試合の論点
リヴァプール vs アーセナルのトーキングポインツ。
A fearless performance away from home ✊
Check out all the best bits from our draw on the road 👇 pic.twitter.com/9kG18WCcqx
— Arsenal (@Arsenal) December 23, 2023
とてもハイレヴェル・ハイスタンダードな試合。だが、それに水を差す……
なんという、ハイスタンダード&エンタテイニングな試合だったのか。フルタイムのKloppが、思わず“Wow wow wow”と云っちゃうような驚きと興奮。当のボスたちが楽しげですらあった。
今回の結果により、アーセナルはPLテーブルで1位を維持。前日にヴィラがすっ転んだおかげ。クリスマスに1位は2年連続である。メリー・クリスマス!
近年のアーセナルに、しかもドロウという結果でこういうふうに思うことはあまりないが、今回はほんとうに競争力があって、レヴェルの高い、素晴らしい試合だったと思う。
リヴァプールは得意のロングボールで、アーセナルはゲーゲンプレスのなかプレス耐性を見せながら根気強くビルドアップ。後半はハヴァーツへのロングボール&セカンドボールといった戦術も使った。お互いにカウンター状況も随所に生まれた。
お互いに自分たちの強みを出そうとして、相手の弱みを消そうとして、見せるハイレヴェルな攻防。目まぐるしく代わる趨勢。今回も試合中のメモが追いつかなかった。
それにしても今回の試合ほど、TV中継でピッチ全体を観たいと思う試合もなかったな。リヴァプールが虎視眈々とロングパスを狙うなか、アーセナルのバックラインはどれほど高く、どれほど相手のFWとオフサイドトラップの駆け引きをやっていたのか。
あと、この試合の前にThe Athleticでタクティカルファウルの特集記事があって、それを読んでいたから個人的にはそこも注目ポイントだった。今回はサカやEndo、ハヴァーツなんかがそれでカードを受けていた。ハイレヴェルゆえに、カード覚悟でファウルしなきゃ止められない。※そのおかげでハヴァーツはつぎサスペンションである
試合後、複数のファンが指摘しているのを見かけて、ぼくもまったく同じ気持ちなのは、ついにアーセナルがここまで来たかという感想。まさにこれは、ここ数年のPLのトップチーム同士の試合のクオリティに観えた。イングランドでは、リヴァプールとマンシティのふたつのクラブだけが到達していた、タイトルを100ポインツで競うような高み。研ぎ澄まされた集中力と、高い技術、考える時間もないほどのスピード感。
トップコーチ同士の戦略の駆け引きがあり、チームプレイと個人の高いレヴェルがあり。インテンシティ、プレッシング、フィジカリティ、どれをとってもトップオブトップ。もちろん、お互いに一歩も引かないファイティングスピリットも。
アーセナルのチームは、アンフィールドの敵対的な雰囲気に飲まれることもなく、先日のPLアストン・ヴィラの序盤で見せたようなアウェイチームらしい消極性も微塵も見せなかった。むしろ試合はアーセナルが勢いを見せるところから始まったほどだった。
後半開始からの時間帯など、はっきりと勢いに差が出た時間もなくはなかったが、概ね、一進一退のようなお互いのいい時間がある試合だった。
チャンスのほうも、この試合の最大のハイライトは、間違いなく5 v 1(+1)のカウンターからのTAAのショットミスだが、アーセナルのほうもサカとマルティネリが大きなチャンスをつくっている。
強者同士の試合は、勝負に慎重になってフットボール的におもしろみのない試合になってしまうこともあるが、今回に関しては、ほんとうにケイオスというか、洗濯機のなかに放り込んだみたいな慌ただしさだった。
そんな試合のなかで、惜しむらくは、今回もまたレフェリングに注目が集まっていること。今回もいくつかのレフ事案があった。後述。
それとそれに関わることだが、この試合の最大の論点のひとつは、極端に滑りやすいピッチをセッティングされたこと。試合を観ていても、選手がよく滑るなあと感じたほどで、試合後にはそのことがかなりフォーカスされていた。彼らは、試合前にかなりの水を撒いたみたいである。それも過剰に。
それは、ロングボールを使う彼らが、パスゲイムをやるアーセナルに不利になるような施策だったという説もあるが、だとしてもちょっとやりすぎに思えたし、両チームの選手が影響を受け、最終的にはそのおかげで自分たちのチームもケガの被害を被っている。
そういった要素がなければ、この試合は後腐れなく、お互いがお互いを称え合うような終わり方ができていたかもしれない。
もちろんアンフィールドだったので、1-1の結果に不満なのは当然ホームチームで、アウェイチームとしては今回の結果は十分満足できる。
それにアーセナルとしては、つぎのエミレーツでのリターンレグに自信を持てるようなパフォーマンスだったことが大きい。つぎは勝てると信じられる。
恐れていたことが起きてしまう。ジンチェンコの守備から失点
28分。バックラインにいたTAAからロングボールが1本。それがきれいにSalahにわたり、ジンチェンコをかわしてショット&ゴール。あまりにイージーすぎて、アゴがはずれそうになった。せっかくのゴールが無効化された。というか、そのあいだにあったゾーンだとかマン2マンだとかカヴァーシャドウみたいな守備ストラクチャもなにもかもが、1本のロングパスでおじゃんに。
ショックは大きかった。あれこそが、リヴァプールの無慈悲なやりかたである。
TAAのアシストは、Kloppもあんなパスは観たことがないと云っているほどだし、たしかにSalahのショットも云うほどかんたんじゃなかった(あのゴールの瞬間の俯瞰の写真をどっかで観たんだけど見つからない、コースはすごく狭い)から、あまりジンチェンコを責めるべきではないのかもしれない。守備以外のボールをもっている局面での貢献度はもちろん高い。
だが、ジンチェンコがSalahにやられるというのは、まさに試合前からアーセナルファンが恐れていたことだったので、恐れていたことが実現してしまった感がすごい。
この試合のジンチェンコの守備のまずさはあそこだけじゃなく、ほかにも13分の彼らのチャンスではSalahをフリーにして危うく失点するところだった。ディフェンダーとしてのアウェアネス。52分にも守備局面ではないが、オウンハーフでかんたんにタックルでボールを奪われ、相手のチャンスにつながるというひどいエラーをやっている。ああいう不用意なボール保持が奪われるのは、最近の彼によく観るプレイではある。
そして71分の5 v 1(+1)につながるアレ。まあ、あれはスリップだったようだし、エラーというよりは事故っぽい。
アルテタもジンチェンコがもつ強みと弱みについては以前も語っていたことで、彼をあのポジションで使うことのトレイドオフは折り込み済み。今回はもしトミヤスかティンバーがいたら、ジンチェンコはプレイしていなかった可能性が高いだろう。
だが、今回はほんとうにジンチェンコを使うしかなかったのかという疑問はあるっちゃある。とくに、リヴァプールはああいうプレイスタイルだから、レフトバックがロングパス1本でSalahと1 v 1を強いられる機会は十分想定できたし、Salahのような選手だから、それが致命傷になることも予想できた。リヴァプールだってそこにチャンスがあると思っていたはず。
いまのお互いのフォームからすれば、ロウスコアな試合になる予想もできたし、そうなれば1点の重みはより重かった。ジンチェンコのポジティヴな部分に望みをかけた選択は、結局裏目に出てしまったように思える。
かつてSalah対策のためにトミヤスを大抜擢したように、ここでキヴィオールを抜擢するとか? アルテタはなんとかできなかったのかとも思う。キヴィオールがSalahを抑えたらニューヒーローの誕生だし、この試合にも勝っていたかもしれない。まあ、そうなればポゼッション時のクオリティがやや落ちるだろうし、いずれにせよたらればである。
トミヤスが戻り、ティンバーが戻ってくれば、彼らがLBでプレイするだろうから将来のことはあまり憂う必要はないかもだが、この試合の致命傷になったジンチェンコの守備は、正直ショッキングだった。
素晴らしい試合に素晴らしい記事。
リヴァプールやシティのハイインテンシティに対抗しきれず、トップオブトップのチームとの質の差に絶望させられるのは完全に過去のことになりましたね!
ベンゲル後期から苦しいシーズンが長かったけど、タフな試合に折れない姿を観られるのは本当に嬉しい。
COYG!!!
トップガンのような5機の編。
終わったと思いました。
それを、サラーに睨みを利かせ、TAAにプレッシャーを掛けたライス。
2億でもお買い得だったのでは?
そして私は見逃してましたが、サリバの走力、素晴らしい。
あとはウエストハムに快勝して、良いお正月を迎えましょう!
COYG!