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アーセン・ヴェンゲルのフットボール改革。オフサイド、キックイン提案いろいろ

こんにちは。

今回はやや温めていた系のエントリを。

ご存知のように、現在はFIFAにお勤めのアーセン・ヴェンゲル氏が、フットボールワールドにさまざまな改革の提案をしていて、このあたりでそれをまとめておきたい。

ヴェンゲルさんといえば、最近はまた精力的に活動をしている様子で、メディア等で姿を目にする機会も多くなっている。

先日には、PSGとサウジアラビアクラブのフレンドリーマッチでサウジチームのマネジャーを務めるというニュースがあったばかりで、じつは昨日も、マルセイユのチャリティマッチで、OMレジェンズとの対戦相手となったユニセフチームのマネジャーを務めたという。

この試合けっこうすごいメンツだった。アーセナル的には、ピレス、レーマン、フラミニ、引退を表明したばかりのナスリが参加。“Samir Nasri”がトレンドに入ったとか。なんで。



アーセン・ヴェンゲルのFIFAでの仕事

本題に入る前に、ヴェンゲルさんはFIFAで具体的に何をやっているのか、おさらいしておこう。

FIFAが、ヴェンゲルさんを「Chief of Global Football Development」に任命したことを発表したのが、2019年の11月。いまからちょうど2年ほど前のことである。

FIFA announces Arsene Wenger as Chief of Global Football Development

これは、2018年にFIFAテクニカルダイレクターを退任したマルコ・ファン・バステンの後任ということになるらしい。そのまま「テクニカルダイレクター」ではなく、「グローバルフットボール開発部長」と違う名称の役職になったということは、より広範な責任が与えられていると理解すればよいのではないかと思う。

ヴェンゲルさんのFIFAでの役割をシンプルにまとめると、大きく分けて3つの責任がある。

  • IFABにおける試合のルールつくりに参画
  • コーチングプログラム
  • FIFA大会の技術分析

※IFAB(International Football Association Board)は、試合のルールを策定する機関。

以下FIFAサイトから引用。

Wenger will be chiefly responsible for overseeing and driving the growth and development of the sport for both men and women around the world. He will also be the leading authority on technical matters, both as a member of the Football and Technical Advisory Panels involved in The IFAB’s review and decision-making process on potential changes to the Laws of the Game, and as chairman of the FIFA Technical Study Group, which has conducted the technical analysis of FIFA tournaments since 1966.

ベンゲル氏は、世界中の男女を対象としたスポーツの成長と発展を監督し、推進することを主に担当します。また、IFABのサッカー・技術諮問委員会のメンバーとして、また、1966年からFIFA大会の技術分析を行っているFIFA技術研究会の会長として、技術面での第一人者となります。

Leaning on a highly distinguished coaching career, Wenger’s role will include a particular focus on coach education, while he will also offer invaluable contributions to an executive programme – currently in its inception phase – tailored to encourage former professional players to enter management and which will support them through the post-career transition and bridge the gap between managerial and technical positions in football.

ベンゲル氏の役割は、卓越したコーチングのキャリアを活かし、特にコーチ教育に重点を置くことです。また、元プロ選手の管理職就任を奨励し、キャリア後の移行をサポートし、サッカー界の管理職と技術職の間のギャップを埋めることを目的とした、現在開始されているエグゼクティブプログラムにも多大な貢献をすることになります。

DeepLにぶっこんでみたが、大事なところの訳が抜けているようだ。

involved in The IFAB’s review and decision-making process on potential changes to the Laws of the Game

IFABのレヴューと、ゲイムのルール変更についての意思決定プロセスに関わる

いま、ヴェンゲルさんは、しっかり自分の仕事をしている。

アーセン・ヴェンゲルの提案した試合ルールの変更

具体的に見ていこう。

ヴェンゲルさんがFIFAで提案した(検討している)と云われる試合ルールの変更は以下のようなものだ。

※このパートの元ネタは『ESPN』の記事。発言は『Lequipe』

1:新オフサイドルール

いわゆるヴェンゲル提案のなかでは、これがもっともインパクトのあるものか。

ヴェンゲル:今のところ、得点できる身体の一部でもディフェンダーの身体より前に出ていればオフサイドとなるが、わたしは、得点できる体の一部がDFの身体より前に出ていても、オフサイドにならないようにしたいと思う。

ヴェンゲルさんの提唱するオフサイドの新ルールでは、アタッカーは得点できる身体の一部が最後のディフェンダーと並んでさえいれば、オンサイドになるということ。

オフサイドラインが、ディフェンダーの身体(の一番前)ではなく、アタッカーの身体(の一番うしろ)に設定されるイメージだろうか。

図にしてみた。かえってわかりにくかったらごめん。この人物アイコンにピンときてしまったかたはぼくと友だちになりましょう

これが従来ルールでのオフサイド。ディフェンダーの先端がオフサイドライン。

そして以下が新しいオフサイド。アタッカーの身体の一番うしろがオフサイドライン。ディフェンダーの前に出ていればオフサイド、少しでも並んでいればオンサイド。

みたいな?

これだと従来に比べて、アタッカーがかなり有利になる。もしこれがほんとうに実施されると、試合が劇的に変わりそうだ。間違いなくゴールは増えるだろう。

この提案について、FIFAプレジデントのジャンニ・インファンティーノも前向きにとらえており、またIFABのテクニカルダイレクターも「テストを行う」と述べているようなので、実現に現実味はある。

1.5:オフサイドコールの自動化

これは競技ルールそのものの変更ではないが、これもヴェンゲル提案に含まれているということでここに入れておこう。

後述するインタヴューでもその内容について本人が説明しているように、現状でも試合中にそれなりに時間のかかっているオフサイドの判定について、テクノロジーを使ってその判定を自動化してしまおうというもの。

つまり、ピッチ上のラインズマンはもうそれを目視で判定する本体ではなく、カメラとコンピュータのテクノロジーを使った判定が即座にラインズマンに送られ(当初はVARを使用したセミオート)、それをラインズマンがコールする。

じつはこれはすでにひそかに実験が実施されているそうで、2022年のワールドカップ、PLでは2023年から実際に試合で導入される見込みのようである。

Automated offsides could be in use in Premier League by 2023 after success of secret trials

2:スロウインをキックインに

ヴェンゲル:わたしはスロウインのルールも変えたい。試合終了まであと5分。スロウインはアドヴァンテッジでなければならないが、そうした状況では、自分たちがアウトフィールドに9人しかいないのに対し、相手は10人いる。スタッツが示しているのは、こうした状況で10回中8回はボールを失っている。ピッチのオウンハーフでは、スロウインのかわりにキックを選べるべきだ。

いつでもキックインできるわけではないというのがポイントだろうか。

スロウイン状況のときに、毎回フリーキックでゴール前に放り込むようになってしまったら、たしかに逆に時間がかかってしまいそうで、それはヴェンゲルさんの望んでいるものではない。

だから、ゴールからより遠いオウンハーフでのスロウインのときのみそれを選べると。

3:ラインを割ったアウトスウィンギングコーナーを有効に

ヴェンゲル:わたしたちはこんなことも検討している。一度ラインを割ってしまったコーナーを有効にするということだ。それであらたな得点機会が生まれることになる。

これはつまりいわゆるアウトスウィング(ゴールから離れていく軌道のボール)のコーナーキックで、空中で一度ラインを越えてしまう(そしてフィールドに戻ってくる)ことはありがちだが、それをアウトとみなさないということ。そうすれば、カーヴのかかったボールをゴール近くに放り込めて、もっとゴールが生まれやすくなると。

4:自分でフリーキック

ヴェンゲルさんはフリーキックのときにいちいちかかっている時間がもったいないとも思っているようだ。

ヴェンゲル:フリーキックを自分で素早く行うというオプションもある。

現状のフットボールのルールでは、フリーキックを蹴るものは一度蹴ったらもう一度自分でボールに触ることができないが、ラグビーの「タップキック」のように、フリーキックの場面で自分からドリブルを始められるようにしたいと。そうすれば、リスタートの速度があがる。

 

試合に関するヴェンゲル提案についてはひとまず以上。

いろいろあるし、これからもいろいろ出てくるのかもしれない。

 

これに加えて、「ワールドカップを2年ごとに開催する」というかなり大きなトピックもあるが、これはまた別の機会に記事にしよう。

後半は、ヴェンゲルさんのインタヴューの翻訳を。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “アーセン・ヴェンゲルのフットボール改革。オフサイド、キックイン提案いろいろ

  1. スーパーフォーメーションサッカー?
    昔やったなあと思ったら、子供のSWITCHの中に入ってました。

  2. ルール改正の方向性からも、ヴェンゲルさんにとってサッカーがどういうものなのかよく分かりますね。
    個人的にはオフサイドのあたりなんかは大賛成です。たくさん点の入る試合は楽しいので

  3. オフサイド以外は賛成。今すぐにでも変えてほしいくらい。特にキックインは。

    オフサイドはなぁー。今のは攻撃側に厳しすぎる反面、逆側に振り切りすぎてるからすんなり受け入れにくいなぁ。

    ルールが変われば戦術も変わるだろうから、そういう意味で見てみたい気もするけど。

    昔のバルサみたいなライン押し上げてのポゼッションサッカーは難しくなるんじゃないかってコメント見た覚えもある。

  4. おぉ、スローイン→キックインの件は小生完全に勘違いしていたので、このエントリは大変に助かりました。オウンハーフに限定するのであれば大賛成です。

    尚、ナスリ氏のトレンド入りは、小生の観測できる範囲でもその体型が話題になっていたからかと、、、

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