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アーセナル、EPL17/18序盤戦レビューと解決すべき問題点

イングランドでは、EPL17/18シーズンの7試合を消化してインターナショナルブレイクに入った。

アーセナルの17/18序盤ここまでの成績

アーセナルのEPLのフォームはここまでを振り返ると、WLLWDWWといかにもスロースターターらしい結果となっている。とりわけ8月のレスター戦、リヴァプール戦はそれぞれ3失点、4失点とほとんど守備崩壊ともいえる試合をしていた。

スロースターターといえばなんとなく聞こえはいいが、昨シーズンも初戦で破れて結局最後はUCL出場圏内に1ポイント足らず涙をのんだことを早くも忘れてしまったようだ。同じ過ちを何度も繰り返す学ばないクラブである。

ただ、その後のスタンフォードブリッジでの善戦が示すように、戦い方がいくらか改善されたおかげか9月はカップ戦含めて6戦で無敗(5勝1分)という結果を残してもいる。

対戦相手はカップ戦リーグ戦ともチェルシー以外はすべて格下だったとはいえ、取りこぼさなかったことはやはり褒められるべきだろう。またヨーロッパリーグでは控えとユースの選手を中心に戦ってある程度失点しているものの、9月のリーグ戦はボーンマス、チェルシー、WBAを相手にすべての試合を無失点で終えた(10月1日のブライトンもクリンシート)。試合内容からするとまぐれっぽくはある。




エジル不在の影響と去就

アーセナルのフォームが改善した理由のひとつとして、エジルの不在が挙げられる。彼はボーンマス戦以降、怪我で戦列を離れている(WBA戦は途中出場)。

中心選手の不在で戦績が上向くというのも皮肉な結果だが、彼の代役であるアレックス・イウォビの献身的なハードワークによって、守備に貢献していない、チームメイトを助けない、ファイトしていないといった、事あるごとにに指摘されていたさまざまなエジル批判が、改めて説得力を増してしまった。

アーセナルはこのままエジル抜きでの戦いにシフトしていくんだろうか。本当は相手によって使ったり使わなかったりすればいいだけなんだけど、そんな器用なことができるボスならこんなに悲観的になっていない。

なお、エジルについては現在しきりにマンチェスター・ユナイテッドやインテルといったクラブからの関心が伝えられている。またアーセナル(ヴェンゲル)もエジルについてはすでに信頼を失っているといった報道もあり、いまだに契約更新のきざしが見えないなかサンチェスのように契約延長の拒否が濃厚になってきた。

もっとも、真偽はさだかではないが彼の要求しているといわれる週給300k以上という金額はあまりにも非現実的であり、マンUですら二の足を踏むものだろう(そもそもインテルには払うことができない金額)。

アーセナルとエジルの関係が今後どのように変化していくかわからないが、1月の移籍市場までまだ二転三転するような気がする。エジルの給与についてはこちらもどうぞ。

メスト・エジルの要求する給料を払えるクラブは世界に7つしかない

序盤戦で明るみにでたアーセナルが解決しなければならない問題

トップ6でもっともトップ6に弱いアーセナル。今後、格上の強敵に対してどのように戦っていくか。それが問題だ。この序盤戦においてすらすでに問題が山積である。

冬には夏の失敗を挽回する選手補強が必要

アーセナルの選手層の薄さはヤバいレベルだ。ファーストチームの時点で上位クラブに見劣りしているだけじゃない。怪我人が数人出ただけで「緊急事態」に陥るのは目に見えている。

まずは、センターバック。ジェイミー・キャラガーが「アーセナルは3CBでやっていくつもりならなぜCBを補強しなかった?」と疑問を呈していたように、まずコマが足りていない。

コシエルニはアキレス腱に慢性的な故障を抱えているので彼の欠場はある程度想定内として、コシエルニを除いた現在のレギュラーはといえば、ホールディングムスタフィモンレアルという3人となる。ひとりはユースに毛が生えたレベルで、ひとりは本職ですらない。そしてリーダーは夏には移籍希望を出していたというムスタフィ。ブライトン戦のベンチは今季限りで引退のメルテザッカーナイルズがいた。このメンツで本当にマンシティの攻撃を防ぎきれるだろうか?

本来なら、ムスタフィ、コシエルニ、あともうひとりまともなCBというのがわれわれが求める3CBだろう。レギュラーを任せられる即戦力のCBが最低でも1人か2人は必要だ。

右のウイングバック(ライトバック)も補強が必要だ。チェンバレンが去ったあとベレリンが不動のレギュラーを努めているが、カップ戦などを観る限り彼のバックアップはネルソンということになっている。17才である。ネルソンはU23でアタッカーとして大活躍している選手だ。決して守備の選手ではない。チェンバースが復帰すれば彼を使う可能性も高いがいずれにせよベレリン以上のパフォーマンスは期待できない。いまベレリンが怪我したらどうなるか?

セントラル・ミッドフィルダーは、一見頭数が揃っているのがやっかいだ。今季はラムジージャカのコンビがレギュラーで出場を続けているが、強敵相手には不安のほうが勝る。本来アーセナルの中盤にはカソルラやファブレガスのようなテクニックに優れたクリエイティブな選手、それと汚れ仕事を厭わずフィジカル勝負できる屈強なDMのコンビのほうが安定するのではないだろうか。中盤のクリエイターはともかく、フィジカルなDMの必要性についてはもう何年も何年も負けるたびに同じことをいわれている。インヴィンシブルズはいわずもがな、アーセナルはフィジカルの弱い中盤で成功したことがあっただろうか。

ジャカやエルネニーが物足りないのは、彼らがクリエイターでもディフェンダーでもないからだ。ボールポゼッションだけは大得意だが、攻撃あるいは守備への貢献度がとても低い。アーセナルが現状維持で満足なら彼らは中盤でボールを回せる優れたCMになるのだろうが、ファンは決して納得していないはず。ウィルシャーとラムジーのコンビを試せ? 冗談も休み休みいってほしい。

サンチェスとエジルの後釜

先日、チェルシーがサンチェス獲得レースに参戦というゴシップが出ていたが、マンシティが本命と見られているにも関わらずいまだに多くのクラブとのリンクが取り沙汰されるということは、まだ決定的な決断はくだされていないと見られている証拠だろう。

いまサンチェスとリンクされているのは、マンシティ、マンU、チェルシー、PSGといったところ。1月に放出するならふつうに考えてアーセナルが取るべきオファーはPSGの一択だと思うのだが、サンチェスについてはいまのパフォーマンスが続くようなら今季いっぱい残すのではないだろうか。ぼくは彼のインテンシティや態度に納得がいっていないが、あんなやる気があるんだかないんだかわからない様子でも結果を残しているのは事実だ。

そしてアーセナルとの契約をまっとうして、サンチェスは好きなクラブに行くと。

ちなみにマンシティは、サンチェスがいなくても十分強い。先日のチェルシー戦を90分観てしまったが彼らは恐ろしく強かった。全体が連動してまったくどの局面においても数的優位を保ち、パスが速くて正確。チェルシーを相手にして攻守でとにかくハイレベルだった。しかも交代で出てくる選手もベルナルド・シルバやギュンドガンといったクラスで選手層もぶ厚い。もうアーセナルのフットボールとはレベルが違ってしまっている。サンチェスは行きたがるに違いないが、マンシティ側で高給のサンチェス不要論が出たとしても驚かない。それほどに見えた。


エジルはサンチェスほど不在の影響は大きくないので、買い手さえいれば1月の放出は十分ありえるだろう。アーセナルOBのマーティン・キーオンなんかはエジルにかなり腹を立てているようで「エジルの心はもうアーセナルから離れている」と語っている。ヴェンゲルももうエジルを信頼していない、とも。

だが、ぼくは逆にヴェンゲルがエジルを諦めるなんてことはないと思う。エジルがフィットしていれば(フィットしているといえば)すぐにスコッドに戻すのではないだろうか。ことさらに問題を表面化させるようなことはやりそうもないし、ヴェンゲルなら大してチームに貢献していなくても最後まで残すなんてこともやりかねない。ヴェンゲル監督はだいたいファンの期待とは逆のことをする。いつもこうなったらやだなと思っていることを実現してくれる。

サンチェスとエジルの後釜として、トマス・レマールにもう一度チャレンジするとか、ユリアン・ドラクスラーとサンチェスをトレードするとかミキタリアンとかラカゼの相棒だったフェキールを取れとかいろいろ出ているが、サンチェスとエジルというスター選手が契約更新を拒否してクラブを去るということは、クラブの逆宣伝にもなって新規の選手獲得にもネガティブな影響を与えるに違いない。未来に希望のない落ち目のクラブにわざわざ行きたがるスター選手もいないだろう。レマールやドラクスラーがいまのアーセナルに積極的に来たいなんて考えるだろうか?

しかしだからこそ、アーセナルは是が非でもここでスター選手を獲得しなければならない。ファンだけでなくフットボーラーを魅了する選手だ。ラカゼットがアーセナル移籍を決めた理由のひとつはサンチェスとプレイできることだったという。われわれはエジルをリスペクトする選手のコメントを幾度となく目にしてきた。アーセナルはサンチェスとエジルという看板スターがいなくなっても十分魅力的なクラブであらねばならない。そのためにはプレイ以上に人を惹きつけるカリスマを持ったスター選手というパンダが必要なのだ。パンダ?

今後のアーセナル

ワトフォード、エヴァートン、ノリッチ、スウォンジーと10月の対戦相手もアーセナルにとっては比較的与し易い相手が続く。ポイントを稼ぐチャンスである。

問題は11月だ。マンシティとのアウェイマッチはUELのズヴィズダー?戦(ホーム)の3日後、その次はインターナショナルブレイクを挟んで、ToTをエミレーツに迎えるノーロンダービー。ここで2連敗すると精神的にもダメージが大きい。

このビッグマッチまでにどの程度彼らに近づいているかも重要である。現在トップまで6ポイント差。対戦相手を考えればできるだけここで差を縮めておきたいところだ。

11月、12月、1月と、アーセナルはだいたいこれくらいの時期に失速する。今季の選手層の薄さは絶望的でそれを回避することは難しいだろう。

 

 

 

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