これでEPL前半は終了。
アウェイとはいえ、ここまで悪い内容になるとはさすがに予想していなかった。
まるで覇気を感じられないチームで、もしかすると今季最低のテンションだったのではないだろうか。
セカンドハーフFCというのが今季アーセナルの異名ながら、追い上げるべき時間帯でも得点の予感はおろかチャンスさえほとんどなく、ただただ絶望的に見えた。
ブライトン相手にドローという結果は、ファンは2ポインツ失ったと失望しているだろうが、現実はあの内容で1ポイント得られたのはラッキーだと思わねばならない。そんな試合だった。
Brighton 1-1 Arsenal: Seagulls fight back after Pierre Emerick-Aubameyang scores
アーセナルのファースト11
4-1-2-1-2? こんな表記初めてみた。ふつうに4-3-3(4-3-1-2、あるいはダイヤモンド4-4-2)だろう。
後半以降は、ハーフタイムにエジルに変えてイウォビ、以降、ラカゼットからラムジー、コシエルニからAMNというサブ。
今季これまでの試合展開と違い、後半に逆にパフォーマンスを落としていくという珍しい展開でエメリの采配に疑問を感じているファンが多数。
マッチスタッツ
ポゼッション68%。なのにシュートは12 v 7。押し込んでも押し込んでも一向にチャンスがつくれない+カウンターで逆襲されまくり。ヴェンゲル時代を思い出す、非常に懐かしい感じの試合だった。
Brighton and Hove Albion vs Arsenal Running xG
Arsenal looked like they might run rampant in the first 10 minutes then they stopped. The subs didn’t help. Two badly needed points dropped. pic.twitter.com/kQu1esW2Fl
— Scott Willis (@oh_that_crab) December 26, 2018
試合を観ていて感じた前半30分くらいまでのアーセナルの躍進と、失点後の停滞がそのままxGにも現れている。
とにかくドローで御の字。そういう試合だ。
ボスの試合後のみことば
試合後のプレス会見より。
(いいスタートから何が悪かったんでしょう……)
エメリ:グッドイーブニン。イエス。今日の試合のカギは最初の45分。自分たちのやりたいように試合をコントロールできていたときだ。得点して、アドヴァンテイジを得た。オーバメヤンには2点目を入れるいいチャンスがさらにふたつあった。彼らのGKがいいセイヴをして、その後同点にされた。
セカンドハーフには再度試合をコントロールしようとして、チャンスをつくろうとしたが、それができなかった。ポゼッションはしたが、チャンスをつくることができなかった。今日は試合に勝つには十分ではなかった。
(なぜ今日のサブスティテューションはインパクトをつくれなかったのでしょう……)
戦術的な交代をいくつかの試合ではやる。ピッチ上のポジショニングでもっとよくコントロールしたかった。しかしセカンドハーフでは自分たちのプレイができず、得点のチャンスをつくれなかった。
(エジルを外したことは悔やまれる……)
それは戦術的なものに過ぎない。ほかの試合でもハーフタイムに選手を変えることでアイディアを変えてきた。今日はそれがメストだったが、単に戦術的なものでほかの問題があるわけじゃない。
(水のボトルの件……)
わたしは謝罪した。最後であまりにがっかりだったのでボトルを蹴っ飛ばした。そんなに強く蹴ったつもりはなかったが、お客さんのひとりに当たってしまった。彼らにはごめんといったよ。
(同点に至ったプレイへのフラストレイション……)
それもフットボールだ。わたしたちはまだプロセスの途中で成長している最中だ。攻守に安定を求めているところだ。いま難しい時期なのは、けが人が出ているからだ。しかしほかの選手たちがプレイできるチャンスでもあるし、今日や土曜のリヴァプールのようなビッグゲイムで彼らのプレイを観たい。
けが人が出れば誰かほかの選手へのチャンスとなる。それが必要だ。それに選手たちのポジションを修正して違う戦術やシステムを使うこともある。ジャカをCBで使ってリヒトシュタイナーをフォローし、エインズリーの攻撃参加を促した。彼のクオリティは攻撃のほうにあるから。
しかしわれわれのプロセスは……わたしはこのドローはベストだとは思っていない。しかし最悪だとも思っていない。われわれには土曜にはまた試合がある。いまはそれについて考えている。選手についてだ。土曜に向けてコシエルニは大丈夫か。ムスタフィは大丈夫か。
わたしたちはトップ4の近くにいるのだから、それは大きなモチヴェイションになりうる。今日はわたしにはとても重要だった。自分たちのモチヴェイションや進歩について話していたが、フットボールとはそういうものだ。90分戦ってドローという結果だったということだ。もう土曜のことを考える必要がある。
(同点の段階でなぜラカゼットを下げた……)
しかし、わたしはラムジーもプレイするにふさわしかったと思うよ。彼は責任を果たすにふさわしかったし、チームを助けたがっている。ラムジーは今日いい試合をしたと思う。
(トップ4に入ることができる自信がある……)
わたしたちにとって一番いいのはつぎの試合のことを考えることだと思う。そして引き続きプロセスをつづけていく。CLに出場できるのがとても重要だが、プロセスをひとつこなしていかねばならない。より強いといわれているチームと戦うために。より力強くなる。そしてそれには時間も必要だ。
フットボールとはつぎの試合だ。土曜のリヴァプールのことを考えていく。ビッグマッチだが、いまの順位はわれわれもトップ4近くにいて、やり方をつづけていくことができる。今日より明日にはもっとよくなるよう一試合一試合を考えていく。
サウサンプトンのような試合や今日のような試合で、わたしたちは相手より多くのチャンスをつくる。うまくフィニッシュできたらと思うし、それがわれわれの仕事だ。
ジャカのコメント
いきなりのパスミスで心配になったが、結局試合を通しては無難なプレイをしたジャカ。
(ドローです……)
ジャカ:もちろん3ポインツがほしかった。がんばったし、今日はいい試合をしたと思うんだ。でも3ポインツ取るには少しだけ幸運が足りなかった。いまはうれしくないね。
(オーバの早い得点で試合を支配できると思った……)
1-0の時点で、こちらにはもう2-3点取るチャンスがあったがキーパーがエクセレントだった。しかし1-1になったあと、こちらのコーナーからカウンターでロングボールだ、あれは起こりうることだけど、こうなってしまってあんなゴールを入れられれば、十分ではなかったんだろう。
(ハーフタイム以降でスイッチが入りませんでした……)
セカンドハーフは難しかった。ブライトンの守備はよくて、コンパクトでカウンターをねらってきた。こちらにチャンスはあったんだ。ファーストハーフほどじゃないけど。でもそれがフットボールだ。ぼくらはたくさんのことを進歩させていかねばならない。
試合の論点
今季最低の試合
エメリは最悪ではないといったが、データ的にはパフォーマンスは最悪っぽい試合だったようだ。
おなじみArseblogのBy the numbersによると、アーセナルのディフェンシヴアクションは「24」で今季最低。FWとAM、攻撃陣のタックルは「0」。タックルはチーム全体では「7」で今季最低とのこと。
守備だけではなく攻撃もまた停滞した。まるで序盤だけでガス欠になってしまったかのように。
PEAとラカゼット以外の選手のシュートは「1」。後半のシュートは「1」。今季リーグでもっともサブが得点しているアーセナルで、今回はサブのシュートおよびチャンスクリエイトは「0」。
リードしたあとでもブライトンはかなり自陣に引いていたので、バックでパス回しをするというのはエメリの指示だった可能性がある。
それにしても、アーセナルにしては恐ろしいほどに消極的なパフォーマンスだったといわざるを得ない。なんか悪いものでも食ったのか。
Arsenal are averaging only 13.1 shots per game this season – the lowest rate per match since Opta began collecting Premier League data in 1996.
— Orbinho (@Orbinho) December 22, 2018
この試合に限らず、今季のアーセナルは全般的にシュートが少ないという指摘もある。1試合で平均シュート13.1本は、OptaがPLのデータを取り始めてから最低とのこと。
Brighton 1-1 Arsenal HT: No team has committed more errors leading to an opposition goal in the Premier League than Arsenal this season (6) https://t.co/VAtVxm0YrP #BHAARS pic.twitter.com/rvJb7lO90a
— WhoScored.com (@WhoScored) December 26, 2018
また、ヴェンゲルさん時代も散々悩まされたディフェンシヴエラーについても、今季のアーセナルはリーグワースト(6回)。
エメリの不人気な采配
F/T 1-1. Really poor.
Emery got that all wrong. The changes made Arsenal worse. No creativity or threat at all. Didn’t ever look like scoring. We’ll wait and see what he says about Ozil, but that change just seemed way too hasty.
— Charles Watts (@charles_watts) December 26, 2018
チャールズ・ワッツ:1-1で終了。プアすぎる。エメリはすべて間違えた。交代はアーセナルを悪化させた。クリエイティヴィティも脅威もまったくなし。得点の匂いもまるでなかった。エメリがエジルについてなんてコメントするか見てみよう。あの交代はあまりにも拙速だったように見える。
この試合でエメリが行ったサブは、エジル→イウォビ、ラカゼット→ラムジー、コシエルニ→AMN。
エジルやラカゼットといったファイナルサードのクリエイターを外したことは、はたして正しかったのか。試合後にも議論が渦巻いている。
まずエジルを外したことについては、まあ仮にいいとしようか。前半はたしかに中盤まで降りてきてビルドアップを助けたり、奪われたボールを追いかけて自陣に戻ったりとそれなりに精力的には見えたが、最高のパフォーマンスには見えなかったしちょっと身体が重そうにも見えた。
問題はイウォビだろう。
彼はハーフタイムに入ってからもなかなかボールに触ることができず、ひたすらブロック守備のライン間で来ないボールを待っているという状況で、パスの出し手の問題もあるが、まれにパスが来ても彼のポジションにはすでに多くの相手ディフェンスが待ち構えており、たくさんの選手に囲まれたなかで狭いスペイスを使うにはボールさばきのキレがなさすぎた。
さらに、試合後には彼がエメリの指示を理解せずにピッチに入っていたということが話題になっていた。
Emery subbed on a player without telling him what formation they are playing in lmfaooo pic.twitter.com/KKr6mnPl24
— A (@__AJ72) December 26, 2018
ジャカに「フォーメイション・ワッツ?」と尋ねているところがカメラに抜かれていたという。受けた指示と現場が違うなんてそんなバカな。
ちなみに「これフォーメイションなに?」と日本語を当ててもわりとピッタリなのがぼくのなかでも話題である。
彼が混乱しながらプレイしていたといわれればなるほどと思えてしまうような、低調なパフォーマンスだった。
そしてもちろんラカゼット。今回も期待どおりグローヴを投げ捨てる姿がカメラに捉えられていたが、試合全体の流れを考えると勝たなければならない試合で悪いパフォーマンスをしていたわけでもないラカゼットを下げたのはいかにも不可解だった。
ラカゼットのヴェンゲル時代にひきつづきの途中交代が若干ネタになりつつある。
これらのエメリのサブは、守備的なCMを3人ピッチに残していながら行われたことを考えると、やはり消極的な采配といわざるを得ず、それが少なからず選手たちのメンタリティに影響したという可能性はある。
アトレチコのようだったブライトン
今回エメリの戦術や采配、選手たちのパフォーマンスなど、アーセナルサイドの不備を指摘するひとが多いが、当然アーセナルに問題をもたらしたブライトンの戦い方にも注目するべきだろう。
後半のアーセナルをここまで無力化したチームは今シーズンは初めてではないだろうか。
彼らは守備時には4-5-1(5-4-1)できっちりブロックをつくって、FBが使いたいワイドも含めてスペイスを与えず、アーセナルはバックラインではボールを持てたもののビルドアップに相当苦労した。
FB/WBと前線の選手が絡んでスペイスを悪用するなど、アーセナルの得意なプレイは完全に対応されていただろう。コラシナツがほとんど何もできなかった。
しかし前半はとくに本格的にプレスを行う場所はあくまで自陣に入ってきてからで、ハーフウェイラインからの正確なロングボールとの相性は悪かった。そのため序盤には何度もアーセナルにチャンスをつくられた。
しかし、何度も何度も繰り返しロングボールを裏に放り込まれれば次第に慣れるのも道理である。
34分にラッキーなかたちで同点にしてからは、「引いてカウンター」がより徹底され、おもしろいように何度もカウンターを発動。
終盤にかけては足の止まったアーセナルにより高い位置から強いプレッシャーをかけ、ますます試合を優位に進めた。
同点に追いつきたいアーセナルにまったく得点の予感がしなかったのとまったく逆に、時間が進むに連れブライトンには得点の匂いがプンプンしていた。
このような試合で狭いスペイスを使える選手、たとえばドリブラーがアーセナルいない問題がまた浮き彫りになったともいえる。
その他選手について
この試合、ワーストともいえるパフォーマンスだったのがリヒトシュタイナー。失点に直接絡んでしまったし、ファイナルサードでのクオリティも物足りなかった。
見ていると、やはり身体が重そうで、34才という年齢をあらためて感じさせるパフォーマンスだった。RBの補強のプライオリティがまた一段上がったともいえる。
レノも失点シーンでは、サウサンプトン戦につづいて判断ミスの側面はあったかもしれない。試合後に彼のミスを指摘している声はあまり見ていないが、彼はとっさの飛び出しが間に合わず簡単にかわされてしまった。あそこで辛抱強くゴール前に陣取るというオプションも当然あっただろうし、そのほうがシュートをストップする可能性があったかもしれない。
コシエルニが途中交代した。彼は復帰したばかりなので、フィットネス的に途中交代も十分想定できたものの、90分使えないと想定されるCBを使うことにはリスクもある。彼をスタートさせたことにはやや疑問が残る。ヴェンゲルさんはエルネニーを何度かCBで使ったが、いまの状態でリスクをかけてコシエルニを使うくらいなら、最初からエルネニーでもよかったのではないだろうか。
オバメヤンが13得点でひきつづき、リーグ得点ランク単独1位を維持。彼には序盤のチャンスを確実に決めてもらいたかったが、すでに最高レヴェルのサーヴィスを提供している。責められるわけがない。
以上
つぎの試合はもちろん土曜(日本時間の日曜)のリヴァプール。
ここ数試合でアーセナルのフォームは下降曲線を描いており、今回もビッグマッチを控えたタイミングでわりと最悪の試合をしてしまったが、それはそれ、これはこれである。
勝ちたいね。COYG
チェンさんのおっしゃる通り、エジルを下げたことよりもイウォビの出来が目も当てられませんでした。攻撃においてクリエイティブな動きは出来ないし、昨日に関してはエジル以上に守備の貢献もなかったと思います。
終盤縦パスが入り出したので、エジルがいればなあって思ってしまいました。
あとラカゼット下げたのは何でですかね…?
代わりに入ったラムジーが1番危険な存在になれてたようには見えましたが…。
良い時もあれば、悪い時もあるのがフットボールの常だとは思いますが、久々にイライラさせられる試合でした(DAZN解説の柱谷さんのマイクボリュームも輪を掛けて)。
一試合のパフォーマンスで判断する事はできないとは思いますが、リヒトシュタイナーにとっては、今後どう挽回するのか?出来るのか?問われる事になりそうです。
まぁどっかの最強スカッドも2連敗なので、切り替えてアンフィールドで最高の試合を見せて貰いましょう!
隣の芝は的なことではありませんけど、リバプールも補強0のあのチームもこの時期に爆勝…。リバプールって控えにファビーニョやケイタとゆう50億とかの選手がいるってどんだけ…。ファンダイクやキーパーなんかにも大金出してましたよね…。それに比べてわがチームはとゆうと、健全と言えば聞こえはいいかもですが、リヒトの出来はかなりやばかったなぁ、ブライトンにいてもいいレベル的な…。
泣いても笑っても土曜は最強無敗チーム。折り返し初戦でおれたちを奮い立たせてほしい。
COYG
今まで何度も経験してきた「これブレイクするかも!」の期待が何時も通りに戻っただけな気がします。イウォビは。
それこそ一皮剥けたかな?と感じていたロブくんの長期離脱が効いている感じですね。いろいろな悪循環が始まってしまった。オバメヤンのクオリティで勝ち点拾っていますのでなんとか調子が良い内に守備が立て直せるといいですね。