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【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs チェルシー(26/Dec/2020)ビッグターンアラウンド

マルティネリの影響力、サカの安定したハイパフォーマンス

ESRのNo.10がチームワーク改善のカギになったのは間違いないだろうが、この試合の勝利にもっとも直接的に影響力を発揮したのは、得点こそなかったものの、やはりガビ・マルティネリだろうと思う。

ブカヨ・サカももちろんMOTMにふさわしい素晴らしい活躍だったと思うが、どちらがこの試合により欠かせなかったかと考えれば、やはりマルティネリ。彼がチームにいるのといないのとでは全然違う。もうぼくには彼が全盛期のアレクシス・サンチェスみたいに見えている。

テクニックやゴールに貪欲なところも素晴らしいが、とくに際立っているのがアルテタも云うように、彼がチームにもたらすエナジーやパッションだ。それはすでに復帰戦のシティでも見せていたが、今回もまた精力的なランで彼の重要すぎるほどの重要性を見せつけることになった。彼は語らずとも、熱いプレイでチームを鼓舞している。

あの鬼のようなプレッシングはなんだろう。どこまでも追いかけてくるという、相手DFにとっては悪夢のような選手に違いなく。またボールを持てば、つねにつぎに何かが起きそうな予感をさせる。あの若さと、トップレヴェルでのプレイ経験の少なさでも、もうカリスマのようなものまでまといはじめているのが驚きだ。

特別な選手というのは、ほんとうに年齢や経験を簡単に飛び越えていく。

若い彼をチームの救世主のように扱うのはいらぬプレッシャーを負わせることになり理想的ではないと思う。だが、残念ながらそれは無理ということがわかった。なぜなら彼はこのチームのまがうことなき救世主だからである。まいったね。。

サカについては、もうこれだけハイレヴェルのパフォーマンスを続けているのだから、驚異的だと云わざるを得ない。彼はこのヤング3人のなかでも最年少である。

今回の右足でのゴールを「まぐれじゃない」と主張しているのはおちゃめでかわいいものだが、一方でプレイはどんどん成熟しているように見える。これだけ一貫性あるパフォーマンスが継続できるのは、才能はもちろん、毎試合で自分のプレイに自信を深めているからだろう。一足先にファーストチームに入っていったサカに、ほかの若い選手たちの未来が見えるようではないか。

とこでサカといえば、彼は今回右サイドでプレイし、いつもどおりグレイトなプレイだったのだが、残り20分で入ってきたニコラ・ぺぺはサカのプレイに大いに参考にするところがあるのではないかと考えながら見ていた。

象徴的なシーンが81分。彼は左サイドでKTと縦関係になり彼からパスを受けようとするのだが、DF裏のスペイスにパスを出したいKTと足元にほしいぺぺと意識が合わない。結局KTは誰もいないスペイスへボールを蹴って終了。ぺぺはこのチームの勢いに乗れず、ため息が出るシーンだった。

ぺぺはこのように、ボールをスペイスで受けるより足元に欲しがる傾向が強く、また、ボールを持ってからは独力で打開しようという意識が強すぎて、成功率の低いドリブルで勝負する。一方でサカは、状況の判断が的確で、パスを受けるのがスペイスでも足元でもこだわりがない。またボールを持てばパスを出せれば出すし、自分でいくべきところは行く。考え方がもっとシンプルなのだ。でもつぎに何をするのかわからないから、相手を出し抜きやすい。

ぺぺは自意識が強すぎるのか、あるいは気負いなのか、とにかく彼がやりそうなことがはっきりしているため、それが相手にも予測可能になっていて、それでドリブルの成功率も下がる。そんな悪循環を感じる。

アルテタのぺぺへのインストラクションの進捗はだいぶ遅れているように思うが、サカのプレイスタイルはじつはかなり参考になりそうに思う。守備もそう。ウインガーのサカが気づくとふつうにゴール前でボールをクリアしてたりする。そういうとこだな。

ちょっと脱線した。

若さと経験のミックス

試合後にアルテタが述べていたように、若い才能とシニアの経験がいい感じにミックスされたチームで臨んだこと。それがワークしたこと。シナジーやケミストリがあったこと。それがこの試合では非常に大きな成果だった。

マルティネリやESRといった、いつもはスクワッドに入っていないフレッシュな選手が、チームプレイのインプルーヴメントのきっかけになったのは間違いないと思う。だが、同時に彼らがチームにもたらしたいい効果を存分に利用したのはシニア選手でもある。この試合のラカゼットやジャカのプレイはほんとうに素晴らしかった。

ラカゼットのプレイは、これまでとはまったく見違えていたと思う。

彼はもちろんファーストチームの重要な選手で、アーセナルが悪いあいだもずっとプレイしていて(エンケティアにレギュラーを譲った時期もあったが)、そのなかではある意味で低フォームの原因のひとりにも数えられていたくらいだ。

ところが、この試合での彼はどうだ。ファーストディフェンダーとしてのプレッシングはもちろん、ビルドアップのサポートがとくに素晴らしかった。ミドフィールドに落ちてきて、後方から受けたパスをワンタッチで正確にさばき、チームの前進に貢献するプレイ。いかにも自信があって、チーム全体の好調の波に一緒に乗っているという感じがした。

同じような局面でも、これまでの試合での彼なら、そもそもボールが来なかったり、そのまま後ろに戻したり、あるいはもっと悪ければそこでボールを奪われてピンチになったり。すぐ近くに選手がいてそこでワンタッチでボールをそらしてくれたら、大チャンスになるのに!と見ていてヤキモキするようなことが非常に多かった。だから、彼はホールドアップ&リンクプレイ(日本語には「ポストプレイ」という便利なことばが……)が苦手なんじゃないかと思っていたわけだが。

あんなふうに彼がプレイしてくれると、攻撃は一気に活性化する。今回ビルドアップでは、まるっきりフォルス9というか、CFの重要な仕事をほとんど完全にこなせていたように見えた。あのチームのなかで、あんなプレイができるなら、まったく理想のNo.9だろう。若い選手たちを従えて、トップに頼れるシニアがいるというのはなんだか悪くない。重圧はかなりあっただろうペナルティのゴールもさすがだった。

もうひとり見違えたのはジャカ。

こんなことを云ってはジャカのファンには大変に失礼だが、ジャカという選手は、チーム状態が良ければいいし、悪ければ悪いという、チームのなかの空気に流されやすいというのか、そういう性質を持っている選手だということを今回も再確認した。ある程度はそういう傾向はどんな選手にもあるだろうが、ジャカはそういう傾向がとくにあるように思える。今回彼がよかったのはチームがかなりよかったからだろう。

彼は、アーセナルのような微妙なチームでプレイするよりも、バイエルンやPSGのようなリーグでも支配的なチームでプレイしたら、ものすごく効きそうである。

チームのフォームが下降曲線を描いているときには正直云って彼のプレイは見たくないが、もし今後それが上昇していくなら、彼は間違いなくCMのファーストプライオリティになる。1月に放出なんてするわけがない。

若い選手たちが活躍することで、シニアの選手たちにも刺激になって、いい効果が出てくるというのは、まったくもってチームビルディングにおいては理想的な展開だ。

今後はオバメヤンも戻るだろうし、ヤングとシニアでどんな相乗効果が見られるのか非常に楽しみである。

それと、アルテタにはこれからもヤング選手を使うことをためらわないでほしい。サリバとかさ。。ここでちゃんと信頼に応えたESRが、アルテタのなかで何かを変えるきっかけになってくれたら、非常に素晴らしい。

その他試合について

  • 今回試合を観るのに集中しすぎてHTになるのに気づかなかった。こんなことはあまりない。今シーズン2-0でHTに入るのはアーセナルは初めてらしい
  • KTをキャプテンにしよう
  • 今回エルネニーのポジションにパーティがいたらと思うと。じゅるり
  • マリの致命的ミスをレノがカヴァ。この試合でもっとも美しいシーンだったなあ
  • マリは若干錆びついていたがそれもしょうがないだろう。ガビの不在にしっかりプレイタイムがあれば慣れてもらいたい
  • ロブホはマルディーニ
  • 今回ロブホとマリというスピードのないコンビながら、CBも高いポジションを取っていたという。やっぱりいつもとは試合へのアプローチそのものが違っていたんだと思う。やけくそだったのかも
  • アルテタは「運」がないということを最近はよく口にしていたが、じつは偶然の産物ではないんだよね。運も自分たちが呼び込むものなんだよなと。今回はよーくそれがわかった

試合については以上。

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10 Comments on “【マッチレビュー】20/21EPL アーセナル vs チェルシー(26/Dec/2020)ビッグターンアラウンド

  1. この結果には動じちゃいましたね。
    おれたちのガビは、まごうことなきネクストメッシ。早く10番あげたい。
    最初から雰囲気が違ってましたよね。なんなんでしょう。
    あのマウントのフリーキックが入ってたらまた違う展開だったかもしれませんが、それでも勝ってたと思えるパフォーマンスでした。
    このフォームならツヅケラレルはず。
    COYG

  2. まさにKTは未来のキャプテンですね。いい奴過ぎて心配になるほどです。こりゃお母さんも自慢の息子でしょう。インタビューの内容がいつもまっすぐで、おじさんは涙腺弛みっぱなしです。
    あと、シュート入らなかった後のロブホのいつものニヤケ顔もなんか好き。いつかゴールをぶちこんで、マイクが拾うほどの雄叫びを上げて欲しいもんです。

  3. ジャカのFKとサカの一撃には変な声が出た。え?入った?的な。
    ルイスとウィリアンがいなかったからのメンバーだったのかもしれませんが、結果的に最高でした。これがアルテタのチョイスに大きな影響を与える事を祈ります。
    次の試合のスタメンを見るのが楽しみなような、怖いような…

  4. マルティネリ、スミス・ロウがチームに良い影響を与えていたと思います。
    中央で受けれるとやっぱり相手を崩しやすいですよね。
    今回のを踏まえてトップ下の起用をどうするかがアルテタの課題になってくると思います。
    あとは相手の前線のクオリティも影響していたと思います。こちらも危険なパスミスはいくつかあったので

  5. ESRに関してはまったく同感。
    ボールプレーの真価はこれからかも知れないけど、とにかくポケットで受けてたし、奪われても直後のチェイシングが素晴らしかった。
    奪われた時に10番があれだけ敵の選択肢を極小化してくれるから、DMFがカウンターを気にせず前に出れるんだと思う。

    しかし、たまげた。
    走れて戦える10番。この発見は大きい。

  6. 前回のエントリに書かれていたように、ホントに世論も影響を与えるのなら声高に言いたいです。
    KTをキャプテンに、スミスロウにNEXT No.10を。
    ガビ推しの私はガビが11とかになったらユニ買いますわ。(確認できる範囲では14希望者が多いですが)

    1. 筆がなめらか!でもそりゃそうなりますよね。ちょっと信じられないものを見た感じです。

      ティアニーサカマルティネリ。他のチームと闘える素晴らしい若手がようやく出てきた。ESRも期待充分。個人的に当落線上はロブホウィロックエンケティアですが、マルディーニならロブホは問題ないでしょう笑

      難しいのは、これ1月にNO.10ロールの選手とるかですね。あるいは夏にアワールにトライアゲイン?

      433やるつもりなら、もう1人NO.8ロール(ラムジーロール?)が必要でしょうか。パーティまだほとんど見れてないので、入った時が楽しみで仕方ないです。

  7. 攻撃の停滞の原因とも言われてたウィリアン、ぺぺを修正して結果出ましたから
    ガビーとスミスロウにはもっとチャンス与えて欲しい

  8. 相手のFKが決まっていたら・・・こちらのPKがVARで取り消されていたら・・・たらればは色々ありましたが、素直に嬉しい!の一言ですね。わたしは相手よりも、選手のコンディションも良かったのかな、と思いました。ティアニーやベレリン、サカやジャカはしっかり休養があった、体のキレがあったというか。やっぱり今のPLだと3日の休養ではコンディション整えずらいのでは?もう、ガビとESRのプレスだけでも、見ていて感動します。ファンが一番見たい、気持ちの入ったプレーですよね。COYG

  9. 相手の前線が孤立気味になった上にいざ前線にボールが入っても一本調子で無理やり突っ込む感じだった印象ありますね。そういう状況を作ったのはアーセナルのプレスや攻撃でリズムを作れたこと、マルティネッリの守備(なんならESRを追い抜いてPAまで戻ったのもある)や要所でのESRのボール奪取にもあるように感じます。チェンさんも言ってますがCBのラインの高さも。

    心配なのはESRが抜けた後のパフォーマンスですね。ウィロックになってから色々上手くいかなかった。なのでペペの評価もすごく難しい。
    上に書いたような相手に上手くいかせない要因を作っていた部分がなくなってしまって立場が逆転したようなそんな印象を受けます。
    まぁでもこの勝利は普通に嬉しいですね。

    ジャカは相手ペナ付近まで上がったりミドル狙ったり良い意識見られましたね。全体としては心配な場面もあったのでなんともですが。
    ティアニーも以前まではサイドまで持ち上がったら必ず同じようなタイミングでクロスを上げるしかなかったのが少し変わりつつあるのはいいですね。
    ラカが受けに下りてきた時に周りが裏狙うのが決まりごとのようにも感じるくらい。

    個人の意識で変わっていっている部分なのかアルテタの要求なのかは分からないですけど、そしてどっちがいいのかというのも難しいかもしれないですけど次の試合でこの辺りも注目したいですね。

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