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【マッチレビュー】20/21UEL R32 2ndレグ アーセナル vs ベンフィカ(25/Feb/2021)見せたレジリエンス

試合の論点

アーセナル vs ベンフィカのトーキングポインツ。

既視感あふれる試合展開。だが今回は……

前半がそろそろ終わりそうという時間までほぼ試合を支配。すでに1得点もして「今回は楽勝だな」と思っていたら、ワンプレイでいっきに流れが変わるという、まるきりウォルヴズの再来だった。それまで楽勝ムードにいきなり冷水を浴びせかけられるというのは、アーセナルではわりと見慣れた光景になりつつある。既視感がありまくり。なぜにこうなるのか? その後の展開にも悪い予感しかなく。

そして当然のように悪い予感は的中し、自らのエラーからさらに失点&逆転。勝ち抜けを目指すわれらにとって考えられるかぎり最悪の事態に。残り30分で最低でも2得点が必要という絶体絶命のピンチに陥る。失点など多少苦労することはあっても、さすがにあんな事態になるとは試合前には考えもしなかった。まさしく試練のときだった。

だがそこからが本番だった。逆転された失点から6分後、KTのアツいゴールで望みをつなぐと(個人的にはあそこがこの試合のハイライト)、ハラハラドキドキ最後にはサカとオーバという主人公ふたりによる劇的エンディングで大団円を迎えるという、終わってみれば安いドラマのシナリオみたいな試合だった。迎えたピンチも最後のカタルシスのためのセットアップ?という。完全に自作自演だけども。

ベンフィカの守備はずっとオーガナイズされていて、アーセナルはなかなかチャンスをつくれず。ほんとに90分が終わるまぎわまで、このまま敗退してしまうことも覚悟するような流れだったので、最後のアレはちょっと驚いた。試合を観たひとならわかると思うが、アーセナルが勢いでプッシュしたというよりは、むしろ藪から棒のようだった。たしかに相手を押し込んでずっとプッシュはしていたが、疲労もあってプレイにはキレもなく、正直相手のブロックを脅かしている感じは全然しなかった。

特別な選手というのはああいうのがある。アルテタがたとえリスクをかけてもサカを下げられなかった大きな理由だろう。

この試合は、既視感ある展開ではあったけれど、これまでと違ったのは、最後の努力が実を結んだこと。そして、それはやはり最後まで諦めないメンタリティがあったからでもある。アーセナルがこんなふうに最後の最後に試合をひっくり返すのは、かなり久しぶりに観た気がする。

努力がいつでも結果結びつくわけではない。しかし、今回のような試合は、この若いチームにとって非常に有意義な経験となっただろう。諦めないこころ(信念)がちゃんと結果に結びついたという強烈な体験が、きっとこのチームを強くする。

インヴィンシブルズのシーズンを思い出すに、彼らには敗けるはずがないという信念があったと思う。それが彼らをより強くしていた。それはときに実力以上に結果に影響を与えることもあったはずだ。

タイトルを取るようなシーズンでは、こういう試練もかならず含まれる。これもまた栄光への一歩であると信じよう。

ロウブロックに苦しむ(いつものように)

さて戦術的な面では、今回はやはり相手のロウブロックに苦しむアーセナルという恒例の展開は外せないトピックのように思える。

今回は相手がかなりオーガナイズされたブロック守備で、ファイナルサードでなかなか裏のスペイスを悪用するチャンスもなく、ボールをもって押し込んでも、結局ブロックの外側を左右いったりきたりするばかりで、なかなか相手の裏をかけない。結局ファーストレグにつづいて維持したハイラインも含め、ベンフィカの守備はかなり洗練されていた。アーセナルは我慢強く攻撃をつづけたはいいが、観ていてストレスの貯まる時間は長かった。

そういう試合だったからこそ、サカのスルーボールからオバメヤンの裏へのランで決まったファーストゴールは、まさに「それだ!」と思わされるプレイだった。サカのひらめきとオーバの瞬間的反応。あれこそあのときもっとも必要だったクリエイティヴィティ。

オーデガードとオバメヤンにもほとんど同じような連携からのショッツがあったが結局オフサイド。あれは残念だった。VARでもっとレヴューに時間をかけてもいいくらいギリギリに見えた。

しかし、ああいったロウブロックの相手、しかもオフサイドを狙うようなハイラインなら、あの手のチャレンジングなプレイはもっともっとほしかった。せっかくオバメヤンのような選手がいても、使わないでいては宝の持ち腐れである。

それと、ストレスを感じた理由では、どうしても攻撃にかける人数が少ないと感じるシーンが多かったというのもある。とくにMFからの攻撃参加が物足りない。この試合を観ていて痛感したのは、アーロン・ラムジー的MFの不在。これはいまに始まったことでもないし、もういまのメンバーではどうにもならないのかもしれないが。

ロウブロックの外側、サイドでオーヴァーロードしてそこから展開しようというときに、ボックスにずらりと並んだ相手DFに対しオバメヤンひとりしかいないとか、ひどいときには誰もいないこともあった。あれではサイドでいくら展開してもつぎがない。しかもいつでも相手DFの目の前でのアクションだから、ブロックは崩れない。そういうときこそ、ラムジー的混沌がほしい。でもそういうMFはアーセナルのチームにいない。

アーセナルは去年からMFの得点関与が極端に少ないことが課題になっていて、こういう試合展開を観ると、やはりいまのチームにはそこが圧倒的に欠けている成分だと思える。ラムジーのようなリスクを回避しているストラクチャだからいまの守備の安定があるとも云えるだろうし(最近はずっと失点しているので守備が安定していると云うのは少しはばかられるが)、そのようなリスクを恐れいているから攻撃が活性化しないとも云える。

攻守のバランスを考えるに、やはりもう少し攻撃にリスクをかけなければ、結局は求めるものは得られないのではないかと思えてならない。

フットボールは失点しなければ敗けないが、得点しなければ勝てないのだから。

KT怒りのストライク

KTは怒っていた。ていうか激怒していた。それがよーくわかるゴール後だった。「お前ら早く戻れやコノヤロー!!! ちんたら戻ってんじゃねえぞこのXXXXどもが!!!」って云ってたね。ぼくにはちゃんと聴こえたよ。

あのゴールはこの試合にとって、最重要だったと思う。もしあのゴールがなく、あと2点が必要なままズルズルと時間ばかりが経過していたら、チームのエナジーレヴェルはどんどん低下して得点するのにもっともっと苦労したに違いないのだから。

チームの息を吹き返させたのはKT。あれは完全に個人のちからだった。

ほんとうに頼もしい漢だ。

その他試合について

  • この試合展開。もしこれがエミレーツで観客がいれば、KTのゴールでめちゃくちゃ盛り上がったはず。想像しただけで鳥肌たつわー(行ったことないけど)
  • レノは学んだ。あそこでレッドカードのリスクはかけない。11人なら必ずチャンスはあると。その後に起きたことを思えば、あそこはじつはかなり重要な局面だった
  • セバーヨスのエラーのときのコメンタリ「WHAT WAS HE THINKING??」わらった。今回は2失点とも彼のギルティだったバーヨス。チームメイツに救われた。それもまた美しい
  • オーデガード。幻アシストもあったが、ああいう試合展開なら物足りなさは残る。シティでの彼はしょうがないにせよ、こういう試合ならチームで一番くらいに輝かないと。いまのところ€60-70Mの価値はまだ見せていない。ダニセ同様、味方のゴールを喜ぶ姿はプライスレス
  • ベンフィカ目線だとかなりショッキングな敗けかた。あの流れなら勝つと思ってたろうなあ。無念
  • ウィリアンがついに1アシスト

試合については以上。

サカについて書いてない? うーん、もう毎試合でスーパーブだから、逆に書くことがない。

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2 Comments on “【マッチレビュー】20/21UEL R32 2ndレグ アーセナル vs ベンフィカ(25/Feb/2021)見せたレジリエンス

  1. いやー、見ていて本当に疲れました。レノの判断は全く仰る通り、前回からの学びがはっきりと感じられました。セバージョスは鼻息の粗さ(馬でいうとかかっている?)が先行していて、確かに1回目はあの位置でチャレンジする必要がないし、2回目はヘディングは素直に跳ね返しておけばよかったんですよね。でも、オーデガードとベジェリンとの相性はいいと思うんです。それにしてもサカは本当に恐ろしい子・・・。日曜は思い切ったローテーションがみたいですね。エンケティア、マルティネッリあたり爆発してほしい。COYG

  2. かなりドラマチックな試合だったのにEL戦は極端にコメント少なくなるのは流石にDAZN+wowow 課金してる人少ないのかな

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