試合の論点
アーセナル vs マンUのトーキングポインツ。
アーセナルはマンUに強いチームになりつつある
アーセナルはこれでマンU相手のPL直近6試合で敗けなし(W3 D3 L0)。最後の敗戦は、2017/18のダブル。
ソールシャールはマンUのマネジャーになってからのアーセナル戦5試合で勝ちなし。
マンUはアーセナル相手に3試合連続で無得点。エミレーツでは6戦5試合で無得点。
今回アルテタは、マンU相手に3連勝という記録こそ逃したものの、今シーズン、すでにアウェイで14年ぶりに彼らに勝っていることが象徴しているように、近年のわれらはマンUにはいい成績を残すようになっている。
もちろんこの期間はマンUのほうも、アーセナルと同様に過渡期で悪い期間にいたということは考慮する必要はあるし、そもそもOGSの下で彼らがビッグ6チームスに弱いという事実はある(今シーズンここまでW0 D4 L2)。
だが、今回はいま彼らがタイトルを争うようなポジションにいるということが、アーセナルにとってはさらなる自信をつける理由になるだろう。
彼らは十分に強いチームではあったが、それでもアーセナルはけしてチームとしての実力で負けてはいなかった。
今シーズンはリヴァプールが不調ということもあって、またリーグのパワーバランスが移り変わっていくような兆しもあるが、そのなかにアーセナルも入らなければならない。
ぺぺの守備インプルーヴメント
試合後に、ウィンガーの守備貢献を指摘する声を観てなるほどと思った。
29分のマルティネリの守備(逆サイドでフリーになっている選手へのクロスをヘッダーでクリア)は、彼のワークレイトを示す好例だった。この試合を救った可能性がある。彼はいつでもどこでもエナジーがみなぎっているが、今回は守備でそれを見せたかたちである。あれこそアウェアネス(嗅覚)だった。
しかしこの試合で、守備貢献でより注目されていたのはぺぺだ。
彼はおそらくはこれまでずっとアルテタから守備での貢献を求められていて、それが十分じゃなかったことが、アルテタからの信頼を損ねる理由にもなっていただろう。
今回はサカがおらず、定位置の右サイドでプレイしたぺぺは、セインツで左でプレイしたときと同じように守備意識がかなり高く、フルバックをカヴァするというアルテタの要求するウィンガーの仕事をやろうとしていたように見えた。それでいてカウンターではしっかりと脅威になっていたのだから、セインツ戦につづけて何やら開眼したような雰囲気もある。
ぼくのなかでは、彼はよく開眼しているが(笑い)すぐにもとに戻ってしまうのが毎度残念で、今回は2試合継続して好パフォーマンスを見せてくれたことが非常にうれしい。
Nico Pepe’s game by numbers…
■ 𝗠𝗼𝘀𝘁 fouls won (4)
■ 𝗠𝗼𝘀𝘁 shots (4)
■ 𝗠𝗼𝘀𝘁 chances created (3)#ARSMUN pic.twitter.com/WsW8s83rnj— Arsenal (@Arsenal) January 30, 2021
ぺぺは攻撃でも進歩があるように見えるが(惜しくも左にボール1コ分外れたショッツが2本)、守備での貢献がプレイの自信になり、彼の攻守における全体的なパフォーマンスにいい影響を及ぼしているような気はする。
それは、おそらくアルテタがずっと彼に期待していたことそのものだ。いまの彼は、完成された個人にちゃんと近づいていっているように見える。
ひきつづきインプレッシヴな守備
ところで守備といえば、アルテタが来てからはすっかり見違えるように改善しているが、現在PLではアーセナル(20)より失点が少ないのはシティ(13)だけとなっている。つまりリーグでベスト2の守備のチーム。こんなこと数年前ならまったく想像もできなかった。
そしてとても興味深いのは「失点につながったエラー(Errors leading to goals)」が、いま劇的に改善しているということ。
I know this is a bit of a nebulous stat but even so this is notable.
Errors leading to goals by Arsenal per season:
14-15: 8
15-16: 5
16-17: 4
17-18: 15
18-19: 12
19-20: 5
20-21 so far: 0— James Benge (@jamesbenge) January 30, 2021
失点につながったエラーといえば、ここ数シーズンのアーセナルでは一時はリーグワーストを記録したりと、ずっと頭の痛い問題だったはず。それが今シーズンここまでゼロとは。
DFやGKの個人のやらかしが改善したというよりは、守備全般でストラクチャが改善された結果だということは、毎週のプレイを観ていればわかる。守備のときはチーム全体で深く守るし、カウンターの用心も忘れず、けして個人がさらされない。ジャカ、ムスタフィ、チェクらがあれだけ批判された時代からは隔世の感がある。
また、これまで攻撃の進歩がないのは守備に力を入れていることと表裏一体のように見えたものだが、いまNo.10がプレイするようになってからは、攻撃のほうも大いに進歩している。
今回は得点こそできなかったものの、いまチーム全体で少しづつ進歩しているという実感がある。ポジティヴ。
マンUのずる賢さを見習うべき?
今回の試合を観ていて、彼らのずる賢さがよくわかった。
フェルナンデスやラシュフォードなど、簡単な接触で倒れてファウルをもらおうとするシーンが何度かあった。そういったことは、どんな試合でも多かれ少なかれ観られるものではあるが、今回はアーセナルが対戦したどのチームよりも目立つ行為のように思われた。
よく知られているように彼らはPLのなかでも極端にペナルティを勝ち取ることが多いチームであり、そういう成功体験が重なっていまに至っているのかもしれない。
ソフトな接触でまるで大事のようなリアクションがあると「このチーター野郎め!」と罵りたい気分にもなるが、ぼくはアーセナルはもうちょっと彼らのような狡猾さを見習ってもいいのではないかとは感じた。
以前書いた「アーセナルの弱腰認定」の話にもつながる話であるが、いくらフェアプレイを訴えたところで、やったものが勝つ世界である。
なぜか自分たちに備わっているバイアスを最大限利用しようとしているという意味では、彼らの生存戦略と云える。
これがVARオフィシャルの意見まで聞いてカードなし。過去の事例を見れば、ストレイトレッドでもおかしくない。バイアスはあるよね?
マルティン・オーデガードがAFCデビュー
ESRと交代で、およそ14分間プレイ。
タッチが3でパスが2/2。ほとんど試合には関与できていないが、あのポジションでいきなりならしょうがない。終盤はマンUにかなりプッシュされていたし。
とりあえず、彼がここでプレイしたという事実が重要だ。
Welcome Martin Odegaard – the 879th player to play a competitive first team game for The Arsenal.https://t.co/7hVgdM5k7j pic.twitter.com/q479JETFkg
— Andy Kelly (@Gooner_AK) January 30, 2021
彼は、アーセナルのファーストチームで879番目にプレイした選手になった。
そういえば、ノルウェイのTVがこの試合のMOTMの投票を行ったら、圧倒的多数でオーデガードが選ばれたというほのぼのエピソードも。微笑ましい。
試合後にレノが彼についてコメントしていた。『Evening Standard』より。最近ネタ元がESばっかだな。
レノ:彼にはみんなが興奮していると思う。だって彼は前へ行きたがって、パスをして、チャンスをクリエイトして、アシストもする選手なんだから。
彼の初日はとてもインプレッシヴだったね。みんなにとてもオープンだった。この先の数ヶ月はぼくらみんなが彼と楽しめると思う。
これからに期待だ。
その他試合について
- ウィリアンがPLで250試合出場。ブラジリアンで史上最多。おめでとう。今回は悪くなかった。でも結果がなかなか出ない
- またしても際立った守備を見せていたロブホ。サウスゲイトがこの試合を観に来ていて初のNTコールアップがあるのではないかという
- マルティネリとポグバが試合中に軽くハグしたシーン。マルティネリはアーセナルに来る以前マンUのトライアルに参加していて、ふたりは面識があるようである
- ESRはずっと好調。6分のぺぺとのコンビで右サイドを上がっていったプレイにはしびれた。ワンタッチとドリブルという彼らしいプレイ。彼がプレイすると周囲の選手までよく見える。すごい潤滑油である
- レノFC。今回もまたチームを救うビッグセイヴ。現在の活躍を見るとエミマルの退団は痛かったが大丈夫。レノがいる
- ラカゼットは大丈夫そうでよかった。だが、頭を打ったのでこのあとの試合に出ない可能性もあるようである(※今月からPLでは脳震盪があったときにサブが増える「コンカッションサブ」が導入されることもあり、より注意深い処置になる可能性?)。マグワイヤのあのプレイは危険だった。まあ今回はラカの勢いからすると、競り合うのは難しかったかもしれないが。ハイボールをジャンプで競り合わず身体をぶつけるダーティなプレイは、ハリー・ケインが大得意だが、危ないので即刻やめさせるべき
- カヴァーニは、むしろどうしてアレを外せたんだろう?
試合については以上。
飛車角落ちでもあれだけやれると言うべきか、イヤでも勝たなきゃと言うべきか。。。ものっそい微妙だ。
いい試合だったけど。
少しだけど、好ブロックやセーブに対してグータッチが見られたのは良かった。
ブロックしてコーナーを取られたとしても、というか次のプレーが相手のコーナーだからこそ、ナイスブロックを大声で肯定してからセットプレーに入らなきゃダメだ思う。
どうも長年アーセナルには「守備は不本意なもの」という風潮があって、黙って下を向いたまま、何となく嫌な雰囲気になったままセットプレーに入ることが多かった。
(瞬発的なパワーを必要とするプレーの直前に!?あり得ない!)
守備を個人任せにしてきたことによる、構造的な問題でもあったと思う。
個人的には、こういう妙な雰囲気がなくなりつつあるだけでもアルテタを監督にした価値はあると思う。
カバーニが外れたのは、全世界のグーナーの思いがそうさせたと信じたい。ラッシュフォード、人格は立派だと思うんだけど、あのシミュレーションっぷりは本当に嫌い。ジャカが逆にブルーノに後ろからぐっさりいったら即カードですよ・・・。ラカのFKがも少し下だったら、ですね。勝てたとしてもロースコアゲームだったかと思うので、飛車角落ちで引き分けは妥当な結果かと。これから毎試合、ビッグテストですね。COYG
失意と安堵
ホントにその通りですね。
ダブルを食らわしたかったですけど、オーバ、サカ、KT抜きじゃ。正直、ホッとしました。
サカとKTが早く戻ってきて欲しいですね。出来れば今夜。
期待して夜更かしします。COYG
デコ=卓球=hoobastankのvocalが似てると友人と大騒ぎした15年前を思い起こしました。
ユナイテッド戦の詳しいスタッツは分かりませんが、ジャカはプレミアの中でトップクラスの、前にボールを進めてる選手であるようです。
トーマスと共に前への意識が強いことがチームに良い影響を与えていると思います
https://twitter.com/utd_visionary/status/1352676089404006401?s=21