hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Emery

エメリが合わせるのか、エメリに合わせるのか。ネヴィルとキャラガーがウナイ・エメリを激論

SKYの人気フットボール評論番組『MNF(Monday Night Football)』で、ギャリー・ネヴィルとジェイミー・キャラガー、おなじみのパンディットふたりがウナイ・エメリについて熱く議論を交わす様子が、SKY Sportsのウェブサイトで紹介されている。

Gary Neville and Jamie Carragher’s heated debate over Unai Emery’s Arsenal

おま国かと思いきや日本からでも貼り付けられている7分弱の映像も見られる。

よほど披瀝したい持論だったのか、あまりにも意見が違うからなのか、ふたりとも口角泡を飛ばす勢いで、イングランドでもエメリを巡る状況がいかに多くの議論のネタになるか伺えるものだ。

リードによれば、これまでのMNFのなかでももっともアツいディベイトのひとつになったという。アツくなりすぎた最後にはホストも含め3人で笑ってしまっているのがおかしい。

議論のハイライトのみスクリプトも書き起こされているので、今回はこちらをざっくり紹介しよう。



この議論はもちろん、チェルシー戦の敗戦のあとに行われているもので、この時点でエメリのアーセナルは開幕から2連敗している。

それぞれのスタンスとして、まずキャラガーは、現時点でエメリはやりたいプレイスタイルと起用している選手のミスマッチがあると考えており、一方のネヴィルは、自身のヴァレンシアでのマネージャー経験から、エメリは何があっても自分の哲学を貫くべきだと考えている。

激論@MNF:エメリが合わせるのか、エメリに合わせるのか

キャラガー:わたしが思うに、マネージャーは適応する必要がある。自分の原則を捨てろという意味じゃない。しかしもう少し深く守ったほうがよかったということだ。彼は選手たちに前からプレスをさせようとしていた? 彼のチームには後ろにスピードのある選手がいない。ゴールキーパーにフィールドに出てプレイさせようとしていた? わたしは1月までには彼のほうが適応しなきゃならないと思うよ。

ネヴィル:彼のほうが適応しなきゃなんて提案は無視していい。

キャラガー:それは意固地になってるだけじゃないの?

ネヴィル:いや違う。彼は6週間やってきた。ウナイ・エメリはコーチを10年もやっていて(※訳注:エメリのコーチキャリアは13年)、成功を収めてきた。彼にはアイディアがあるし、選手のほうが彼に合わせなければならない。彼はファーストシーズンを通して、どのプレイヤーが彼に適応できて、どのプレイヤーが適応できないか見極めなければならない。ファーストシーズンはアーセナルにとっては過渡期で苦しみもあるだろう。適応するのはデンジャラスだ。

わたしの意見はヴァレンシアで大いに学んだことから来ている。何をすべきで、どうやったら結果が出なかったか。わたしが適応を始め、わたしのアイディアである選手たちを排除し、何かを変えようとするとき、以前の3-4週間でやってきたことを捨てた。

もし彼がバックから始めるというワンアイディアについて練習を始めたとする、そして次にはロングボールを出せという。選手は混乱し始める。サム・アラダイスのレディオでのコメントも聴いたが、ウーナイ・エメリは(アラダイスのように)降格を免れるために5試合で8ポイント取ろうとがんばっているわけじゃない。彼はタイトルを取れるチームをつくろうとしているんだ。彼がぜったいにやるべきじゃないことは、これはわたしの経験からだが、自らを曲げて適応しようとすることだ。なぜなら選手たちは彼の後ろをついてくるのだから。

キャラガー:わたしだってアーセナルがこれらの試合に勝てると思ってたわけじゃない。わたしがいえるのは、そこで見たものだけだ。キーパーをプレッシャーのなかにおいてバックからプレイしようとしていたこと。でもなんであれをやった? ムスタフィが走れないのになぜハイラインをやった? いまプレミアリーグのトップレベルの選手が対応できないって話しをしているのか?

ロングボールを蹴れとはいってない。もし彼らがロングボールを出せないなら、チェルシーがセカンドゴールでやったみたいにフルバックにチップで出せばいいかもしれないじゃないか。キミはマネージャーは適応すべきじゃないというが、3-4年前にはアーセン・ヴェンゲルがマンチェスター・シティへ行って、プランを変えて結果を出したことをみんな称賛しただろ。どこへ行こうとも、どの試合でもチームはまったく同じプレイをしたほうがいいと思っているの?

ネヴィル:違うって。でもそのときくらいからフットボールコーチングの世界や教育では大きな変化が起きたんだ。もし子どもがいるなら、親が彼らにどんなふうに振る舞ってほしいかスタンダードを決める。もし彼らが違うことをやり始めたら、原因を排除して自分のあとについてこれるようにするよね。

ペップ・グアルディオラも、ユルゲン・クロップも、マウリシオ・ポッチェティーノもプランBを持っていない。彼らはプランAをもっといいものにしようとする。これはわれわれの時代とは違ったやり方だ。わたしはカウンターアタック、ロングボールかポゼッションでプレイするチームにいた。わたしたちは試合に応じて対応していったが、いまでは違うんだ。

キャラガー:でもキミはこのショウでも別のプランを持っていないことを批判してたじゃないか……

ネヴィル:わたしたちはサム・アラダイスやほかのスタイルを批判したことなど一度だってない。どんなスタイルだっていつも歓迎する。マネージャーに彼のスタイルを変えろなんて要求したこともない。キミがスタイルを変えろっていってるときでもね。

キャラガー:わたしだってスタイルを変えろなんていったことはないよ。

ネヴィル:いったじゃん。

キャラガー:わたしは適応しろといってるんだ。シチュエーションのなかに自分を置き去りにするなと。あの試合だって7-8点は失点していた可能性がある。

ネヴィル:5週間後に?

キャラガー:待って、話しを遮るなよ……

ネヴィル:ジェイミーが今日つくってきたパーポはいいね。

キャラガー:ヴァレンシアでも欲しかっただろ。(笑い)

ネヴィル:「ボールをうまく扱えるゴールキーパー」? ペトル・チェフがダメなら、ベルント・レノを入れるだけだよ。「バックから攻撃をスタート」? もし彼らがダメなら新しいディフェンダーを入れるだけだ。

キャラガー:誰?

ネヴィル:ちょっと待って。「ハイ・ディフェンシブ・ライン」? ポッチェティーノもそれをやってる。グアルディオラもだ。もしそれに対応できなければ彼はムスタフィを外して誰かほかを入れるだろう。「前からのプレス」? エジルができないなら彼を外すだけだ。

キャラガー:いまそういうことを話しているんじゃない。

ネヴィル:考えを変えるなよ。これはいますべてのフットボール・マネージャーが目指そうとしているところだ。

キャラガー:そう。キミはそれらの選手をただ外せばいいといってる。わたしは彼のアイディアが間違っているなんてことをいってるんじゃない。それはこの国でベストなチームもやってることだ。でもいま、現時点で条件を満たした選手が誰もいない。キミは多くの苦しみについて話している。4年か5年くらいの契約(があるようなコーチ)についての話しだ。でも、キミがさっきいってた子どもをどうやって育てるかというのは、アカデミーのコーチの考え方だ。エメリは結果を出さなければならない。アーセナル・フットボール・クラブなんだ。彼らはAクラスでなければならない。大学出がいるようなクラブでなきゃいけないんだ。

ネヴィル:一年目で彼らはそれについて取り組む。彼のアイディアを実装して、そしてまあ5位とか6位に入るだろう。次の年は彼らは3つの移籍市場を経て、トップ4争いに加わらなければならない。来年以降は1位、2位か3位を目指さなければならない。

わたしの見立てでは、これは彼のアイディアをチームに浸透させるための3年プロジェクトだよ。まず初期の段階でやるべきでないことは、彼が選手たちに適応しようとしたり、彼の原則を捨てること、それによってドレッシングルームのコントロールを失うことだ。

キャラガー:3年でやれる? 彼は結果が必要だ。彼は12ヶ月のあとには次のシーズンがある。アーセナルがエメリを解任するとは思えないし、何があってもそんなことはすべきじゃない。でもわたしが信じられないのは、試合に適応しようとしないでプレミアリーグでトップレベルになろうということだ。キミはこういってるんだよ。選手たちに特定のメッセージを与えない、そして選手たちはフットボールをそう多くは理解できない。

ネヴィル:4-5ヶ月はドレッシングルームに積極的に関わっていく。そしてやってみるんだ。同じ役割に対して3つか4つの異なる指示を出すことが難しいことだってわかるだろう。

キャラガー:それが成長の仕方か……キミはもう選手たちにそんなふうにコーチすることはないのかい?

ネヴィル:それはまた別の話し! キミは適応しないとダメだよ。

キャラガー:何が違うんだ?

ネヴィル:コーチとしては(選手に)適応する必要がある。選手のほうじゃない! 選手が変わって、教育も変わったんだ。若い人たちは変わったよ。

キャラガー:教育省の長官みたいにいうね!

ネヴィル:そっちだって大昔のじいさんみたいだぞ!

(笑い)

訳には少し自信がない。話しがよくわからないというひとは実際の映像でご確認あれ。

フットボールの理想郷を目指して

このブログでも何度か言及しているように、ぼくもグアルディオラの1年目について、じつはキャラガーやアラダイスと似たようなことを考えていた。試合のなかで理想を追いかけて、勝つこと以外のことを考えるなんてありえないと。

しかしエメリが来たいま、ぼくはもう立派な理想主義者である。なんならグアルディオラ派でありクロップ派である。理想主義といってもヴェンゲルさんのそれとはいささか違う。

やりたいプレイを夢見るだけじゃなく、そこにたどり着くにはどうすればよいかを死ぬほど考える理想主義だ。あとはキミたちのインスピレーション次第だ! なんていうものでは決してない。

将来それを実現することができるなら、目先のポイントすら捨てることもいとわない。

逆に、なぜ目先の結果を先送りにしてまでプレイスタイルにこだわるのかといえば、揺るぐことのないおのれのフィロソフィがそこにあるからであり、それを実現することが勝利に結びつくと固く信じているからだ。



2 Comments on “エメリが合わせるのか、エメリに合わせるのか。ネヴィルとキャラガーがウナイ・エメリを激論

  1. ひとつ思うのは、現在主流のモダンな戦術の最高峰はペップなわけで、似た流れのエメリが彼の理想のチームを作ったとしても、資金力による選手の差で、ミニ・シティにしかなれないのでは。リーガでの、バルセロナとバレンシア、セビージャの関係がプレミアでも続くのでは。
    守備的アプローチのサッリやコンテ、モウリーニョ、モダンな戦術家ではあるけれど考え方の違うクロップは、力関係を逆転するかもしれない可能性を感じますが、エメリはどうなんでしょう。
    ペップを刺す彼自身の武器が必要に思うのですが、いまいち見えてこないなあ、と思う所です。

    1. ミニ・シティ。それはほんとそうですね。おっしゃるとおりかもです。

      ぼくはエメリにはもちろん期待はしているのですが、一方でミックスした気持ちもあります。

      ヴェンゲル時代からの脱却ということで期待は膨らんでいるのに、エメリを知れば知るほどたしかに「彼のオリジナリティ」はどこにあるのか、ということは考えます。

      だって、このMNFでも言及されている「モダンフットボール4か条」はすでにある程度の戦力を持っているマネージャーならやって当然みたいなとこはあるし、とくに選ばれしもののみがチャレンジしているような事柄でもない。

      ぼくはエメリのヴァレンシア時代もセビーリャ時代もよく知らないので、突っ込んだことをいえないのがちとくやしいのですが。

      エメリがユニークなところはあるのか?? ヴェンゲルさんは確実にユニークだった。

      今後、エメリが「ミニ・ペップ」もしくは「劣化版ペップ」みたいにいわれるようなことがあれば大変くやしいけど、そこで反論できる何かがあるのかどうかが今のところわからない。これはアーセナルのファンとしては非常にストレスの貯まることです。

      鋭いコメントありがとう! またよろしく。

Leave a Reply

Your email address will not be published.