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【マッチレビュー】23/24 EPL ルートン・タウン vs アーセナル(5/Dec/2023)97分の劇的ウィナーでトップを維持

試合の論点

ルートン・タウン vs アーセナルのトーキングポインツ。

Kenilworth Roadのメインカメラのアングルは、ちょっとハイベリーを思い出したな。ピッチに近くて低い。そのおかげでピッチ全体が俯瞰めに観えないので、戦術的にはわかりづらいが、すごく迫力がある。

最後にアーセナルは勝つ。「絶対あきらめない」はタイトルウィニングチームのきざし?

PLは難しい。アルテタがいつも述べていることば。それは、われらアーセナルファンも毎週のように実感している。

今回の相手だったルートンは、今年からPLに昇格してきたチームで、実力は20チームのなかでも劣るほう。のはずだったが、特殊なホームステディアムの後押しもあってか、意外に強い。ボールを持ってプレイするし、云うほどダイレクトでもない。リーグのトップチームに対して、すくなくとも弱者の戦いぶりではなかった。さすが、あそこでリヴァプール相手にドロウをやっただけある。

そして、結果的にはなんというへんてこな試合になったのか。アウェイに強いアーセナルが3失点するのもレアだし、コーナーから失点するのもレア。しかも相手は昇格チーム。それにつられてアーセナルまで4ゴール。計7ゴールが生まれるという予想外にエンタテインメントな試合になった。まあ、われらとしてはもうこりごりという試合だったが……

第三者的視点では、飽きない試合だったろう。3-3になるまでは、まるでおいかけっこである。1-1、2-2、3-3のスコアラインでは、すべて5分以内に追いついている。

 

19分にマルティネリ(Aサカ)がゴール。24分にルートンが追いつく。1-1。

44分にジェズース(Aホワイト)がゴール。47分にルートンが追いつく。2-2。

56分にルートンがゴール。59分にハヴァーツ(Aジェズース)がゴール。アーセナルが追いつく。3-3。

 

そして、ここでドロウなら敗けも同然というアーセナルは、3-3に追いついてからの最後の30分、しゃにむにプッシュしまくって、ライスのゴールが決まったのが96分。追加タイムは6分で、もういつホイッスルが吹かれてもおかしくない時間、スタンドからはプレッシャーもあり、あのオーデガードのクロスがまさに最後のワンプレイだったはず。だから、今回はほんとうに最後の最後の瞬間だった。

 

96分にライス(Aオーデガード)がゴール。3-4。終了

 

このまえ、このブログでリヴァプールはなぜあんなに頻繁に劇的試合をやれるんだろうなんて書いたのだけど、じつはいまのアーセナルも全然負けてなかったという。

2023年~のカウントで、アーセナルが90分以降のインジャリタイムでウィナーをぶっこんだ試合は、これがなんと5回め。PL記録をつくっている。

今シーズンのアーセナルは、試合の最後の10分でここまで9ポインツも稼いでいるという。今回もそのうちのひとつ。2ポインツもぎとった。気力で。

一時期のアーセナルは、逆転試合がかなり少ないなんて云われていたこともあったが、そのときからはかなり変わった。リードされてもあきらめないし、もう1ポイントでは満足できない身体になっちゃった。

最近ちょくちょくメディアに登場している、元ガナーのフィオ・ウォルコット氏も拍手。

マンUにつづいて、今シーズンふたつめの90分+ウィナーをぶっこんだライスは、試合後に「never-say-die attitude」と云っていた。最後まで絶対に敗けてたまるかという勝者のメンタリティ。レジリエンス。

もちろん、トップチームがするボトムチーム相手の試合マネジメントとしてはあまり褒められたものではないが、こんなリーグなので、こういう試合はおそらく今回だけじゃない。

そういうときでも、かならず最後には勝って終わる。それがチャンピオンチームというものだろう。

タイトルを狙うわれらにとって、こういう試合で3ポインツを持ち帰れたことは、とてもポジティヴ。アーセナルは最後まであきらめない、しつっこくて油っこいチームになった。ギトギトしている。

アンクル・ライティもいつものようにのけぞっている。Maddison「ライスがアーセナルでプレイしていてむかつく」。※音量注意

ハヴァーツ覚醒とベスト11の攻撃フォーム

なんだかんだで、今回のアーセナルは4ゴール。

われわれはUCLのLensで6ゴールしてから、昨シーズンの攻撃の流動性が戻ってきたようなところがある。Lens、ウォルヴズ、ルートンの3試合でゴールが12。「守備がよくて手堅いが地味なアーセナル」という、今シーズンここまでの評判を覆すようなトレンド。もちろん、ルックスもかっこいい。攻撃での「らしさ」が戻ってきた。クリエイティヴになってきた。

あの試合では、ついにミケルがベスト11を見つけたとも云われていたが、この試合もフロントラインとMFは、そのベストな6人でスタートし、その6人全員がゴール関与(ゴール/アシスト)するという、ひきつづきのトップパフォーマンスだった。ひとりのスーパースターに頼らず、みんなでシェアする。

なかでもガビー・ジェズースは、G1 A1で大活躍。マルティネリのゴールも、サカのボックスへの侵入を促したジェズースの臨機応変なスロウが起点になっていたし、ハヴァーツのゴールアシストでは、ボックス内で相手DFを背負ったNo.9らしい仕事もした。攻撃ユニットの潤滑油として、周囲の選手を活性化させるジェズース。「自分の強みはゴールじゃない」発言も納得。いま、彼がいるといないでは別のチームになってしまいかねない。

さらに彼は、PLで<ゴールしたら敗けない>記録を58試合継続中ということ。守り神。

そして、ハヴァーツ。なんとなんと、彼は今回もゴール。しかも3-3の非常に重要な場面。あれがアーセナルには終盤にプッシュするためのエナジーブースターになった。

これでハヴァーツは、4試合で3ゴール。いままでのはいったいなんだったのかというくらいの突然の変化。ケチャップのフタがあいたみたいだ。

それと、今回の彼はゴールだけじゃなくパフォーマンス全般で評価が高い。グラウンドデュエル(4/9)、エアリアルデュエル(6/11)で、あのポジションでフィジカルをいかして仕事もした。

ハヴァーツがやっと本来の彼に戻ってくれた(なんならレヴァークーゼン時代)のなら、これはチームにはかなりの朗報だろう。時間はかかったが、待ったかいもあった。

これによって、アーセナルの攻撃は今後もさらに期待してよいだろうと思う。

やっぱりアーセナルは、攻撃に魅力がなくちゃいけない。

※コメントくださるかたにお願い
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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

2 Comments on “【マッチレビュー】23/24 EPL ルートン・タウン vs アーセナル(5/Dec/2023)97分の劇的ウィナーでトップを維持

  1. いつも楽しく拝見しているのですが、最近ちょっと気になるので書かせてください。

    今回のラヤ、以前のハヴァーツやアーセナル全体の攻撃が不調な時もそうでしたが、ちょっと批判が安直じゃないですか?
    そもそも能力の問題だとか、夏に移籍してきたばかりで、しかも良いプレーもたくさん見せてるのに、また簡単に批判して良くなったら手のひら返しですか?
    これだけ長い事アーセナルのブログを書かれているんだから、もう少しチームを信頼してもいいんじゃないでしょうか。
    ともにアーセナルの優勝を夢見る者として、あまり気分が良くなかったため書かせていただきました。気分を害してしまって申し訳ないです。

    これからも応援しています。

  2. いつも楽しく拝見しております。

    ラヤですけど、素人目ながら、パンチングとキャッチングはラムズデールよりも安定感があると思ってます。
    ラムズデールなら弾いてたな、みたいなボールをキャッチしたり、パンチングの距離が出ているような。
    足元とかロングフィードはたしかに出色ですが、現状だと「ちょっと珍しい動き」をするGKという感じで、優位な戦術的な上積みとして機能しているというと、まだまだかと思います。

    サカのデビュー戦のスカッドは懐かしいですね。
    ウーナイは混乱のうちに辞めてしまいましたが、若手の登用に積極的だった点は評価できると思います。
    彼に比べてアルテタは、なんというか、サブや若手を使う「勇敢さ」みたいなものに欠ける印象です。
    ルートン戦は結果としてとんでもない試合になり、レギュラー陣が必要でしたが、ネルソンなどの起用が見たかったところです。

    昨シーズンのシティも、年明け前は本調子でない、みたいなこと言われて、後半は無双しましたし、われわれも、ラヤとハヴァーツ、サブなど、年明けの勝負所に完成度を上げてくることを期待しています。
    長文失礼しました。

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