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【マッチレビュー】21/22EPL トッナム・ホットスパー vs アーセナル(12/May/2022)いろいろ台無し

試合の論点

ToT vs アーセナルのトーキングポインツ。

トップ4フィニッシュはToTが有利に

と、ギャリー・ネヴィルが云ってた。まだアーセナル4位、ToT5位は変わっていないが。

でも、たしかにそんな感じはある。

いまだおたがいの順位は変わっていないものの、敗けなければそれでよかったこの試合の敗戦で、いっきに立場が変わってしまったみたいに感じる。

いまのチームの勢いもあるが、残り2試合のフィクスチャは、彼らがバーンリー(H)、ノリッチ(A)で2勝にかなり現実味があるのに対し、われらの相手はニューカッスル(A)、エヴァトン(H)。とくにインフォームのニューカッスルがタフになりそうだ。

ニューカッスルは、今シーズンは1月なかばまでPLの勝ちがひとつもなく、降格の本命だった。しかし、その後に買収やら、エディ・ハウやら、ブルーノG加入やらでいろいろあって、2022年に入ってからのリーグポインツは4位(※アーセナルが5位)。直近では、リヴァプール、シティに連敗しているが、そこまでは4連勝していた。現在のリーグのなかでも、かなり難しい相手といえる。よりによってこのタイミングで対戦することになる不運。

アーセナルはToTの結果によらずトップ4を決めるには、ニューカッスルとエヴァトンのどちらにも勝つ必要がある。

彼らは、圧倒的最下位のノリッチに最終日に敗けるとは思えない。したがって、今週末のToT vs バーンリー、ニューカッスル vs アーセナルが、シーズンを決める試合になりそうだ。彼らが日曜のバーンリーに勝てば、一時的に順位が入れ替わる。アーセナルはもう月曜のニューカッスルでポインツを落とせない。

バーンリーは降格を競っている真っ最中なこともあり、窮鼠猫をかむで、ToTからポイントを奪う可能性があるかもしれない。だが、そこで仮にドロウでも、アーセナルはニューカッスルに敗ければ、ポインツで並びGDで上回られてしまう。

ノリッチに祈りを捧げるファイナルデイなんて、ごめんこうむりたい。

とはいえ、ニューカッスルは現在14位、エヴァトンは16位。誰かが云っていたように、そのようなランクのチームにさえ勝てないようアーセナルなら、そもそもCLにはふさわしくないのだろう。

あと2試合で、まだToTに1ポイント上回っているというアドヴァンテッジをちゃんと活かせるか。この重要な試合で結果を出せなかったチームの心理状態が気になるところだ。

キーマンへの対応を間違えるシニア選手の未熟

ホールディングが最初にソンともつれたとき、どさくさで彼は相手の背中をキックしていた。あれはわざとだろう。ああいう地味なラフプレイで、相手を苛立たせてプレイの精度を下げられるならもっとやれと思ったものだった。アーセナルの選手はああいうダーティなプレイをあまりしないイメジがあるし。

ところが、ホールディングはソンを気にしすぎたようで、やりすぎてしまった。

つぎにもつれたときは、柔道の寝技みたいになってレフェリーの心象を悪くしたろうし、それがそのあとのカードの伏線にもなっていたかもしれない。

ホールディングはRCBとして、左のハーフスペイスにいたソンをマークする役割だったろうが、彼のペイスにやられまいとする気持ちが強すぎて、不必要につよく当たりにいってしまった。それが2枚めだった。

そして、ソンの脅威をかなり気にしていたのはLBのセドリックも同じだろう。ボックス内に放り込まれたクロスに対し、ソンをフリーにさせまいとうしろから当たってしまった。それでペナルティ。

もちろん、どちらのファウルもアーセナルのファンが不当なものだと感じるほどには、明白ではなかったとは思う。場合によっては、ファウルにはならなかったかもしれない。だが、ファウルをした相手があの試合のなかで両チームあわせても最大の攻撃脅威だったことが、レフェリーの判断に影響を与えた部分はあるように思える。

セドリックもホールディングも、ふたりとも本来はバックアップの選手だったということもあり、クオリティの部分ではやむを得ないのかもしれなかったが、そうではない、シニア選手にあってはならない未成熟なところを見せてしまったのは、いかにも残念だった。

とくに、ホールディングはNLDも含め、ほかのビッグマッチも初めてでもないし、これまでアーセナルでいろんな修羅場を戦ってきたのだから、あの若いチームのなかでは、ジャカやエルネニーと同じように、経験と落ち着きで違いを見せねばならないほうの選手だった。

ソンのようなキーマンへの対処にしても、あくまでもカードが出ない範囲でギリギリの、そして粛々とした対応をすべきであって、あんな一線を越えるようなラフなプレイをすべきではなかった。PLのファウルの基準を知らぬ選手ではないのだ。しかも、カードをすでにもらっていたのだから、よけいに慎重にならねばならなかったことは本人だってわかっていただろうに。

セドリックもホールディングも、ここまではピンチのチームを救うようなパフォーマンスを見せてきただけに、この決定的な試合で自らのチームに致命傷を与えてしまったのは、なんて残酷な運命なのか。

結局、彼らがこの土壇場の決定的な試合でプレイせざるを得なかったスクワッドデプス。そこが、われらのシーズンの決め手になってしまっているとも云える。

ところで、ファウルといえば。

アーセナルはファウルに対してカードが出すぎ説は以前からあった。しかし、こういうデータを観るに、レフのバイアスだけでなく、ファウルの技術も関係あるんじゃないかと思えてくる。とくにタクティカルファウル。いかにカードをもらわずに相手を止めるか。

今回ホールディングはファウル4でカード2。オーデガードはファウル1でカード1。ジャカはファウルゼロでカード1(またか)。

来シーズン、アーセナルに必要なコーチは、タクティカルファウルのスペシャリスト。

レッドカードが試合を殺す(一般論として)

この試合をぶっこわしたペナルティとレッドカードについては、「極刑」を与えるにはあまりにもソフトだったんじゃないかというような議論もあるが、とりあえずそれは置いといて。

今回は、さすがにフットボールというプロスポーツの欠陥を感じてしまった。

ニュートラルな視点で、内容の大半が退屈だったら、それはもうエンタテインメントと云えるのかどうか。

英国名物のフットボール、しかも屈指のビッグマッチだとワクワクしてステディアムまで訪れた一般の観光客がいたとして、彼らは果たしてあのコンテンツを楽しめたか。期待に見合うものだったか。つぎもまた観たいと思うか。この試合で、ちゃんと競争していたのは90分のうち、たった20-30分にすぎない。

まあ、フェアにいえば、逆の立場ならもちろん観方も違っていただろうし、それは否定しない。CLを決めて最高の気分。自分はアーセナルのファンだから、基本的にアーセナルがよければ、誰がどう思おうがすべてよしだといまも思ってる。

だが、それでももし自分たちが今回の彼らの立場であったら、あの内容では、こころの片隅に味気のなさみたいなものは、すくなからず残ったんじゃないかと思う。いや、プギャーして泣き笑いのエモジは使うんだけど。それでも。だって、スポーツの本質は競争なんだから。競争してこそのリウォードでありアチーヴメントでしょう。

このレヴェルのフットボールでレッドカードというのは、試合に与える影響がやっぱり大きすぎるんじゃないか。

罪に対して罰が大きすぎて、それが発生したとたんに均衡が大きく崩れ、競争が台無しになってしまう。去年だかのNLDで、ひとり減ったToTが怒涛の反撃をしたみたいなものはたまにあるのだろうが、あくまでレアケイスであり、ほとんどの場合でレッドカードは試合そのものを殺してしまう。つまらなくしてしまう。だから、時間限定で退場にするオレンジカード?みたいなルール改定の議論がうまれるのも、とても納得できる。

ぼくは、フットボールというスポーツはとくに奇跡的なバランスがある、だから世界中で普遍的人気があるのだと、つねづね思っているけれど、そのなかでレッドカードのルールは仕組みの一部としてバランスが極めて悪いと感じる。今回はそれを痛感した。

シンプルさもフットボールのよい部分だから、ルールが複雑になること自体はあまり歓迎できないが、レッドカードのような極端にゲイムバランスを崩す悪法を放置しておくべきではないと思う。きっと、当事者であるクラブだってこのルールになんらかの改定をするとなれば、それには反対しないのではないか。どんなチームだって、多かれ少なかれレッドカードで不利益を被っているのだし。ゲイムがそれに決定的な影響を受けることを知らぬ当事者もいまい。

GKへのバックパスや、最近だと5人サブもあるし、フットボールもすこしづつアップデイトされている。ヴェンゲルさんもFIFAとそういったことに取り組んでいるのは、フットボールというプロスポーツをもっと魅力的にするためだろう。

これは、クラブや選手の利益というよりは、観客やファンのユーザ体験の問題だから、エンタテインメントとしてクオリティを維持向上させるためにも、もっと真剣に考えたほうがよい。

と、この試合を観て、おれは思いました。

 

試合については以上。

 

なんとなく予感はあったけど、アーセナルにとっては、やっぱり月曜のニューカッスル(A)が今シーズン最大の試合になってしまいそうだ。CB危機にも見舞われていて、いったいどうなってしまうのか。

あいつら、あっさりバーンリーに敗けねえかな。そしてわれらはニューカッスルに勝って、4位確保。あのNLDはいったいなんだったんだってオチに。

そういう笑い話でシーズンを終えたい。この流れでCLのごほうびなしなんて、いくらなんでも残酷すぎる。

 

またニューカッスルのプレヴューを書くので、読みに来てください。

まだシーズンは終わってない!

 

COYG



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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

9 Comments on “【マッチレビュー】21/22EPL トッナム・ホットスパー vs アーセナル(12/May/2022)いろいろ台無し

  1. 全く同感ですね。アーセナルはインテンシティはそれほどでもない割にカード率だけ高いので、ファウル専門コーチが必要なんじゃないかと思ったのと、試合30分でビハインドチームにレッドになると、ほぼほぼ塩試合になりなりますよね。
    極東から観戦ツアーなんかで30~40万とか払ってああいう内容の試合に当たってしまうと、どのチームのサポーターであっても辛い気がします。

  2. この相手にだけは負けてほしくなかったです。
    まだユナイテッドに負けたほうがまし。
    あの監督マジムカつく。自分の選手の文句ばっか言ってたくせに。
    もう控えがいないですね。このタイミングでアカデミーから颯爽と救世主があらわれることはあるのでしょうか。

  3. ほんと悔しかったですし。虚しかったですね。バーンリ、アーセナルファイト。ご褒美ください神様!

  4. 今日の試合は事故みたいなもの。
    残り2試合勝てばそれでよいのです。

  5. さあ、月曜に集中です。そう、ケガ人がいるとはいえ、14位と16位にたじろいでいては、ビッグクラブの看板を下ろすのと同様かと思います。ベンホワイト、トミヤスのセンターバックに、右セドリック、左タヴァレス、というところでしょうか。けが人を無理して使うより、若手に機会を与えたいけど、ジョエリントン、マキシマン、ウィロック、ギマランイス、ですよね。あー、勝ってすっきりしたい!COYG

  6. ビッグ(大事な)マッチ
    →早々にレッド
    →PK
    →キープレイヤーが負傷

    今まで何度と見てきた光景。いや。見飽きた光景。This is Arsenal.
    あんなに無駄に人数だけはいたCBが、まさかこの時点で足りなくなるなんて・・・
    とはいえ残り2戦。死に物狂いでCL権を自分たちの力で勝ち取って欲しい。
    極東で変な時間に応援してる我々のためにも。 COYG!

  7. 切り替え切り替え、とにかく2連勝!

    プロフェッショナルファウルはシティというかグアルディオラの指揮するチームは数をこなすし、不必要なカード貰わず効率的にやる傾向が強いってデータどっかで見た気が?
    是非アルテタには見習って欲しいところです

  8. チェルシーを5位に落とすためのあえての敗戦ですね
    あとは勝つのみ
    COYG

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