試合の論点
バーンリー vs アーセナルのトーキングポインツ。
敗けないが勝てない
この引き分けで、アーセナルは今シーズン「13ドロウ」でPL20チーム中トップ(2位がウォルヴズの11)。今シーズンここまで半分以上は引き分け試合という。
たしかに敗けないことは悪くないが、引き分け(1)は勝ち(3)よりも敗け(0)に近い。アーセナルのようなビッグクラブならまったく容認できないことだ。
引き分けが異様に多いということで勝ちも少ない。
Arsenal have won just six of their league games this season, the lowest tally after 25 league games since 1912/13 when the Gunners were relegated.
— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2020
今シーズン25試合でたった6勝。1912/13シーズン以来で最少であり、このシーズンは降格したという(※アーセナルは国内リーグを降格したことがないという都市伝説は都市伝説である)。
そして、25試合を終えて31というポインツは、過去PLで10位で終わったシーズン(92/93)、また12位で終わったシーズン(94/95)よりも低い数字だということ。トップ4どころじゃない(笑い)。
(※ちなみに敗けも少なくて(6)アーセナルより敗け数が少ないのはリヴァプールのみ……)
それもこれもシーズン前半のエメリ時代のせいにしたいところだが、実際はアルテタはPL7試合でW1D5L1(驚異のドロウ率71%)と、結果という意味ではほとんどエメリのときから良くなっていない。
ただ、パフォーマンスの内容は少し興味深い。
Arsenal in 2019-20
Shots per game
Emery 12.5
Ljungberg 10
Arteta 9.6Shots allowed per game
Emery 16.8
Ljungberg 13.8
Arteta 12.4— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2020
今シーズンのエメリ、ユンバーグ、アルテタを比較すると攻撃(シュート数)と守備(被シュート数)の数字が逆のグラデーションになっている。
アルテタはエメリ時代に比べて被シュートがかなり減り(試合平均4本以上)守備面での改善は顕著だが、一方攻撃ではエメリ時代よりも試合平均で3本以上シュートを減らしている。あのグダグダ時代よりさらにだ。
アルテタがアーセナルの積年の課題であった守備を改善させているのは大いに歓迎すべきことだが、その分攻撃の脅威がなくなっている。得点以前にシュート自体を減らしている。
アーセナルのつぎの課題は数字にも明らか。攻撃である。
アルテタへの疑問(チームセレクション)
さて今回、ヘッドコーチにはいくつかの疑問がある。これまでもまったくなかったわけではないが、今回はあの試合展開だっただけに指摘せずにはいられない。
もっとも大きい疑問はチームセレクションだ。
今回のチームパフォーマンスにもっとも影響を与えたのはやはりラカゼットの起用だろう。ファンのあいだでは試合後にはもっとも大きな議論になっていると云ってよい。
Alex Lacazette has now gone 14 hours and 57 minutes of football away from home without a goal in the Premier League.
— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2020
アルテタが彼の、前から激しくプレスするワークレイトを高く評価していることも知っているし、得点だけが彼の仕事ではないと考えていることも理解できる。彼がフォルス9としてゴール前にスペイスを空けて、そこにワイドからアタッカーがカットインサイドするという攻撃のイメイジもあるだろう。それもわかる。
ただ、今回のようなハイプレッシングをやらない(できない)試合だと、ファイナルサードでのハードワークというラカゼットの良さが半減してしまうのではないか。
なぜにハイプレッシングをやらない(できない)かといえば、それは単純なことで、相手が最後尾からでもロングボールをためらわないからである。詰め寄られた状態からリスクをかけて後ろからパスをつなごうなどとしゃれたことはしないので、ハイプレスもへっちゃらなのだ。(単純といえば彼らのプレイはずっとそうで、恐ろしくシンプルで恐ろしく効率的だった)
そしてバーンリーがロングボール+セカンドボール、サードボールで挑んでくることは最初からわかっていたことでもある。ボスが自分でそう云っている。であるならラカゼットを起用する理由のひとつであろうファーストディフェンダーの役割は期待できない。それも予想できたことではないか。
しかしおそらくそんなことは承知のうえで、それでもラカゼットを起用したのだろう。アルテタは選手としての経験からも簡単に不調の選手をあきらめたくない。とくにシニア選手。そこから復調すれば精神的にもさらに強くなる。きっとそんなふうに信じているに違いない。選手を諦めないコーチ。ジャカもムスタフィも最後まで諦めないからいまがある。でもそういった選手みんなが再生できるわけでもない。そんなところにアルテタのジレンマがあるようにも思う。期待してチャンスを与えているのに、選手がなかなかそれに応えてくれないというジレンマ。
ぼくだって今回ラカゼットがうまくやってくれれば、期待に応えてくれればそれが最良だと思っていたので、彼をスタートさせたことにも異論はなかった。むしろアルテタならそうするだろうと。だが、やはりああいう試合展開では彼を使うメリットが活きにくく、また結果的に彼が今回もまた得点の面で期待に応えることができなかったのが非常に残念だった。
まあ賭けに負けたみたいなものかもしれない。
しかしラカゼットの起用が賭けだったとするなら、それはリスクのある賭けだ。それは彼がワークしないときだけのリスクだけでなく、彼を起用することでオバメヤンを中央に置いておけない機会損失ももれなくついてくるのだから。
この試合でも相手を押し込んだ状態で、何度も何度もオバメヤンがワイドでボールを持つシーンがあったが、まったくナンセンスな話である。世界最高のフィニッシャーのひとりにワイドから大してうまくもないクロスを上げさせるなんて噴飯ものである。宝の持ち腐れだ。彼はいつもクロスのターゲットにならなければいけない。ボックス内で相手の驚異にならなければならない。それが効率的な攻撃というものだろう。
個人的にはオバメヤンは今シーズン限りで退団すると予想しているが(もしわれらにCLがあってもバルサのようなビッグクラブの誘いを断れるとは思えないし、アーセナルは彼の慰留にそこまで高待遇を用意しない)、ということは結局ラカゼットとオバメヤンの共存というテーマは当初からずっと残りつづけて、最後まで模索しながら解決策を見つけられぬまま終わってしまいそうである。悲しいことだ。
現在アルテタが選手の組み合わせをずっとテストしているという見方もできるが、であればラカゼットとオバメヤンの共存テストはそろそろ終わりにすべきかもしれない。とくにアウェイ。とくにこういうプレイスタイルのチームが相手の試合。ラカゼットがこのフォームをつづけるなら、早晩どこかで諦めなければならなくなる。もっと早く決断すべきだったと後悔しないようにしてもらいたい。
それとこの試合、ラカゼットの起用とともに疑問に思えたのがエジルの起用だ。
まあ彼のほうは、むしろアルテタの下で復調のきざしを見せているひとりだし、いま疑問だったと云うのは少しアンフェアだが、少なくとも得点関与においてずっと結果を出せておらず、この試合でも存在感がなく、元気いっぱいにも見えなかった。彼は自分でも思い通りにいっていない実感があるのだろう、前半終盤にはイライラからカードをもらっている。
とくにフィジカルの部分ではやはり徐々に衰えが見え始めているように感じた。今回はいかにも走れていないように感じるシーンがいくつか気になった。
彼のピークはとっくに過ぎているのはたしかとはいえ、アウトプットの減少が顕著すぎる。
エジルのアウェイでのゴール、アシストはどちらも1年以上前ということ。とくにアシストは2018年2月30日のスウォンジーが最後というのだから、もう少しで2年になる。これはAFCと巨額で契約更新する前というのだから、契約更新してからアウェイで一度もアシストをしていないということ。なんてこった。
Mesut Ozil’s last assist away from home for Arsenal was on 30 January 2018 against Swansea.
His last goal away from home was September 2018.
— Orbinho (@Orbinho) February 2, 2020
エジルもラカゼットと同じで現時点においてアウェイで「まったく」仕事をできていないということだ。(もっともエメリ時代はアウェイでプレイするチャンスが限られていたことは割り引くべきだが)
この試合はアーセナルでの記念すべき250試合めだったというが、とてもおめでたい気分にはなれない。
このとくにアウェイでまったく無能になってしまっているふたりについて、今後もこれまでどおりアルテタは全幅の信頼を寄せてスタートから起用してくるのか。あるいは、今回ペペよりマルティネリを優先したようにどこかのタイミングで考え方を変えるのか。エメリのようにホームとアウェイで選手を変えることがあるのか。注目したい。
攻撃に難ありと云われる現状で、このふたりのポジションは攻撃面で決定的すぎる。そのポジションの選手のパフォーマンスは攻撃クオリティに直結する。とにかく攻撃を改善したいのなら考えるべきポイントのひとつにはなるだろう。
もう少しチームセレクションの疑問についてつづける。
悔しいです!まじに!
立ち上がりにラカやオーバが決めていたら、また違った展開だったとは言え、タラ&レバ。
チェンさんが前からご指摘の通りアルテタの交代策が遅く感じるのと、どうもBプラン、Cプランに可能性を感じない(アルテタに代わって時間無い中でそりゃ無理だよなと思いつつも)。
今のリバポなんかと比べてもしょうがないけど、奴らは可能性が低いロングボールを裏に出したりとか結構するし(かつチャンスにもしてしまうし)、明らかにバリエーションが少な過ぎますね。
90分間圧倒するフットボーが出来ない中でも良い時間はあるのだから、手詰まり時の別プランとして交代でぺぺやセバージョスが出てこなかったのは残念でした。
不慮の負傷交代とかコンディションの問題とかあるにせよ。
酷く悪目立ちする選手が居なかったのに、勝ち点落としたのは残念でしたね。
COYG
今のアーセナルは不確定要素が少ないですよね。
無理やり打ってディフレクトでゴールとか、理不尽ミドルとか、不条理なスーパー個人技とか。
中盤は玉離れが遅いし(特にゲンドゥージ)、前線は驚きのない仕掛けに終始。たまにおっ!と思うのはルイスやジャカのロングボールだけ。
アルテタなんとかしてくれないかなー。つまんないっす。守備改善されただけまだマシですが。
あと1分で15ー16のチェルシーの引き分け数と同じという悪夢
開始3分くらいでラカゼットのヘッドがあって15分くらいまでは余裕な展開かと思ったものですが、甘くなすぎ。これも全部芝のせいですよ。
おれたちのブカヨがいなくなって明らかにパフォーマンスがおちましたよね、そもそもブカヨは本来あそこではないのに。ティーンの勢いでよく見えてただけで、シニアたちの相変わらずなのはもうなんかつらいですねぇ。ジルーのころは、何だかんだで彼10ゴール以上決めてたんですよね、20はきめられないけども。
アルテタもまだ監督歴1ヶ月ちょっとですし、やっぱ今シーズンはこんな感じで来年の基盤をつくってもらう時期と割り切って見るのが体にいいのかも。
Elでワンチャンの夢を見ますかね。
右の選手が苦労してるってことと、右のハーフスペース担当がエジルだってことは、関係あったりなかったりするんかな?あとディフェンスラインへのランの足りなさも感じる
いつかのCLでバルサ対策としてピッチの中央に水溜りができるくらいビシャビシャにしてパスワークを無効化していたバイエルンを思い出した、水をどれだけ撒くかってすごい大事だよね
最後30秒だけオーバがトップに入ってエンケティアが2列目になって希望がかなったので満足です。
…もちろん満足なわけないがない。
前々から指摘してたこともそのまま出た感じだし驚きはないともいえるけど、
むしろそれがずっと変わらないところがちょっと驚きというか不安。
選手選択もそうだが、動きを指示して解決すべき部分もあると思うのでそちらの見直しにも繋がればと思うけど…
サカ交代の件はサカ自身が問題ないと言ったのかアルテタが残す判断したのか分からないけどどちらでも問題のような。
アルテタの「おそらく最後の10分(※前半)彼は負傷してしまい~」というところも余計気になる。時間にズレがないか?
アルテタは20分時点で深刻だと把握してなかった?気づいたのはハーフタイム中か?
ケガの原因は開始数分後の接触かな?主にぶつけたのは膝っぽかったけどその後膝をかばって痛めた?座り込む割と前からけっこう気にしてた。
年末のチェルシー戦でもサカは痛めたけどプレイ継続したことあったような?
なるほど芝のところは影響気になりますね。
前回のボーンマス戦の時に書くの(あれでも)自重したんですが、
(なんの説得力もないですが)
雨の時って極端にパフォーマンスが落ちる気がしてて。(相手よりも)
パスの精度だけでなくインテンシティも。
なんかそんなデータないんかなとか思ったりしてました。
んで、雨でなく雨による芝の状態変化による影響なのか?とこの記事や記事のコメント見てて思ったり。
エジルだけでなく、マルティネッリとかも前半から重そうに見えたのは気のせいだろうか。
ラカが点取れてないので一度センターから外してオーバ中心にして欲しいです
センターがラカだとエジルからの裏パスが出ません
結局この2人は共存出来ないと思ってます
サカの件はハムではなく打撲だったし、AMNよりもジャカを下げることを選択したのだろうし、そもそも左SBがいないし、事情として理解できなくもない。しかしプレーもしない・交代もしない、非常に曖昧な態度だったと思う。イライラした。
先日のレスターvsチェルシー戦を見てたが、あのレベルの試合にはあんな曖昧な態度が許される余地はどこにもなかったと思う。11人の戦う人間をピッチに送り込むという点で、アーセナルはあのレベルには遠く及ばない。誰が悪いとか言う気はないが、改善しなければ。
ひとつだけ擁護するなら、元気のなかったラカはともかく、エジルはよく走って戦ってたと僕は思った。あの畑みたいなピッチで普通にパスが出せてたエジルのテクニックは尋常じゃないし、試合全体がボーンマスのペースになったのをエジルのせいにしても始まらないと思う。
オーバが決めてれば、、とは思いますが、今までの彼の尋常じゃない決定力を考えれば、こういう日もあってしょうがないなぁと思います。
芝の問題はもちろんですけど、それ以前からウインガーやトップの選手にボールが入ってからの課題はずっと残ってる気がします。
相手がしっかり引いてる場面でペペとかオーバとかサイドの選手がもらったら困ってるような印象あります。MFやSBが追い越して裏を取ったり、ラカやエジルが絡んで中央に入るとか、この辺はもっと出来るはずなんだけどなぁ。
なんとなく昨シーズン、イウォビがコラシナツと絡んでサイド崩したり、中央に入ったりするのを懐かしく思ってしまいました。ペペにはあんなことやってほしいんだけどなぁ。ぺぺはイウォビの上位互換だと思うので、出来たらかなり脅威になれると思うなぁ。。
まぁこれまでの全く前線につなげない問題が解消しただけでもアルテタの功績は大きいですけど、ファンというのは図々しくて欲張りなもので。
ドバイキャンプでの改善に期待します。
アーセナルは怪我人が出た試合に弱い印象です。前シーズンもウェルベック怪我の後、目に見えて調子落としましたし。(これは試合というよりシーズン全体ですが)
誰かにアクシデントが起こると、皆が普段通りにプレーできない。昔からそんなイメージです。
とにかくWBでアルテタボールをインストールして、残シーズンで楽しませて欲しいところです。