複雑だろうな。

“Top 20 clubs by player assets”(PDFの120ページ)

選手価値総額。アーセナルは7位でPSGやユヴェントスよりも上という。トップ10の顔ぶれを見ると実力は最弱だな。金を遣わないで結果を残すというのが美徳というなら、アーセナルはいつの間にか、金を遣っても結果がその金額に伴わないクラブになってしまったということになる。

“Top 20 clubs by net debt”(PDFの122ページ)

債務総額。1位はダントツのマンU。アーセナルは20位にも入っていない健全経営。フットボールクラブとしては誇れることなんだろうか?

 

以上

時間があったらアーセナル関係だけ抜き出してみたい。



 

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