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ニコラ・ぺぺのプレイスタイルと戦術プロファイル

ニコラス・ぺぺの獲得が決まってからメディアだけでなく、多くのブログ、SNSなどのファンベイスで、ニコラス・ぺぺのプレイスタイルが語られている。

たとえば、Arsenal公式サイト(Adrian Clark)によるこの記事もそのひとつだ。

Analysis: What Pepe will bring to Arsenal

いろいろな記事をぼくがざっと目を通したなかでは『Coach’s Voice』のものが簡潔によくまとまっていたので、今回はそれを紹介したい。ぺぺのプレイスタイル、短所と長所がまとまっている。

それと、もうひとつはとあるRedditユーザが語っていた去年のぺぺのプレイの印象について。これも彼のプレイの一部始終を実際に観ていたファンの印象ということで興味深かったのでそちらも合わせて紹介したい。

そのあとには、シーズンのオープンに向けてまさにいま検討をしている最中であろう、アーセナルのチームビルディングについて、彼のアーセナル加入が与える影響を考えたい。



Premier League player watch: Nicolas Pépé – The Coaches’ Voice

※前半は省略。マルチェロ・ビエルサ(リール)に見いだされたこと、その後にPEAをウインガーからストライカーにコンヴァートした実績のある、クリストフ・ガルティエ(ビエルサの後任)の功績などに触れている。

ニコラス・ぺぺのスカウティング・リポート

ぺぺの戦術分析

ぺぺはクラシックなアウトサイドから切れ込むワイドフォワードだ。彼はワイドポジションからスタートしても、できるだけゴールに近くにいようとして最後はインサイドチャネルかセントラルレインにいる。

彼のペネトレイティヴなアプローチはヴァラエティに富んでいて、相手のフルバックが彼の動きを読んだり、反応したりすることが恐ろしく難しい。

ぺぺの持つペイスで、彼の裏へ抜けるランはリーサルだ。彼はたやすく敵を抜き去るバーストがあり、とくに15~30ヤーズ(※フットボールのピッチの縦半分が約60ヤーズ)ではとくにそうで、もっと中央にいるチームメイトにボールを運ぶには理想的なサポーティングフォワードになるし、シュートを曲げてファーサイドを狙うような直接ゴールを脅かすこともできる。

ぺぺを相手に守ることは特に難しいことだ。もし相手のフルバックが背後にスペイスを空けようものなら、スルーボールを受けられてしまう。あるいはもしそれで後ろに下がろうとするなら、彼はボールを持ってからワンオンワンでディフェンダーを負かすことができる。

この点については、彼の動きは、大好きな左足を使うためにインサイドに切れ込んでいくアリエン・ロッベンを彷彿とさせるものがある。リーグ1のディフェンダーたちはしばしば彼に張り合おうとしたが、せいぜい彼の前進を遅らせてサポートを待つくらいしかできなかった。

このフレキシビリティと適応の能力は、ヨーロッパでも最高レヴェルのフォワードにしか見られないものだ。もしこの若いアイヴォリアンがこのまま目覚ましい継続性を維持きれば、ゴールでもアシストでも貢献できるだろう。彼はリーグ1での直近のシーズンでそれぞれ22と11取っている。それはまだまだ枯れそうにない。

このようなすべての能力において、ぺぺのテクニックはまだ進歩の余地がある。ドリブラーとしての彼は18/19シーズンでリーグ1の7番目で、それは1試合に平均3を下回っていた。ただし、こういうことになったのは彼が前を向いて、ハーフターンでボールを受けたり、あるいは裏で受けたりしているからだろう。

彼は、とくにディフェンシヴハーフで、ゴールに背を向けているときにプレッシャーを避けようとしてファーストタッチで180度ターンをやるようなことはまだ苦手だ。彼の爆発力はその助けにはなるが、クリアのボールを受けたり、あるいは単にタッチライン際で深いパスを受けたときなどは、彼のボールキープには改善の必要がある。

また、前目のセンターポジションでは、同じようにボールキープに苦しむことがある。それはつまり、彼にはプレッシャーのなかで後ろから来るボールへの気付きが欠けているということだ。

アーセナルでのぺぺの役割

ぺぺが加入したことでアーセナルはついに、よりワイドなエリアからの強力でペネトレイティヴな脅威をもたらす選手を手に入れたことになる。それはアーセナルが久しく欠いていたものだ。ポゼッション時に彼はダイナミックで、決定的、ダイレクトなクオリティをもたらす。

とくに裏に走り込む動きは、イウォビとミキタリアンの両方にかけていたものだ。彼らはワンオンワンでも効果的ではなかった。彼らが脅威になるには、ワンオンワンの勝負よりもパスを好み、フルバックのサポートを借りなければならなかった。

4-2-3-1においてアーセナルの攻撃のタレントを活かすために必要とされていたものは明らかで、ぺぺを右のワイドで使うことで、ガナーズのファンが望んでいたヘクター・ベレリンのとのヤバいパートナーシップが実現する。

セントラルロールではメスト・エジルが一番自然なポジションで復調する可能性があり、当然オーバメヤンが左サイドのスタートの有力候補になる。

とりわけアレクサンドル・ラカゼットとのリンクアッププレイは、このタレントグループのなかでも最強で、アウト&アウトストライカーとして、彼の落ちていく動きは、ぺぺとオバメヤンの両者に裏にペネトレイトするスペイスを与える。

相手がカウンターを発動する前にポゼッションを回復するために、ぺぺとオバメヤンはリアクションできる場所にいなければならない。そしてゆえにこのふたりともが、トランジションのなかでチャンスもつくれるし得点もできる。

もしとくに攻撃的な11人を選ぶのなら、ヘッドコーチのウナイ・エメリはふたりのディフェンシヴMF(おそらくはグラニト・ジャカとルーカス・トレイラ)とふたりのオーヴァーラッピングフルバックを使えるかもしれない。

これがうまくいくようなら、このフロントの4人はアーセナルがチャンピオンズリーグに復帰するには十分な証拠になる。それ以外に道はないのだけれど。

以上。簡潔。

オリジナルの記事には写真も使われていてわかりやすいのでぜひ訪れよう。訳が雑だし。ていうか間違えていたらごめんね。

プレイスタイルでは長所だけじゃなく、ちゃんと短所も指摘されていてありがたい。

ドリブルには期待しているけど、まだまだ改善の余地があるんだなと。

多少失敗したくらいで目くじらを立てず、生暖かく見守ろう。

ぺぺとザハの比較。ぺぺが効果的にプレイするにはラカゼットがキーに

ぺぺのことが騒がれだしたときに、ぺぺとザハの比較を論じているひとがいて、ザハのほうがよりワイドで勝負するタイプだから(インサイドに切れ込みたがるぺぺより)アーセナルに向いているという主張をしていた。ボックスのなかにはラカゼットとオバメヤンがすでにいるのに、そこにさらに侵入したがるウインガーでは相性が悪いと。なるほどと思った。

でも、ぺぺが中に切れ込んでいくプレイが好きだということは当然スカウティングされているはずで、3人がアホ面下げてボックス内でかぶりまくるなんてこたさすがにないだろう。

それについては、この記事で書かれているように、とくにラカゼットのゴール前でのリンクアッププレイがキーになるのだろうと思われる。

ラカゼットがオバメヤンとぺぺにスペイスを開けるために後ろに落ちていくとか、あるいは相手DFにターゲットを絞らせないよう3人のポジションチェンジしたり。有効でしょうな。実際これは彼がオバメヤンのためにすでにやっていることでもある。彼の利他性にはアーセナルのDNAを感じる。

ここにぺぺが加わり、さらにそれを後ろからメスト・エジルが華麗にオーケストレイト。。。

贅沢じゃね?

去年のぺぺを観ていたRedditユーザが語るぺぺのプレイスタイル

ぺぺのプレイスタイルについて。もういっちょ。

A bit about Nico Pepe
https://www.reddit.com/r/Gunners/comments/citbbc/a_bit_about_nico_pepe/

スタッツだけで分析しているような記事よりは、よっぽど評価できるという意見も。

まず。これはスタッツリポートじゃないからね。数字はただ出してみただけ。そしてそれはとてもよくて、だから彼はとてもいいんだ。

去年の彼の試合のほとんどを観ていたんだけど、ぼくならぺぺのプレイスタイルや特徴、いいところと悪いところなんかを語れるんじゃないかと思ってね。

ぺぺはぼくらがピレス/オーフェルマルス以来ずっと恋い焦がれてきたタイプの選手だよ。グレイトなペイス、力強さとゴールセンスがある。彼は完成された選手であると云えるけど、そうでないとも云える。

彼のトレイドマークは深い位置からボールを持って走ること。それとペイスでインサイドに切れ込んでいくこと。ディフェンダーを置き去りにして、ちょっと後ろに下がってからボールを曲げてのシュート(アンリっぽさ)。

ぺぺはまったくスキルフルだ。彼は簡単にカットインサイドできるし、片足(※左足)しか使えないはずなのに、アウトサイドにも切り込める。ディフェンダーにとって彼をマークするのは難しい。

しかし、彼は技術はあるけれども、深く引いて自陣に居座るようなチームには苦労するかもしれない。彼はクロースコントロールのドリブラーというよりも、「ボールを前にプッシュして追いかける」タイプの選手だから。

それでも彼のダイレクトネスと力強さがあれば大丈夫なはずだけどね。ハーフターンで簡単に相手選手を抜いてしまうのだから。超爆発的だよ。

彼が22点を取るとは思えないな。そのうち9つがペナルティだったとしても(実際そのほとんどを彼が取っているんだけど)。でも彼がかなり効果的なフォワードだということには変わらない。ペナルティでもアイスコールド。トップサイドにだっていい試合をいくつもやっている。PSGを支配して5-1でやっつけたのだから。

クリエイティヴィティに関して、彼はバイライン(※ゴールライン)でゴールに向かってドリブルをやりたがる。またファイナルパスをシュートに見せかけてディフェンダーを欺くことが好きだ。小洒落たパスやバックヒールは期待できないよ。彼は1-2パスを使って前進しようとするようなタイプの選手なんだ。

彼はヘッドもなかなかいいね。身長185cm(※TMでは183cm)でクロスに飛び込むのも躊躇しない。彼はストライカーでもプレイできる能力があるから、いずれ年を取ったら彼がストライカーをやってもいいかもしれないよ。

書いておきたいのは、ぺぺはミッドフィルダーというよりフォワードだってこと。だから個人的には3人のフォワードすべてがスタートすることが頻繁に見られるようには思えないんだ。ワイドエリアの守備がおろそかになるかもしれないし、エジルがプレイしているときはとくにそうだ。だから、ぼくは強いチームと戦うときにはイウォビ、オーバ/ラカ、ぺぺのほうがバランスが取れると思う。イウォビはウィリアンみたいにずっと生産的だし。

最後に、ぺぺはすごくトラックバックするし、カウンターの始めではボールを要求する。彼は素晴らしいワークレイトがあって、それはファンが見たがっているものだ。60ヤーズを走ったあとに死にものぐるいでタックルするなんてこともためらわない。

完成された選手ではない。しかしヤバいくらいおもしろくて、ゴールセンスのあるトリッキーなウインガーだよ。ようやく探していた選手を見つけたんだ。グーナーがエキサイトするグレイトなプロスペクトだ。

以上。

まず目を引くのは、スキルフルであるとしながらも、彼がクロースコントロール、つまりわれわれが云うところの足元のうまさはそれほどないということ。

一般的に彼の長所として語られがちな「ダイレクトネス」ということを鑑みるに、テクニシャンというよりは、スピードや身体の使い方、味方を使ったコンビネイションで強引に相手を抜き去るようなそんなプレイスタイルなのかなと。もちろん、技術はあるという前提なので平均的な選手に比べれば基準以上にあることはたしかなのだろうけれど。カソルラやジャックの延長線上というよりは、ウォルコットの延長線上にいる選手と考えたほうがよいのかもしれない。すごい不人気そうなたとえで申し訳ない。

それとこの筆者が、守備バランスを考えれば、FWの3人(ラカゼット、PEA、ぺぺ)の同時起用はそう多くはないだろうと考えていることについては、その反論が大きなアップヴォートを得ている。

ぼくもその反論にアグリーで、とくにオバメヤンは守備時にはちゃんとトラックバックしてフルバックを助けているシーンは何度も見ているし、ラカゼットだってCFにしては守備の意識はかなり高い。

ラカゼットのトップ(兼SS)にオバメヤン、エジル、ぺぺの4人は、基本的にはエメリのファーストチョイスになるに違いないと思われる。

もちろん、それでうまく行かなければ違う方法を考えるだろうが、いずれにせよ前の3人はプライオリティだろう。

ぺぺ加入が既存選手の去就に与える影響

ここからはぼくの考えを書いていこう。

ぺぺが入ったことで、いまいるアーセナルの選手たちにどのような影響があるか。

TMによれば、ぺぺは左足の選手で基本的には右のウイングでプレイしており(ロッベンタイプ)、CFでプレイすることもある選手。

彼の加入で直接的にもっとも大きな影響を受けるのは、まずはヘンリク・ミキタリアン。

ぺぺがケガで離脱などがない限り、またはエメリがロウテイションでもしない限りは、これでほとんど彼がPLでスタートする機会はなくなったと考えてよいだろう。もともと当落線上にいたわけで、今回それが確定した。200kpwのベンチ要員という。

それとリース・ネルソン。彼は右足のウインガーだが右サイドでプレイすることが多い。当然影響はある。

ミキは相変わらず放出の噂も根強いが、もし彼がこの夏に残るようならネルソンがローンで出ていく可能性が高まる。彼はキャリアのなかでプレイタイムが必要なフェイズにおり、アーセナルでファーストチームのベンチに入れるか入れないかみたいな状況なら、むしろ残ってはいけない。経験のためにローンで出るべきだろう。

ぺぺは、もしかするとエンケティアについても影響を与えるかもしれない。

ぺぺはセンターフォワードでもプレイできるということは、エンケティアはCFでプレイできる選手のなかでは4番手になることを意味する。

イウォビやウィロック(あるいはESR)といったフォワードの後ろでプレイできる選手の存在も考えると、エンケティアの出場機会が阻まれる可能性はある。そうなれば、ネルソンと同様にファーストチームの経験を積ませるためにローンで出されるという可能性はある。エメリは残すと云ったけども。

おそらく、エンケティアやネルソンの去就はミキタリアン次第ということになるのではないだろうか。ミキが残ってさらにこのふたりが残るとはちょっと考えにくい。とぼくは思う。

4-3-3がレギュラーのシステムになったら。エジルの将来

エメリが4-3-3を使う可能性についても検討しておきたい。

4-3-3というのは、いうまでもなく一般的にワイドプレイヤーありきのシステムだ。

ぺぺのような選手が入ってきたということは、アーセナルがシティのような、リヴァプールのような、より自然な4-3-3システムを採用できるようになったということ。

エメリの気に入りは4-2-3-1で、4-3-3は必ずしも彼が積極的に使いたがるシステムではないが、かりに4-2-3-1がうまくいかなかったとき、あるいは試合のなかで流れを変えたいときに3MFを使いたくなることは当然あるだろう。これまでもそういった試合中のシステム変更はよく見られた。ましてや、この夏にはダニ・セバーヨスが加入して、MFは充実しているのだから。むしろそれが大きな動機になりうる。

4-3-3システムの採用でもっとも大きな影響を受けるのは云わずもがな。No.10のエジルである。4-3-3にNo.10の居場所はない。

4-3-3の3MFでそのなかにエジルを入れるアイディアもあるだろうが、ふつうに考えればエジルをCMのひとりとして使うにはワークレイトに疑問がある。いくら彼が守備でがんばろうとしていたとしても。

いまコウチーニョの獲得(ローン)の噂でアーセナル界隈はもちきりだが(ぼくはまったく信じていない)、もしわずかでも可能性があるとすれば、そのときは最高給のエジルの放出とセットでしかありえず、だからこそこの件はありえないのである。

ただ、エジルの将来を考えると、アーセナルがコウチーニョのような選手に秋波を送っていることは興味深く思える。

近い将来にエジルがいなくなったとき、彼の代替としては、No.10専門などという融通のきかない選手スペシャリストではなく、まさにコウチーニョのようなCAMでもサイドでもプレイできるヴァーサタイルな選手が理想だからだ。

エメリはハードワークと戦術的柔軟性を兼ね備えた選手のほうが好きなのは明らか。

アーセナルがコウチーニョに本気だとはまるで思えないが、そういう意味ではおもしろい動きだとは思う。

ということで、ぺぺが加入したことはアーセナルの既存の選手たちに与える影響は小さくないんじゃないかなとおれは思います。

以上



3 Comments on “ニコラ・ぺぺのプレイスタイルと戦術プロファイル

  1. 良い選手が入ってくるのは当然喜ばしいことですが、若手の育成という面では阻害要因になり得る事を改めて認識しました。
    一定以上のレベルの選手はよそから連れてくることは出来ず(レアルやバルサ等のクラブ除く)、育成するしか無いと思っているので、エメリには育成も頑張って欲しいと期待しています。

  2. ペペのプレーを見てるとWB とのコンビネーションがどうなるのか気になります。
    裏への飛び出しからフィニッシュまで出来る選手ですから、はたしてナイルズやベジェリンの攻撃力が活かせるのか

  3. 今のスカッドのバランスを考えたら、4-3-3が理想なのは事実だと思います。
    ただ、オーバをワイドで使えば得点能力という武器が鈍るし、エジルの居場所はほぼなし。
    トレイラはアンカーに相応しい選手だと思うけど、彼の前にハードワークしつつスペースに飛び出していける選手が2人はいない。ジャカはアンカーとしても前に出るセントラルとしても短所が厳しいし、セバージョスはよしとしても、ゲンドゥージとウィロックに過大な期待をするのも難しい。

    一方で、4-2-3-1の両ワイドにオーバとペペというのは現実的じゃない。

    あちらが立てばこちらが立たずといった感じを受けています。そもそも4-3-3を試してないですし。

    どうなりますかね。イウォビもいるし、3人の同時起用にそこまでこだわらず、柔軟に回すのがいいかなとは思いますが。

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