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【マッチレビュー】23/24 EPL アーセナル vs ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(2/Dec/2023)アルテタボール

試合の論点

アーセナル vs ウォルヴズのトーキングポインツ。

勢いにのるアーセナル。アルテタボール炸裂

アーセナルは今回の勝利で、悔しかったニューカッスルでの敗戦以降PLで3連勝。そこにUCLを加えると5連勝になった。この間のアグリゲイトスコアは、14 v 2。

これは、いまかなり勢いに乗っていると云ってもよいのでは。

とくに、前回はCL試合で6-0をやり、チーム全体がかなり自信をつけているという感じはあった。

この試合は、スタートからキレキレのノリノリだっただろう。非常にシャープ。ウォルヴズは思ったよりだいぶいい動きをしていたが、それもものともせず。最初のサカのゴールが5分で、気分よく試合を始めると、2点めは12分。オーデガードが決めた。

今シーズンのPLで、アーセナルが15分以内にゴールを決めたのは初めてだったらしく(※昨シーズンは同じ時期に13ゴール)、しかも2ゴール。そういう意味でも、ひさしぶりに感じる優越感であった。

とくにあのキャプテンのゴールの決まり方は、いまのチームの勢いがそのまま出ていたと感じる。右ワイドからサカのクロスボールが左ワイドに抜けると、ジンチェンコ&ジェズースの電撃的な1-2パスからの美しいカットバックで、オーデガードが左足でズドン。

あのジンチェンコとジェズースは、まさに動きのイメージが噛み合って、しかもそれを完璧なアクションに移した。1点めと同様、プリアシストになったあの密集した場所でのジェズースの落ち着きは、あのゴールの大きな部分を占めているだろう。マンシティ時代を共に過ごしたふたりの息のあったコンビネイションプレイで、ゴールが決まったときジェズースがまず向かったのはジンチェンコのほう。ふたりの喜びようったらなかった。あれが、いわゆるアルテタボールなのか。ワンタッチとワンタッチとワンタッチ。なんというグルーヴ。

2-0になって相手を完全に上回っていると実感したそのあとも、アーセナルのチームは全体的に集中力がすごくて、シャープで、プレイのひとつひとつが研ぎ澄まされているように観えた。ダンスの世界で云うところの、小指まで神経がゆき届いているみたいな。

ぼくとしては、アーセナルでも近年まれにみるハイクオリティなチームプレイだったと思う。アレを90分、シーズンを通してできるなら、PLとCLを取れる。

ただ、それは長くはつづかなかった。30分あたりから、ウォルヴズがプッシュするようになり、それまでのホームチームの勢いには陰りが観られるように。

Field tilt by Cannon Stats

試合後のマルティネリが「自分たちがすでに勝ったとは思わずプレイした」と云っていたが、その点は、むしろ逆だったように思う。2-0程度の点差で、ホームチームはもう勝ったみたいにギアを落とし、相手のリヴァイヴァルを許すことになった。

2-0は危険なスコア。ジンチェンコのトレイドオフ。フィニッシャーの必要性?

といっても、後半に入っても、アーセナルは攻撃をつづけたし、概ね試合をコントロールしていたのはホームチームのほうだったが。

47分にはトミヤスのクロスに反応しようとしたジェズースが、ボックス内で相手DFに手を引っ張られるという、ペナルティを取られてもおかしくないようなプレイもあったし、それ以外にもチャンスはつくりつづけた。

だが、試合も終わりに近づくと、だんだんと守りの姿勢になったアーセナルのほうにやや不安定なプレイが観えはじめた。残り5分となった85分にはジンチェンコのやってはいけないエラーから相手にゴールを許すと2-1、そこからゲイムオン。追われる側が一気にナーヴァスになる展開に。アーセナルでは見慣れた光景ではある。

最後には逃げ切ったからよかったものの、「2-0は危険なスコア」ということを再認識させられるような典型的な展開であった。

失点の直接の原因になったジンチェンコについては、前半にも守備のミスをやっていて(マルティネリがカヴァ)、彼の守備の危なっかしさはどうにも拭えない。避けられた失点だったという意味では、自らの首を締めてしまったようなもの。

彼はこの試合だけでなく、自分のテクニックを過信しすぎてボールを失うということがわりとよくある。今回の失点シーンも、まさにあそこでボールをコントロールしようとした過信が疑われる。あのときの状況(最近のアルテタがよく云うgame state)を考えれば、必ずセイフティファーストでなければいけなかったエリア。

試合後のアルテタは「アレックスには強みと弱みがあって……」のように説明していて、ある意味トレイドオフを認めているとも云える。彼の攻撃やポゼッションでの強みを活かすとき、同時に守備の弱みも考慮する必要があるという。

彼をMFとして起用するというアイディアも話題になっていたように、いずれはそちらの道を探らなくてはならなくなるのかもしれない。同じボールを失うエラーでも、MFエリアとDFエリアでは傷の深さが違う。

あとは、今回の試合展開においては、本来はもっと早くに試合を殺さねばならなかったはずで、2-0程度で安心するのは早すぎる。やはり確実にゴールを決めてくれるフィニッシャーの必要性があらためて問われることにもなっているだろう。こういう試合があれば、そうなる。

多くのひとがフラストレイションを感じているのが、やはりエディか。今回はオーデガードのスルーボールをDF裏で受けてGKと1 v 1になる絶好のチャンスだったが、ポストに当ててしまった。あとボール1個分。あのシーンが87分なので、追加タイムの6分を合わせると、あそこで試合を殺せなかったせいで、アーセナルはその後およそ10分間苦しむことになった。

個人的には、あのチャンスはほんとうにギリギリで、そこまで彼を責める気にはなれないが、彼の場合はこれまでのこともあり、ストライカーとしての能力はつねに問われているので、やり玉に上げられやすい部分はある。決めれば英雄、決めなければ戦犯。同情しちゃう。

ジェズースだって、同じ場面で決めたかどうかはわからない。シーズン20-30ゴールが約束されるようなストライカーが来るまでは、アーセナルでクリニカルフィニッシャーの議論がなくなることはない。

新しいストライカーが来るまでに、サカがそうなっているかもしれない。

サカといえば、数日前に「毎度ダブルチームに付かれる」と述べていたインタビューがあって、どこかで紹介しようと思って忘れてた。今回も、サカ対応(ネリ対応も)は毎回きっちりダブルチームだった。

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One Commnet on “【マッチレビュー】23/24 EPL アーセナル vs ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(2/Dec/2023)アルテタボール

  1. いつも量の多いテキストを楽しませてもらっています。皮肉じゃなくて本心ですよ(笑)

    本文と同じように楽しみなのが、たまにある曲紹介!
    今回も良い曲ですね~

    ところで、曲が貼ってあるポストを探す方法はありますか?
    過去に聞いて、もう一度聞きたい曲があるのですが、曲名もアーティスト名も思い出せない。
    良い方法があれば教えてください。

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